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外国人採用の注意点とメリット

少子高齢化に伴い、日本の労働人口の減少が問題となっています。こうした課題への解決策として政府は外国人受け入れ制度を促進、外国人採用ニーズが急速に高まってきました。

そこで本記事では、外国人採用活動をする際に知っておきたい、採用のメリット、注意点、手続きの流れなどについて解説していきます。

CONTENTS

 

1.外国人の採用状況は?

2.外国人を採用するメリットは?

3.外国人を採用する注意点は?

4.外国人を採用する手続きと流れ

5.外国人採用における面接の際に注意すべき点

6.外国人採用をすることで活用できる助成金

7.外国人を募集する3つの方法

8.外国人を採用するポイント

9.まとめ

1.外国人の採用状況は?

日本で働く外国人の数は確実に増えています。厚生労働省発表の「外国人雇用状況」届出状況によると、2013年時点では約72万人だったのに対し、2019年は約166万人と6年間で倍以上に増加。2020〜2021年は新型コロナ感染拡大の影響でほぼ横ばいとなりましたが、昨年度から再び増加して2022年10月末時点では約182万人にまで拡大しています。

外国人の国籍、在留資格、外国人採用が多い産業は?

日本で働く外国人の国籍はどこが多いのでしょうか? 2022年10月末時点における上位3か国は、1位ベトナム、2位中国、3位フィリピンとなっています。在留資格別では、永住者など「身分に基づく在留資格(595,207人)」が最も多く、次いで高度専門職や技術・人文知識・国際業務といった「専門的・技術的分野の在留資格(479,949人)」、「技能実習(343,254人)」の順となります。

また外国人を採用する企業の産業を見てみると「製造業」が全体の26.6%と、圧倒的に多いことが分かります。事業所の数では「卸売業、小売業」が最も多く、全体の18.6%を占めます。

2. 外国人を採用するメリットは?

外国人労働者を受け入れることは日本企業にさまざまなメリットをもたらします。そのメリットが日本経済全体に好影響を与えることも間違いありません。

2-1.人材不足の解消になる

最も大きなメリットは言うまでもなく、人材を確保できることです。日本は少子高齢化が進み、人材を確保するのに多くの企業が苦労していますが、世界に目を向けると人口は拡大しています。日本にいる若い外国人、あるいは日本へと新たにやってくる外国人を上手く確保することができれば人材不足を解消することができるでしょう。人的資源なしに会社を成長させることはできません。

2-2.若い労働力を確保できる

若年層の働き手が少ないことは、日本企業の多くが抱える悩みのひとつ。しかし近年、海外では日本語を学べる学校が増え、日本で働きたい、と考えている若者は決して少なくありません。若くて働く意欲に溢れた外国人を採用することで、社内全体にも活気がもたらされることでしょう。

2-3.社内グローバル化に繋がる

輸出入や海外企業との取り引きを行っている会社にとって、現地語に長けた人材、現地のマーケットを理解した人材はそれだけでも貴重です。外国人労働者は、母国語に加え日本語や英語など、3か国語以上話せることが珍しくありません。海外にある会社とのオンラインミーティングや書類のやり取りなど、さまざまな場面で活躍してくれることでしょう。これから海外進出を考えている企業にとっても強い味方になってくれるはずです。

2-4.新たなアイデアが生まれる

外国人労働者が育ってきた環境、学んだ環境は日本と異なります。日本人とは異なる視点からビジネスを見ることによって、新しいアイデアがもたらされるかもしれません。ビジネスチャンスにつながる可能性もあります。

3.外国人を採用する注意点は?

外国人を採用する前に、注意しておきたいポイントを挙げます。

3-1.就労資格(就労ビザ)の取得に時間がかかる

外国人を採用する際には、必ず就労資格を取得する必要があります。就労資格を取得する期間は申請の流れによって多少変わりますが、一般的に1カ月〜3カ月程度の期間が必要です。
また、職種や業種によっては就労資格を取得できない可能性もあるので注意しましょう。

3-2.業務内容と在留資格が合致していないといけない

外国人はそれぞれの在留資格において就労可能な業務が指定されていることがほとんどです。採用する際は、任せたい業務と認可されている業務に相違がないかを必ず確認しましょう。在留資格外の業務に従事することは違法であり、万が一、認可外の業務に従事した場合は、当該外国人のみならず雇い入れている企業も処罰の対象になります。従事させたい業務が認可対象か判断が難しい場合は、出入国在留管理庁などに確認を取りましょう。

3-3.外国人とのコミュニケーション

外国人労働者とのトラブルの多くは、コミュニケーションに起因するものです。その人が日本語や日本の文化にどれだけ通じているかにもよりますが、説明をする際はできるだけ丁寧に、絵なども交えながら分かりやすく伝えるようにしましょう。仕事や日本での生活についての悩み事や不安がないか、こまめに尋ねるケアも必要です。
また言語だけでなく、宗教や文化への配慮も欠かせません。宗教上の理由から食べられないものがあったり、お祈りの時間や場所が必要だったりするケースもあります。雇用者側だけでなく、日本人の従業員にも彼らへの理解を呼びかけましょう。

3-4.外国人特有の労務管理

外国人労働者を採用する場合、就労資格を管理することは雇用者側の責任です。入国の許可を受けていない者や在留期限を過ぎた者が就労した場合、あるいは就労資格を持っていない外国人を働かせた場合は不法就労となり、事業主にも罰則があります。
また常時10人以上、外国人を雇用する場合は、「外国人労働者雇用管理責任者」の選任も必要です。

3-5.外国語対応できる医療機関を確認しておく

外国人労働者であっても雇用前には健康診断の実施が必要です。しかし、企業から健康診断の受診を指示されることや日本の医療機関を受診することに不安を抱く外国人もいます。トラブルにならないよう診断の際のサポート体制を整えつつ、外国人対応に慣れている医療機関を確認しておきましょう。

4.外国人を採用する手続きと流れ

ここからは実際に外国人を採用する際の手続きや流れを解説していきましょう。

4-1.雇用計画を立てる

最初に、外国人を採用する目的をはっきりさせておきます。その上で、どのような人材が欲しいのか、仕事内容や雇用期間、給与などの条件、雇用予定人数などの計画を立てます。

また前述のように外国人が日本で働くためには必ず就労資格が必要となります。就労資格は職種、業務内容ごとに異なり、どのような仕事でも同じ就労資格で働けるわけではありません。求人募集したり、面接したりする前に、就労資格が取得できる業種、仕事内容なのかを確認しておきます。就労資格は出入国在留管理庁の在留資格一覧表(https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/qaq5.html)で確認できます。

4-2.求人募集する

雇用したい人数、雇用条件などが決まったら、採用に向けて求人募集をかけます。募集方法については後述します。

4-3.書類選考・面接

自社が求める人材なのか否か、履歴書や職務経歴書などの書類から判断するのが第一段階。就労資格ごとに学歴や職歴などの要件が定められているので、応募者が資格取得の要件を全て満たしているか、予め書類で確認しておきましょう。履歴書の提出だけでなく、それを裏付ける資料(卒業証明書や試験合格証明書など)の提示も求めます。
面接では学歴や職歴、在留資格といった経歴を改めて確認するとともに、日本で働きたい理由は何か、日本でどんな仕事がしたいのか、雇用期間が終了した後には帰国する予定なのか、それとも永住権を取得する予定なのか、といったことを直接、本人に確かめます。対面でなく、オンラインでも問題ありません。

4-4.内定・雇用契約書を作成する

書類選考、面接を経て希望の外国人材が見つかり、賃金などの雇用条件に先方が納得したら内定を出し、雇用契約を結びます。雇用契約は「雇用契約書」として紙面で作成する必要があります。就労資格を申請する際、雇用契約書の提出が求められるためです。

雇用契約書作成にあたっては、労働契約の期間、業務内容、就業時間、残業に関する規定、賃金とその支払い方法などについて明示します。様式に決まりはなく、労働条件通知書や内定通知書と同じ内容で問題ありませんが、当然ながら労働基準法などの法律に則った内容でなければなりません。日本語だけでなく外国人本人が理解できる言語(できれば母国語、最低でも英語)で作成し、労使双方の署名を交わして締結します。

4-5.在留資格を申請する

内定を出して雇用契約を結んだら、就労できる在留資格の申請を行います。資格の申請方法は既に日本にいる外国人を雇用する場合、外国から呼び寄せる場合など、条件によって異なります。既に就労資格を持っていたとしても、職種や仕事内容が変わる場合には在留資格変更許可を申請しなければなりません。
また資格申請するのはあくまで、内定を出した後です。資格申請は雇用契約を結んでいることが条件となるためです。

4-6.受け入れ準備〜入社

無事に就労資格を取得できたら入社日を決定し、受け入れ準備を整えます。日本での住居を手配したり、研修する内容を決めたり、外国人を配属する部署で既に働いている社員たちに通知したり、といったことです。
入社後にはハローワークに「外国人雇用状況報告」を届け出ます。これは外国人を雇用する全ての企業に提出が義務づけられているものです。外国人の居住地が決まったら、市区町村役場で外国人本人に住民登録してもらいます。

5.外国人採用における面接の際に注意すべき点

上述した外国人採用過程における面接では、注意すべき点がいくつかあります。日本人採用の面接とはコミュニケーションの取り方にも違いがありますので、あらかじめ確認しておきましょう。

5-1.日本語能力の確認

外国人の日本語能力はJLPTなどの試験結果である程度は測れるものの、実際にどの程度コミュニケーションが取れるかは対面で話してみないとわかりません。たとえば同じN5認定と結果が出ていても、スムーズな会話が可能な人もいれば難しい人もいます。面接は外国人個々の日本語能力をリアルに確認する絶好の機会です。日本語能力試験の結果はあくまでも目安として参考程度にとどめておき、会話能力は面接にて確認しましょう。

5-2.書類内容の再確認

国によって応募書類の書き方が慣習的に異なる場合があります。また、インターンシップ期間や試用期間内での退職など書面上には表れていない経歴が隠れている可能性もあります。外国人採用の面接では書類の記載内容に誤りがないかを本人にも確認し、企業と応募者の間の認識を一致させておくことが重要です。万が一、記載内容に誤りがあった場合は、在留資格申請が通らないなどの重大な影響が出る可能性がありますので注意してください。

5-3.避けるべき質問

外国人が日本人と異なる文化や価値観を有していることはわかっていても、具体的にどんな質問がセンシティブに該当するかまでは理解していない人も多いでしょう。たとえば「あなたは〇〇人なので~」など応募者の国籍や国民性から性格や態度などを推測する質問は避けなければなりません。「神を信じますか?」など信仰に関する質問もアウトです。パーソナリティに関する質問や差別的と区分される質問は絶対にしないよう注意しましょう。

6.外国人採用をすることで活用できる助成金

外国人採用をすることで国から助成金が出るケースがあります。いくつか紹介しますので、該当する助成金がないか確認してみましょう。なお、助成金は内容によって細分化されているため、それぞれ状況に合うものを申請してください。

6-1.人材確保等支援助成金

外国人採用では、日本の労働関連法規や慣習への理解不足から、認識相違によるトラブルが発生する可能性があります。そのため、外国人採用を行う企業は、翻訳機器の導入や社内標識類の設置などを行い、トラブル防止に努めなければなりません。ほかにも通訳費、翻訳料、労働環境整備に関する弁護士や労務士への委託料など、日本人採用では必要のなかった経費がかかります。これらの費用を助成するのが人材確保等支援助成金です。

6-2.キャリアアップ助成金

非正規雇用の人材を正社員として採用するための助成金です。従業員が日本人であるか外国人であるかを問わず、非正規雇用であれば対象になります。
助成金の金額は、以下の通り。企業規模や雇用形態によって異なります。

 中小企業大企業
有期雇用から正社員1人あたり80万円1人あたり60万円
無期雇用から正社員1人あたり40万円1人あたり30万円

ただし、障害のある従業員は、「障害者正社員化コース」の対象となるため、上記の助成金は対象外です。

6-3.人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、職務に必要な技能を従業員に身に付けさせるため、計画に沿って訓練を行う際に要した経費や訓練期間中に支払った賃金の一部を助成するものです。日本人、外国人に関係なく、正規雇用労働者が対象になり、企業の永続的な発展につなげることを目的としています。なお、本助成金は訓練の内容や状況に関して制度が細分化されていますので、利用申請する場合はそれぞれの状況に合ったコースを選択してください。

6-4.トライアル雇用助成金

職業経験の不足などにより就職が困難な求職者を、ハローワーク等を通じて一定期間試行雇用した場合に支払われる助成金です。外国人も対象ですが、トライアル雇用助成金の支給を受けるにはいくつかの条件をクリアする必要があります。たとえば「紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している」など特定の状況下にある求職者を特定のルートを経て採用した場合などが対象です。試用期間の開始直後から申請できます。

7.外国人を募集する3つの方法

外国人を募集には、どのような方法があるのでしょうか? ここでは、代表的な3つの方法を紹介します。

7-1.人材派遣、紹介会社で募集する

現在では外国人を採用したい企業と日本で働きたい外国人をマッチングし、雇用をサポートしてくれる外国人人材特化型の人材紹介会社、派遣会社がたくさんあります。単に募集してくれるだけでなく、採用業務を代行してくれたり、在留資格申請などの手続きまでサポートしてくれたりするところも少なくありません。
外国人採用は日本人採用の場合とは異なり、現地での募集方法や面接、在留資格申請などに特別なノウハウと手間が必要。また現地の言語や文化に精通している必要もあります。そうした苦労の大部分を外注できるメリットは計り知れません。一方で、ほかの募集方法もコストがかかる点はデメリットです。

7-2.自社のウェブサイトや求人媒体で募集する

求人サイトや自社のサイトを使って、外国人材を募集する方法もあります。日本人を採用するのと同程度の、最低限のコストで済む点は大きなメリットでしょう。
しかし、不特定多数の応募者から選定しなければならないこと、希望する人材から応募があるか定かでないことはデメリットです。また在留資格の申請などの手続きも自社で行わなければなりません。

7-3.外国人ネットワークで募集する

日本に暮らしている外国人の多くは、同じ国出身者同士など独自のネットワークでつながっています。既に自社で外国人を雇用していて、募集する人数が少ない場合は、知り合いを紹介してもらうのも一案でしょう。この方法なら募集にかかるコストは最低限です。しかし希望する能力や個性を備えた人材であるか定かでない点、在留資格の申請などの手続きも自社で行わなければならない点は、ウェブサイトで募集する場合と同様です。
上記以外に、ハローワークや外国人雇用サービスセンターなどの公的機関で採用する方法、外国人留学生のいる専門学校や大学、大学院の就職課に直接アプローチするのも募集方法のひとつです。

8.外国人を採用するポイント

外国人を採用し、彼らに気持ち良く働いてもらうために、特に気を付けたいポイントをまとめました。

8-1.適切な給与条件

外国人に限らず、優秀な人材を確保したいなら、仕事内容に見合った給与や待遇を用意することが大前提です。よく外国人なら日本人よりも安い給料で雇用できる、と勘違いしている人がいますが、それは間違いです。日本人と同じ最低賃金が適用されるのはもちろん、同一労働同一賃金の原則も国籍に関係なく適用されます。
また「特定技能」や「技能実習」においても、その報酬額は「日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること」というルールが定められています。給与だけでなく、福利厚生などの待遇も日本人の場合と同等以上とします。
外国人を採用する目的はコストダウンでなく、あくまで優秀な人材の確保だということを忘れないようにしましょう。

8-2.外国人のモチベーション向上

これも外国人に限ったことではありませんが、その従業員が何を目的として働き、将来どうなりたいのか、把握しておくことは雇用する側として大切な姿勢です。相手は生まれ故郷を離れ、敢えて「日本で働きたい!」と願ってやって来た外国人。キャリアステップを明確にし、彼らのモチベーションを引き出すことが必要でしょう。離職を防ぎ、長く働いてもらうには定期的なキャリア面談を実施するなど、丁寧なフォローアップも肝心です。

8-3.言葉や文化・習慣

郷に入っては郷に従え、という日本の諺がありますが、これを言語や文化、風習の異なる外国人労働者に強要するのはナンセンス。外国人労働者の出身国を知り、その国の文化や宗教観を尊重することが大切です。
日本では特に問題にならないようなことであっても、彼らにとっては大きなストレスとなっているかもしれません。彼らに直接ヒアリングするだけでなく、こちらから積極的に学ぶ姿勢を持つように心掛けましょう。言葉についても、できるだけゆっくりと、分かりやすい表現で伝える、といった配慮が求められます。

9.まとめ

若くて優秀な労働力の確保は、企業にとって死活問題です。しかし外国人労働者を採用することで、課題解決につながるかもしれません。
外国人を採用するには独特のノウハウや手続きが必要となりますが、かけた労力以上のメリットがもたされるはずです。

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