海外人材Times

海外人材タイムス宣言
-海外人材タイムス

検索
海外人材Times

海外人材タイムス宣言

外国人労働者にも安全安心な労働環境を。労働力の搾取は絶対にしない、させない!

外国人労働者は今や日本経済を支える一員に

人口減少局面に突入し、生産年齢人口の減少による人手不足が深刻な社会課題となっている現代の日本。そうした状況下において、海外から日本へとやって来る外国人労働者の存在は今や日本経済を支える貴重な人材資源となっています。

厚生労働省が取りまとめた「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、令和5年10月末時点で届け出された外国人労働者の数はついに200万人を超え、2,048,675人に(前年比 225,950人増加)。外国人を雇用する事業所数も1年間で2万所近く増加し、318,775所となりました。外国人労働者数、事業所数とも過去最高の数値です。

こうした背景には、事業規模の大小を問わず「労働力不足に悩む企業が増えている」こと、日本国内だけでなく「海外に市場を求めるグローバル企業が増えてきた」こと、そして特定技能2号の対象分野を拡大するなど「国が外国人労働者の雇用を積極的に支援している」ことなどの要因が挙げられます。

外国人本人にとっても母国で働くより高給与・好待遇が期待できる、福利厚生が手厚い、将来的なキャリアアップにつながる……といったメリットがあり、日本の労働環境は魅力的なものとなっています。労働者と雇用側、双方にメリットがある以上、これからも日本で働く外国人の数は継続的に増え続けるに違いありません。

外国人労働者の増加に伴う社会課題も

ところが、外国人労働者の増加に伴って新たな問題も浮上し始めました。現状の外国人労働者に対する「低賃金」や「過酷な労働環境」など雇用側の差別的な対応、コミュニケーションの相違による雇用者×労働者、外国人労働者×日本人労働者間のトラブル、日本ならではの企業風土・評価制度に対する外国人労働者からの不満……といった問題です。

とりわけ日本が1993年に導入した在留資格「技能実習」においては、実習生の失踪や実習生への人権侵害といった深刻なトラブルが続発し、多くのメディアに採り上げられたのは記憶に新しいところです。技能実習の現場では今も一部の企業で、最低賃金違反、契約賃金違反、賃金からの過大控除、割増賃金不払いといった技能実習生への違法な対応が横行しています。

こうした中、日本政府もようやく重い腰を上げて動き始めました。現状の「技能実習」制度を廃止し、新たに「育成就労制度」として再スタートする政府方針を2024年2月9日に決定。これまでの技能実習制度が「国際貢献」を目的としていたのに対して、新たな育成就労制度では「外国人材の確保と育成」に目的が変更されます。さらに実習生の多くが母国の送り出し機関や仲介者に多額の手数料を支払って来日している現状を踏まえ、日本の受け入れ企業と費用を分担することで外国人の負担軽減を図る計画も示されました。2024年4月現在、新しい制度に向けた検討段階に入っています。

このような外国人労働者に対する日本企業の差別的な対応や送り出し機関の悪質さは、まさに「労働力の搾取」と呼ぶべきものであり、絶対に看過してはいけません。私たちキャムコムグループはこれからの日本にとって海外人材の積極的起用が不可欠と考えており、外国人労働者が安心して安全に働ける環境作りに取り組んでいます。

技能実習制度においては適切な送り出し機関の選定や雇用者・技能実習生のサポートを目指し、新たに監理団体「JOE協同組合」を2020年に設立。まずは日本に最も多くの労働者を輩出しているベトナム(2023年10月時点)で信頼できる送り出し機関のみを選び、そこから実習生を受け入れる仕組みを構築しました。24時間母国語で対応するコールセンターを設置、日本語を勉強できるコンテンツを無償提供するなど、実習生が日本で安心して生活するためのライフサポートも行っています。

問題の根源的解決に向けたアクション

ところで外国から日本にやって来る技能実習生は多くの場合、送り出し機関などに多額の手数料や教育費用を支払っています。日本円にして数十万円、現地における平均年収の何倍もの額になることも珍しくありません。当然、本人の貯蓄だけでは足りず、家族や親戚からお金を借りる、土地などを担保として金融機関から借金するケースがほとんどです。日本で実習を行う間も借金の返済は続きますが、技能実習生の給与は他の在留資格に比べると一般的に低く設定されているのが通例です。

より高い収入を得られる職場を求めて転職しようとしても、技能実習制度では原則として転職が認められていません。そのために失踪、不法就労といった手段を選んでしまう外国人がいます。また、このことが実習生を迎え入れる企業が転職や失踪を防ぐためにパスポートを取り上げるなど、不適切な対応、人権侵害につながるケースもあると言います。問題を抜本的に解決するには、実習生本人が送り出し機関などに支払う手数料や教育費をどうにかして下げるしかありません。

そのためJOE協同組合では2022年、インドネシア政府と手を組んだサポートプロジェクト「パイロットプロジェクトTo Japan」を始めました。これは日本へと渡るインドネシアの技能実習生に対し、教育費用としてインドネシア政府から補助金を交付、さらにJOE協同組合から返済義務のない奨学金を給付することで、実習生の金銭負担を大幅に軽減する前例のないプロジェクトです。インドネシアの国営職業訓練校で学ぶ若者を対象に参加を募り、160人をパイロットプロジェクトメンバーとして選出、インドネシア現地で日本語および技術の教育が行われました。

その後、この取り組みは「IJCプログラム」として継続的な事業へと発展。試験に合格した人はインドネシアの国営職業訓練校で専門技術と知識を学び、統一されたカリキュラムに基づく日本語教育を受ける、洗練されたプログラムとなりました。

さらに今年からは、ベトナムでも技能実習生の手数料をゼロにする「VJCプロジェクト」がスタート。このプロジェクトではキャムコムグループが運営する「mintoku work vietnam(ミントクワーク ベトナム)」(外国人に特化した求人・求職ナビサイト)を通して人材募集をすることでブローカーを排除し、手数料の中でも大きなウエイトを占める「募集費用」を最小限に。加えて友好的なベトナム送り出し機関の努⼒と、⽇本側の奨学⾦などを組み合わせ、実習⽣本⼈が負担する⼿数料ゼロを実現しました。実習⽣はその他の費⽤も含め、通常の3分の1程度の⾦額で来⽇することができます。

継続的に日本で働ける環境作り

技能実習生だけでなく、特定技能、技人国の在留資格を持つ外国人労働者へのフォローアップも。ご存知のように特定技能は1号の場合で通算5年まで、2号の場合で上限のない在留期間となり、同一業務区分内であれば転籍も認められる……という在留資格で、技能実習生がそのまま日本で働くためにステップアップするケースも少なくありません。そうした背景から日本で特定技能の在留資格を持つ外国人が急増していますが、より良い労働環境、給与などの条件を求めて転職するのは、極めて難しい現実があります。業界によっては特定技能で働く外国人の引き抜きを自粛する傾向がある、在留資格変更申請に数か月もの時間がかかり、その間に生活が困窮してしまう……といった高いハードルがあるためです。外国人本人が自由に仕事を選べる環境とは、とても言えません。

そうした状況を打開するため、キャムテック(キャムコムグループ)では特定技能・技人国に特化した求人・求職ナビサイト「mintoku work(「みんなのトクギ」)」を開設しています。
企業からの求人状況を開示することで、特定のブローカーなどに頼らずとも本人の意思で転職、就職できる環境を作ることが目的でした。単なる求職サイトに終わらず、アドバイザーを採用してひとりひとりの外国人が持つ技能や知識と雇用する企業とのマッチングを綿密に図り、採用面接にもアドバイザーが同席するなど丁寧にフォローしているのが特徴です。

このような改革に挑戦してきた理由は、労働者本人や雇用する企業に対する個別対応だけでは問題を解決できず、外国人労働者をとりまく構造そのものにメスを入れなければならなかったから……に他なりません。今後、日本が継続的に発展するためには外国人労働者の存在が不可欠であり、彼らが安心して働ける環境を構築する必要があります。安価な労働力として、あるいは単なる人材不足を補う手段として外国人を起用する状況から脱却し、異なる文化や特性を持つ人々を迎え入れることによる化学反応にこそ期待しています。

私たちが思い描くのは、多様な人々がそれぞれの適性のあった職場で、自由にその能力を発揮できる未来。そうした社会を実現するために、これからも私たちは挑戦し続けます。

× 教えてタイムスくんバナー画像