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オーバーステイとは? 罰則や再入国の条件、在留特別許可を解説

外国人の入国者数が増加傾向にある中、不法で入国・滞在するオーバーステイの外国人の問題があります。
例えば、うっかり在留期間が切れたまま滞在していたとしても、違反とみなされて罰則の対象となります。

本記事では、外国人のオーバーステイについて、罰則や処分と帰国、上陸拒否期間、そのまま滞在を希望する場合に検討できる在留特別許可について解説します。

CONTENTS

  1. 1.オーバーステイとは
  2. 2.オーバーステイに対する罰則
  3. 3.オーバーステイの処分または帰国
  4. 4.オーバーステイの外国人の再入国
  5. 5.オーバーステイしてしまったら
  6. 6.在留特別許可の件数
  7. 7.まとめ

オーバーステイとは

オーバーステイとは、外国人が在留資格を取得して入国し、在留期間が過ぎてもそのまま日本に残留している状態のことです。

通常であれば、在留期間が過ぎる前に在留資格の更新手続きを行うか、もしくは在留期間中に再入国許可・みなし再入国許可を行ってから日本を出国する必要があります。

例えば、外国人を雇用している会社が、在留期間の管理を忘れてそのまま雇用を続けていた場合は、雇用する側と外国人本人の両方が違反行為をした者として罰則の対象となります。

オーバーステイの外国人数

法務省が公表している「本邦における不法残留者数について(令和5年1月1日現在)」によりますと、不法残留者数、いわゆるオーバーステイの外国人数は、以下の数値となっています。

令和5年1月1日現在の不法残留者数(オーバーステイの外国人数)は「7万491人」、 令和4年1月1日現在の「6万6759人」に比べて、3732人(5.6%)増加しています。

性別では、男性が「4万3267人」(構成比61.4%)、女性が「2万7224人」(同38.6%)となっています。令和4年1月1日現在と比べて、男性が4151人(10.6%)増加、女性が419人(1.5%)減少しています。


オーバーステイで罰則となった外国人の国籍別、在留資格別のデータは、以下の通りです。




オーバーステイに対する罰則

では、オーバーステイに対する罰則について確認しましょう。

オーバーステイに対する罰則は、入管法第70条により懲役・禁固刑や罰金が適用されます。具体的には、罰則として3年以下の懲役や禁錮、または300万円以下の罰金が科せられます。罰則を受けた後は、そのまま日本に在留することはできないため、強制退去命令で出国しなければなりません。

また、オーバーステイの外国人を雇用していた事業主に対しては、不法就労助長罪に問われる可能性もありますので注意が必要です。

不法就労助長罪:第七十三条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
(参考元:出入国管理及び難民認定法)

オーバーステイの処分または帰国

オーバーステイの罰則を受けた外国人については、以下の処分または強制的に帰国することになります。もし、そのまま在留を希望する場合は、在留特別許可を申請することができます。

●出国命令制度により帰国する
●退去強制処分で帰国する
●在留特別許可を申請する

出国命令制度により帰国する

オーバーステイの罰則を受けた外国人が、帰国を希望して自ら出入国在留管理局に出頭した場合、要件を満たせば、出国命令制度により収容されることなく出国できます。
出国命令により出国した場合、日本に入国できない期間は1年間となります。

出国命令の対象者については、入管法第24条の3に規定されています。具体的には以下の内容に該当する外国人です。

●速やかに日本から出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭したこと
●不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
●窃盗罪などの一定の罪により懲役、または禁錮に処せられたものでないこと
●過去に日本から退去強制されたこと、または出国命令を受けて出国したことがないこと
●速やかに日本から出国することが確実と見込まれること

なお、出頭してから出国命令を受けるまでは、おおむね2週間程度の日数がかかります。
帰国用のチケットを予約する際には、スケジュールを調整して出入国在留管理局の指示に従うことになります。

退去強制処分で帰国する

出国命令制度により、オーバーステイの外国人は、収容所に送られて退去強制手続を行い、日本から強制送還されることになっています。また、強制送還後、5年間または10年間は日本に入国することはできません。

入国警備官より退去強制令書が発付された場合には、速やかに送還先に送られます。 送還方法については、自費出国、運送業者の負担による送還、国費送還の三形態があり、 国費送還の場合は、国民の税金によって賄われています。
オーバーステイの外国人が、費用の工面ができずに自費出国できない場合は、国費送還の措置によって円滑に送還できるようになっています。

「在留特別許可」を申請する

退去強制処分となっても、在留特別許可が認められた場合は、日本に在留できるケースもあります。在留特別許可とは、本来は退去強制される外国人に対して法務大臣が特別に与える在留許可のことです。

在留特別許可が認められる要件については、明確な基準は設定されていません。
退去強制処分の対象となる外国人が、引き続き在留を希望する場合は、違反内容、家族状況、本人の素行、人道的な配慮の必要性、世界情勢など社会状況に合わせて総合的に法務大臣が判断して決定します。

オーバーステイの外国人の再入国

オーバーステイの外国人が帰国してから日本に再入国できる条件について、確認しておきましょう。

上陸拒否期間5年

オーバーステイで出国後、最低5年間の上陸拒否期間が設定されます。ただし、過去に繰り返しオーバーステイ違反の経験がある場合は、違反の内容に合わせて上陸拒否期間がさらに長くなります。

●1年間の上陸拒否期間:自ら出入国在留管理局に出頭して、日本を出国した場合
●5年間の上陸拒否期間:退去強制処分によって、日本を出国した場合
●10年間の上陸拒否期間:過去にオーバーステイを繰り返して、日本を出国した場合
●恒久的な上陸拒否:悪質な理由によるオーバーステイの場合

オーバーステイ履歴は残る

オーバーステイの履歴は、パスポートの出入国スタンプの箇所に記録として残ります。
もし、パスポート上のオーバーステイの記録を消すために、新しいパスポートに更新しても、出入国在留管理局がデータ管理をしているので、履歴を消すことはできません。

したがって、オーバーステイの罰則で一度日本を出国した外国人は、決められた上陸拒否期間を経過しないと再入国することは難しくなります。

オーバーステイしてしまったら

オーバーステイをしてしまうケースには、知らずに違反してしまう場合と、違反と知りながら不法行為を犯す場合があります。
いずれの場合も、オーバーステイであることに変わりないため、外国人本人、または外国人を雇用している事業主は、在留資格の有効期限についてしっかり管理することが大切です。

では、万が一、オーバーステイしてしまった場合の対応について確認しておきましょう。

速やかに入管に出頭する

在留資格の更新を忘れた場合は、速やかに出入国在留管理局へ出頭しましょう。在留期限が切れてから時間が経つほど処分は重くなります。気が付いた時点で早めの対応をおすすめします。
日本から強制出国しなければならないことを拒絶して、対応を遅らせることは問題を悪化させるだけです。

また、外国人の雇用管理において、外国人社員がオーバーステイとなってしまった場合は、行政書士や専門家に相談して、適切なアドバイスを受けるといいでしょう。
オーバーステイへの対応は、専門家の指示に従ったほうがスムーズに手続きを進めることができます。

日本に滞在を希望する場合

もし、法務大臣が許可を認める可能性のある、何らかの理由がある場合は、在留特別許可を申請して滞在を希望することができます。ただし、特別な理由がある場合に限りますので、申請する際は注意が必要です。

在留特別許可を申請してから審査期間は、早くて3カ月程度、一般的には1年から1年半くらいかかるケースもあり、外国人の状況によっても異なります。

また、もし在留特別許可を付与された場合は、外国人の状況に適用する在留資格を取得することができます。「在留資格認定証明書交付申請」を行って在留資格を取得できると、就労ビザであれば、通常通り日本で働くことも可能です。

在留特別許可の件数

では、オーバーステイで、在留特別許可を申請した外国人の許可、不許可の状況について解説します。法務省が公表している在留特別許可で認められた外国人数(令和5年)は、以下の数値となっています。

●外国人入国者数:約3119万人(※令和1年の実績)
●退去強制(送還):8140人
●出 国 命 令 :6560人( ※ 平成29年~令和2年の平均)
●A在 留 特 別 許 可:1388人

在留特別許可率は、各年において新規に受理した異議申出件数と比較した在留特別許可件数の割合です。令和3年は、新型コロナウイルス感染症の影響により帰国困難となったことが配慮されたため急増しました。

まとめ

オーバーステイをした場合、外国人本人、または外国人を雇用している事業主に対して、厳しく罰せられることになります。

そのため、なるべく早めに出入国在留管理局に出頭し、日本の上陸拒否期間を長引かせないように、違反行為を認めて法務大臣の指示に従って対応しましょう。

外国人雇用においては、オーバーステイのリスク回避のためにも在留資格の有効期限を正しく管理する必要があります。

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