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特定技能で転職できる? ハードルは高い? 企業が必要な手続きと注意点

特定技能の外国人は転職が可能です。ただし、転職する際は必要な要件や注意点がありますので、ハードルは高くなります。さらに、退職する会社と転職先の会社に協力してもらえることが必須となります。

本記事では、特定技能の外国人が転職する場合の要件と申請手続き、そして転職を防ぐポイントについて解説します。

CONTENTS

  1. 特定技能は転職ができる
  2. 転職できるが難易度が高い
  3. 会社の都合による転職の場合
  4. 技能実習から特定技能への移行で転職する場合
  5. 特定技能で転職する要件
  6. 特定技能の転職手続き
  7. 特定技能で転職しないように企業が気を付けるポイント
  8. まとめ

特定技能は転職ができる

在留資格「特定技能」では、一定の要件を満たせば転職が可能です。一定の要件には、外国人本人の要件と受け入れ企業の要件があります。

転職をする際は、在留資格変更申請の手続きが必要になりますが、申請の審査期間中は、無職の状況が続くことや転職先の協力が必須となり、難易度は高くなります。

転職できるが難易度が高い

特定技能で転職が難しくなる理由として、以下のポイントが挙げられます。

・転職先の協力が必要になる
・在留資格変更申請の間はアルバイトができない
・在留資格変更申請が不許可の場合は帰国することになる

転職先の協力が必要になる

特定技能で許可されている活動内容については、パスポートに貼付してある指定書に記載されています。指定書の記載内容は、企業名や特定技能の分野、従事する業務区分などです。

従って、特定技能の外国人が転職する際は、指定書の記載内容に適合する企業と職種で選ぶことになります。さらに、転職先の企業は、在留資格変更申請の手続きに必要な提出書類を準備する必要があります。特定技能の外国人が転職する際は、転職先の協力が不可欠となります。

・指定書:日本に在留する外国人の活動内容をパスポートで確認できる書面です。

全ての在留資格に該当せず、「高度専門職」「特定技能」「特定活動」の3つの在留資格に発行されます。

在留資格変更申請の間はアルバイトができない

特定技能の外国人は、在留資格変更申請の審査期間である約1〜3カ月間、アルバイトをすることができません。新しい在留資格の許可が出るまでは無職の状態が続きます。

新しい在留資格が許可されるタイミングに合わせて、元の会社を退職する日を調整することができれば良いのですが、退職の理由や辞め方によっては、都合よく退職日を決めることができないこともあります。従って、申請の審査期間中に暮らして行ける程度の貯金をするなど、事前準備は必要です。

在留資格変更申請が不許可の場合は帰国することになる

在留資格変更申請が不許可となった場合は、在留資格がないため日本に滞在することができなくなります。この場合は、帰国しなければなりません。もし、在留資格がない状態で、そのまま日本に滞在していた場合は、オーバーステイになり不法就労助長罪で罰則の対象となる可能性が高くなります。転職を決めるには、不許可になった場合のリスクも心得ておく必要があります。

・不法就労助長罪:外国人の不法就労を処罰する法令です。

(入管法73条の2)不法就労の外国人への罰則は、3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金。または1年以下の懲役もしくは禁錮または200万円以下の罰金となります。

会社の都合による転職の場合

転職の理由が外国人本人の都合によるものではなく、会社の都合で倒産や解雇の場合は、元の受け入れ企業が外国人に転職先を見つけてサポートする必要があります。

受け入れ企業が登録支援機関と契約している場合は、転職のサポートを登録支援機関に委託することも可能です。

なお、外国人が会社の都合で転職しなければならない場合で、求職活動をしても転職先が決まらないときは、資格外活動許可を取ってアルバイトができます。ただし、アルバイト期間は最長90日間のルールがありますので注意が必要です。

技能実習から特定技能への移行で転職する場合

技能実習2号、3号の修了者が特定技能1号へ転職するケースもあります。技能実習から特定技能へ転職できる要件は以下の2点です。

1.技能実習2号または3号を良好に修了していること
2.技能実習での職種や作業内容と特定技能1号の職種が一致すること

技能実習を良好に修了し、技能実習と特定技能の職種や作業内容が一致すれば、技能試験と日本語試験が免除されます。

技能実習から特定技能へ移行できる対象業種は、厚生労働省の技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係についてに詳しく掲載されています。

技能実習で行っていた業種が、必ず特定技能の業種に適用するとは限らないため、転職する際は十分確認してから移行するようにしましょう。

特定技能で転職する要件

では具体的に、特定技能で転職する際に必要な要件について確認しましょう。

外国人本人の要件

外国人本人が必要な要件は、特定技能12分野の技能試験に合格することが必要です。ただし、前職と同じ業種の場合、再試験は不要です。例えば、ホテル宿泊業から別のホテル宿泊業に転職する場合は、技能試験を受験することは不要です。一方、建設業の土木から建設機械施工に転職したい場合は、技能試験の合格が必要になります。

受け入れ企業の要件

受け入れ企業の要件については、特定技能産業12分野14業種に自社業務が適合するか確認が必要です。特に注意したいのは、例えば建設業の場合、業務区分によって従事できる作業が異なります。自社の業務内容が特定技能に該当するか、細かく確認する必要があります。

特定技能の建設分野は3つに区分されていますので、技能試験の受験の可否については従事する業務に合わせて確認しましょう。

・特定技能の建築3分野:
①土木区分(コンクリート圧送、とび、建設機械施工、塗装など)
②建築部門(建築大工、鉄筋施工、屋根ふき、左官、内装仕上げ、塗装、防水施工など)
③ライフライン・設備区分(配管、保温保冷、電気通信、電気工事など)

特定技能12分野は以下の通りです。

1.介護
2.外食業
3.宿泊
4.飲食料品製造業
5.自動車整備
6.航空
7.農業
8.ビルクリーニング
9.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
10.建設
11.造船・舶用工業
12.漁業

また、転職先の受け入れ企業は、外国人の在留資格変更申請において、日本人と同等の給与を支払うこと、社会保険料や税金の支払い状況、母国語で通訳者を準備できているか、失踪者がでていないかなど、転職先としてふさわしいかどうか審査されます。

特定技能の転職手続き

特定技能の外国人が転職を行う際の手続きについて確認しましょう。

元の受け入れ企業が行う手続き

外国人が今まで働いていた受け入れ企業は、退職手続きを行う必要があります。

以下の届出を、出入国在留管理庁電子届出システムまたは出入国在留管理局の窓口に提出する必要があります。

・特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出(退職日が決まったら)
・特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出(退職後14日以内)

また、日本人社員の退職手続きと同様に、雇用保険や社会保険の解約を行い、ハローワークに外国人の退職について「外国人雇用状況の届出」を提出します。

転職先の受け入れ企業が行う手続き

在留資格変更許可申請に必要な提出書類を準備し、申請手続きに協力します。提出書類は、特定技能雇用契約書、特定技能外国人の報酬に関する説明書、特定技能外国人支援計画書、登録支援機関との支援受託契約に関する説明書、労働保険料等納付証明書、役員の住民票などが必要です。

また、ハローワークに雇い入れの場合は翌日10日までに「外国人雇用状況の届出」を提出します。また、転職する外国人との雇用契約書の作成も必要です。

外国人本人が行う手続き

転職のために在留資格変更申請を行います。外国人本人が準備する提出書類は、健康診断個人票、住民税の課税証明書・納税証明書、源泉徴収票、技能試験の合格証などがあります。

特定技能で転職しないように企業が気を付けるポイント

特定技能で転職するには、外国人本人にとってハードルが高い面もあります。企業側としても、せっかく採用した人材を手放すとダメージが大きいでしょう。

そこで、特定技能の外国人が転職しないように、企業が気を付けるポイントを確認しましょう。

事前ガイダンスや生活オリエンテーションを適切に行う

特定技能の外国人を雇用する前に、事前ガイダンスや生活オリエンテーションを行って、自社業務や労働条件について理解を深めてもらいましょう。

説明会では、必ず通訳者を介して外国人本人の母国語でわかりやすく伝えることが大切です。

入社前の説明を丁寧に行うことで、入社後のミスマッチを防止することができます。

出入国在留管理庁による特定技能の外国人に行う事前ガイダンスの内容は、「義務的支援」と「任意的支援」の2つがあります。

・義務的支援:労働条件、活動内容、在留資格の手続き、保証金や違約金、準備費用、入国送迎サポート、日常生活サポートなどの支援について説明すること。
・任意的支援:外国人に望ましいとされる支援内容を企業の任意で説明すること。

登録支援機関と受け入れ企業が連携して外国人をサポートする

外国人雇用における労務管理では、外国人ならではの対応が必要となるため、受け入れ企業が単独で行うのは難しいケースが多いでしょう。特定技能制度では、受け入れ企業のサポートを行う登録支援機関を利用することができます。

特定技能外国人の受け入れに関して専門家からサポートを受けることができるので、難しい手続きや外国人とのコミュニケーションについて支援を受けることができます。そのため、安心して雇用管理ができるようになります。

外国人の労働条件や賃金設定を見直す

特定技能の外国人が転職を考えるのは、労働条件や賃金に対する不満が理由の一つです。

受け入れ企業が、労働基準法や最低賃金法に順守している場合は問題ありませんが、不正な労働条件や低賃金で雇用している場合は、改めて見直すことが必要です。

また、適切な労働条件であっても外国人本人が理解していない場合は、再度、通訳を介して説明し直すことが重要です。理解不足のまま転職を決めてしまうと、転職できたとしても、同じ間違いを繰り返すことになります。

外国人本人の出身国の社会制度や雇用慣行などによって、日本のルールが理解できない外国人も多いと思いますが、理解してもらえるように説明しましょう。

外国人本人と定期面談を行い、現状を把握する

外国人本人と受け入れ企業が定期的に面談を行って、外国人本人の悩みや現状を把握しておくことが必要です。特定技能では、必ず四半期に1回定期面談を行い、出入国在留管理庁への報告書類を提出することが必要です。

定期面談では、外国人本人から労働状況や生活状況を話してもらい、問題がある場合は解決策を出して改善できるように努めます。日本語での面談が難しい場合は、母国語の通訳者を依頼することもできます。

まとめ

特定技能で転職することは、制度上認められています。ただし、外国人本人にとってハードルが高いこともあり、特に外国人本人が自己都合で転職する場合は、転職するリスクを知ってから実行することをおすすめします。

また、受け入れ企業は、特定技能の外国人が転職したいと考えないように、自社の労働条件や職場環境をもう一度見直すようにしましょう。

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