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特定技能【航空業】で外国人を雇用する方法

特定技能とは、人手不足が深刻な産業分野において、即戦力となる外国人を雇用するために創設された在留資格です。特定技能では「航空業」も対象の分野に入っています。

航空業界といえば、パイロットやキャビンアテンダントなど人気の職業をイメージするかもしれませんが、実は、地上で空の安全を支えている現場労働の人材が著しく不足しているという現状があります。

本記事では、そんな地上での現場労働に従事する外国人を特定技能【航空業】で雇用する方法について詳しく解説します。

CONTENTS

  1. 1.特定技能「航空業」ができた背景
  2. 2.特定技能「航空業」で従事できる業務
  3. 3.特定技能「航空業」を取得する方法
  4. 4.特定技能「航空業」を受け入れる要件
  5. 5.特定技能「航空業」雇用の流れと費用
  6. 6.特定技能「航空業」の雇用条件
  7. 7.まとめ

1.特定技能「航空業」ができた背景

航空業界における有効求人倍率は、荷役・運搬作業員が4.97倍、輸送用機械器具整備・修理工が2.0倍と、全産業平均の1.50倍と比較しても非常に高い値となっています。

この背景には、インバウンド需要の拡大(海外旅行客の増加)やそれに伴うLCC=格安航空会社の事業拡大があります。一方で、整備士の高齢化や航空専門学校の入学者数の減少によって航空業界の従業員数は減少し続けています。

航空業界はIT技術・新型機器の導入や、労働条件・職場環境の改善を行っていますが、人手不足の解消には至っていません。なお政府は、訪日外国人旅行者の数を2030年に6,000万人にするとの目標を掲げており、今後海外旅行客はさらに増加すると考えられます。

そこで、国内人材のみならず、外国人から即戦力となる人材を採用する目的で、2019年4月に特定技能「航空業」が創設されました。

2.特定技能「航空業」で従事できる業務

特定技能「航空業」では、「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」に従事することが可能です。

<空港グランドハンドリング>
・航空機地上走行支援業務
航空機の駐車場への誘導や移動
・手荷物、貨物取扱業務
手荷物や貨物の仕分け、ULDへの積付、取り降ろし、解体
・手荷物、貨物の搭降載取扱業務
手荷物や貨物の航空機への移送、搭降載
・航空機内外の清掃整備業務
客室内清掃、遺失物などの検索、機用品補充や機体の洗浄

<航空機整備>
・運航整備
空港に到着した航空機に対して、次のフライトまでに行う整備
・機体整備
通常1~1年半ごとに実施する、約1~2週間にわたって機体の隅々まで行う整備
・装備品、原動機整備
航空機から取り降ろされた脚部や動翼、飛行・操縦に用いられる計器類およびエンジンの整備

また、同じ業務を担う日本人が普段から従事している事務作業や除雪作業、整頓作業などは上記メイン業務に付随する業務として従事することができます。ただし、付随業務をメインに行うことはできません。

3.特定技能「航空業」を取得する方法

特定技能「航空業」を取得するには、以下の二つの方法があります。

・技能試験と日本語試験に合格する
・技能実習2号を良好に修了する

それぞれ詳しく見ていきます。

3-1.技能試験と日本語試験に合格する

公益社団法人日本航空技術協会が実施する特定技能評価試験と日本語能力試験に合格する必要があります。

特定技能評価試験

特定技能評価試験では、航空業界において求められる技能や知識を有しているかどうかが判断されます。試験は従事する業務区分ごとに分かれており、「航空分野技能評価試験(空港グランドハンドリング)」と「航空分野技能評価試験(航空機整備)」があります。いずれも筆記と実技があり、正答率は65%以上です。

2024年は日本国内での実施のほか、スリランカやモンゴルでも実施されています。詳しくは、日本航空技術協会(JAEA)のサイトをご覧ください。(https://exam.jaea.or.jp/

日本語能力試験

「日本語能力試験(JLPT)N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」の合格が必要です。日本語能力試験では、一定の日本語能力を有しているかどうかが判断されます。合格基準の日本語能力試験(JLPT)N4以上とは、日常生活において基本的な日本語が理解できるレベルとされています。

日本語能力試験(JLPT)は、日本国内と海外で年に2回実施、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)も日本国内および海外で年に数回実施されています。

3-2.技能実習2号を良好に修了する

技能実習2号の職種「空港グランドハンドリング」のうち「航空機地上支援作業」を良好に修了した場合は、特定技能「航空業」の「空港グランドハンドリング業務」に移行することができます。この場合、技能試験および日本語試験は免除されます。

技能実習2号「空港グランドハンドリング」には、「航空機地上支援作業」以外にも「航空貨物取扱作業」と「客室清掃作業」がありますが、特定技能へ移行できるのは「航空機地上支援作業」のみです。

また、特定技能「航空業」の「航空機整備業務」は、技能実習に移行対象職種がありません。

4.特定技能「航空業」を受け入れる要件

特定技能「航空業」で外国人を受け入れるには、以下の要件を満たす必要があります。

4-1.法令等に基づく事業所であること

事業所は受け入れる業務ごとに承認を得る必要があります。そして認定事業所であることの証明を提出しなければなりません。

「空港グランドハンドリング業務」の場合、空港管理規則に基づく構内営業承認等を受けた事業者であること、「空港整備業務」の場合は、航空法に基づく航空機整備等に係る認定事業場を有する事業者であることが要件です。

4-2.「航空分野特定技能協議会」への加入

国土交通省が設置する「航空分野特定技能協議会」への加入が必要です。同協議会は特定技能外国人の適正な受け入れおよび保護を目的とした機関で、はじめて特定技能外国人を受け入れてから4カ月以内に加入することになっています。

構成員となった後は、協議会や国土交通省からの調査や指導、必要な協力に応じることが義務付けられています。

4-3.支援体制の構築

特定技能外国人がスムーズに業務を行い、日本での生活を安心して過ごせるように、受け入れ企業は生活全般に関する支援計画を作成・実施することが法律で定められています。事前ガイダンスや出入国の送迎からはじまり、住居確保、生活オリエンテーションなど10の支援項目があります。受け入れ企業側ですべて実施することが難しい場合は、登録支援機関に委託することとされています。

5.特定技能「航空業」雇用の流れと費用

特定技能「航空業」で外国人を雇用する具体的な流れと費用相場は、以下の通りです。

①人材確保
外国人の採用活動です。日本人の募集と違い、母国語での採用活動が必要になってくるため、人材紹介会社を利用する企業も多いです。人材紹介料は約30万~50万円です。

②雇用契約
外国人と雇用契約を結びます。必ず法令を順守した契約内容にしてください。外国人であっても日本の労働基準法が適用されますので、給与や休日などの扱いは、同様の業務に従事する日本人と同等でなければなりません。

③支援計画の作成
受け入れ企業は、特定技能外国人がスムーズに業務を行い、安心して日本での日常生活を過ごせるように支援する義務があります。法律で定められた10の支援項目の実施について記載した「支援計画」を作成します。

また支援計画の作成および実施を登録支援機関に委託する場合には、委託費用として外国人1人あたり月額2万~5万円がかかります。

④事前ガイダンスの実施、健康診断の受診
採用予定の外国人に事前ガイダンスを実施します。事前ガイダンスは支援計画の1項目でもあります。あわせて健康診断も受診してもらいます。

⑤ビザ申請
企業は地方出入国在留管理局へ「在留資格認定証明書交付申請」を行い、手数料を支払って証明書を受領します。受領した証明書は採用予定の外国人へ送付し、外国人はその証明書を持って、現地の日本大使館などでビザ申請をする流れです。
ビザ申請には、審査期間もあわせて2カ月前後かかりますので、余裕をもった対応が必要です。

またこの在留資格申請を行政書士などに委託する場合は、委託費用として約15万円かかります。

⑥入国・就労開始
ビザを取得したら、在留資格認定証明書と特定技能ビザを持って日本へ入国し、就労を開始します。在留資格認定証明書の有効期限は3カ月ですので、証明書受領後は速やかに手続きを済ませて日本へ入国する必要があります。

6.特定技能「航空業」の雇用条件

特定技能「航空業」の雇用条件を見ていきます。

6-1.雇用形態

直接雇用のみです。派遣雇用は不可です。

6-2.報酬

同種の業務に従事する日本人と同等以上でなければなりません。

6-3.雇用期間

特定技能1号では、5年間雇用することができます。

6-4.転職

技能実習と違い、特定技能外国人は同種の企業への転職が認められています。

7.まとめ

特定技能「航空業」で外国人を雇用するには、試験を受ける方法と技能実習から移行する方法があると紹介しましたが、実際には試験を受けて雇用するパターンが100%です。特定技能の他業種では技能実習からの移行が大半を占めていますが、特定技能「航空業」に限っては、特別な事情があります。

その一つには、特定技能「航空業」への移行対象職種である技能実習「空港グランドハンドリング」を活用している外国人がほとんどいないという現実があります。そしてもう一つは、技能実習1号から2号へ移行する際の試験を、受け入れ企業が実施する「社内検定型」を採用していることが挙げられます。技能実習2号移行対象職種のうち、「社内検定型」を採っているのは「空港グランドハンドリング」のみであり、そのハードルは非常に高くなっています。

これらの実態も参考にして、特定技能「航空業」での外国人採用を検討してみてください。

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