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外国人労働者数の推移と今後の課題について

少子高齢化による人材不足が問題となっている日本の産業界では、外国人労働者の雇用を積極的に行うことが重要なポイントとなっています。日本政府は、外国人受け入れ政策として、特定技能や技能実習などのビザで雇用を促進する取り組みを行っています。本記事では、外国人労働者数の推移と受け入れ可能な在留資格、これから外国人労働者を雇用する際の課題について解説していきます。

CONTENTS

  1. 1.外国人労働者の需要が高まる
  2. 2.外国人労働者の推移について
  3. 2-1.外国人労働者の受け入れ推移
  4. 2-2.外国人労働者の国籍や業種は?
  5. 3.外国人労働者の受け入れ政策
  6. 3-1.在留資格「技能実習」での受け入れ
  7. 3-2.在留資格「特定技能」での受け入れ
  8. 3-3.技能実習制度の廃止について
  9. 4.外国人労働者受け入れの課題について
  10. 4-1.異文化コミュニケーションの重要性
  11. 4-2.外国人労働者が働きやすい労働条件
  12. 5.まとめ

1.外国人労働者の需要が高まる

人材不足の大きな要因となっているのが、少子高齢化です。総務省の「国勢調査」によれば、15歳〜64歳の生産年齢人口は1995年をピークに年々減少しています。2023年5月22日に総務省統計局が発表した「人口推計」によれば2022年12月1日の生産年齢人口は7420万2000人ですが、今後2030年には6773万人、2060年には4418万人にまで減少すると見込まれています。このままでは、企業の人材不足が深刻化していくことは明らかです。

その解決策として期待されているのが、外国人労働者の受け入れです。

外国人労働者を雇用するメリットとして、まずは人材不足の解消が挙げられます。特に接客業やサービス業であれば、外国語を母国語とする外国人労働者を雇用することでスムーズな接客が可能になるため、同時にインバウンド対策も期待できます。人材不足の解消以外にも、将来的に海外へのビジネス展開を検討している企業であれば、進出を予定する国の言葉や文化、法律などに詳しい外国人労働者を雇い入れることは大きなアドバンテージにもなります。

2.外国人労働者の推移について

厚生労働省が2023年1月27日に発表した『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』によれば、2022年10月末現在の外国人労働者数は前年より9万5504人増となる182万2725人です。外国人雇用状況届出書の提出が義務化された2007年以降で過去最高人数となります。

2-1.外国人労働者の受け入れ推移

少子高齢化によって日本人の生産労働人口が年々減少しているのに対して、日本で働く外国人労働者数は年々増加してきました。

外国人雇用状況届出書の提出が義務化された2007年10月1日から2008年10月末日では48万6398人だった外国人労働者数は、2016年に108万3769人とはじめて100万人を超えました。その後も年を追うごとに増え続け、2022年10月末では182万2725人の方が日本で働いています。14年間でおよそ4倍に増加していることがわかりますが、今後もさらに増えていくと予想されています。

2-2.外国人労働者の国籍や業種は?

日本で働く外国人労働者を国籍別で見ると、もっとも多いのは46万2384人のベトナムです。これは外国人労働者数全体の25.4%となり、実に日本で働く外国人の4人に1人はベトナム人となります。次いで中国 38万5848 人(21.2%)、フィリピン 20万6050 人(11.3%)と続くことからも、やはりアジアや東南アジアの人々が多い印象です。一方で、アメリカ3万4178人(1.9%)、イギリス1万2470人(0.7%)をはじめ、いわゆる先進国と呼ばれる国からの外国人労働者は少なくなっています。

業種別にみると、最も多いのは製造業で48万5128人です。次いでサービス業(他に分類されないもの)29万5700人、卸売業・小売業が23万7928人、宿泊業・飲食サービス業が20万8981人の順に比率が高くなっています。

また、パーソル総合研究所の「外国人雇用に関する企業の意識・実態調査」(2019年9月)によれば、外国人雇用の今後の見通しとして正社員を増やしていくと回答した企業が361社中73.7%に上りました。このことから、今後は正社員雇用される外国人労働者がより増えていくと推察されます。

3.外国人労働者の受け入れ政策

現在、外国人が日本で活動するために必要な在留資格は、全部で29種類あります。今回はその中から、在留資格「技能実習」と在留資格「特定技能」について詳しく解説していきます。

3-1.在留資格「技能実習」での受け入れ

外国人技能実習制度を利用して来日する技能実習生に与えられる在留資格が「技能実習」です。就労を目的とする在留資格ではないため、2022年4月25日時点で従事できるのは、87職種159作業(「技能実習」の移行対象職種)に限られています。

「技能実習」の特徴のひとつは、3年または5年間の技能実習期間は基本的に転職という概念が存在しないことです。転職のタイミングは雇い入れた会社都合による他企業への転籍、もしくは技能実習2号から3号への切り替え時となりますので、長く働いてもらうことが可能です。

本制度では開発途上国出身者に、実習を通じて日本の技能と技術を習得してもらうことを目的のひとつとしていることから、人材の確保は比較的容易です。しかしその半面、雇い入れの段階から即戦力として働いてもらうことは難しいといえます。また、技能実習生には適切に教育する必要があるため、企業が受け入れられる人数に制限が設けられているほか、技能実習生をサポートする監理団体に適切でないと判断された場合には、企業が指導されるケースもあります。

3-2.在留資格「特定技能」での受け入れ

「特定技能」は、国内人材の確保が困難な状況にある建設、農業、漁業など特定産業12分野において、一定の専門性・技能を有する外国人の受け入れを目的とした就労資格です。また、「技能実習」からの資格変更も可能なため、日本で同一業務経験を持つ外国人労働者を雇い入れることもでき、即戦力の期待が持てます。他には、建設分野と介護分野を除いて受け入れ人数に制限がないことなどがメリットとして挙げられます。

一方で、現在は海外での試験が限定されているため、人材の確保が難しい状況です。また、「特定技能」は要件を満たしていれば転職できるため早期退職の可能性があるほか、日本人労働者と同様に企業都合で簡単に解雇できないというデメリットもあります。

3-3.技能実習制度の廃止について

日本の技能や技術を開発途上国へ移転する国際貢献が目的の「技能実習」ですが、厳しい労働環境の業種を中心に人材確保の手段に用いられるなど、目的と実態がかけ離れているケースが少なくありません。また、人材不足が深刻な地方や中小企業では技能実習生のニーズが高い一方で、違法な低賃金で長時間労働の強要や、技能実習生が暴力を受けるといったトラブルが相次いでいます。

こうした実態を見直すべく、2022年11月に設置された政府の有識者会議は2023年4月、技能実習制度を廃止して新たな制度への移行を求める中間報告のたたき台を示しました。新たな制度では人材育成だけではなく、働く人材の確保も主目的とし、「技能実習」では原則できなかった転職についても一定程度認める方針となっています。この新たな制度を盛り込んだ最終報告は秋ごろに提出される予定となっています。

いずれにしても、日本の人材不足を補ってくれる貴重な外国人労働者が適切な環境で働けるように、雇用主や企業も外国人材の雇い入れについて今一度考え直す必要があると言えそうです。

4.外国人労働者受け入れの課題について

「技能実習」に限らず、外国人労働者がトラブルに見舞われることなく気持ちよく日本で働いていくために、企業はどのような体制で受け入れるべきでしょうか。

4-1.異文化コミュニケーションの重要性

2019年9月に内閣府がまとめた「企業の外国人雇用に関する分析」によれば、外国人労働者の課題について実施したアンケート調査では、「日本語能力に問題がある」(29.5%)、「日本人社員とのコミュニケーションに不安がある」(19.5%)と約半数の企業が回答しています。このことからも、企業側が外国人労働者とのコミュニケーションに問題を感じていることがわかります。

また、課題の3番目に高い割合として「定着率が低い(またはそのようなイメージがある)」(12.4%)が挙げられていますが、これについても分析結果では外国人材とのコミュニケーションが容易な企業ほど定着率が高い傾向がみられます。

外国人労働者は母国を離れて、遠い日本で就労します。そこには言語や宗教といった文化や制度の違いが存在します。日本人からすれば当たり前のことであっても違和感を覚える場面は少なくありません。そうしたギャップを埋めてすれ違いを防ぐためにも、外国人労働者が持つ文化や制度を知り、尊重する異文化コミュニケーションが雇用側に求められるのです。

4-2.外国人労働者が働きやすい労働条件

日本で働く外国人労働者にも、日本人と同様に「労働基準法」が適用されます。そのため、法に定められる最低賃金を守り、残業代も支払わなければいけません。技能実習生で問題になっている、日本人と差別したかのような労働環境は決して許されないのです。こうしたトラブルを未然に防ぐ解決策の一つが「契約を結ぶこと」です。この契約においても法に則っている必要があることは言うまでもありませんが、些細なことでも事前にしっかりと確認し、双方が納得する契約を交わすようにしましょう。

また、外国人労働者が日本で就労するには「出入国管理及び難民認定法」(以下、入管法)で定められた在留資格の範囲という制限があります。中には就労が認められない在留資格の外国人が、安い賃金で構わないと応募してくるケースがあるかもしれません。その人材を受け入れると、入管法の「不法就労助長罪」に該当し、不法就労外国人を雇い入れた雇用者には3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方が科せられます 。これは当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していないなどの過失がある場合は処罰の対象です。自身や企業を守るためにも、雇用の際に就労可能な在留資格を有しているかどうかをしっかりと確認し、不法就労を防ぐようにしましょう。

5.まとめ

ますます増加が予想される外国人労働者とどう向き合っていくかは、企業にとって将来にわたる大きな課題です。さらなる発展のためにも、外国人労働者と円滑なコミュニケーションを図ったうえで適切な労働環境を用意するとともに、法に則った外国人雇用を心がけましょう。

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