フィリピン人採用のメリット・注意点【POEA・POLO】の解説
2023.12.21
外国人雇用の需要が高まる中、どの国籍の外国人を採用するか悩んでいる担当者の方も多いでしょう。
外国人人材の中でもフィリピン人は、ホスピタリティの高さで日本企業から注目度が高まっています。
本記事では、フィリピン人の特徴や採用するメリットと注意点、フィリピン人採用に必要なPOLOとPOEAについて解説します。
CONTENTS
1.フィリピンとは
南シナ海と太平洋との間に浮かぶ約7,000の島々からなる国で、国土面積は日本の8割ほどです。人口は2020年のフィリピン国勢調査によると1億903万5,343人、首都マニラの首都圏人口は約1,348万人とされています。人口に対する若者(20代)の割合が大きく、今後成長が期待される国のひとつです。また、アメリカ、インドに次いで英語を話す人口が多い国として知られ、英語のできる質の高い労働力を確保できることに多くの企業が注目しています。
2.フィリピン人の雇用状況
厚生労働省による「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)」によると、フィリピン人労働者数は、外国人労働者総数の11.3%(206,050人)を占め、ベトナム、中国の次に労働者数の多い国です。また直近3年の増減率は111.5%と、年々増加傾向にあることもわかります。
また、在留資格別の人数割合では、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」といった身分に基づく在留資格がフィリピン人労働者全体の70%を占めています。これらの在留資格は就労活動に制限がないため、日本人と同様の仕事に就くことが可能です。
また「専門的・技術的分野の在留資格」を持つフィリピン人の増加率は直近3年間で171%と大幅に増えています。専門的・技術的分野の在留資格には、「特定技能」や「教授」「医療」「教育」などの高度人材が含まれ、特に2019年に導入された「特定技能」の在留資格が新設されたことが影響していると考えられます。
3.フィリピン人の特徴と採用メリット
国土の多くが熱帯モンスーン気候のフィリピンは、その温暖な気候が国民の楽観的で陽気な性格を育んでいると言われています。明るくフレンドリーな人が多く、初対面でもコミュニケーションを取りやすく、付き合いやすい優しい人柄が特徴です。
3-1.ホスピタリティが豊か
フィリピン人のホスピタリティはとても顕著で、誰にも笑顔で接する国民性を持っています。他人に対する寛容さや優しさがある人が多いため、接客や介護などコミュニケーションが求められる職種への適正が高いといえます。
3-2.家族を大切にする
フィリピン人は家族をとても大切にします。家族のために海外で働き、家族に仕送りをする人がとても多く見られます。また、フィリピンでは日本と同様に年長者への敬意や尊敬が重視されているので、仕事の面でも上司や同僚との良好な関係性を築きやすいでしょう。
3-3.仲良くなりやすい
フィリピンはアジア有数の親日国としても知られています。そのため、日本に対してマイナスイメージを持っている人は少なく、日本人社員とも打ち解けやすい傾向にあります。フィリピン人が海外で働くときに日本を選択するのは、日本に対する友好的なイメージも理由のひとつとなっていると考えられます。
3-4.英語力が高い
フィリピンは英語が公用語のため、もともと英語力が身についています。インバウンドで需要が高まる外国人のお客様対応はもちろん、同僚である日本人社員に、ネイティブレベルの英語を指導する役割を担ってもらうことも可能です。
4.フィリピン人採用の注意点
日本に対して良いイメージを持った人が多いフィリピン人ですが、実際に雇用すると、その文化や習慣により、トラブルとなってしまうこともあります。ここではフィリピン人労働者を雇用する際の注意点について学びます。
4-1.時間にルーズ
陽気でホスピタリティの高いフィリピン人ですが、その楽観的な性格のためか、計画を立てて行動することが苦手な人も一部いるようです。「フィリピンタイム」という言葉があるように、時間を守る感覚が欠如している人も。現地では約束の時間に1時間以上遅れることなどは当たり前のようなので、雇用する際は仕事において時間を守ることの重要性を説く必要があります。
4-2.人前で叱らない
上記のような傾向はあるものの、フィリピン人の多くは基本的に仕事への誇りを持ち、努力を惜しまないと言われています。その分、プライドが高いとも言えるでしょう。もしも、業務上のミスがあったとしても、人前で厳しく注意や指摘をするのは控えましょう。フィリピン人はプライドが傷つくことを極端に嫌います。ミスやトラブルがあったとしても、叱るのではなく詳しく教えてあげるスタンスが大切です。
4-3.金銭感覚が異なる
フィリピン人は基本的に宵越しの金は持たないタイプが多く、給料を使い果たしてしまう人も少なくありません、そのためフィリピン現地では多くの企業が給料を毎月2回に分けて支給し、使い過ぎないようにコントロールしています。フィリピン人労働者を雇用する際は、無駄に浪費しないように生活面の相談にのってあげられるようなコミュニケーションも必要です。
5.フィリピン人採用にPOEA・POLOが必要
フィリピン人の特徴や採用のメリット、注意点などを解説してきましたが、実際にフィリピン人労働者を雇用する場合は、他のアジア人労働者とは異なる独自の雇用ルールがあります。具体的には POEA (フィリピン海外雇用庁)とPOLO (駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所)の審査が必要です。
5-1.POEAとは
POEAとはフィリピン海外雇用庁のことで、主に海外で働くフィリピン人の権利を守ることを目的に活動しています。フィリピンから人材を海外へ送り出す前に就職先の審査を行っており、日本企業がフィリピン現地から人材を直接雇用する場合は、必ずこのPOEAの審査を受け、承認・登録されなければなりません。
5-2.POLO とは
POLO とは駐日フィリピン海外労働局のことで、POEAの出先機関を担っています。日本では駐日フィリピン大使館と在大阪総領事館の中にあり、POEAの審査はPOLOに出向いて行います。
5-3.POEA・POLOでの手続き概要
フィリピン人を雇用する場合、まず日本企業はフィリピン現地にあるPOEA認定のエージェントと契約を結び、エージェントから送付される審査書類に記入し、その書類をPOLOに提出して審査を受けます。審査期間約2週間程度を経てPOLOと雇用主が面接し、その面接に通過すれば、雇用主はフィリピン人を受け入れる企業として承認され、晴れて採用活動を行えます。
なお、現地のフィリピン人を採用するにあたっては、在留資格の申請や出国前のオリエンテーションなど申請以外にも多くのステップを踏む必要があり、他のアジア諸国の外国人労働者を雇用するのに比べ、手間と時間がかかります。
5-4.日本在留フィリピン人の場合
すでに日本に在留しているフィリピン人を雇用する場合も、基本的には雇用企業はPOEAへの申請・審査を受けなければなりません。例外として「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格を持つフィリピン人の雇用であればPOEAの審査は必要ありません。
6.まとめ
親日家が多く、ホスピタリティの高いフィリピン人労働者は、日本の労働力不足を補うことができる優秀な人材です。しかし、フィリピン人の雇用には、POEAやPOLO、現地エージェントとの手続きなど独自のルールがあります。これらのルールを理解するのは大変ですが、その分、フィリピン側の管理が行き届いているともいえます。違法な人材ブローカーなどが入り込む余地がないため、雇用後のトラブルなどが発生しにくいのもメリットです。
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