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外国人労働者受け入れのメリットとデメリット、問題点と解決策

人材不足の解消策として外国人労働者の受け入れが拡大しています。一方、外国人労働者の増加に伴い問題点も多く存在しています。

技能実習生の失踪問題や賃金不払いトラブル、外国人とのコミュケーション不足による弊害など、さまざまな問題が発生しています。

本記事では、外国人労働者を受け入れるメリットとデメリット、問題点と解決策を紹介していきます。

CONTENTS

  1. 1.外国人労働者採用ニーズの高まり
  2. 2.「特定技能」で外国人労働者の受け入れが拡大
  3. 3.外国人労働者受け入れのメリット
  4. 4.外国人労働者受け入れのデメリット
  5. 5.外国人労働者受け入れの問題点
  6. 6.外国人労働者問題の解決策
  7. 7.まとめ

1.外国人労働者採用ニーズの高まり

まずは日本で働く外国人労働者が増えている現況と、その理由を理解しておきましょう。

1-1.外国人労働者受け入れの現状

厚生労働省が発表した「令和4年10月末現在の外国人雇用についての届出状況」によると、日本で働いている外国人労働者数は182万2725人でした。前年比9万5504人の増加、届出が義務化された2007年(平成19年)以降、過去最高の数値となっています。対前年増加率は5.5%と、前年の0.2%から5.3ポイントも増加しました。

国籍別では、ベトナムが最も多く46万2384人(外国人労働者数全体の25.4%)。次いで中国38万5848人(同21.2%)、フィリピン20万6050人(同11.3%)の順となっています。

在留資格別では技人国の在留資格に代表される「専門的・技術的分野の在留資格」(※)が47万9949人で、前年比8万5440人(21.7%)の増加。急速に増えていることが分かります。「身分に基づく在留資格」は59万5207人、「技能実習」は34万3254人でした。

※「専門的・技術的分野の在留資格」には、在留資格「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職1号・2号」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能」が含まれます。

1-2.外国人労働者が増えている理由

外国人労働者が増えている背景には、以下のような理由が考えられます。

日本政府による外国人留学生の就職支援

日本政府は外国人留学生にそのまま日本で就職してもらうため、外国人雇用のためのマッチングシステム構築や留学生合同面接会、外国人留学生へのインターンシップの実施など、積極的な支援を行っています。

また外国人留学生そのものの人数も急激に増加。2011年には16万人前後だったのに対して、コロナ前の2019年には31万人以上にまで増えました。

人手不足解消

人口減少の局面に突入し、さらに少子高齢化という、より深刻な課題を抱えている現代の日本。生産年齢人口が大きく減り、さまざまな業種で深刻な人材不足が起こっています。

その課題を解消する手段として、外国人労働者を積極的に活用している企業が少なくありません。外国人が働ける業種や職種は制限されており、どの仕事でも……というわけではありませんが、一定の効果を上げていることは確かです。

グローバル化への対応

日本企業のグローバル化が進んだことも、外国人労働者増加の一因になっていると言われています。海外の市場を対象としたビジネスを展開するため、現地の事情に精通した外国人を雇用するのは、ありふれた手段です。

技能実習の利用

日本へと技術を学びに来る技能実習生の数は、2015年の時点で約16万8千人だったのに対して、2019年には約38万4千人へと倍増しています。さらに2019年には新たな在留資格「特定技能」がスタートし、「技能実習」から「特定技能」へと移行することができるようになったことも技能実習生が急速に増加している理由となっています。

2.「特定技能」で外国人労働者の受け入れが拡大

2019年に創設された在留資格「特定技能」が、外国人労働者増加の大きな要因となっているのは確かです。「特定技能」について詳しく解説します。

2-1.特定技能とは

「特定技能」は、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的として新たに創設された制度です。2018年に可決・成立した改正出入国管理法により在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月から受け入れが可能になりました。

「特定技能」には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識、または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。介護やビルクリーニング、建設など12の特定産業分野において受け入れが認められています。

「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。「特定技能1号」の在留期間が通算で上限5年(1年を超えない範囲内で法務大臣が個々に指定する期間ごとの更新)と定められているのに対して、「特定技能2号」は上限なし(3年、1年または6カ月ごとの更新)。さらに「特定技能2号」では要件を満たせば家族の帯同も可能である点などに「特定技能1号」との違いがあります。

従来、「特定技能2号」で対象となる分野は建設分野および造船・舶用工業分野の溶接区分のみに限定されていましたが、2023年8月の法改正により、「特定技能1号」の対象分野から「介護」を除いた11分野に対象が拡がりました。

2-2.技能実習との違いは

「技能実習」制度は、日本の技能・技術・知識を開発途上地域などへ移転することにより、現地の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として1993年に創設された制度です。目的はあくまで人材育成と開発途上地域などへの貢献であり、人手不足を補う手段ではない点に「特定技能」との大きな違いがあります。

3.外国人労働者受け入れのメリット

外国人労働者を受け入れることで企業が得られるメリットを解説します。

3-1.若い人材の確保

少子高齢化が進んだことによって、国内の若い人材を確保することは今、非常に困難な状況にあります。しかし外国人労働者なら若い人材が豊富。厚生労働省発表の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、外国人労働者の平均年齢は34.1歳となっています。若くエネルギーに溢れた労働力は、企業にとって大きな魅力です。

3-2.社内のグローバル化

外国人労働者は、母国語や日本語以外の言語を習得している人が少なくありません。海外市場に進出している企業、日本にいる外国人をターゲットとしている企業にとっては貴重な人材です。また社内公用語を英語にするなど、社内全体のグローバル化につなげることもできます。

3-3.新しいアイデアの創出

日本とは異なる文化や環境で育ってきた外国人労働者は、日本人とは異なる価値観を持っています。異なる視点から生まれるアイデアは商品開発や企業体質の改善などにおいて、新たなブレークスルーを生むチャンスを秘めています。

4.外国人労働者受け入れのデメリット

メリットの多い外国労働者の受け入れですが、採用するにあたって注意しておきたいポイントがあります。

4-1.入管法に基づく労務管理

雇用する外国人が適切な在留資格を有しているか否かは、企業側が正しく管理しなければなりません。雇用する時点で問題がなかったとしても、更新を忘れるなどして在留資格を喪失した外国人を就労させた場合は不法就労となり、外国人本人が退去強制などに処せられるほか、事業主にも3年以下の懲役または300万円以下の罰金という罰則が科せられます。

在留資格は定められた期間ごとに更新しなければその資格を喪失します。また、更新回数の上限が定められており、その上限を超えて更新することもできません。他にも、企業が外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、外国人労働者雇用管理責任者の選任が必要になるといった規定があります。

外国人労働者を正しく雇用するために、企業には労務管理に関する知識を備えることが求められます。

4-2.労働基準法に基づく労務管理

当然ながら外国人労働者を雇用する際にも日本人と同じ労働基準法が適用されます。法定労働時間(1日8時間・週40時間)や残業時間(月45時間・年360時間が原則)といったルールを、雇用する側は順守しなければなりません。

また労働基準法第15条第1項では「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と規定されています。外国人の場合は相手が理解できる言語で書面を作り、口頭でもしっかり説明する必要があるでしょう。

4-3.コミュニケーションの問題

外国人労働者の日本語能力は人それぞれです。日本語が堪能でない人に対して日本語で指示を出しても、うまく伝わらないのは当然。言語だけでなく文化や習慣、価値観が異なることも考慮した上で、指示はできるだけ分かりやすく、図示などを交えて伝えることが大切です。

5.外国人労働者受け入れの問題点

外国人労働者を採用している企業がトラブルを抱える例も少なくありません。以下に代表的な例を紹介します。

5-1.安価な労働力として雇用する

「特定技能」は国内人材が不足している業界の救済手段という役割を担っていますが、決して「安価に雇用できる労働力」ではありません。

外国人労働者にも日本人労働者と同じ労働基準法が適用されるのは前述の通り。そして、同じ仕事内容なら賃金を同額とすべき「同一労働同一賃金」も適用されます。同じような業務内容にも関わらず、「外国人」であることや「非正規雇用」という理由で待遇に差があってはなりません。

5-2.労働環境の未整備

日本人に不人気で国内人材を確保しにくい職場は、労働環境が悪いことに起因していることが珍しくありません。「わざわざ外国から日本に来たのだから、多少労働環境が悪くても働いてくれるだろう」という気持ちで雇用するのは絶対にいけません。

5-3.パワハラや暴力行為

これだけ日本で働く外国人が増えても、彼らに対する差別やいじめは根強く残っています。日本語が通じないからといって暴力で指導をしたり、暴言や差別用語で精神的な攻撃をしたり、宗教上の行為を不当に制限するなどのパワハラや暴力行為はすべて人権侵害にあたります。

5-4.価値観の相違

外国人を雇用すると、文化や習慣の違いから思わぬトラブルが発生してしまうことがあります。日本人にとっては親切のつもりで行ったことでも、外国人にとっては禁止行為であることも。もちろん、その逆もあり得ます。雇用する企業や同じ職場で働く日本人は、相手の文化や宗教の違いを正しく理解し、尊重する対応が求められます。

6.外国人労働者問題の解決策

外国人労働者とのトラブルを未然に防ぐには、以下のような解決方法が考えられます。

6-1.待遇を改善する

労働基準法などの法規を守るのは当然。その上でさらに外国人労働者が働きやすい環境を作ることが、雇用する企業には求められます。雇用する際には契約書を用いてしっかりと契約を結び、本人に理解してもらうこと。職場での指示出しや注意看板などは外国人労働者が理解できる言語で伝えること、といった配慮が必要です。

6-2.受け入れ体制を見直す

受け入れ体制の整備は仕事の効率性向上のためだけでなく、外国人の定着率向上にも必須です。新卒の留学生を迎える場合や「技能実習」「特定技能」の在留資格で雇用する場合は、日本語能力を伸ばす人材育成が効果的です。

一方で技人国など高度人材の場合は、従来の年功序列的な昇進・昇給制度ではなく、能力主義的な成果報酬制度を導入するなど、適切な人事評価が定着率に影響を与えるかもしれません。採用する外国人材に合った受け入れ体制の整備に努めましょう。

6-3.入管法などの知識を得る

外国人を採用するにあたって、企業の採用担当者や事業主は「出入国管理及び難民認定法」や「労働安全衛生法」など法令についての正しい知識を身に付けておかなければなりません。企業側が知識を身に付けることで、違法な採用を薦めてくる団体を見極めることもできます。自社のみで不安であれば、外国人採用に詳しい人材紹介会社や行政書士などに相談するのも良い方法です。

6-4.日本人社員の研修を行う

外国人労働者だけでなく、彼らを迎え入れる日本人社員に教育を行うことも大切です。異文化について、外国人とコミュニケーションを取る方法について、研修などで学ぶ機会を作りましょう。日本人社員と外国人社員が交流するレクリエーションを行うのもいいでしょう。

7.まとめ

外国人労働者の受け入れは日本企業に大きなメリットをもたらしてくれますが、異なる言語、異なる文化を持った人たちだけに、受け入れには細心の配慮が求められます。採用担当者や事業主は法律を含めた正しい知識を身に付けておきましょう。

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