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技能実習生が途中帰国する際の手続きを解説

発展途上国から受け入れた外国人技能実習生は、その目的により、日本で実習を終えた後には必ず帰国しますが、不測の事態により実習期間の途中で帰国する場合や、技能実習法という法律により一時帰国をしなければならないタイミングがあります。

本記事では、受け入れた外国人技能実習生が母国へ途中帰国する際の手配や費用について詳しく解説します。

CONTENTS

  1. 1.途中帰国のパターン
  2. 2.技能実習法で規定されている帰国
  3. 3.本人の申し出による一時帰国
  4. 4.技能実習の継続困難による途中帰国
  5. 5.外国人技能実習生の退職手続き
  6. 6.まとめ

途中帰国のパターン

技能実習生が途中帰国するパターンは、「技能実習法で規定されている一時帰国」「本人の申し出による一時帰国」「技能実習の継続困難による途中帰国」があります。

技能実習法で規定されている帰国

技能実習生には、必ず母国へ帰国しなければならないタイミングがあります。それは、技能実習2号の実習期間が満了したときです。技能実習生や実習実施企業の意思と関係なく、技能実習法という法律で一時帰国することが定められています。そもそも技能実習が2号までで、3号へ移行しない時は完全帰国となりますが、技能実習3号へ移行する場合であっても、2号の期間が終了したタイミングで一度帰国をしなければなりません。

これは法定帰国となりますので、万が一、技能実習生本人が帰国を拒否した場合は、技能実習計画の取消し事由に該当し、在留期間更新許可申請が下りない可能性があるほか、実習監理が適切に行われていないと判断され、監理団体の許可が取り消される可能性もあります。

2号から3号移行における一時帰国のタイミング

技能実習2号から3号に移行する際の一時帰国のタイミングは、「技能実習3号の開始前に1カ月以上一時帰国する」もしくは「技能実習3号の開始後1年以内に、1カ月以上1年未満一時帰国する」のいずれかを選択します。

「技能実習3号の開始後1年以内に、1カ月以上1年未満一時帰国する」を選択した場合は、以下に注意してください。

・一時帰国の期間は技能実習3号の実習期間には含まれません。ただし、一時帰国の時期は、3号技能実習計画に記載しますので、技能実習計画の認定申請前に決定しておく必要があります。
・一時帰国が3号技能実習開始後1年以内であれば、一時帰国後の日本への再入国が、3号技能実習開始後1年を経過していても問題ありません。
・一時帰国の期間が3カ月を超える場合は、地方出入国管理局において、3号技能実習の開始時に、一時帰国するまでの在留期間が決定されます。この場合、一時帰国後の日本への再入国は、改めて在留資格認定証明書交付申請を行い、ビザを取得して新規入国をします。

帰国費用の負担

現住所から空港への移動代や、日本から母国への渡航費などの帰国するための費用は、外国人実習生の帰国時の在留資格に基づいて定められています。技能実習では、一時帰国の際の費用は実習実施企業が負担することになっています。

スケジュールの調整

技能実習生の退職日および帰国日のスケジュール調整は、在留期間内で行う必要があります。日程は、技能実習生・実習実施企業・監理団体の三者間で協議し、決定します。その後、監理団体が航空券を手配します。

本人の申し出による一時帰国

母国にいる身内に不幸があった場合など、技能実習生本人が一時帰国を希望するケースです。実習実施企業は、一時帰国中の期間を有給や忌引きなどの扱いにして、技能実習生に配慮するようにしてください。

一時帰国までの手順

実習実施企業は、技能実習生の一時帰国までに、以下の確認および対応をします。

・技能実習生本人に一時帰国が必要な理由を聞く
・監理団体に報告し、一時帰国の了承を得る

本人の申し出による一時帰国は、技能実習法で規定されている帰国ではないため、帰国費用を技能実習生本人が負担することも可能です。

また、一時帰国に伴い、1カ月の技能実習時間が80時間未満になる場合は、技能実習計画の変更が必要になります。

再入国時の注意点

本人の申し出による一時帰国は、「みなし再入国許可制度」で入国します。この制度は、再入国が在留期間内であることが適用条件になります。みなし再入国許可の適用を受けるためには、技能実習生が出国する空港や海港の入国審査官に対し、「みなし再入国許可」の適用を希望する旨のチェックをした「再入国出国記録(再入国用EDカード)」を提出する必要があります。

もし、これらを行わずに出国してしまった場合は単純出国となってしまい、日本へ再入国ができなくなりますので、監理団体や実習実施企業は技能実習生のパスポートに「一時帰国で再入国予定である」旨のメモを貼り付けるなどのフォローをしてください。

※みなし再入国許可制度……在留資格をもつ外国人が、出国の日から1年以内に再入国する場合に、通常の再入国許可の取得を不要とする制度

技能実習の継続困難による途中帰国

技能実習生本人が、けがや病気により実習継続が困難になってしまった場合や、実習実施企業が倒産などにより技能実習が困難になり、かつ、次の実習実施先も見つからないような場合には、やむを得ず技能実習を中止して途中帰国することがあります。

監理団体は、当初の技能実習計画の実施が困難になったとして、「技能実習困難時届出書」を作成し、外国人技能実習機構へ提出します。

外国人技能実習生の退職手続き

技能実習生が母国へ帰国する際に、実習実施企業で行う退職手続きについて、社内手続きと社外手続きに分けて解説します。

社内手続きと注意点

退職時に社内で必要な手続きは、以下の6つです。

<給与の計算>
技能実習生に支払う最後の給料は、前もって計算し、帰国日までに支払います。給料日よりも前に帰国する実習生は銀行口座を解約してしまうため、最後の給料は振込ではなく現金で支払います。

<有給休暇の消化>
有給休暇は雇用期間中に消化するよう推奨します。帰国日までに有給休暇を消化できない場合、実習生から不満の声があがる可能性があります。

<年末調整の実施>
12月を待たずに最後の賃金で年末調整を行い、所得税を精算します。

<社会保険喪失手続き>
技能実習生は、厚生年金脱退一時金の受給対象です。そのため、社会保険喪失手続きや年金手帳の返却が必要です。

※厚生年金脱退一時金……日本国内の会社で、6カ月以上働いたことのある外国人を対象に支払われる、厚生年金による一時金です。外国人が日本を出国後、2年以内に請求すれば厚生年金保険に加入していた期間に応じて一時金が支払われます。

<貸与していた備品の回収>
健康保険料や社員証のほか、貸与していた工具類などの備品も同様に回収します。

<住民税の計算>
住民税は前年の所得に応じて後納で分割払いをするため、技能実習生の帰国する月によって納税が残っている場合があります。必ず帰国前に清算しなければなりませんので、事前に管轄の市役所に確認をしておきましょう。清算方法は監理団体と相談して決めてください。

社外手続きと注意点

退職時に社外で必要な手続きは、以下の4つです。

<市区町村への提出届>
技能実習生は帰国する際、住民登録をした市区町村へ転出届を提出する必要があります。厚生年金脱退一時金の受給要件に「日本国内に住所を有していないこと」が含まれていますので、転出届を提出しなければ、脱退一時金の還付が遅くなることがあります。

<公共職業安定所(ハローワーク)への届出>
外国人労働者の雇用または離職の際には、在留資格や在留期間などについての情報を管轄の公共職業安定所(ハローワーク)へ届出が必要です。退職日の翌日から起算して10日以内に、離職届と雇用保険被保険者資格喪失届を提出します。

<銀行口座の解約>
最後の給与を支払い、技能実習生が給料を引き出したら、必ず銀行口座を解約させてください。銀行口座を解約せずにいた場合、悪用される恐れがあります。

<携帯電話・インターネットの解約>
技能実習生が個人で契約している携帯電話やインターネットなどの通信サービスは、必ず解約させてください。解約しないまま帰国した場合、帰国後に発生した料金を実習生の受け入れ企業が負担しなければならないことがあります。

まとめ

技能実習制度運用要領には、「技能等を移転するという技能実習制度の趣旨に鑑みて、技能実習生の帰国に支障を来さないようにする」と記載があります。技能実習法で規定されている帰国についてはもちろんですが、技能実習生本人の申し出による一時帰国であっても、スムーズな帰国がかなうように、雇用主として技能実習生をしっかりとフォローするように心がけてください。

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