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【専門家コラム】特定技能外国人受入れ後の手続き

専門家コラム

2022.02.18

2019年4月に始まった特定技能制度ですが、向こう5年間で34万5,150人の受入れ上限を設定していたものの、2021年10月末時点で4万1,879人と、3年が経過しようとする現在でも約12%程度しか受入れが進んでいません。

この理由として、新型コロナ感染症拡大の時期と重なったことも大きな要因ではありますが、構造的な問題もございます。 日本で働きたい候補者が“技能実習”か“特定技能”いずれかの選択を考えたときに、“特定技能”の場合は“日本語検定N4(またはJFT-BASICのA2レベル)”の合格に加え、“分野(区分)ごとの評価試験の合格”が必須となります(介護分野の場合は介護日本語評価試験の合格も必須)。
そのため、どのくらいの期間勉強すればこれらの試験に合格出来るのかがわからない“特定技能”よりも、ある意味面接さえクリアすれば日本に行く権利を得られる“技能実習”を選びがちです。

同じく現地国の送出機関としても、試験合格が必須となる“特定技能”よりも、面接で合格すれば日本に送り出すことが出来る“技能実習”に力を入れたいという経済合理性が働きます。
更に特定技能は“転職が可能”であるため、都心部に比べて賃金設定が劣る地方の特定技能所属機関では、高額な初期費用を支払って“特定技能外国人”を受入れたとしても、場合によっては半年や1年以内に転職されてしまうリスクが発生します。
(都会と地方では生活費が異なりますが、候補者にとっては目に見える手取り金額が最も重要な判断根拠となります)
全てが上記に当てはまる訳ではありませんが、このような要因から当初想定していた受入数を下回る結果となっていると考えられます。

とはいえ、2022年2月時点では新型コロナ感染症による水際対策のため外国人の新規入国が制限されているものの、元技能実習生や卒業した留学生からの資格変更を中心に特定技能外国人も徐々に増えつつあります。
そのような中、特定技能所属機関や登録支援機関から特定技能に係る届出関係や備付帳簿についての御相談も増えて参りましたので、改めて必要な手続きを整理いたします。

【定期届出について】

特定技能外国人を受け入れている特定技能所属機関や支援業務を行う登録支援機関は、定期(随時)の届出が義務付けられています。
届出の不履行や虚偽の届出があった場合は、特定技能所属機関においては引き続き特定技能外国人を受け入れることが出来なくなります。また、登録支援機関においては登録の取消の対象とされますのでご注意ください。

以下、定期届出についてご説明いたします。
(“随時”届出につきましては、出入国在留管理庁HPの“届出手続”からご参照ください。)

① 定期届出の様式

●特定技能所属機関が行う届出
必要書類 書式
受入れ状況に係る届出 参考様式第3-6号
活動状況に係る届出 参考様式第3-8号
特定技能外国人に対する報酬の支払状況 参考様式第3-8号(別紙)
賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの) 貴社所定書式で可
賃金台帳の写し(比較対象日本人のもの) 貴社所定書式で可
※登録支援機関に支援計画の全部を委託していない場合は、支援実施状況に係る届出 (参考様式第3-7号)の届出も必要です。
※報酬の支払いを通貨払いにしている場合は“報酬支払証明書(参考様式第5-7号)の添付も必要です。
※特定技能所属機関自らが支援を行う場合(登録支援機関に支援業務を全部委託しない場合)は、支援実施状況に係る届出書、相談記録書、定期面談報告書、生活オリエンテーションの確認書等を特定技能所属機関の責任で提出することとなります。


●登録支援機関が行う届出
(特定技能所属機関より支援計画の全部の委託を受けている場合)
必要書類 書式
支援実施状況に係る届出 参考様式第4-3号
※以下、対象期間中に対象となる支援業務を実施した場合に添付する書類
1号特定技能外国人支援対象者名簿 参考様式第4-3号(別紙)
※対象者が複数いる場合で実施状況が同一の場合
相談記録書 参考様式第5-4号
定期面談報告書(特定技能外国人用) 参考様式第5-5号
定期面談報告書(監督者用) 参考様式第5-6号
生活オリエンテーションの確認書 参考様式第5-8号

② 定期届出の時期

“特定技能”の在留資格で上陸許可または資格変更許可を受けた者は、実際の就労の有無にかかわらず各区分に基づき定期届出の提出が必要です。

区分 対象期間 提出期限
第1四半期 1月1日から3月31日まで 4月15日まで
第2四半期 4月1日から6月30日まで 7月15日まで
第3四半期 7月1日から9月30日まで 10月15日まで
第4四半期 10月1日から12月31日まで (翌年)1月15日まで

例)9月27日に特定技能の資格変更許可を受け、10月2日から就労を開始した場合、第3四半期の対象となるため、10月15日までに届出を提出する必要があります。
(9月27日に再入国し、(新型コロナによる水際対策に基づき)検疫所の指定場所または自宅等での待機をしていたとしても、上陸日が第3四半期の対象期間に該当しますので、10月15日までに初回の届出をする必要があります)

③ 定期届出の提出先

特定技能所属機関の住所(法人の場合は,登記上の本店所在地)を管轄する地方出入国在留管理局・同支局の“窓口に持参/郵送/電子届出システムを利用した届出”いずれかの方法で提出してください。
窓口に持参される場合は身分証明と所属機関との関係を証明できるものを提示ください(例:運転免許証+健康保険証等)。 また郵送での提出の場合も届出書作成者(特定技能所属機関の役職員)の方の身分証の写しを同封してください。
(オンライン申請につきましては下記④をご参照ください)

※特定技能所属機関が提出する届出は、特定技能所属機関の責任において提出する必要があります。登録支援機関と委託契約をしていたとしても、登録支援機関が届出書を代行して“作成”することは認められていません。
ただし、特定技能所属機関が作成(特定技能所属機関担当者が届出書作成者として署名)した書類を、登録支援機関が届出する書類と取りまとめて管轄入管に“提出”することは自体は問題ありません。
(入管HPの特定技能にかかる“届出手続”頁に、「登録支援機関と委託契約を締結していたとしても,登録支援機関が提出することは認められません」との一文がありますが、これは届出の“作成”を意味するもので、“提出”行為自体は上記のとおり登録支援機関が行うことは問題ないと本省より回答を得ております)。

④ オンライン申請

特定技能所属機関および登録支援機関が提出する定期(随時)届出について、“出入国在留管理庁電子届出システム”による届出も可能です。
このシステムを利用する場合は、事前に“利用者情報登録”を行う必要がございます。
システム利用料は不要で、24時間届出が可能ですが、特定技能所属機関/登録支援機関がそれぞれ(利用者情報登録を行った上で)管轄入管に届出することとなります。

【帳簿の備え付けについて】

特定技能所属機関および登録支援機関は、それぞれ特定技能外国人に関する文書を作成し、雇用契約に基づく活動をさせる事業所に当該特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えておくことが義務付けられています。

※下記表のとおり記載すべき項目は決まっておりますが様式は設定されておりませんので、項目内容を基に自由に作成頂いて構いません。なお、各項目の詳細につきましては運用要領の対象箇所(表中に記載)をご確認ください。

●特定技能所属機関が備えておく書類
1.活動の内容に係る文書 (特定技能外国人の受入れに関する運用要領64P参照)
①特定技能外国人の管理簿
(1)特定技能外国人の名簿
(2)特定技能外国人の活動状況に関する帳簿
②特定技能雇用契約の内容
③雇用条件
④特定技能外国人の待遇に係る事項が記載された書類(賃金台帳等)
⑤特定技能外国人の出勤状況に関する書類(出勤簿等の書類)
※特定技能外国人に対する毎月の報酬の支払状況として,口座振込であれば口座振込明細書を添付ください。
※上記②、③、④、⑤につきましては既存の帳簿等をもって管理簿に代えることが可能です。
※登録支援機関に全部委託する場合は、支援の状況に係る文書を特定技能所属機関として”作成”する必要はございません。 ただし、特定技能所属機関として”備付”は必要ですので、適宜登録支援機関より提供頂いてください。
2.特定技能外国人支援の状況に係る文書(特定技能外国人の受入れに関する運用要領77P参照)
①支援実施体制に関する管理簿
②支援の委託契約に関する管理簿
③支援対象者に関する管理簿
④支援の実施に関する管理簿
(1)事前ガイダンスに関する事項
(2)空港等への出迎え及び見送りに関する事項
(3)住居の確保及びその他生活に必要な契約に関する事項
(4)生活オリエンテーションに関する事項(関係機関への同行に関する事項を含む)
(5)日本語修得支援に関する事項
(6)相談等に関する事項
(7)日本人との交流促進に関する管理簿
(8)転職支援に関する事項
(9)定期的な面談の実施に関する管理簿

●登録支援機関が備えておく書類(特定技能外国人の受入れに関する運用要領132P参照)
1.特定技能外国人支援計画の実施状況に関する文書
①支援実施体制に関する管理簿
②支援の委託契約に関する管理簿
③支援対象者に関する管理簿
④支援の実施に関する管理簿
(1)事前ガイダンスに関する事項
*事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)を保存
(2)出入国時の送迎に関する事項
(3)住居の確保及びその他生活に必要な契約に関する事項
(4)生活オリエンテーションに関する事項
(5)関係機関への同行等支援に関する事項
(6)日本語を学習する機会の提供に関する事項
(7)相談・苦情対応に関する事項
(8)日本人との交流促進に関する管理簿
(9)非自発的離職時における転職支援に関する事項
(10)定期的な面談の実施に関する管理簿

登録支援機関として備え付ける書類に関する項目は以上となりますが、ポイントとして、②支援の委託契約に関する管理簿の項目に“支援経費の収支に関する事項”というものがあります。
こちらは支援を行う対価として得た収入(支援費)に対して、いくらの経費を支出したのかという収支表を作成しなければなりません。
技能実習の監理費管理簿とは異なり、特段“利益”について注意を要するものではございませんが、発生の都度計上する作業が必要となりますのでご注意ください。

宮谷 聡

株式会社FIVEGATE 代表取締役

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