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技能実習生は税金を払う?
外国人の所得税と住民税をわかりやすく解説

技能実習生は税金を払う?外国人の所得税と住民税をわかりやすく解説

CONTENTS

  1. 1.技能実習生は税金を払う?
  2. 2.技能実習生の所得税(国税)
  3. 3.技能実習生の住民税(地方税)
  4. 4.税金が免除される租税条約とは?
  5. 5.技能実習生の年末調整
  6. 6.まとめ
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技能実習生を採用することになりましたが、税金の仕組みがよくわからないです。技能実習生の税金はどのような扱いになっているのでしょうか?

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外国人の税金は、「居住者」か「非居住者」によって変わってきます。所得税や住民税について説明するので、ぜひ参考にしてみてください。


1.技能実習生は税金を支払う?

近年、技能実習生の数は著しく増加しており、外国人の採用を検討している企業も増加しています。しかし、技能実習生の税金の扱いについてわからない人事担当者も少なくありません。

結論から述べると、技能実習生として日本にきている外国人は税金を支払う義務があります。
OTIT外国人技能実習機構の資料によると、技能実習生は、原則として賃金から所得税(国税)と住民税(地方税)が天引きされます。

しかし、税金が免除されるケースもあるため、技能実習生の状況や国家間の取り組みをしっかりと確認することが大切です。

2.技能実習生の所得税(国税)

所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。技能実習生は日本で収入を得ているので所得税が課せられます。

2-1.技能実習1年目:非居住者の場合

外国人の所得税は、日本の「居住者」か「非居住者」によって扱いが異なります。居住者は国内に住所を有する者、または1年以上居所を有する個人を指すのに対して、非居住者はそれ以外の個人の外国人を意味します。

技能実習1年目の実習生は非居住者の区分であり、所得税に関する取り決めは以下の通りとなっています。

  • 所得に関係なく、一律20.42%の税率で源泉徴収を行う
  • 日本と外国の間で二重課税を回避するために租税条約を締結していることがあり、この場合には「租税条約に関する届出書」を提出することで減税、または免除を受けることができる

2-2.技能実習2年目以降:居住者の場合

技能実習生も実習2年目以降は居住者の区分になります。居住者は日本人と同じ扱いで所得税を徴収されます。その仕組みは次のようになっています。

  • 「給与所得の源泉徴収税額表」に基づき源泉徴収を行う
  • 年末調整により年税額を清算する
  • 途中で実習を辞めて帰国する場合、出国までに年末調整を行い、税額を清算する

3.技能実習生の住民税(地方税)

住民税は都道府県、もしくは市区町村が課税する税金です。日本に住所をもっている居住者に対して課せられます。

3-1.非居住者の場合

前述の通り、実習1年目の実習生は非居住者なので、住民税は非課税になります。

3-2.居住者の場合

2年目以降の実習生は居住者という区分になり、住民税を払うことになります。住民税の計算方法や支払い方法は日本人と場合と同じで、ポイントは次の通りです。

  • 住民税は地方税の一つで、1月1日の住所地を基に課税される
  • 前年の所得から計算される
  • 税率は課税所得のおおむね10%で、ほぼ全国一律

会社員の場合、住民税は給与から天引きされるのが一般的ですが、そのようなシステムがない国もあります。技能実習生には税金の仕組みと給与明細の見方をきちんと説明し、誤解やトラブルを避けましょう。

3-3.年度途中で帰国する際は注意!

技能実習生が年度の途中で実習を終えて帰国することになっても、住民税を収めなければなりません。住民税は居住者区分の人が1月1日に住んでいる地域で、前年の1月1日から12月31日までの所得に応じて課税されるもの。そのため、年度の途中で帰国しても納税義務は発生します。納付しないで帰国した場合は滞納金を請求されるケースもあるので気を付けましょう。

また、帰国の際には住民票の転出届を出す必要があります。わからないことがあれば、帰国前の早めの段階で市区町村の役所に問い合わせましょう。

技能実習生は、1年目と2年目では課税の区分が異なるうえ、税率も変わります。支払いを怠ると延滞税がかかる場合も。税金の未納は、企業の評判にも影響を及ぼす可能性があるうえ、技能実習生の受け入れが継続できないという事態にもつながりかねません。企業側は納税の義務を果たすことはもちろんですが、技能実習生に納税の仕組みを理解してもらうことも大切です。

4.税金が免除される租税条約とは?

財務省のホームページによると、「租税条約は、課税関係の安定(法的安定性の確保)、二重課税の除去、脱税及び租税回避等への対応を通じ、二国間の健全な投資・経済交流の促進に資するものである。」と定められています。

つまり、外国人労働者が税金を二重に課せられないように設けられた制度です。現在、日本は78か国・地域と租税条約を結んでいます。
ただし、ミャンマーやカンボジア、モンゴル、ラオスなど、租税条約を結んでいない国も存在します。

先ほど紹介したOTIT(外国人技能実習機構)の資料では、租税条約の概要について以下のようにまとめられています



5.技能実習生の年末調整

「居住者」に該当する外国人技能実習生は、日本人労働者と同じく年末調整が必要です。

また、年末調整には扶養控除がありますが、外国人技能実習生が母国の家族を扶養している場合も扶養控除を受けられます。

ただし、親族の証明や仕送りをしていることを証明する書類の準備には一定時間がかかります。12月の年末調整時期になって慌てることのないよう、事前に確認しておきましょう。

5-1.要件

居住者の区分に該当する外国人技能実習生は年末調整が必要ですが、下記の条件に当てはまる人は除外されます。


  • 1年間の主たる給与の総額が2,000万円を超える人
  • 災害減免法により所得税・復興特別所得税の徴収猶予や還付を受けた人

税金の取り扱いは日本人と同じため、外国人技能実習生も要件に当てはまれば各種控除を受けられます。
外国人技能実習生は母国に仕送りをしているケースも多いため、とくに扶養控除は確認しておきましょう。

5-1-1.扶養控除の要件

扶養控除の要件は以下のとおりです。

1. 配偶者以外の6親等内の血族や3親等内の姻族、都道府県知事から養育を委託された子供、市町村長からの養護を委託された老人のいずれかであること

2. 納税者(特定技能外国人等)と生計を一にしていること

3. 1に該当する人の年間合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は給与収入が103万円以下)であること

4. 青色申告者の事業専従者として、その年に一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

本要件の「2.納税者(特定技能外国人等)と生計を一にしていること」については、一緒に住んでいる必要はありません。技能実習生が母国の親族に

生活費相当額を海外送金していれば問題ありません。

5-1-2.国外居住親族に対する注意点

下図のとおり令和5年から、国外に居住する「16歳以上」の扶養親族は控除の対象となる範囲が狭まっています。


引用:国税庁『源泉所得税の改正のあらまし 令和4年4月』

hhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0022004-066.pdf

5-2.必要書類

年末調整に必要な書類は以下のとおりです。

  • 給与所得者の保険料控除申告書と控除証明書
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

特に外国人技能実習生に関係の深い「扶養控除の必要書類」について詳しく解説します。

5-2-1.扶養控除の必要書類

扶養控除には下記の書類が必要です。

引用:国税庁『令和5年1月以後に非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ』

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0022009-107_01.pdf

【親族関係書類】
国外にいる親族が技能実習生の親族であることを証明する書類です。
戸籍謄本や出生証明書、婚姻証明書、パスポートの写しなどが該当します。

なお、外国語で作成されている場合は翻訳文も必要です。

【送金関係書類】
技能実習生が国外にいる親族に送金したことを証明する書類です。
外国送金依頼書や国外にいる親族が使用するために作られたクレジットカードの利用証明書の写しなどが該当します。

なお、一時帰国の際に仕送り分を手渡しした場合など、送金の事実が客観的に証明できない場合は扶養控除の対象にはなりませんので注意してください。

【留学ビザ等書類】
外国政府または外国の地方公共団体が発行した査証(ビザ)もしくは在留カードの写しを提出します。

【38万円送金書類】
国外にいる親族への送金額が、年末調整の対象年度において合計38万円以上であることを証明する書類です。先に説明した送金関係書類で、合計38万円以上送金していることが証明できれば、38万円送金書類として使えます。

5-3.申請の流れ

年末調整の流れは、外国人技能実習生も日本人労働者も同じです。

STEP①:「給与所得者の扶養控除等申告書」などの書類を提出する

STEP②:給与所得の源泉徴収税額表に基づいて源泉徴収を行う

STEP③:源泉徴収票や法定調書を作成し、納付すべき所得税の精算を行う

なお、12月の年末調整より前に帰国する場合は、帰国する前に年末調整をしてください。

6.まとめ

日本で活躍する技能実習生も、税金を支払う必要があることがわかりました。

所得税は住所の有無にかかわらず課税されますが、住民税は居住者の場合に課税されます。ただし、租税条約などによって免除になるケースもあるので注意が必要です。

外国人労働者の納税について、以下の記事で紹介しているので確認してみてください。

いまさら聞けない!〜外国人労働者の納税について〜

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