【農業分野】外国人労働者雇用のポイントを解説
2023.11.14
技能実習や特定技能での採用方法は何から始めたらいいのか。人手不足が深刻な農業分野では、「外国人採用をしたいが方法がよく分からない」という事業者の方も多いでしょう。
そこで本記事では農業分野での外国人労働者雇用について、必要となる在留資格や雇用で得られるメリットなどを解説します。
CONTENTS
1.外国人の農業分野での雇用状況
近年、農業分野で働く外国人労働者は増加傾向にあります。厚生労働省による2022年10月末の『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』によれば、農業分野で働く外国人労働者は、全産業で働く外国人労働者の2.4%を占め、その総数は4万3562人。10年前の2012年と比較すると2.5倍以上増加しています。
2.農業で外国人を雇用するには?
外国人が日本で農業に従事するには、それに該当する在留資格が必要です。農業分野での就労が可能な主な在留資格は「技能実習」と「特定技能」の二つが挙げられます。
「技能実習」は日本で得た技能・技術を出身国に持ち帰り、その国に役立ててもらうことを目的として最長で5年の在留が可能です。なお、この技能実習制度は今後廃止され、在留期間を3年とする新制度が2024年以降に創設される予定となっています。
「特定技能」は2019年に創設された在留資格で、人手不足とされる特定産業分野(12業種)において、即戦力となる外国人労働者の就労を可能とする在留資格です。「特定技能」には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、1号よりも2号のほうが高い技能・技術が求められます。「特定技能」取得者は技能実習生に比べまだまだ少数ですが、制度が始まって以来、農業分野で着実に増えており、今後も増加していくと考えられます。
3.農業分野でも「特定技能2号」の受け入れが可能に
「特定技能2号」は、これまで造船と建設の2業種だけの在留資格でしたが、2023年6月から新たに農業を含む9分野が追加されました。1号と2号の制度上の大きな違いは在留期間で、1号は通算5年間ですが、2号には更新上限がなく無期限での就労が可能となります。
農業分野で「特定技能1号」を取得するためには、「日本語能力試験」のN4以上、および「農業技能測定試験」に合格する必要があります。2号でも「農業技能測定試験」を受験する必要がありますが、受験要件として「現場において複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の実務経験」か「現場における3年以上の実務経験」のどちらかを満たしている必要があります。
ちなみに「技能実習」の満たすべき要件は「帰国後に本制度で修得した技術を活かした業務に従事することを予定していること」などであり、「特定技能」のように日本語能力や農業の知識は必要とされません(実習により技術を学ぶことが目的のため)。
4.農業分野で外国人雇用を促進するメリット
これまで農業分野では、技能実習生(在留資格「技能実習」)を受け入れることで人手不足を解消してきた側面があります。しかし、技能実習は労働よりも技能・技術を学ぶこと、つまり人材育成を目的とした制度であり、その目的から逸脱した労働環境や人権侵害などの問題が指摘されています。そのため、既に述べたように技能実習制度の廃止と新制度の創設が検討されています。
一方で「技能実習」以外に農業分野で期待されているのが「特定技能」です。外国人労働者を即戦力として受け入れられる上、直接雇用のほか派遣雇用も可能です(農業と漁業の2分野のみ)。繁忙期と閑散期のある農家にとっては、繁忙期に派遣を利用することで人手不足を補えます。また「特定技能2号」であれば、在留期限が無期限で家族帯同も可能となり、長く就労してもらえます。
農業従事者の平均年齢は2022年の段階で68.4歳と高齢化が進んでいます。この農業分野に若い外国人労働者が就労し、家族(配偶者と子ども)も呼び寄せて長期にわたり日本の農業に従事してもらえる環境が整ったと言えるでしょう。
5.まとめ
農業分野で外国人労働者を雇用する場合は、大きく「技能実習」と「特定技能」があることを解説してきました。技能実習制度は新たな制度に生まれ変わる予定であり、今後の制度設計に期待が寄せられています。「特定技能」は新たに創設された人材不足を解消するための在留資格として農業分野でも注目されています。
さらに「特定技能2号」に農業分野が追加されたことも雇用を検討する好材料です。在留期限がなく、長期間の就労が可能となることで、高度な農業知識・技術を獲得できれば生産性のアップにもつながります。また、既に技能実習生を受け入れている場合は「技能実習」から「特定技能1号」に移行することも可能です。
ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
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