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外国人労働者受け入れ拡大で変わる! 特定技能2号分野とは?

深刻な社会課題となっている日本の少子高齢化。労働力不足に対応するため、政府の外国人労働者等特別委員会は2023年4月24日、在留資格「特定技能2号」の対象分野を大幅に拡大する方針を示しました。

今回は「特定技能2号」の対象分野拡大によって何が変わるのか、解説します。

CONTENTS

  1. 1.外国人受け入れ拡大の背景
  2. 2.単純労働を含む幅広い業務で採用可能
  3. 3.特定技能2号対象分野の拡大について
  4. 4.外国人労働者受け入れ拡大でどう変わる?
  5. 5.外国人労働者受け入れの注意点
  6. 6.まとめ

1.外国人受け入れ拡大の背景

多くの日本企業にとって課題となっている労働者不足。少子高齢化の影響が大きいことは明らかです。

国勢調査の将来人口推計によると、長らく60〜70%の間で推移していた生産年齢人口(15~64歳)が1995年をピークに大きく減少。2055年には1995年の半分(約4500万人)にまで減ってしまうと予想されています。

少子高齢化による人材不足が今後も加速することはほぼ確実。そのため、企業の大小を問わずに人材確保に苦戦する可能性が高いと考えられます。

そうした現状の打開策として近年注目されているのが、人の代わりに働いてくれるロボットやAIの導入です。大企業は率先して取り組み始めていますが、ロボットやAIを本格的に導入するには相応の初期投資がかかります。中小企業にとってはハードルの高い選択かもしれません。

そうした状況下で注目を集めているのが外国人労働者の存在です。外国人にとって日本は治安が良く、母国で働くより給与が高いケースも少なくありません。そんな人材を受け入れるために2019年に創設された在留資格が「特定技能」です。

「特定技能」は「国内人材を確保することが困難な特定の産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れること」を目的とする制度。この制度が創設されたことにより、日本企業は以前よりも外国人労働者を受け入れやすくなり、外国人労働者においても働きやすい環境が整い始めました。

2.単純労働を含む幅広い業務で採用可能

これまでの就労資格では、外国人労働者を工場作業や荷役作業、建設作業のような、いわゆる単純労働で採用することはできませんでした。従事させたい業務内容が上記に当たる場合は「永住者」か「日本人の配偶者」などの身分に基づく在留資格が必要だったのです。

しかし、2019年に特定技能の在留資格ができたことで、外国人労働者が従事できる業務が大幅に拡大。企業は外国人労働者を受け入れやすくなりました。

2-1.特定技能について

2019年にできた特定技能の目的は、外国人労働者を受け入れることで、人手不足に陥っている業界の人材を確保することです。外国人がこの資格を受けるには、特定分野における相応の専門性、技能を有していることが条件となります。

一方、以前からあった在留資格の「技能実習」は、開発途上国の経済発展に貢献できる人材を育成することが主目的。人手不足を補うことが目的ではないのです。雇用を検討している企業は、この違いをしっかりと理解しておきましょう。

特定技能は1号と2号に分けられ、働ける業務や条件に違いがあります。

特定技能1号の場合は在留期間が「通算で5年まで」という制限がありますが、特定技能2号は更新する限り上限なく在留できるため、雇用されていれば実質、永住することも可能となります。

さらに特定技能2号は対象となる分野がこれまでよりも広がり、全11分野となりました。これにより特定技能の取得を目指す外国人労働者が増えると予想されます。日本企業にとってもプラスとなることでしょう。

3.特定技能2号対象分野の拡大について

介護以外の9分野で拡大

特定技能1号と2号の対象となる各分野は従来、以下のとおりでした。

特定技能1号:12分野(介護、ビルクリーニング業、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造分野、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)

特定技能2号:2分野(建設業、造船・舶用工業)

2023年6月に特定技能2号に介護を除く以下の9分野が加わり、拡大されることになりました。

ビルクリーニング業、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造分野、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

特定技能は1号には特定技能測定試験を受けるか、技能実習から移行して取得するというパターンがありますが、特定技能2号は現時点では特定技能1号からの移行のみ。制度的には特定技能2号評価試験に合格した上で実務経験要件を満たせば取得できますが、技能実習を良好に2年間終了し、職種と作業内容が移行する特定技能1号の業務に関連性が認められる場合は技能試験と日本語試験が免除されます。

4.外国人労働者受け入れ拡大でどう変わる?

特定技能の対象分野拡大が、外国人労働者や企業にどのような影響を与えるのか考えてみます。

4-1.雇用期間を延長できる

特定技能2号が先述の9分野に拡大され、上記11分野の業種が対象となったことで雇用期間の延長が可能になりました。

以前までは更新し続けても雇用できるのは最長で5年まででしたが、特定技能2号なら、更新し続ければ何年でも雇用することができます。自動車整備業や素形材・産業機械・電気電子情報関連製造分野など熟練の技術力が必要な業種に就いている外国人労働者を長期間雇うことができるのは大きなメリットと言えるでしょう。

4-2.安心して働ける環境が整う

長期間の雇用が可能になると、外国人労働者にとっては収入が安定するため、母国よりも給与が高く、なおかつ治安の良い日本で長期間働けるとなると次の仕事を探す必要もなくなるため、より安心して働くことができるようになるでしょう。そのため地に足のついた作業が可能になり、企業においてもプラスとなることが考えられます。

さらに特定技能2号は家族帯同が許可されているため、家族を日本に呼び寄せて働くこともできるという、メンタル面では計り知れないプラス要素があります。

4-3.言葉の壁が緩和する

長い期間にわたって日本で働くことができれば、外国人本人の語学力向上も期待できます。日本語をより深く理解できるようになり、上司や他の日本人従業員とも円滑なコミュニケーションを取れるようになるでしょう。

5.外国人労働者受け入れの注意点

外国人労働者受け入れのハードルが以前よりも低くなったのは確かですが、雇用する企業側は注意しておきたいポイントがあります。多くの注意点は他の在留資格を有する外国人を雇用する場合と同様です。

5-1.労働基準法に適用する

労働基準法では、国籍を理由に賃金などの条件に差別的な扱いをすることを禁じています。そのため「外国人だから」という理由で低賃金、昇級がないといった差別的待遇は一切認められません。また、労働条件は文書で通知することが義務付けられています。

また日本語のコミュニケーション力が不十分な外国人の場合、日本語の文書を見せればいい、というわけではありません。外国人労働者の母国語に訳した書類を用意することが必要です。

5-2.在留資格の管理が必要

外国人労働者の在留資格は企業側が管理しなければなりません。上記の特定技能に関しても1号、2号ともに更新する必要があるため、その期間をしっかり確認、管理する必要があります。

また外国人労働者が来日する際の渡航費を会社が立て替えた場合、勝手に給与から控除することはできません。他にも控除として寮費や管理費、食事や送迎、制服代などを控除する場合は、外国人本人と労使協定を結ぶ必要があります。

5-3.コミュニケーションの円滑化を図る

外国人労働者にとって日本は異国。自分の思いや言いたいことをうまく伝えられないケースも当然あり、それが思わぬ損害や損失につながるリスクとなります。

会社で日本語学習ができれば望ましいところですが、難しい場合は市町村や国際交流協会、NPOなどの地域団体と連携して日本語を学べる環境を整えることもできます。ぜひ検討してみましょう。

6.まとめ

外国人労働者にとっても、日本企業にとっても朗報と言える特定技能2号の対象分野拡大ですが、利用するためのルールをこちらが理解しておかないと大きなトラブルになってしまう可能性があります。

特定技能2号をしっかりと理解した上で、外国人労働者の雇用に役立ててください。

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