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人材不足大国・日本。製造の現場を支える多くの海外人材に選んでもらう国、企業となるには?

日本を人材不足から救う一手、外国人材の活用について、人材業界の課題に向き合い続ける(株)キャムコム 代表取締役 宮林が語ります。


短期集中連載 「日本企業が外国人材に「選ばれる力」を持つために」
第三回 人材不足大国・日本。製造の現場を支える多くの海外人材に選んでもらう国、企業となるには?


なぜ人手不足?日本における人材不足の背景とその内情とは

日本における外国人人材の重要性を語るうえで、人手不足の話題を避けては通れません。
2008年をピークに、我が国の総人口は減少の一途をたどっています。労働人口の観点でいえば15〜64歳の“生産年齢人口”は減っているものの、かつてに比べて女性や65歳以上の就業者が増えているため、今もまだ90年代後半程度の労働力を維持していますが、働く人々の“都市志向”は依然高く、地方での労働力不足は加速しています。

厚生労働省が、帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」をもとに企業が抱える“人手不足感”の特徴を地域別で分析(*1)したところ、三大都市圏(**)以外の地域で人手不足を強く感じていることが明らかになりました。

各企業は人材不足を緩和するため、求人募集時の賃金引き上げや、定年の延長・再雇用、非正規社員から正社員への登用に力を入れていますが、成果が出ているとは言いがたいでしょう。

こうした取り組みのひとつが、外国人人材の登用です。代表的な取り組みのひとつが、2019年にスタートした在留資格「特定技能」。これは、特定の技能を有した外国人人材と受け入れ企業が雇用契約を結び、彼らを働き手の一人として迎える制度です。すでに一定の技術を習得した外国人人材が就労するので、即戦力として活躍してくれます。

現在、特定技能制度では、「建築」「造船関連」「農業」など11分野に従事している外国人人材は、在留期間に制限がない「特定2号」というビザの取得も可能です。日本政府が本腰を入れてグローバル人材の採用に乗り出しています。

(*1)…厚生労働省『令和元年版 労働経済の分析―人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について―』
(*2)…三大都市圏は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県を指す。

多くの外国人人材が支える製造現場

そんな現代の日本で、もっとも多くの外国人人材を採用している産業は「製造業」です。外国人人材を受け入れている産業のうち、26・6%を製造業が占めています(2022年10月現在)。

愛媛県では、同県で働く外国人人材の54・7%が、製造業に従事しているそうです。この業界で働く外国人人材が多い理由は、先述の通り“人材確保が困難”な点にあります。

製造業は、都市部ではなく広大で安価な土地に工場を建てるため、働き手の勤務地が、必然的に日本人の働き手が少ない地方に偏ってしまうのです。また、日本の製造業は、いわゆる3K(きつい・汚い・危険)職業というマイナスイメージが強く、若い人に選ばれにくいという特徴があります。

そうなると、正社員の募集をかけても応募が集まらなかったり、派遣社員の場合は、より条件の良い工場へと移っていったりと、人材の確保が非常に困難な状況といえます。そのほか、小さな町工場では、熟練の技術を持つスタッフがひとりで作業に当たっているケースが多く、若手の後継者がいないため、技術が継承されずに失われていくという、高齢化も問題になっている業界です。

我々は、製造業での派遣スタッフの斡旋を生業としているため、時代の変化をこの目で見てきました。当グループのミッションは地元の企業と地元の働き手をつなぐことですが、“地元の人”の絶対数が減っており、それもままならない地域が多くあるのです。

そんな状況下で、徐々に存在感を増してきたのが、外国から日本に働きに来てくれる外国人人材の方々でした。今や彼らの力なくしては、工場が回らなくなってしまう企業も少なくないでしょう。

その一方で、一部の製造業者が外国人人材に対して長時間勤務をさせたり、劣悪な環境下で生活をさせたりなどの“ブラック労働”が常態化しているというニュースを見た方もいるのではないでしょうか。

とくに批判が集中しているのが、日本に技術を学びに来ている「技能実習生」に対する待遇の悪さです。現行の制度では、技能実習生は自らの意志では実習先を変えられず、過酷な環境から逃れられません。すべての事業者ではありませんが、実際に一部の企業で起きていたのは事実。我々も、製造業界、そして外国人人材事業に携わる者として、一連の報道を重く受け止めています。

後の章でも触れますが、課題が山積している現在の技能実習制度は“見直し”に向けて進んでおり、今後はより実習生たちが快適に就労できる制度に変わる可能性も高まっています。

もちろん、外国人人材を歓迎し、ともに働き、会社の成長につなげている企業も多数存在しています。そうした企業では、技能実習生の日本語教育に力を入れていたり、一人ひとりが安全に作業を行うために「危機管理能力」の知識を高める育成法を実施したり、外国人人材の給与明細に日本語と本人の母国語で“労いのメッセージ”を添えて、スタッフのモチベーションややりがいを高めている企業もあるそうです。外国人人材を受け入れるには、こうした細やかな気遣いが非常に重要である、と私は考えます。

受け入れが多い製造業では、少しずつですが、こうした受け入れの成功事例も増えています。次回は製造業以外の業種である農業、建設、介護の業界で、継続的に外国人人材を受け入れて、協働を実現している企業の事例をご紹介します。

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