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技能実習制度とは? 受け入れ方法と今後の課題

技能実習制度は、外国人の人材育成のために設立されています。2022年には制度の見直しが始まり、今後、特定技能と統合される可能性もあります。

現状では、技能実習生の育成と海外からの受け入れも継続していますので、実習生を受け入れる場合は、制度内容や在留資格の要件などについて確認しましょう。

本記事では、技能実習制度の概要と今後の課題について解説します。

CONTENTS

  1. 1.技能実習制度について
  2. 2.技能実習制度の在留資格について
  3. 3.技能実習制度の対象職種は?
  4. 4.技能実習生受け入れの流れ
  5. 5.技能実習制度の課題について
  6. 6.まとめ

1.技能実習制度について

まず技能実習制度の概要を説明します。

制度の目的

技能実習制度は、「技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術または知識の移転による国際協力を推進すること」を目的として1993年に創設されました。 あくまで開発途上国の「人づくり」に貢献することが目的であり、日本の人手不足を解消するための制度ではないことがポイントです。

技能実習制度のしくみ

技能実習生は、企業単独型か団体監理型のいずれかの方式で受け入れます。

企業単独型では、自社の海外拠点や取引企業の職員を企業が直接受け入れて技能実習を実施します。一方、団体監理型は、監理団体と呼ばれる非営利団体が技能実習生を受け入れ、加盟企業で技能実習を行います。実際にはほとんどの企業が団体監理型で実習生を受け入れていますので、監理団体が現地の送り出し機関と技能実習生受け入れの契約を締結することになります。

2.技能実習制度の在留資格について

技能実習生として日本に在留するには、技能実習ビザを取得する必要があります。

技能実習ビザの種類

技能実習ビザは企業単独型と団体監理型で分かれており、入国1年目は技能実習1号、2・3年目は技能実習2号となります。

企業単独型「技能実習1号イ」の要件

企業単独型の在留資格「技能実習1号イ」の受け入れ要件は以下の通りです。

<受け入れ対象者>
日本の企業等の海外支店、海外子会社、一定の取引先、一定の業務提携先の常勤の職員で、当該事務所から転勤または出向する予定の者

<対象業務・作業>
・修得する技能が同一作業の反復のみ(単純作業)でないこと
・帰国後当該技能を必要とする業務に就く予定があること
・母国において修得することが不可能または困難な技能であること

<違法な金銭要求の禁止>
・技能実習生またはその親族等から保証金を徴収しないこと
・技能実習生との間で労働契約の不履行に係る違約金を定める契約等を締結しないこと

<講習>
実習実施企業は以下の科目について、技能実習に従事する予定時間全体の6分の1以上の時間座学(※)を実施すること。また、当該講習実施施設を確保すること。

・日本語(語学)
・日本での生活一般に関する知識
・法的保護に必要な情報(専門的知識を有する者による講義に限る)
・その他、日本での円滑な技能等の修得に資する知識

※海外で1カ月以上かつ160時間以上の事前講習を実施している場合は、12分の1以上の時間でも可

<報酬>
技能実習生に対する報酬は、日本人が従事する場合の報酬と同等以上であること

<実習体制>
・5年以上の実務経験を有する技能実習指導員の指導の下に行われること
・実習実施機関に技能実習生の生活指導を担当する職員が置かれていること

<受け入れ人数>
技能実習生の人数が、原則、実習実施機関の常勤職員総数の20分の1以内であること
※常勤職員には、海外事務所の常勤職員および技能実習生は含まれない

<技能実習生のサポート>
・技能実習生の宿泊施設を確保していること
・実習実施前に労災保険の届出をしていること
・技能実習生の帰国旅費の確保をしていること

<報告義務>
・技能実習を継続することが不可能となる事由が生じた場合は、直ちに、地方入国管理局に当該事実及び対応策を報告するとされていること
・技能実習実施状況に係る文書を作成し、事務所に備え付け、実習修了の日から1年以上保存するとされていること

<在留期間>
1年

団体監理型「技能実習1号イ」の要件

団体監理型の在留資格「技能実習1号ロ」の受け入れ要件は、以下の通りです。

<受け入れ対象者>
在留資格の要件として定めはないが、同種の業務に従事した経験と母国の公的機関による推薦があることが求められる

<対象業務・作業><違法な金銭要求の禁止>
企業単独型と同じ

<講習>
講習実施主体は監理団体 その他は企業単独型と同じ

<報酬><実習体制><受け入れ人数><技能実習生のサポート><報告義務><在留期間>
企業単独型と同じ

「技能実習2号イ」「技能実習2号ロ」への移行要件

技能実習1号から2号へ移行する場合の要件は、以下の通りです。

・1号と同一の実習実施機関で、同一の技能について行われること
・2号移行試験に合格していること

その他、受け入れ人数は制限がなく、在留期間は最長2年です。

3.技能実習制度の対象職種は?

技能実習制度の対象職種は以下90職種165作業です。(令和5年10月31日時点)

①農業関係(2職種6作業)

②漁業関係(2職種10作業)

③建設関係(22業種33作業)

④食品製造関係(11職種18作業)

⑤繊維・衣服関係(13職種22作業)

⑥機械・金属関係(17職種34作業)

⑦その他(21職種38作業)

〇社内検定型(2職種4作業)

4.技能実習生受け入れの流れ

技能実習生を受け入れる方法、手順について説明します。

以下、団体監理型で受け入れる手順です。

手順①:パートナーとなる監理団体を選び、契約する。
手順②:監理団体と相談しながら募集人数を決定する。
手順③:監理団体が現地の送り出し機関へ求人依頼をする。
手順④:送出機関が候補者の面接を行う。(所要期間は通常1カ月程度)
手順⑤:送出機関が選定した候補者の中から、採用する人を決定する。
手順⑥:技能実習計画を作成し、外国人実習機構(OTIO)へ技能実習計画申請を行い、技能実習計画認定通知書の交付を受ける。
手順⑦:出入国管理庁へ在留資格認定証明書交付申請を行い、在留資格認定証明書の交付を受ける。
手順⑧:在留資格認定証明書を技能実習生候補者へ送る。
手順⑨:技能実習生候補者が現地の日本大使館などに査証(ビザ)申請を行い、発給を受ける。
手順⑩:入国日を決定し、技能実習生候補者へ航空券を手配する。
手順⑪:技能実習生が入国し、監理団体にて1カ月の入国後講習を行う。
手順⑫:実習実施企業へ配属する。

5.技能実習制度の課題について

技能実習制度の目的は「人づくり」を通じた国際貢献ですが、現行の技能実習制度は人手不足解消のための労働力として利用されている実態があります。昨今、この目的と実態の乖離が技能実習制度の課題となっています。

技能実習生の失踪問題

技能実習生の失踪問題は深刻です。これは技能実習制度が転籍を認めていないことが背景にあります。いじめやパワハラから逃れるためや入国にあたって実習生本人が負担する借金返済のために、より稼げる職場を求めることが失踪につながっています。

新たな制度の創設に向けて

現在、技能実習制度を廃止し、本来の目的である「人材育成」と特定技能制度における「人材確保」を目的とした新たな制度の見直しが検討されています。

新制度では技能実習生の受け入れ対象分野を特定技能制度と共通化した上で、「主たる技能」を設定して育成・評価していくことが検討されています。また失踪の原因となっていた転籍不可の要件を緩和し、本人意向による転籍も認めること、さらに、監理団体の許可要件厳格化や、二国間取り決め(MOC)による送り出し機関の取り締まり強化も政府の最終報告書に盛り込まれています。

6.まとめ

近い将来、現行の技能実習制度は新たな制度に移行する可能性がありますが、発展途上国の人材育成を通じた日本の国際貢献は新制度でも引き継がれていきます。

ぜひ、本記事を参考に定着率の高い技能実習生の受け入れを行っていってください。

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