カラオケで盛り上がる曲、3選

ワタシ、青山智香は外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決・サポートする業務に携わっている、いわゆるキャリアアドバイザー。

実はこれまでも珍事の解明に取り組んできたのだが、企画が変わってワタシ自身が密着取材を受けることになってしまった（これまでの珍事はこちらからどうぞ）。



ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。


2023年9月2日　夜 ベトナム人技能実習生とカラオケに行く

「青山先生、カラオケに行きませんか？」

先月、技能実習生たちの寮の巡回に行った際、カラオケに誘われた。私自身、カラオケは大好きで飲みに行った帰りに、よく友達や同僚と立ち寄っている。しかし、ベトナム人のみんなとのカラオケ。一体、どんな歌を歌うのだろう？

「そういえば、職場のチームメンバーとそんな話はしたことなかったな…」

ちょうどPCを開いたままにしていたので「ベトナム　人気曲」と検索してみた。



日本ではほとんど耳にしないベトナム音楽。
流行曲を聞いてみるとメロディラインやミュージックビデオの雰囲気は世界共通、あまりそれ自体に個性はないように感じる。ただ、国を超えたコラボ曲もあり、ベトナムの楽曲も世界的に人気があるようだ。

例えばSƠN TÙNG M-TPという男性歌手が米国のラッパーであるSnoop Doggと歌手・女優のMadison Beerとコラボした「Hay Trao Cho Anh」は、リリースから僅か半日でYouTube視聴回数が1200万回を超え、ビルボードのチャートに乗るなど、世界的にもかなりの人気を博している。

他にも、ベトナム訪問したオバナ大統領の前でラップを披露したという国民的歌手Suboiは、ベトナムのヒップホップの女王と言われているらしい。日本の歌手宇多田ヒカルとフィーチャリング楽曲があり、興味がある方はとっかかりとして、アルバム「初恋」に収録されている「Too Proud featuring Jevon」のリミックス曲、配信のみでリリースされた『Too Proud featuring XZT, Suboi, EK (L1 Remix）』を聞いてみていただきたい。

また、ベトナムでは恋愛ソングがとても人気…って、まあこれは世界共通なのだろう。

色々とわかったところで、マイさんにOKと日時候補の連絡をした。



約束当日。
マイさんを含む茨城県の製造工場で働く4人と私は都内のカラオケルームに居た。果たして、ベトナムの楽曲は何曲ぐらい登録されているのだろう。そもそも、私がリサーチした際に見たアーティストは若い世代にウケてそうな人たちだった。

「先生、何歌いますか？」

マイさんはまず私にマイクを渡してくれた。

「いいよ、みんなが歌いたい曲を入れてみて？私、実はちょっとベトナムで流行っている曲、調べてきたんだー」

「そうですか、ありがとうございます。そしたら私たちが歌いたい曲を入れます」

そうして、表示される楽曲名を見て私は驚いた。

ハナミズキ（一青窈）
lemon（米津玄師）
さくら（森山直太朗）

思い思いに入力している4人。あっという間に、いきものがかりや、アンジェラ・アキ、YOASOBI、清水翔太、アニメの楽曲などが登録されていった。確かに、日本のカラオケシステムのベースは日本の楽曲だ。しかし、それにしたって、こんなにもみんな日本語の歌が歌えるなんて…！驚いている私をしり目に、マイさんが歌い始めた。

♪空を押し上げて 手を伸ばす君 五月のこと～

世界中の音楽はメロディラインを楽しむもの。発音こそ少々怪しいがそこはご愛嬌。みんなで歌って楽しいが一番なのだ！しかし、まさか日本語の楽曲をベトナム人のみんなと歌う日が来るとは思ってもみなかった。

なんだが嬉しくなった。その日、私たちは時間を延長して大合唱し、一同揃って声を枯らしたのは言うまでもない。





終