外国人労働者とのトラブルや法律違反の火種!?労働時間や残業の制限について知っておこう
2023.01.06
外国人労働者との間で労働時間や残業時間についてのトラブルが起こることがあるようですね。法律違反にも関わるとか?
そうですね。トラブルや法律違反を防ぐためには、外国人労働者の労働時間と残業時間のルールについて理解しておく必要があります。
外国人労働者を雇用した際に起こり得るトラブルとして、労働時間や残業に関することがあげられます。過剰な残業を当たり前としてしまうと、こんなに働かされるなんて知らなかった、聞いていなかった、などといったことが発端で気持ちよく働いてもらうことができなくなってしまうかもしれません。それだけでは済まず、法律に抵触してしまうケースも考えられます。
経営側としては処理しなければならない業務が多ければ多いほど、労働者に対して長時間の勤務を求めてしまう事でしょう。しかし定められた労働時間を超えて働いてもらう事は違法となります。外国人労働者にとって働きやすい環境を準備するには、まず労働時間を守ることが大切です。外国人労働者の労働時間と残業時間のルールについて理解しましょう。
CONTENTS
外国人労働者の労働時間と残業時間はどのように定められているのですか?
専門家
日本で働く外国人労働者には、日本の法律が適用されます。原則として労働時間は1日8時間以内、1週間あたり40時間以内です。36協定を締結している会社では残業が認められます。
1.外国人労働者の労働時間と残業
日本で働く外国人労働者の労働時間と残業に関しては日本の法律が適用されるため、日本人か外国人かは関係なく考えることができます。
労働基準法では、労働時間の上限は下記の通りに定めています。- 1日あたり8時間
- 1週間あたり40時間
また、休日は少なくとも週に1回は取ることが法律で定められています。ただし、業務が忙しい日、時期などは、労働基準法で定められた労働時間だけで業務を終了させることができない場合もあるでしょう。労働時間の順守を優先した結果、納期の遅れなどを発生させ顧客や取引先に迷惑をかけてしまう、などという事態は避けたいと考えるためです。
労働者としては残業が少ないほうが良いでしょう。しかし経営側の立場からみると、従業員に残業をお願いしてでも納期を守らないと顧客や取引先を失う原因となるだけでなく、売上の減少にもつながりかねないため状況に応じて労働者に残業してもらいたい、となることがあります。
そこで労働基準法では、労働者の残業を認める制度として「36協定」を定めています。
1-1.36協定とは
36協定とは「労働基準法第36条に基づく労使協定」の略称です。労働組合と会社側の交渉によって36協定が締結され、労働基準監督署長に届け出た場合は、下記を上限として残業が認められます。
- 1か月の残業:45時間
- 1年間の残業:360時間
なお、1か月の残業の上限は45時間ですが、1年間の残業の上限は360時間です。360時間を12か月で割ると30時間となるため、毎月45時間の残業をした場合、1年間の残業の上限を超えてしまいます。1か月の残業時間を45時間にする場合は、他の月の残業時間を少なめにして、年間の残業時間が360時間以内になるように調整しなければなりません。
1-2.36協定の特別条項
多くの場合は36協定で定められた残業時間で対応できます。しかし、業務が想定以上に多い場合は36協定で定められた残業時間だけでは対応できないこともあります。そのような場合には、36協定の特別条項に基づき残業時間を延長できます。ただし、残業時間の上限は下記の通りとなります。
- 時間外労働:年720時間以内
- 時間外労働+休日労働:月100時間以内、2~6か月平均80時間以内
- 1か月の時間外労働が45時間を超えられるのは、年6か月まで
【出典】
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf
在留資格の種類による労働時間の制限はあるのでしょうか?
専門家
あります。「留学」などの在留資格の場合、1週間あたりの労働時間は28時間以内に制限されます。定められた労働時間を超えないようにしましょう。
2.在留資格による制限
前述の通り、外国人労働者に対する労働時間のルールは日本人労働者と同様となります。ただし、在留資格の種類によっては制限のある労働時間となります。
下記の在留資格は、資格外活動の許可を受けることで1週間あたり28時間以内に限り就労が認められます。
- 留学
- 家族滞在
- 特定活動(一部)
上記の在留資格は、就労を目的とした在留資格ではないため、原則として労働は認められていませんが、これらの在留資格を持つ人のなかには、アルバイトをして生活費を稼がなければならない人もいます。そのような観点から、他の在留資格と比べると労働できる時間は短くなるものの、働くことは認められています。
なお、留学の在留資格は、夏休みなど長期休暇の期間中に限り、1日8時間まで働くことができます。また、特定活動の在留資格を持ち1週間あたり28時間以内の就労が認められるのは、アルバイトをして生活費を稼ぐ必要がある人です。具体的には下記の通りです。
- 外国人の扶養を受ける配偶者、または子で、特定活動の在留資格を持っている人
- 特定活動の在留資格で就職活動を行っている人
特定活動の在留資格で就職活動を行っている人の例として、日本で就職したい留学生が留学の在留資格を持っている間に内定がもらえず、学校を卒業した後に引き続き日本国内で就職活動を行うケースがあげられます。
上記のケースでは、就職が決まった時点で就労に関連する在留資格に変更します。
定められた労働時間を超えて外国人労働者に働いてもらった場合、法律違反となってしまうのでしょうか?
専門家
はい、法律違反となります。その場合、罰を受けなければならないため、定められた労働時間の範囲内で働いてもらうようにしましょう。
3.違反になることとは
外国人労働者に定められた労働時間を超えて働いてもらった場合は、法律違反となり罰せられてしまいます。具体的な違反の例としては、下記の通りとなります。
- <36協定が締結されている企業において、1か月の残業時間が45時間を超える/li>
- 留学生アルバイトを1週間あたり28時間以上労働させる
36協定で定められた残業時間を超えて働いてもらった場合はもちろんですが、特に違反しやすい事例としては、在留資格によっては1週間あたりの労働時間が28時間以内であるにもかかわらず、28時間を超えて勤務させてしまった場合です。“特定の在留資格を持つ人に限り、1週間の労働時間が28時間以内”というルールを理解せずに外国人労働者を長時間稼勤務させてしまうと違反となる点に注意が必要です。
なお、労働時間に関して労働基準法に違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に科せられます。
4.まとめ
外国人労働者の労働時間に対するルールは日本人労働者と同様であり、原則として1日8時間以内、1週間あたり40時間以内となります。なお、36協定が締結されている企業では一定時間内に限り残業が認められています。
また、在留資格が留学・家族滞在・特定活動(一部)の場合は、1週間あたりの残業時間が28時間以内に制限されます。通常のルールと同様に1日8時間働かせると違反となるので注意が必要です。
これらのルールをしっかりと把握し、働きやすい職場環境の提供と法の順守をそれぞれ実践できるようにしましょう。
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