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不法就労と不法就労助長罪とは? 企業が気を付けるポイント

在留外国人数が増加する中、不法就労の問題も起きています。もし雇用した外国人が不法就労者だった場合は、企業側も罰則の対象となるため注意が必要です。

本記事では、外国人雇用において知っておきたい「不法就労」と「不法就労助長罪」について解説します。

CONTENTS

  1. 1.不法就労とは
  2. 2.不法就労助長罪とは
  3. 3.不法就労者が発覚した場合
  4. 4.不法就労を防ぐ企業の対策
  5. 5.まとめ

1.不法就労とは

日本で就労する資格のない外国人が日本で就労することを「不法就労」といいます。また、就労が認められる在留資格を有していても、在留資格が定める範囲を超えた職種に従事しているような場合は、不法就労にあたります。

不法就労を行った外国人に対しては、在留資格の取り消しや強制退去などの処分が科せられます。

2.不法就労助長罪とは

不正就労は実際に行った外国人本人のみが処罰の対象ではありません。
雇用企業や不法就労となる外国人をあっせんした事業者も、「出入国管理及び難民認定法第73条の2」で規定される「不法就労助長罪」によって処罰の対象になります。では、どのような雇用が不法就労助長罪に該当し、どんな罰則を受けるのでしょうか。解説します。

2-1.不法就労助長罪に該当する外国人雇用

不法就労助長罪に該当する外国人雇用には、以下の3つが挙げられます。

①就労が認められていない在留資格で滞在している外国人
②不法滞在している外国人
③在留資格の定めを超える職種に従事している外国人

それぞれ解説します。

①「就労が認められていない在留資格で滞在している外国人」は、在留資格「短期滞在」や「研修」などで滞在している外国人が該当します。

②「不法滞在している外国人」は、在留期間を超える滞在者や正規の手続きを踏まずに滞在している密入国者など、本来、日本にいてはいけない外国人です。

③「在留資格の定めを超える職種に従事している外国人」ですが、例えばシステムエンジニアやマーケティングなど専門性や学歴、経験が求められる在留資格「技術・人文知識・国際業務」で滞在している外国人を、在庫管理など単純作業が含まれるコンビニやスーパーなどの店舗販売員として雇用しているケースが該当します。

2-2.処罰対象となるケース

不法就労であることを知りながら働かせた場合は当然処罰の対象ですが、不法就労であることを知らなかったらどうでしょうか。この場合については、採用時に在留カードの確認や専門家に相談をするなど、「気付けなくても仕方ない=過失がない」と認められるか否かで変わります。

逆に言えば、意図していない不法就労であっても、確認不足などの過失があるとされれば企業は処罰を免れないということです。

2-3.違反した場合の罰則

不法就労を助長した企業に対する罰則について、不法就労助長罪では「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定されています。つまり、悪質だと判断された場合には懲役と罰金の両方が科せられるほど、不法就労を助長することは重い罪なのです。

3.不法就労者が発覚した場合

雇用している外国人が不正就労者だった場合、企業はどのような対応ができるのでしょうか。本項では、2つの対処法を解説します。

3-1.解雇する

不法就労は法に違反している状態なので、判明したら直ちに雇用契約の解除に向けて動きましょう。

採用時に外国人労働者が身分や在留カードを偽っていたなど、過失なく不正就労と知らなかったのであれば、懲戒解雇できる可能性は高いです。この場合の解雇原因は「労働者の責に帰すべき事由に該当する」と考えられるため、労働基準監督署に除外認定を申請するといいでしょう。
認められれば、「労働基準法第20条」が定める30日前の解雇予告、30日分以上の平均賃金の支払いをすることなく解雇できます。

一方、不法就労であることを知っていた、または過失のある状態で採用を行っていた場合は普通解雇の手続きとなるため、30日前の解雇予告、30日分以上の平均賃金の支払い義務が生じます。

3-2.入管出頭を促す

不正就労は止むを得ず行っているケースも多いです。発覚したからといって企業に通報義務は課せられていませんが、本人には出入国在留管理庁への出頭を促すといいでしょう。それによって、「出国命令制度」の恩恵が受けられる可能性があります。

この制度は、一定の要件を満たす不法残留者については収容をしないまま簡易な手続きによって出国させるというもので、適用されると上陸拒否期間が通常5年のところ、1年間に短縮されるなどのメリットもあります。

ただし、不正就労が摘発された場合は対象外となるので、本人自ら早期に出頭する必要があります。なお、出国命令の対象者については、「出入国管理及び難民認定法第24条の3」に規定されていますので、一度確認しておくといいでしょう。

4.不法就労を防ぐ企業の対策

ここまで不正就労に対する罰則や発覚後の対応について解説してきましたが、何より大切なのは不正就労を発生させないことです。では、企業はどこで不正就労の可能性に気付けるのでしょうか。企業ができる自衛策を解説します。

4-1.在留カードを確認する

採用時には在留カードの提示を求めましょう。在留カードには顔写真などの個人情報のほか、取得している在留資格や在留期限、資格外活動の可否など様々な情報が記載されていますので、不正就労の疑いのある外国人雇用を未然に防ぐことができます。ただし、コピーでは偽造が見抜けないので、必ず在留カードの原本を提示してもらい確認してください。

4-2.就労資格の有無を確認する

外国人が有している在留資格は、就労が認められている資格であるか必ず確認しましょう。また、就労が認められる在留資格であっても、自社業務に適さない在留資格の場合もあるため、しっかりと確認することをおすすめします。

4-3.専門家に相談する

近年は偽造された在留カードも多く出回っています。少しでも不安を感じた場合は、出入国在留管理庁や在留資格に詳しい行政書士に相談して、不法就労のリスクを回避しましょう。

5.まとめ

外国人の不正就労について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。不正就労は企業においても知らなかったでは済まされない問題です。目先の利益にとらわれず、そのリスクをしっかりと把握した上で不正就労をなくす正しい外国人雇用を心がけましょう。


追加参考

厚生労働省:不法就労に当たる外国人を雇い入れないようにお願いします。
出入国在留管理庁:退去強制手続と出国命令制度Q&A
         出入国管理及び難民認定法

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