外国人労働者の雇用のポイントと採用の留意点について
2023.11.07
企業での人材不足が深刻化する中、外国人労働者の獲得は早急な対策が重要となっています。
本記事では、外国人雇用において採用する企業側の傾向や外国人労働者の日本に対する意識など、これから外国人の採用活動を行う上で知っておきたいポイント、採用する際の留意点などを解説します。
CONTENTS
1.外国人労働者を雇用する企業の傾向
外国人の優先度を高く考えている企業と、そうではない企業の二極化が進んでいることが最近の調査で明らかになりました。
1-1.外国人労働者は製造業、卸売業・小売業などに集中
パーソル総合研究所が2019年におこなった「外国人雇用に関する企業の意識・実態調査」によると、外国人雇用に積極的な業界として上位にあがったのは「製造業」「卸売業・小売業」「ビルクリーニング・自動車整備士・その他のサービス業」など。雇用を検討している企業としては他にも「建設業」があげられ、すでに外国人労働者を雇用している企業の7割は雇用拡大の意向があるとされています。
一方、外国人雇用に積極的ではない企業も存在します。外国人労働者を雇用していない企業の中で今後、雇用を検討している企業と検討していない企業を比較してみると、検討していない企業では「AI活用・RPA・ロボット導入などの省力化投資」の優先度が高く、検討している企業の「外国人材活用」と同程度となっています。
2.外国人労働者の日本人気は低迷気味
「平和で安全」「母国よりも稼げる」という理由で外国人労働者にとって人気の国だった日本ですが、実は近年、外国人労働者にとって働きたい国として日本の人気は低下している傾向にあります。最大の対日本送り出し国となっているベトナムも、入国までにかかる手数料(管理費含む)を増額せざるを得ない状況となっています。
その背景にあるのが「ベトナム現地でも人材集めに苦労している」という事実。エージェントへの支払額や広告費・途中離脱者のための補填費用が以前よりも大幅に増額しています。
現地の送り出し機関もビジネスなので、日本で働きたい労働者を集めるべく努力していますが、日本人気が下がったことで十分な人材を確保しにくい状況になってきました。
2-1.円安による影響
日本人気低下の大きな理由として挙げられるのが、記録的な円安です。「母国よりも稼げる」と思って母国を離れてまで日本で働いているのに、稼げなければ意味がありません。
中でもアジア諸国出身者の場合、日本で働いて得た給与で母国の家族を養っているというケースも少なくないため、このまま円安が続くようなら日本から離れ、他国へと移動してしまうことでしょう。
2-3.他国との人材獲得競争
円安に追い打ちをかけるように、他国の追い上げがあります。例えばオーストラリアは年間9カ月間労働すれば3カ月間は自由に活動できるメリットがある上、最低賃金も2022年7月から5.2%も引き上げられ、世界一最低賃金が高い国になりました。そのため、外国人労働者からの人気も急上昇しています。
また前述のベトナムは近年、日本以外の国への送り出しが増加。たとえば韓国には約7万2000人(2016年)のベトナム人が就労しています。若い世代にはコスメやファッションを理由として韓国人気が高まっているようです。
2-4.日本語より英語圏を選ぶ傾向
日本独自の言語である日本語も外国人にとっては大きなネックに。独特な文法である上、ひらがな、カタカナ、漢字が混同する日本語はアルファベットのみの英語などと比べるとかなりわかりづらいものと言えるでしょう。
英語が理解できる外国人労働者の場合、日本語を一から覚えて日本で働くより、英語圏を選んだ方がすぐに働けると考えるのが自然です。英語圏の国であるオーストラリアが近年外国人労働者から人気を得ているのも、ここに理由があります。
3.外国人に日本が選ばれるための取り組み
競争が激しい外国人材を獲得するために、日本政府がこれまでおこなってきた対策と現在の動向を紹介します。
3-1.在留資格「特定技能」の新設
外国人労働者に日本が魅力的に映り、日本で働きたいと思ってもらうために日本は2019年4月に入管法を改正し、人材確保が困難な14分野において新しい在留資格「特定技能」による外国人雇用を可能としました。これにより特定技能を持つ外国人を受け入れたいと考える日本企業が増えました。
特定技能には「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人」を対象とし、在留期間が「1年を超えない範囲で法務大臣が個々に指定する期間(最長5年)」となる「特定技能1号」と「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人」を対象とし、在留期間が「3年」「1年または6カ月(上限なし)」となる「特定技能2号」の2種類があります。
「特定技能1号」では基本的に家族の帯同が認められませんが、「特定技能2号」では配偶者と子どもの帯同が認められます。
「特定技能1号」として受けいれられる分野は介護、ビルクリーニング、建設、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野。
「特定技能2号」は建設と舶用工業の2分野だけでしたが、2023年6月に「特定技能2号」の大幅な対象拡大が閣議決定されました。これにより介護以外の11分野は「特定技能2号」への移行が可能となり、介護も「介護福祉士」の国家試験に合格すれば申請が可能となりました。
家族と一緒に暮らしながら、より安定した生活を日本で営めるという点で「特定技能2号」は大きな効果を発揮します。
3-2.在留資格「技能実習」の見直しを検討
日本への在留資格として長年外国人労働者が利用してきた「技能実習制度」ですが、創設から30年以上経過し、現代の状況に合わなくなってきたことから内容の見直しが求められています。技能実習制度を廃止し、新しい制度を創設して特定技能制度と連動させることが検討されています。
4.外国人労働者を雇用する際のポイント
外国人を自社で雇用するとき、特に気を付けたいポイントをまとめました。
4-1.コミュニケーションの方法について
外国人労働者を雇用する際、トラブルの元となる理由の多くはコミュニケーションです。外国人労働者の日本語能力には差があり、履歴書や資格だけでは見極めが難しいところも大きな理由となっています。
日本人同士の場合は「言わなくてもわかってくれる」「常識的に考えたら分かる」と考えてしまうことが多く、外国人労働者に対しても、つい細かい説明を省きがちに。誰にでも理解できるよう、丁寧に説明する必要があるでしょう。
4-2.異文化に対する理解について
外国人の中にはひとつの宗教をあつく信仰し、宗教上の理由で食べられないものがある、お祈りの時間を必要としている人が少なくありません。そうした外国人労働者のために歓送迎会の仕方を見直したり、社内に礼拝の施設を作ったりする企業もあります。
外国人労働者を雇用する際には相手の育った国や文化を理解し、社内でも協力を呼びかけ外国人労働者が働きやすい環境を作ることが必要です。
4-3.外国人が日本で働くための手続きについて
外国人が日本で働く際には在留資格の申請や更新、住民票の取得など煩雑な手続きが必要です。
外国人本人に任せるのではなく、丁寧なサポートとこまめなチェックを心掛けましょう。
5.まとめ
外国人労働者は出身国によって文化や考え方が異なるため、日本人を雇用する場合とは異なる配慮が必要です。丁寧にケアすることで雇用のミスマッチが減り、企業の戦力となる人材を確保できるようになるでしょう。
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