日本人だけでなく外国人の雇用を定着させる人事評価制度とは
2023.01.31
外国人労働者の離職を防ぎ、雇用を定着させるには人事評価制度の見直しが有効と考えますが、いかがでしょうか?
外国人の方が納得できる内容の人事評価をおこなうことは有効でしょう。働くモチベーションが向上し、定着につながることが期待されます。
労働力不足を解消するために外国人労働者を雇用している企業は多くあります。そこで課題となっているのは、いかに外国人労働者の離職率を下げて定着を図るか、という点です。その対策として外国人労働者にとって納得感のある人事評価制度を導入することはひとつの効果的な施策といえます。
この記事では、外国人雇用の定着を導く人事評価制度の内容についてみていきます。
CONTENTS
人事評価制度にはどういったものを盛り込めばよいでしょうか?
専門家
従業員の仕事に対する取り組みを評価する制度ですので、具体的な評価の内容として、業務の能力、業務の成果、仕事に取り組む態度などを盛り込み、構築しましょう。
1.人事評価制度とは
人事評価制度とは、従業員の仕事に対する取り組みを評価する制度のことです。評価する内容の例としては、業務の能力、業務の成果、仕事に取り組む態度などがあげられます。人事評価の結果がよいほど、従業員の等級が上がって給与が上がりやすくなる一方で、結果がよくなければ等級が下がったり、給与が下がる場合もあるでしょう。
また、人事評価は単純に評価を決めるだけのものではなく、業務への向き不向きといった個人の特性を知ることにも有用です。評価を参考にしながら従業員を適所に配置して企業の生産性向上を図った上、従業員にとって働きやすい環境を作ることができます。さらに、評価内容に基づいた育成もおこなわれます。
これまで従業員が日本人のみで外国人従業員の評価の経験がない場合、従来の人事評価制度を一度見直す必要があるかもしれません。その理由は、人事評価の内容が日本と海外で異なるためです。日本人と外国人の従業員の両方に対して公平な評価をおこなうためには、日本と海外の人事評価制度の違いを理解しておくことが重要となります。
次の項目では、日本と海外の人事評価制度の違いについてみていきます。
日本と海外の人事評価はどのような違いがありますか?
専門家
日本では成果主義を導入している企業があるものの、年功序列の制度も根強く残っています。また、海外では成果主義が主流ですが、現在では「ノーレイティング」という制度で評価する企業もあります。
2.日本と海外の人事評価制度の違い
日本と海外の人事評価の内容を簡単にまとめると下記のとおりとなります。
日本の人事評価制度
成果主義を導入している企業があるものの、年功序列の制度を継続している企業も多い
海外の人事評価制度
成果主義が主流だが、現在では「ノーレイティング」という制度の導入が進む
上記の内容についてくわしく説明します。
2-1.日本の人事評価制
日本の人事評価制度は、成果主義と年功序列が併存しているような状況にあります。海外の人事評価制度に習って成果主義を導入した企業もありますが、日本では成果主義がなかなか普及しにくい雰囲気があり現在も年功序列を人事評価に取り入れている企業もみられます。成果主義が普及しにくい要因として、従業員同士が協力し合いながら企業全体として結果を出す方法が日本において一般的な点があげられます。
従業員同士で協力し合いながらの成果を目標としているところにいきなり成果主義を導入すると、戸惑いや軋轢が生まれてしまう心配があります。成果主義においては一人ひとりの結果を強く求められますが、度が過ぎると「自分の結果がよければそれでよい」という考えが生まれてしまいます。
さらに、成果主義は競争につながるため、協力し合いながら業務に取り組むことが性に合うという民族性や文化の背景が色濃い日本においては過度な競争についていけないと感じる人がいても不思議ではありません。こういったことから日本では海外のように完全に成果主義が導入されず、年功序列も併存した職場環境となっていることが多いようです。
2-2.海外の人事評価制度
海外の人事評価制度は成果主義が主流となっています。一人ひとりの従業員が個人の責任においてきっちりと成果を出し、それによって企業全体の成果を高める手法が一般的です。一見するとそれぞれ個人プレーをおこなっているようにも見受けられますが、企業全体で見るとそれぞれが企業の目標に向かって成果を出していることになるため、結果として「チームプレー」となります。
また、海外では「個人主義」の傾向が強いため「私は私」「私の考え方に基づいて行動する」という人が多い傾向にあります。そのため、「定められた成果を出す」という方針に基づき、自分で成果を出す方法を考えるやり方は受け入れられやすいでしょう。
そのような背景から、海外では成果主義が広く導入されています。
新たな人事評価「ノーレイティング」
また、現在では海外において「ノーレイティング」という人事評価の導入が広がっています。
ノーレイティング(No Rating)とは、直訳すると「評価をしない」ということです。この意味合いのとおり、従来の人事評価のような評価をおこなわないことが特徴です。
ただし、実際には人事評価をおこなっています。その方法は「その都度目標を決めて、その都度評価する」ことです。 たとえば、ある業務に取り組む場合に目標数値を定めて、業務が終了した時点での状況に基づいて評価します。
ノーレイティングは、一定期間内の業務に対して評価する従来の評価方法と比べると、評価の内容がわかりやすくなる点がメリットです。 評価する側とされる側がお互いに納得のいくものとするためにも、ノーレイティングの導入は有効といえます。
日本では、外資系企業の一部でノーレイティングによる人事評価がおこなわれています。
外国人の方の雇用を定着させるための人事評価を教えてください。
専門家
評価の仕組みをわかりやすくすることがポイントです。業務目標に対する進み具合や目標に対する結果をわかりやすく示す方法としては「HRテック」を活用した人事評価も有効です。
3.人事評価はどのようにするのか
外国人の雇用を定着させる人事評価のポイントは、評価の仕組みをわかりやすくすることです。
外国人はチャレンジ精神が旺盛でキャリア志向が強い傾向にあります。そのため、外国人としては自分自身がおこなった業務に対して適正に評価されることを望んでいます。
理想としては、ノーレイティングの導入がもっとも効果的といえます。しかし、ノーレイティングを導入しているのは主に海外の企業が主流であり、日本では広まっているとは言えない現状です。そこで、人事評価をわかりやすく適正な内容とする手段としては「HRテック」の導入があげられます。
HRテックとは「Human Resource Technology」の略称で、IT技術を活用しながら人事に関する業務を処理する方法のことです。HRテックは日本の企業でも導入が進んでおり、人材の採用や勤怠管理のほか、人事評価も処理されます。HRテックを活用して人事評価をおこなえば、業務目標に対する進み具合や目標の結果が数字で表示されるため、評価の根拠が明確なものとなります。
この方法ならば、業務に対する評価が適正なものとなるため、外国人に対する評価が客観的となり、外国人の従業員としても納得できる形となるでしょう。
4.まとめ
外国人の雇用を定着させるための人事評価制度は、業務の目標に対する結果を明確に示す方法が効果的といえます。外国人の従業員は自分自身がおこなった業務に対して適正に評価されたいという気持ちを強く持っている傾向があるためです。
従業員に対して適正に評価する方法の一例としては「HRテック」があげられます。HRテックを導入すれば、IT技術を活用しながら業務目標に対する結果がわかりやすく表示されるため、人種やその文化的背景にかかわらず全従業員にとって評価の結果がわかりやすく感じられるでしょう。
また、外国人の雇用を定着させるためには、これまでの人事評価の方法を見直すことも有効です。より客観的で合理的な評価をおこない、外国人労働者の定着を図りましょう。
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