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外国人労働者の受け入れ制度とは? 雇用のメリット・デメリットを解説

はじめに
外国人労働者の雇用においては近年、特定技能と技能実習での受け入れが急速に拡大しつつあります。即戦力確保を目的とした特定技能制度、または教育を目的にした技能実習制度、いずれの制度も利用することが可能です。
本記事では、外国人労働者を受け入れる制度の概要やメリット・デメリットについて解説していきます。

CONTENTS

  1. 1.外国人労働者受け入れ制度とは?
  2. 2.外国人労働者受け入れの現状
  3. 3.外国人労働者を受け入れる4つのメリット
  4. 4.外国人労働者を受け入れる4つのデメリット
  5. 5.外国人労働者を受け入れる際の注意点
  6. 6.外国人労働者採用フローごとの注意点
  7. 7.まとめ

1.外国人労働者受け入れ制度とは?

外国人が日本に入国・在留するには、出入国管理及び難民認定法が定める在留資格を取得しなければいけません。現在27種が設けられる在留資格は、多岐にわたる外国人の活動をあらかじめ類型化することを目的にしており、どのような類型の外国人であれば入国・在留できるかを明らかにするものです。

たとえば日本での就労を希望する外国人であれば、就労が認められる14種の在留資格のいずれかを取得した場合に限り、就労目的の在留が可能になります。
本項では、日本で就労する外国人労働者の多くが取得している在留資格である「特定技能」と「技能実習」のそれぞれの詳細や違いなどを解説していきます。

1-1.在留資格・特定技能とは?

人材不足が深刻な特定14分野を対象としてその解消を目的に、2019年4月に創設された在留資格です。即戦力としての受け入れを目的としているため、資格の取得は一定の技能を有する外国人に限られますが、企業は人数の制限なく受け入れることができます。

特定技能は特定技能1号と特定技能2号の2つに分かれますが、現在のところ、特定技能2号の取得は特定技能1号からの移行のみとなっています。また、特定技能1号の場合、在留期間は最長5年、家族の帯同は不可。特定技能2号の場合、更新回数の上限がないため実質的に在留期間の制限なし、家族の帯同が可能といった違いがあります。


1-2.在留資格・技能実習とは?

開発途上国の経済発展を担う人材育成、及び彼らを通じて日本の技能や技術を開発途上国に移転する目的の国際貢献色が強い在留資格です。87職種159作業と幅広いジャンルが対象職種となりますが、受け入れ可能人数は一般企業で9人、優良企業で24人(継続的な受け入れで最大36人)までに制限されます。

3年ないし5年間の技能実習期間は就業できますが、転職は基本的に認められていません。雇い入れた会社都合による他企業への転籍、もしくは技能実習2号から3号への切り替え時に限り転職できます。また、「技能実習2号または3号を良好に修了していること」「技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められること」の2つの条件を満たす場合は特定技能1号へと在留資格を移行することができます。

なお、技能実習生の受け入れには企業単独型と団体監理型の2パターンがありますが、団体監理型で受け入れを行う場合は監理団体による支援やサポートが必須となります。

2.外国人労働者受け入れの現状

厚生労働省の発表によれば外国人労働者数は年々増加の一途をたどり、2022年10月末時点では182万2,725人の外国人労働者が日本で働いています。こうした増加背景にはどんな理由があり、国籍別ではどの国からの受け入れが多いのでしょうか。解説していきます。

2-1.外国人労働者が増えている3つの理由

まず最も大きな理由として考えられるのが、少子高齢化やそれに伴う人手不足の対策として、政府が積極的に外国人労働者の受け入れや就労の拡大を推奨していることです。特に政府が受け入れを強化している「高度外国人材」や2019年4月より創設された「特定技能」など、「専門的・技術的分野の在留資格」を活用する外国人労働者数は 47万9,949 人、前年比8万5,440 人(21.7%)増となり、政府の施策が身を結んでいることが伺えます。

次に、外国人労働者数の割合が最も大きい日本人の配偶者や永住者など「身分・地位に基づく在留資格」を活用する外国人労働者数は59万5,207 人と、前年より 1万4,879 人(2.6%)増加しています。これについては、雇用情勢の改善が進んだことで、「身分・地位に基づく在留資格」の有資格者たちの就労が進んでいるものと考えられます。

最後に、技能実習制度を活用した技能実習生の受け入れが進んでいることも、外国人労働者数の増加を後押ししている要因です。2015年10月末では16万8,296人だった技能実習生は、2022年10月末には34万3,254 人とほぼ倍増しました。特に、東京五輪の開催に向けて建設業などの人手不足への対策のために、2016年10月末〜2020年10月末にかけては多くの技能実習生を受け入れています。

2-2.どの国籍が多い?

外国人労働者を国籍別で見ると、最も多いのはベトナムで 46万2,384 人(外国人労働者数全体の25.4%)です。次いで中国 38万5,848 人(同21.2%)、フィリピン 20万6,050 人(同11.3%)となっています。上位3か国で外国人労働者全体の約6割を占め、またアメリカの3万4,178人、イギリスの1万2,470人と比較しても、アジアや東南アジア国籍の外国人が多く日本で働いていることが分かります。

3.外国人労働者を受け入れる4つのメリット

増加傾向にある外国人労働者数ですが、実際に企業が彼らを受け入れた際にどんなメリットがあるのでしょうか。

3-1.人材不足の解消になる

日本人に加えて外国人材も採用対象になることで、人材難にあえぐ企業においても、希望する人材に出会える可能性を高めることができます。早期の人材育成が困難な高い専門スキルが求められる職種、都市への人材流出が著しい地方、宿泊や飲食といったサービス業など、様々なエリアや業種における人手不足の解消が期待できます。

3-2.若い労働力を確保できる

厚生労働省発表の「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、外国人労働者の平均年齢は34.1歳です。少子高齢化によって今後は若い日本人労働者の採用が困難になると見込まれるなかで、若い人材を外国人材で補うことができます。

3-3.社内グローバル化に繋がる

外国人労働者は、母国語や日本語以外の言語を合わせて習得している人も多いです。そうした人材を採用することで、海外ゲストのスムーズな対応が可能になるほか、社内公用語を英語にするなど企業のグローバル化に繋げることもできます。

3-4.新しいアイデアが生まれる

日本とは異なる文化や環境で育ってきた外国人労働者は、日本人とは違う価値観を持っています。彼らの着目点や発想から生まれるアイデアが日本人には斬新な考えとなり、新たなビジネスチャンスに繋がる可能性を秘めています。

4.外国人労働者を受け入れる4つのデメリット

外国人労働者の受け入れにはメリットがある半面、当然デメリットもあります。本項では外国人労働者の受け入れによるデメリットを解説します。

4-1.社内コミュニケーションが難しい

当然ながら、日本企業で最も使われる言語は日本語です。そのため、外国人労働者が持つ日本語能力によって、日本人と同じ指示を出してもうまく伝わらなかったり、考え方の違いから具体的に指示出しをしないと望み通りのパフォーマンスが発揮されないといったケースが想定されます。

こうした外国人労働者のビジネス日本語能力や理解度を試験などで全て測ることは非常に困難なため、あらかじめうまくコミュニケーションが取れないという事態も想定しておくべきでしょう。

4-2.習慣・文化の違いがある

外国人労働者は皆、日本とは異なる文化や習慣の中で育ってきています。これはメリットでもある一方で、価値観に違いがあることを互いに理解していないと些細な行き違いが思わぬトラブルに発展してしまうこともあります。

4-3.労務管理に知識が必要になる

外国人が従事できる業種は在留資格によって定められており、外国人労働者は在留資格で認められる業種でしか就労することはできません。ほかにも、企業が外国人労働者を常時10人以上雇用する時は、外国人労働者雇用管理責任者の選任が必要になるといった規定があります。
外国人労働者を正しく雇用するために、企業には労務管理に関する知識を備えることが求められています。

4-4.就労資格の更新が必要になる

在留資格は1度取得すれば永続的に使用できるものではなく、定められた期間ごとに更新しなければ在留資格を喪失します。また、在留資格には更新回数の上限が定められており、その上限を超えて更新することもできません。

在留資格を喪失した外国人の就労や更新上限を超えての就労は不法就労となり、不法就労外国人を雇用した企業にも出入国管理及び難民認定法73条2項で3年以下の懲役、又は300万円以下の罰金という罰則が規定されています。

5.外国人労働者を受け入れる際の注意点

外国人労働者は、人材不足に悩む日本企業にとって貴重な存在といえます。彼らを受け入れる際には注意しなければいけないポイントを解説します。

5-1.労働基準法と入管法で管理すること

外国人であっても、日本で就労する限りにおいては労働基準法が適用されます。また、外国人の就労に関する規定は出入国管理及び難民認定法で定められているので、この2つの法律をしっかりと守った上で管理していく必要があります。

5-2.人権侵害な対応はしないこと

外国人であることを理由に労働時間や賃金などの労働条件において日本人と差別する、低賃金で長時間労働を強いるといった契約はできません。こうした差別や人権侵害に繋がる対応をしないように注意しましょう。

5-3.在留資格と自社業務内容が一致していること

外国人労働者が日本で働くには、就労が可能な在留資格を有していること、在留資格で従事が認められている職種であることのふたつを満たしている必要があります。もし、在留資格で認められていない職種で雇用した場合、不法就労と判断されてしまう可能性もあります。そのため、採用予定の外国人が有する在留資格が自社の業務内容と一致しているかは、あらかじめ確認するようにしましょう。

5-4.生活面のサポートを行うこと

外国人労働者にとって日本は、育ってきたそれまでとは全く異なる環境です。右も左も分からない日本での生活に不安を覚える人も少なくありません。早く業務に慣れて、その力を存分に発揮してもらうためにも、企業は仕事面のみならず生活面までサポートする体制を構築していく必要があります。

5-5.価値観の違いを受け入れること

日本に独自の価値観があるように、海外にもその国ならではの価値観が存在します。この価値観の違いからくるすれ違いが、外国人労働者との間で大きなトラブルに発展することも珍しくありません。こうした問題を生まないためにも、互いの価値観の違いを受け入れ、尊重することが大切なのです。

6.外国人労働者採用フローごとの注意点

実際に外国人労働者を採用するにあたって、事業者は何をするべきなのでしょうか。採用のフローごとに注意点を解説します。

①求人募集

国籍を限定した求人を出すことは差別と取られる可能性があるため禁止されています。求人を出す際は国籍ではなく、希望するスキルを条件にするようにしましょう。

②履歴書・職務経歴書の審査

応募者の経歴から自社業務に対応できるかを確認するとともに、必ず応募者の有する在留資格と取得可能な在留資格をチェックしましょう。自社業務が認められない在留資格の外国人労働者を雇用してしまうと、出入国管理及び難民認定法が定める不法就労助長罪の該当者として処罰の対象となります。

③面接

応募者の日本語能力、経歴から自社業務を任せられるかを判断します。また、就労後のミスマッチを防ぐためにも、業務内容や労働条件については重々確認しておきましょう。

④雇用条件書の作成と面談

採用者を決めたら、面接時に確認した雇用条件を基に雇用条件書を作成します。また内定後にあらためて内定者の不安や不満点をヒアリングする場を設けるのも、信頼関係を構築する上で効果的です。

⑤受け入れ体制の構築

入社後の労務管理、教育方針などきちんとした受け入れ体制を整えることで、外国人労働者の長期定着を目指しましょう。

⑥入国・入社手続き

在留資格の取得申請には2週間以上の時間を要するため、その間に採用者の入社準備を行います。また、例えば海外から新たに外国人労働者を招く場合であれば、フライト手配などの入国に関する手続きや住居準備などの生活面に関するサポートを行うと、福利厚生の手厚い企業として外国人労働者の不安を和らげることができます。

7.まとめ

外国人労働者を雇用する際はメリットとデメリット、注意点をしっかりと把握した上で適切な雇用活動を行うことで、希望する人材と出会う可能性を向上させることができます。
今回解説したポイントは最低限押えながら、積極的に優秀な外国人材の獲得を目指しましょう。

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