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特定技能【外食業】で外国人を雇用する方法

求人情報誌には、レストランや居酒屋など飲食店のホールスタッフやキッチン従業員募集の記事がたくさん掲載されています。外食業界は常に人手不足なことに加えて、昨今は日本を訪れる外国人の数も増加しています。飲食店における顧客サービスも変化しつつある今、従業員に外国人を雇い入れる方法が注目されています。

本記事では、2019年4月に創設された特定技能「外食業」で外国人を雇用する方法について、詳しく解説します。

CONTENTS

  1. 1.特定技能「外食業」とは
  2. 2.特定技能「外食業」の背景
  3. 3.特定技能「外食業」で従事できる業務
  4. 4.特定技能「外食業」で従事できない業務
  5. 5.特定技能「外食業」以外の在留資格との比較
  6. 6.特定技能「外食業」受け入れ企業の要件
  7. 7.特定技能「外食業」を取得する方法
  8. 8.特定技能「外食業」雇用の流れ
  9. 9.まとめ

1.特定技能「外食業」とは

特定技能「外食業」とは、日本の深刻な人手不足を解消するために、即戦力となる外国人を雇用できるよう2019年4月に創設された新たな在留資格です。この在留資格によって、これまで外国人には不可能とされていた飲食店でのホールやキッチンなどの現場労働がフルタイムで行えるようになりました。

2.特定技能「外食業」の背景

外食業界は、従来から比較的多くの外国人が働いていました。彼らを雇用するには、主に以下のいずれかの資格が必要でした。

・留学生などの「資格外活動」
・永住者などの「身分に基づく在留資格」
・特定活動や技術・人文知識・国際業務などの「専門的・技術的分野」での就労ビザ

実際にこの中で半数以上を占めていたのが、留学生などの「資格外活動」いわゆるアルバイトでした。ただし、留学生アルバイトで働ける時間は週28時間以内と決まっているため、日本人のようにフルタイムで働くことはできませんでした。このほか「専門的・技術的分野」での就労ビザもありますが、そもそも就労ビザは資格要件が非常に厳しいことに加えて、現場労働に従事することができません。飲食店においてホールやキッチンといった現場労働を初めてフルタイムで可能にしたのが、特定技能「外食業」となります。

コロナ禍以降、飲食店の通常営業が再開したことや、入国制限に伴う留学生の減少によって、特定技能「外食業」の外国人の数は増え続けています。

3.特定技能「外食業」で従事できる業務

特定技能「外食業」で従事できる業務は、飲食物の調理や接客、店舗管理など外食業全般です。前述の技術・人文知識・国際業務などの就労ビザのように業務制限がないため、日本人を雇用するのと同等に業務を任せることができます。

対象となる業種は、レストランや居酒屋、喫茶店のほか、店内で調理した飲食料品を渡したり配達したりするのであれば、テイクアウト専門店や宅配専門店での勤務も可能です。他にも病院や学校の給食施設で働くこともできます。

3-1.フードデリバリーは可能か

調理や接客などの業務内容の一つとしてデリバリー業務を行うことが可能です。ただし、デリバリー業務のみを行うことはできません。

3-2.ホテルのレストランは可能か

ホテルで調理や接客、配膳業務を行うことは可能です。ただし、ホテル内業務全般ができるわけではないので、例えばホテルのフロント業務やベッドメイキングは行えません。

4.特定技能「外食業」で従事できない業務

風俗営業法に基づく「接待飲食等営業」で働くことは禁止されています。キャバクラやホストクラブなどの飲食店での接待業務はもちろんのこと、このような店舗で接待以外の業務に就くことも禁止されています。さらに店舗としてはカフェや喫茶店であっても、併設されているバーでお酒を注ぐなどの行為は接待行為とみなされますので注意してください。

5.特定技能「外食業」以外の在留資格との比較

日本の飲食店で外国人が働くには、特定技能「外食業」がオールラウンドに活躍できる在留資格ですが、その他にも外食業界に携われる在留資格がいくつかあります。

5-1.技術・人文知識・国際業務(就労ビザ)

技術・人文知識・国際業務の就労ビザでは、外国人の通訳対応や店舗マネジメント、母国の伝統料理の調理などに従事できます。就労ビザの目的は外国人が持つ専門知識を日本へ還元することですので、飲食店での接客やホール業務、配膳などの単純作業や単純労働で雇用することはできません。

さらに、大学卒業もしくは日本の専門学校を卒業していることや従事しようとしている仕事の経験が10年以上あることが要件となっていますので、就労ビザの取得はかなり難しいと言えます。

5-2.資格外活動(留学生アルバイト)

従事できる業務にほぼ制限はありませんが、週28時間(長期休暇中は週40時間)の勤務時間制限があります。

5-3.技能実習

技能実習には「外食業」の区分がありませんので、レストランや居酒屋などの店舗で働くことはできませんが、飲食チェーンのセントラルキッチンなどの大規模食品加工部門で食品の加工に従事することはできます。

6.特定技能「外食業」受け入れ企業の要件

特定技能「外食業」で外国人を受け入れる企業は、受け入れ前後で要件や果たすべき義務が課せられています。

6-1.協議会への加入

受け入れ企業は、食品産業特定技能協議会への加入が義務付けられています。構成員の情報共有や法令順守の啓発、受け入れ状況の把握などを目的とした協議会で、初めて特定技能外国人を受け入れてから4カ月以内に加入します。

6-2.雇用契約(報酬・雇用形態)

特定技能外国人との雇用契約の内容が適切であること、その履行を誠実かつ確実に履行することが求められます。

例えば、報酬は同種の業務を担う日本人と同等でなければなりません。また、雇用形態は直接雇用しかなく、派遣雇用は認められていません。

6-3.受け入れ企業が適切か

5年以内に出入国・労働法令違反がないなど、受け入れ企業自体も適切である必要があります。

6-4.支援体制

生活オリエンテーションの実施や空港への送り迎えなど、法律で定められた支援項目を実施する体制の構築が求められます。受け入れ企業での体制構築が難しい場合には、登録支援機関に委託することもできます。

7.特定技能「外食業」を取得する方法

特定技能「外食業」を取得するには、以下二つのルートがあります。

・技能試験および日本語試験に合格する
・技能実習2号を良好に修了する

それぞれ詳しく見ていきます。

7-1.技能試験および日本語試験に合格する

外食業特定技能1号技能測定試験と日本語能力試験に合格することで、特定技能「外食業」が取得できます。

●外食業特定技能1号技能測定試験

衛生管理や接客全般の知識など外食業の仕事内容についての試験で、学科と実技に分かれています。両方とも合格が必要です。現状、試験は日本以外にもフィリピン、インドネシア、ネパール、ミャンマー、カンボジア、タイ、スリランカで実施されています。

●日本語能力試験

「日本語能力試験(JLPT)N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」のいずれかを受験します。
日本語能力の認定目安であるJLPT:N4以上とは、日常生活において基本的な日本語を理解することができるレベルです。

7-2.技能実習2号を良好に修了する

技能実習2号を良好に修了することで特定技能1号へ移行できます。なお、特定技能「外食業」へ移行できるのは、技能実習「医療・福祉施設給食製造職種」の区分のみです。

8.特定技能「外食業」雇用の流れ

特定技能外国人の雇用は、以下①~⑦の流れで行います。

①「特定技能雇用契約」を締結
面接などを経て、採用する外国人を決定し「特定技能雇用契約」を締結します。

②「特定技能外国人支援計画」の作成
外国人が問題なく業務に従事し、安心して日本での生活が送れるように実施する各種サポートをまとめた計画書を作成します。支援計画書には外国人から「十分に理解した」という署名をもらうため、外国人が理解できる言語で説明する必要があります。

③事前ガイダンス
事前ガイダンスは特定技能外国人支援計画に含まれている支援の一つで、外国人が理解できる言語を使って、労働条件や日本での生活に関する説明を行います。あわせて健康診断も受診してもらいます。

④在留資格申請
管轄の出入国在留管理局へ「在留資格認定証明書交付申請書」を提出します。審査期間は2週間~3カ月ほどです。

⑤在留資格認定証明書の郵送
審査通過後に交付される「在留資格認定証明書」を外国人へ郵送します。

⑥外国人が現地でビザ申請
外国人が現地の日本大使館へ「在留資格認定証明書」を提出し、ビザを申請、受け取ります。

⑦来日、就労スタート
外国人は在留資格認定証明書の発行から3カ月以内に、ビザと在留資格認定証明書を持って来日し、就労をスタートさせます。

9.まとめ

特定技能「外食業」なら、ホールやキッチンなどの現場業務に従事する正社員を雇用することも可能です。またコロナ禍以降の「新しい生活様式」で定着したデリバリー業務も、業務の一つとして行うことができますので、慢性的な人手不足が懸念される外食業界において、非常にメリットが大きい制度です。

ただし、特定技能制度では転職が可能なため、外国人労働者の定着のためにも職場環境を整えた上で、ぜひ本制度を活用してみてはいかがでしょうか。

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