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外国人労働者の法律改正【2023年版】改正入管法を解説

2023年6月の改正入管法により、外国人の出入国に関する法律が変更されています。外国人労働者を雇用する際は、まず基本知識として入管法の最新情報をチェックすることをおすすめします。

本記事では、入管法についての説明と最新の改正入管法で何が変わったのか解説します。

CONTENTS

  1. 1.入管法とは?
  2. 2.2019年入管法改正の内容
  3. 3.最近の入管法の動き
  4. 4.2023年6月の入管法改正
  5. 5.2023年6月の入管法改正の問題点
  6. 6.まとめ

1.入管法とは?

正式名称は「出入国管理及び難民認定法」と言い、日本への入出国者および在留外国人の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続の整備を目的とする法律です。

在留資格についても入管法に規定されていることから外国人のための法律と勘違いされがちですが、対象は日本に出入国、在留する全ての人です。そのため、仕事や旅行で海外に出向く、もしくは帰国する日本人も入管法の規定に従うことになります。

2.2019年入管法改正の内容

1951年に公布された出入国管理令を基にする入管法ですが、度々改正が行われてきました。中でも大きかったのが2019年の改正です。新たに在留資格「特定技能」が創設され、国内人材の確保が特に困難な14の産業分野において、一定の専門性と技能を有する外国人材の労働力としての受け入れが開始されました。

2-1.特定技能が始まった背景

少子高齢化が進む日本では、生産年齢人口が1995年の8716万人をピークに年々減少しています。このまま少子高齢化が進んだ場合、2030年には生産年齢人口が7千万人を割ると推計されるなど、日本の人材不足は深刻な状況です。そこで外国人受け入れ政策の見直し、国内人材では足りない働き手を外国人材で補い、日本社会を維持していくために創設されたのが「特定技能」です。

2-2.特定技能とは

即戦力の外国人受け入れを前提とし、在留資格「特定技能」を有することで特定産業分野での就労が認められます。



大きな特徴としては、原則認められていなかった単純労働に外国人労働者が付随的に従事できるようになっていることが挙げられます。

3.最近の入管法の動き

2019年の改正では「特定技能」の他にも「特定活動(46号)」が新設され、また以降も新たな制度の創設や見直しが進められている制度があります。

本項では、近年の入管法に関するトピックを解説します。

3-1.留学生向けの特定活動(46号)

留学生に対する就職支援として新設された在留資格が「特定活動(46号)」です。「日本の大学もしくは大学院を卒業していること」「高い日本語能力を有していること」という二つの資格取得要件を満たしていれば、在留資格「留学」で滞在している留学生のほか、母国に帰国している外国人も対象者に含まれます。

日本語能力の判断基準は、日本語能力試験のN1かBJTビジネス日本語能力テストで480点以上のいずれかを有していることですが、大学もしくは大学院で日本語を専攻していた場合も上記資格と同等の日本語能力として扱われます。

幅広い業務で働けることも特徴で、在留資格「技術・人文知識・国際業務」では原則認められていない工場でのライン作業やホテルのベッドメイキングといった単純労働に従事することも可能です。

3-2.高度外国人材向けに新たな制度がスタート

これまでにも高度な専門知識や能力を有する外国人材に対しては、「学歴」「職歴」「年収」など項目ごとにポイントを設け、ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合に出入国在留管理上の優遇措置を与える高度人材ポイント制度が導入されてきました。

そうした中、さらなる高度外国人材の受け入れ促進を目的に、2023年4月よりスタートしたのが「特別高度人材制度(J-Skip)」です。従来のようなポイント制ではなく、学歴もしくは職歴と年収が一定の水準以上であれば特別高度人材と認められ、高度人材よりもさらに拡充した優遇措置が受けられます。

3-3.技能実習制度の見直し

国際貢献という制度の趣旨と実態の乖離、労働基準法に反する過酷な労働環境、技能実習生に対する人権侵害などさまざまな問題が顕在化したことで、現在の技能実習制度は廃止して新制度の創設・移行が検討されています。

新たな制度では人材育成と人材確保の両方を目的とし、人手不足に的確に対応、技能実習生の円滑なキャリアパス制度の構築などが図られるものと推察されています。

4.2023年6月の入管法改正

ここまで従来の入管法について解説してきましたが、2023年6月に外国人の収容・送還のルールが変更された改正入管法が成立しました。これは2021年の「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案」の廃案を受けて、一部内容を変更した改正になります。

4-1.難民申請による送還停止効に制限

入管法には難民認定手続き中、一律に送還が停止される規定(送還停止効)がありますが、難民申請回数に上限が設けられていないことから難民申請を繰り返し、不法に日本に滞在するケースが見られました。今回の改正では3回目以降の難民認定申請者に対して、手続き中であっても退去を可能にする例外が設けられました。

4-2.監理措置の導入

これまで当該外国人は国外退去までの間は入管施設への収容が原則となっていましたが、今後は親族や知人などから選定した監理人の下で退去強制手続の完了まで過ごせるようになります。なお、監理措置か収容措置かは逃亡の恐れや当該外国人が受ける不利益などを考慮した上で決定されます。

4-3.入管施設の収容期間3カ月ごとに判断

収容の長期化防止を目的に、入管施設収容者に対して3カ月ごとに収容の要否を見直します。収容の必要がないと判断された場合は、監理措置に移行となります。

4-4.強制送還拒否への対応

退去を拒む外国人のうち、「退去を拒む自国民を受け取らない国を送還先とする者」「過去に航空機内で送還妨害行為に及んだ者」に対して、一定の要件の下で定められた期限内に日本から退去するよう命令できるようになりました。命令に従わない場合には、刑事罰の対象となります。

4-5.補完的保護対象者制度を創設

難民条約上の難民ではないものの、紛争避難民など難民に準じた保護が必要な外国人は補完的保護対象者に認定され、難民と同様に在留資格「定住者」が付与されます。

4-6.専門職員の育成

難民に当たるかどうかの調査を行う出入国在留管理庁の職員(難民調査官)に対して出身国情報の活用方法や調査の方法などに関する研修を実施することで、調査能力の向上が図られます。

5.2023年6月の入管法改正の問題点

特に外国人の収容・送還に関して改正された入管法ですが、いくつかの問題点が指摘されています。

その一つが、2023年6月の入管法改正で設けられた送還停止効の例外規定です。これにより3回目以降の難民認定申請者で特段の事情がない場合においては、難民認定申請中であっても国外退去させることが可能になりました。このこと自体は、難民申請回数の事実上の上限と解釈できます。

しかし、これまでに難民と認定されたケースを見ると、難民調査官の知識不足や日本の認定基準が国際的な基準とかけ離れていることなどから、申請回数が3回を超えてから難民と認められることも少なくありません。今後は不十分な審議で保護されるべき外国人が送還されることがないよう、より慎重な審議を進めていくべきでしょう。

また、改正案の審議では、出入国管理と難民認定を同じ機関が所管するべきではないとの意見がありました。今回の改正入管法では立憲民主党が要望した第三者機関の設置は見送られましたが、同じ機関が所管することで今後何かしらの問題が出てくるようであれば、再度検討する必要があるかもしれません。

6.まとめ

2023年6月の入管法改正を中心に、これまでに行われた改正もいくつか取り上げました。そう遠くない将来には技能実習制度に変わる新たな制度が創設されると予想されますが、外国人雇用に関して重大な変化が起こるときには必ず入管法の改正が伴います。正しい外国人雇用を行っていくためにも、企業は最新の入管法に対する知識を備えておきましょう。

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