海外人材Times

外国人労働者の雇用・採用WEBメディア

検索
海外人材Times

外国人技能実習生の受け入れは今後どうなる?

CONTENTS

  1. 1.はじめに
  2. 2.外国人技能実習制度とは?
  3. 2-1.外国人技能実習制度の目的
  4. 2-2.外国人技能実習制度の概要
  5. 3.外国人技能実習生受け入れの需要
  6. 3-1.労働力不足の現状
  7. 3-2.技能実習生受け入れの推移
  8. 4.外国人技能実習制度の廃止について
  9. 4-1.外国人技能実習制度の廃止の理由
  10. 5.廃止による今後の外国人技能実習生の受け入れ
  11. 5-1.国際貢献から労働力確保へ
  12. 5-2.転職が可能になる
  13. 5-3.適切な監理団体の運用
  14. 5-4.日本語能力の向上
  15. 6.外国人技能実習生受け入れの方向性
  16. 6-1.求められる新たな制度のあり方
  17. 7.まとめ

1.はじめに

先日、政府が技能実習制度の廃止について検討していることが公表されました。
外国人技能実習生の受け入れは、国際貢献という本来の趣旨と実態との大きな隔たりが問題視されており、実習生が配属された現場ではさまざまな課題を抱えているのが現状です。 そこで今回は、外国人技能実習制度の廃止を受けて今後どのように変わっていくのか、概要を解説していきます。

2.外国人技能実習制度とは?

外国人が日本で働くには、就労が認められる「在留資格」を取得している必要があります。そして、現在日本で働く外国人労働者数182万2,725人のうち、18.8%に当たる34万3254人の方が取得しているのが外国人技能実習制度に基づく「技能実習」という在留資格です。

2-1.外国人技能実習制度の目的

1993年に創設された外国人技能実習制度の目的は、開発途上国の経済発展を担う人材育成および外国人技能実習生を通じて、日本の技能や技術を開発途上国へ移転することです。これは「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」第一条に定められています。つまり、本制度は人材不足を補う労働力を得るためのものではなく、日本が先進国としての役割を果たすための国際貢献を主旨とする制度であるといえます。

2-2.外国人技能実習制度の概要

制度が適用される技能実習生は3年ないし5年間、日本の企業での就業が認められます。継続して技術や技能の習得を目指すため、技能実習期間の転職は基本的にできませんが、雇い入れた会社都合による他企業への転籍、もしくは技能実習2号から3号への切り替え時に限っては転職を選択することが可能です。

また最長5年で帰国しなければならないため、在留資格の「永住」を取得することはできません。一方で「技能実習2号または3号を良好に修了していること」「技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められること」の2つの条件を満たしている場合は「技能実習」から「特定技能1号」への在留資格の移行ができます。

雇い入れる企業にも「技能実習生の住居を確保すること」「日本人同様の賃金」などの要件が設けられるほか、受け入れ可能な技能実習生の人数にも制限があります。

3.外国人技能実習生受け入れの需要

国際貢献を目的に策定された外国人技能実習制度ですが、日本が抱える社会問題の影響もあり、実際には技能実習生の労働力が期待されているのが現実です。しかし、目的と運用がかけ離れてしまったことで、さまざまな課題が表面化しています。

3-1.労働力不足の現状

外国人労働者数受け入れの増加要因にもなっているのが、日本の少子高齢化に伴う労働人口の低下です。総務省の「国勢調査」によれば、15歳〜64歳の生産年齢人口のピークは1995年の8716万4721人。そして2023年5月22日に総務省統計局が発表した「人口推計」によれば、2022年12月1日の生産年齢人口は7420万2000人ですから、27年で約1300万人もの労働可能な日本人材が減少したことになります。

年々深刻さを増していく人材不足の解消策として期待されているのが、外国人労働者です。日本政府も外国人技能実習制度や特定技能制度を実施するなど、外国人の受け入れ政策に取り組んでいます。

特定技能制度は、国内人材の確保が困難な状況にある特定産業12分野において海外からの労働力受け入れを目的とする制度です。ただし2019年4月1日に施行されたまだ新しい制度のため、出入国在留管理庁の発表によれば2022年12月末時点で在留資格「特定技能」による在留外国人数は13万915人。残念ながら、不足する労働力の全てを補うまでにはいたっていません。

3-2.技能実習生受け入れの推移

技能実習生の在留状況は2015年〜2016年を境に急増に転じます。在留資格「技能実習」に外国人労働者数は2015年10月末では16万8296人でしたが、2016年10月末に21万1108人となり、2020年10月末には過去最多の40万2356人となりました。この間には東京五輪の開催に向けた建設ラッシュもあったことから、建設業をはじめとする人手不足はより深刻化しました。そうした状況から、企業が技能実習生の労働力を頼りにしたことが急増の一因であると推察されます。また2021年以降の減少ですが、これはコロナ禍の影響で日本への移動が制限されていたためと考えられます。

労働力の確保のみを目的として実施してはならない「技能実習」ですが、中小企業を中心に依然として高いニーズがあります。それでも本来の目的とは異なる雇用には、やはり問題があると言わざるを得ません。実際に企業と技能実習生の間でトラブルになるケースが増えています。

4.外国人技能実習制度の廃止について

目的と実態とのギャップを受けて、2022年11月に政府の有識者会議が設置されました。その中では、技能実習制度を廃止して新たな制度への移行を求める声が大きくなっています。

4-1.外国人技能実習制度の廃止の理由

外国人技能実習制度の問題の根本には、経済的メリットを享受するために企業と外国人の双方が制度を利用するケースが多いことがあります。

外国人技能実習制度を利用して来日するほとんどの外国人は3年ないし5年間、日本に在留します。つまり、企業は技能実習を理由に、その期間においては安価かつ安定的に労働力を確保することが可能になります。技能実習生にしても、母国よりも高収入を得られる日本で働くことを希望して来日するという人も多いです。

他にも、下記のような問題点が挙げられます。

(1)労働基準法に違反する、低賃金での長時間労働の強要や残業代などの賃金トラブル
(2)技能実習生が暴力を受ける場合や、職業選択の自由が制限されるなどの人権問題
(3)来日前に聞かされていた業務と来日後の業務が異なる、業務内容の食い違い

これらを理由にして、2021年には7167人の技能実習生が失踪しています。この点については企業のみならず、技能実習生をサポートし企業を監督する立場である監理団体の責任も大きいといえるでしょう。

このように、本来の目的からかけ離れてさまざまな問題を抱える現在の外国人技能実習制度に対して、廃止や新たな制度が検討されることは必然なのかもしれません。

5.廃止による今後の外国人技能実習生の受け入れ

では、現在議論が進む新たな制度で、外国人技能実習生の受け入れはどのように変わるのでしょうか。政府の有識者会議が発表した中間報告書のたたき台から、そのポイントを確認していきます。

5-1.国際貢献から労働力確保へ

今後も技能実習制度の目的に「人材育成を通した国際貢献」のみを掲げたままで、労働者としての受け入れを続けることは望ましくないことから、新制度では「人材確保」も目的に加えることが提言されています。これは「技能実習生の受け入れは労働力の確保である」ということを正面から認める大きな転換といえます。一方で、技能移転や国際貢献という観点と、労働力としての人材確保は両立し得ることから「人材育成」という目的も継続される予定です。

5-2.転職が可能になる

人材確保を目的に位置付ける制度の趣旨や外国人保護の観点から、これまで基本的には認められていなかった転籍が可能になります。ただし、無尽蔵に可能になるわけではありません。受け入れ企業などでの人材育成に要する期間や負担する来日時のコスト、安定的な人材確保や日本の労働法制との関係など、新制度が目的にする人材確保と人材育成とのバランスを見ながら、総合的な観点で一定の制限は設けられる予定となっています。

5-3.適切な監理団体の運用

海外の外国人材と企業の橋渡しや外国人材に対する支援機能などの必要性から、監理団体における従来の枠組みは現行制度から引き継がれます。一方で、受け入れ企業などの人権侵害や不適正な就労の防止と是正を行えない監理団体も散見されることから、要件を厳格化し、不適切と認められる団体は排除していく方向で調整が進められます。

5-4.日本語能力の向上

来日して日本で暮らしていくためには最低限の日本語能力が必須となることから、就労前の日本語能力N5習得の義務化が検討されています。また、適切な技能形成および長期就労の実現には日本語能力の段階的な向上が必要になるため、就労が始まってからも日本語教育の機会を充実させる仕組みが設けられる予定です。本取り組みで必要となるコストですが、来日後の日本語教育にかかる費用は、受け入れ企業が負担する方向で検討されています。

6.外国人技能実習生受け入れの方向性

現在問題になっている目的と実態のギャップを解消するため、従来の外国人技能実習制度は廃止したうえで、人材確保と人材育成を目的とした新たな制度が創設される可能性が高いと予想されます。はこの新たな制度によって、外国人技能実習生の受け入れはどのように変わっていくのでしょうか。

6-1.求められる新たな制度のあり方

人材確保の観点では、国内における人手不足の状況に対して的確に対応した制度でなければなりません。人手不足である状況の把握や受け入れ見込み数の設定においても、さまざまな関係者の意見やエビデンスを踏まえて判断される仕組みにするなど、透明性や予見性を高める制度の改正が期待されます。

人材育成の面では、対象職種や分野を特定技能制度と一致させ、新たな制度から特定技能制度へと円滑に移行できるなどのキャリアパス制度を構築し、外国人が中長期にわたって日本で活躍できる仕組みが必要です。これにより外国人技能実習生が習得した技能や技術をさらに日本で生かすことが可能になります。

7.まとめ

目的に人材確保が加わるなど、大きく変わることが予想される外国人技能実習制度。新たな制度の創設後は、表立って外国人技能実習生を労働力として認めることができる一方で、働き手の自由度も増すことになります。外国人労働者に長く働いてもらうためにも、今から労働環境の見直しをはじめることをおすすめします。

外国人採用に関するオンライン無料相談やってます!

  • 雇用が初めてなのですが、私たちの業務で採用ができますか?
  • 外国人雇用の際に通訳を用意する必要はありますか?
  • 採用する際に私たちの業務だとどのビザになりますか?
  • 外国人の採用で期待できる効果はなんですか?

上記に当てはまる企業様は、ぜひ一度ご相談ください。