外国人労働者が増えている理由|雇用状況と採用メリットは?
2023.10.10
日本で働く外国人労働者が増加傾向にあります。今後ますます外国人材の需要が高まっていくため、雇用状況や採用する際のポイントを確認しておくことをおすすめします。
本記事では、外国人の雇用状況の推移や採用メリット、注意点などを解説していきます。
CONTENTS
1.外国人労働者が増えている理由
日本は少子高齢化が進むとともに労働人口が減少傾向にあります。そのため、日本政府が主体となり、外国人雇用を推進し、必要な労働力を補おうとしています。具体的な雇用推進支援として、外国人留学生向けに日本企業へのインターンシップや合同説明会を開催するほか、人手不足と認められる業界に外国人を受け入れられるよう、新たな在留資格「特定技能」を2019年に新設しています。
また、これまでさまざまな問題が生じていた技能実習生の受け入れ制度を廃止し、今後は人材の確保と育成を目的とした新制度の創設も検討されています。
2.外国人労働者の雇用状況
厚生労働省によると2022年10月末現在において、外国人労働者数は約182万人と過去最高を更新しています。東日本大震災以降、一時的に外国人の人口は減りましたが、それ以降は年々増え続けていると言えます。
2-1.外国人労働者の人数
2022年10月末現在の外国人労働者数は 182万2725人で、前年比 9万5504人増加し、届出が義務化された2007年以降、過去最高となります。対前年増加率は 5.5 %と、前年の 0.2 %から 5.3 ポイント増加しています。
2-2.国籍別の状況
国籍別ではベトナムが最も多く、外国人労働者数全体の25.4%を占めています。次に中国が21.2%、フィリピンが11.3%と続きます。
2-3.転職の状況
外国人労働者が増加している理由として、もちろん日本の労働力不足が挙げられますが、外国人自身が日本での就職を希望していることも増加の理由となっています。クールジャパンなどの取り組みによって日本に興味を持ち、働きたいと考える外国人転職希望者が増加していると考えられます。
3.外国人労働者の採用メリットは?
日本で働く外国人が増加していることを説明してきましたが、雇用する日本企業にとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、外国人を採用することでもたらされるメリットについて考えます。
3-1.若い労働力を確保できる
日本へ留学し、そのまま日本企業に就職すれば、企業は優秀な若手人材を確保することになります。また、日本での就職を希望する人材は、向上心のある若年層であることが多く、日本語能力も高い傾向にあります。採用後も仕事を学ぶ意欲が高いので、確実な労働力として期待できます。
3-2.社内活性化につながる
仕事を学ぶ意欲が高いということは、同僚となる日本人社員にも良い刺激となります。社員のモチベーションがアップするとともに、作業効率も上がるという利点があります。
3-3.グローバル化に対応できる
外国人労働者は、母国語と日本語を話すことができます。それは、外国人社員に母国の市場調査を任せたり、海外の顧客に対する接客や通訳・翻訳などを担当してもらったりすることで言語の面でのグローバル化を促進できます。
3-4.新しいアイデアが生まれる
日本とは異なる母国の文化・教育で育ってきているため、日本人にはない発想や考え方を持っているのが外国人社員の強みです。斬新なアイデアやプレゼンテーション能力の高さで、新しい商品・サービスの開発に貢献することが期待できます。
3-5.国際的なビジネス展開につながる
外国人社員は母国と日本の文化を理解しているため、国際的なビジネスにおいては相手国との関係をスムーズに進められるといったメリットがあります。海外とのコミュニケーションが円滑になることで、外資系企業とのビジネス機会も得やすくなります。
4.外国人労働者採用の注意点
人材不足解消を補う労働力として期待される外国人労働者ですが、雇用するにあたって抑えておくべき注意点があります。その注意点の中には労働基準法や入国管理法などに関わる項目もあるので、必ず覚えておく必要があります。
4-1.異文化を理解し合う
異なる文化や習慣に対して社内で理解があるか、理解する気持ちがあるかを確認しておくことが大切です。日本人とは常識や価値観が異なることもあるため、相互理解への努力がなければ思わぬトラブルに発展しかねません。外国人社員を受け入れるための講習やオリエンテーションなどの検討をおすすめします。
4-2.労務管理を適切に行う
外国人への報酬や待遇は、日本人と同等以上にすることが法律で定められています。就労条件や労働環境に食い違いが生じないよう、しっかりと雇用契約を交わしましょう。雇用契約書は日本語だけでなく母国語でも作成し、のちのち齟齬が生まれないように注意しましょう。
4-3.外国人労働者雇用管理責任者を選任する
外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、外国人労働者の雇用労務責任者を選任しなければなりません。原則として人事課長や労務課長など各事業所の管理職の中から選任する必要があります。選任された責任者は、関係行政機関との連絡など、外国人労働者の雇用労務管理を担当することになります。
4-4.在留資格を確認する
外国人が日本で働くためには、就労可能な在留資格が必要です。職種や仕事の内容に応じた在留資格でなければ雇用できないのでご注意ください。就労可能な在留資格を持たずに働いている場合、不法就労となるのは本人だけでなく、その雇用主も3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処される可能性があります。
4-5.入国管理法に基づいてサポートする
在留資格は入国管理法に基づいた資格であり、申請することで取得することができます。在留資格をまだ取得していない外国人材を日本に呼び寄せるときや、新卒の留学生を雇用する際は、雇用側が積極的に在留資格取得に向けた申請手続きなどをサポートしましょう。
4-6.外国人の相談窓口を設ける
外国人社員を雇用する際は、あらかじめ仕事や生活の悩みを相談できる窓口を設けましょう。社内で相談できる体制が整っていれば、トラブルを未然に防ぐ可能性が高まります。また、仕事に関する相談窓口としてハローワークや外国人雇用サービスセンターも利用できます。生活に関する相談は各自治体の外国人相談窓口などがあることも事前に把握しておきましょう。
5.まとめ
日本文化への興味や関心を通じて、日本に住み、働きたいと考える外国人が年々増加しています。日本の労働環境からすれば、外国人を雇用することは人材不足解消への近道といえます。双方にとってWin-Winな状況を継続していくためにも、外国人を雇用する際は雇用するメリットや注意点を把握し、働きやすい労働環境をつくり出すことが大切です。
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