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【外国人雇用に注目!】介護業界の人手不足の原因と解消策

少子高齢化に伴い、介護業界の人手不足は深刻化しています。介護の仕事はその厳しさから、思うように人材が集まらないのが現状です。

人手不足の介護業界では、採用活動のために社内体制の見直しや外国人雇用の促進など、人材確保のための取り組みを行っています。

本記事では、介護業界の人手不足の現状、原因と解消策、外国人雇用による人手不足解消法と在留資格について解説します。

CONTENTS

  1. 1.介護業界の人手不足の現状
  2. 2.介護業界の人手不足・離職率が高い理由
  3. 3.介護業界の人手不足の解消策
  4. 4.介護業界で外国人を雇用するメリット
  5. 5.介護業界で外国人人材を雇用できる在留資格
  6. 6.介護分野の外国人受け入れ状況
  7. 7.まとめ

介護業界の人手不足の現状

厚生労働省が公表している「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」のデータによりますと、以下の推移で介護職員の確保が必要とされています。

介護職員の必要数については、介護サービス事務所、介護保険施設、介護予防・日常支援総合事業などに従事する介護職員が対象です。

● 2023年度に約233万人が必要になる/+約22万人(5.5万人/年)
● 2025年度に約243万人が必要になる/+約32万人(5.3万人/年)
● 2040年度に約280万人が必要になる/+約69万人(3.3万人/年)
※()内は2019年度(211万人)比

厚生労働省は、深刻化する介護業界の人材不足の解消策として、介護に関する入門的研修の促進を行っています。

介護未経験者に対して、介護の基本的知識と介護の基本の研修を行い、研修修了者には修了証明書を発行する流れとなります。さらに、介護の入門的研修を受けた人が、介護業界でステップアップしやすいようなシステムが設定されています。

また、将来的に介護福祉士の資格を取得しやすいように、生活援助従事者研修、実務者研修を受ける人は一部科目受講が免除になります。

さらに、介護事業者に対する認定制度として、「人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度」が実施されています。

認証評価制度とは、介護職員の人材育成や就労環境などの改善につながる介護事業者の取り組みに対して、都道府県が評価を行って認証を付与する制度です。介護業界のイメージアップにつながる取り組みとして進められています。

このように、介護業界の人手不足に対して、国がさまざまな取り組みを行い、人材確保につながる対策を行っています。

介護業界の人手不足・離職率が高い理由

では、具体的に介護業界の人手不足の原因や離職率が高い理由について、以下のポイントを確認しましょう。

● 職場の人間関係
● 結婚・出産・育児
● 会社理念や運営方針とのミスマッチ
● 将来への不安
● 評価されないから

職場の人間関係

介護職で離職率が高くなる原因は、人間関係によるものが多くなっています。

「公益財団法人介護労働安定センター」の調査では、職場での人間関係などについての悩み、不安、不満などについて以下の質問をしたところ、訪問系、施設系(入所型・通所型)、居宅居住系、介護支援、それぞれの介護事業所の形態によって、回答が出ています。

「職場での人間関係について特に悩み、不安、不満等は感じていない」という回答は全体で32.8%となっています。それ以外の方は、上司や同僚との関係性に悩み不満を感じているという結果となっています。

結婚・出産・育児

介護職の離職の理由として、人間関係の悩みがあること、さらに3K(きつい、汚い、危険)の職場であるとされるため、結婚・出産をきっかけに退職してしまう方も多くなっています。

出産と育児をしながら介護の仕事に就きたいと考える方は、あまりいないというのが現状です。また、夜勤の仕事もあるため、産休から介護現場に復帰する方も少数派となっています。

会社理念や運営方針とのミスマッチ

「経営陣の介護の基本方針、理念が不明確である」という回答が、全体で13.4%となっています。介護職員と経営陣とのミスマッチが生じる主な理由は、利益重視の経営や利用者目線で運用されていないこと、介護倫理に反した運営、新人介護職員に対する指導不足、労働条件の不満などがあげられます。

会社理念や運営方針が合わないと、別の介護関係の仕事へ転職する人や、違う業界へ転身する人が増える傾向があります。

将来への不安

介護業界の厳しい現状や将来的な不安から退職してしまう方もいます。介護職は未経験から始めた場合、最初は給与が低く、経験年数や資格取得によって給与アップを見込める仕事です。したがって、3K現場で長く仕事を継続するには、将来的な目標が見つからなかったり、仕事に対するモチベーションを維持できなかったりすると、離職につながる傾向があります。

評価されないから

仕事ができる人とできない人が明確に分かるような評価基準がないと、目標設定が定まらずやる気がなくなり退職してしまう方もいます。

会社の評価に納得がいかないと、給与に対しても不満が生じてモチベーションが落ちてしまいます。

介護事業所が独自に設定した評価基準ではなく、年功序列や勤続年数による評価になると、正当な評価がされないことで辞めてしまう方が増える可能性が高まります。

介護業界の人手不足の解消策

では、介護業界の人手不足を解消するにはどうしたらいいのでしょうか。以下の解消策について確認しましょう。

● ITを導入する
● 職場の人間関係の悩みを減らす
● 採用方法を見直す
● 介護資格の取得サポートを行う
● 外国人人材の雇用を進める

ITを導入する

介護業界の人材不足は、ITを導入することで緩和している介護施設も増えています。

高齢者の健康状態や安全を遠隔操作で確認できる「見守りシステム」や、介護ロボットによって介護職員の業務負担を抑えることができています。

また、業務管理をデジタル化することで、介護職員の業務効率化につながり、時間外労働も短縮できます。労働環境が改善されることで、介護職員のモチベーション向上にもなります。

職場の人間関係の悩みを減らす

人間関係の悩みを相談できる窓口を設置することで、離職を減らし、労働環境の改善にもつなげることができます。

「公益財団法人 介護労働安定センター」の調査結果では、何か悩みがある場合に相談できる担当者や相談窓口があると答えた方が43.5%、相談窓口がないと答えた方が33.1%となっています。

介護事業所の形態別では、訪問系と居宅介護支援で働いている方で、相談窓口があると答えた方は4割台半ばを超えています。

また、雇用管理の改善によって人手不足解消につながるように、雇用管理責任者を配置することが求められています。

厚生労働省では、介護事業所に向けて、雇用責任管理者となる方を対象に、雇用管理の基礎知識、最新の労働法規などを学ぶ講習を無料で実施しており、雇用管理責任者の選任を推奨しています。

採用方法を見直す

人材紹介会社やハローワークからの求職者を待っているだけでは、なかなか人材確保につながらないため、いろいろな採用方法について検討してみましょう。

求人募集にかかるコストが気になる場合は、SNSで介護業界の魅力を発信して求職者を集めたり、会社のWebサイトを立ち上げて直接求職者とつながる媒体を作ったりと、積極的に採用活動を行うのも方法の一つです。

また、入社後、早々に離職してしまうケースもあるため、採用側と求職者のミスマッチを防ぐことも必要です。応募条件についても、実務経験を重視するだけでなく、即戦力として柔軟に対応できる能力があれば実務経験がなくても採用するなど、個人の能力について見極めることも大切です。

介護資格の取得サポートを行う

介護業界で長期的に活躍してもらうためには、介護資格の取得についてサポート体制があると、介護職員の仕事への意欲やモチベーション向上につながります。

将来的にも介護福祉士の需要は高く、国家資格ということで社会的評価が高いです。そのため、介護業界で長く働くことを目指す場合は、介護福祉士の取得が大きなメリットとなります。

介護福祉士を目指すため、介護事業所が介護職員一人一人のキャリアについて相談しながら、職員の資格取得をサポートすることが必要です。

外国人人材の雇用を進める

人手不足の問題に関して、介護業界も含め、他の産業においても外国人人材の雇用が活発に進んでいます。

介護業界で外国人を雇用する際は、海外からの採用と、日本に在留する外国人の採用が可能です。特定技能介護分野の受け入れ人数の目標は、2024年4月1日までに60,000人となっており、今後も特定技能での介護業界への受け入れが増加すると予測されています。

介護業界で外国人を雇用するメリット

続いて、介護業界で外国人を雇用するメリットについて確認しましょう。

● 若い労働力を確保できる
● 在留資格によっては長期雇用もできる

若い労働力を確保できる

まずは、人手不足解消につながり、海外からの若い労働力を確保できる効果があります。

特にアジア圏の国では、海外出稼ぎが主流となっている地域もあり、日本への就職を希望する若者が大勢います。

そこで、受け入れ側の企業が、外国人雇用において適切なサポートや企業体制を整備していれば、人材不足の解消につながります。

在留資格によっては長期雇用もできる

外国人雇用においては、外国人の在留資格によって在留期間が決まっています。

例えば、特定技能1号で5年間仕事をした後、介護ビザに移行できれば、在留制限なしで長期的に働くことが可能です。

したがって、外国人介護士を雇用する際は、在留資格の種類と在留期間について、受け入れ企業の求める雇用期間に合わせて、検討することが必要です。

介護業界で外国人人材を雇用できる在留資格

介護業界で外国人人材を雇用できる在留資格は、以下の4種類です。

● 在留資格「介護」
● 特定活動(EPA介護福祉士)
● 在留資格「技能実習」
● 在留資格「特定技能1号」

在留資格「介護」

在留資格「介護」は、介護福祉士の養成専門学校に通う留学生を対象に、学校を卒業してから介護福祉士の資格を取得して就職することができます。

また、在留資格「技能実習」で入国してから、介護事業所で3年以上実務経験を積んだ後、介護福祉士の国家試験に合格することで在留資格を得ることができます。

特定活動(EPA介護福祉士)

EPA(経済連携協定)を締結した国「インドネシア、フィリピン、ベトナム」から、日本の介護業界で就職できる在留資格です。

取得条件として看護学校の卒業資格や、本国での介護士資格などが必要になります。入国後、4年目までに介護福祉士の国家試験に合格すれば、在留資格「介護」に移行して在留制限なく介護業界で働くことができます。介護福祉士の試験が不合格の場合は帰国することになります。

在留資格「技能実習」

日本で学んだ介護の知識や技術を、帰国してから役立てることを目的とした在留資格です。

日本に入国してから介護の講習を受けた後、監理団体を通して、介護施設などで実習を受けるようになります。

技能実習1号、2号、3号があり、それぞれ在留期間が1年、2年、2年となっています。

在留資格「特定技能1号」

人手不足の産業分野12業種を対象に外国人に付与される在留資格です。就労期間は最長5年で、日本語能力N4以上と介護実技試験の合格が条件となります。

技能実習生やEPA介護福祉士候補者とは違って、特定技能は、一人夜勤や服薬介助の業務に従事できます。

介護分野の外国人受け入れ状況

厚生労働省「介護分野における外国人の受入実績等」のデータでは、介護分野での外国人受入数は、以下の数値となっています。

在留資格、特定技能・介護分野での受け入れ人数は、年々増加傾向にあり、他の在留資格の中でも、一番受け入れ人数が多くなっています。

特定技能の「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の実施状況については、日本国内(47都道府県)と、海外11カ国(フィリピン、カンボジア、ネパール、インドネシア、モンゴル、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、ウズベキスタン、バングラデシュ)において試験が実施されています。

2019年4月〜2023年1月試験の実績結果については、「介護技能評価試験」計45,896名、「介護日本語評価試験」計46,717名が合格しています。

まとめ

人手不足の介護業界では、外国人雇用をはじめ、さまざまな取り組みが行われています。

将来的な介護職員の減少を抑える方法として、海外からの人材を育成しながら、資格サポートや社員研修などを行って、人材確保を検討していきましょう。

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