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在留資格「永住者」とは? 取得要件と帰化・特別永住者との違いを解説

日本に長く住んで定着したい外国人にとって、いずれは永住者になりたいという方も多いでしょう。また、永住者の社員を採用したいとお考えの採用担当者の方も多いかと思います。永住者は、外国人本人においても、雇用する企業においてもメリットのある在留資格のため、取得要件や申請方法などを知っておくことをおすすめします。

本記事では、永住者とは何か、帰化や特別永住者との違い、取得要件や申請方法、永住者を雇用する際の注意点について解説します。

CONTENTS

  1. 1.永住者とは
  2. 2.特別永住者・帰化との違い
  3. 3.永住者のメリット
  4. 4.永住許可の要件
  5. 5.永住許可が緩和されるケース
  6. 6.永住許可申請の流れ
  7. 7.永住者を雇用する際の注意点
  8. 8.まとめ

1.永住者とは

永住者とは、在留資格の種類の一つです。他の在留資格と大きく異なる点は、日本での活動や在留期間が制限されないことです。例えば、日本で働く場合に職種や業種の制限がなく長期滞在がしやすくなります。永住者の在留資格を取得する場合は、出入国在留管理庁で永住許可申請の手続きが必要になります。

では、ここで、永住者に関わる言葉を整理しておきましょう。

・永住者:在留資格の名称
・永住許可:出入国管理及び難民認定法第22条により法務大臣が外国人に在留資格「永住者」を許可すること
・永住権:外国人が在留期間を制限されることなく滞在国に永住できる権利のこと

2.特別永住者・帰化との違い

続いて、永住者とよく間違えやすい「特別永住者」と「帰化」との違いを確認しましょう。

特別永住者

特別永住者とは、1991年11月1日に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」に定められた在留資格を持つ外国人のことです。特別永住者の対象は、日本が第二次世界大戦で敗戦した際にサンフランシスコ平和条約により、日本国籍を失った人たちです。主に、韓国人、朝鮮人、台湾人が取得している在留資格です。また、特別永住者の子孫や、両親のどちらかが特別永住者である場合は、特別永住許可を申請できます。なお、特別永住者は、在留カードの交付はなく、特別永住者証明書が交付されます。

帰化

帰化とは、外国人が日本国籍を取得することです。帰化許可後は日本人として生活できるようになります。帰化の場合は、主に以下の内容ができるようになります。

・日本の戸籍が作れる
・日本国籍になるので在留資格が不要になる
・母国への退去強制がなくなり日本国内での所轄になる
・参政権が持てる
・日本のパスポートになる

一方、永住者は、国籍を変えずに「永住者」の在留資格を取得することです。日本では二重国籍が認められていないため、帰化する場合は元の国籍を手放すことになり、永住者は国籍の変更は不要です。

3.永住者のメリット

では、永住者を取得するメリットを確認しましょう。

・在留期限が無制限になる
・日本での活動内容に制限がなくなる
・社会的信用度が高くなる
・配偶者の就労制限がなくなる
・離婚してもそのまま在留できる
・在留特別許可を受けやすい

在留期限が無制限になる

外国人が日本に在留するには、在留資格の更新手続きが必要ですが、永住者の場合は、在留期限が無制限なので、頻繁な更新手続きが不要になります。従って、在留資格の更新を忘れることもなくオーバーステイになるリスクも減ります。ただし、在留カードの更新手続きは7年に一度行う必要があるため、忘れずに対応しましょう。

日本での活動内容に制限がなくなる

他の在留資格の場合は、就労制限があるため従事できない仕事もあります。永住者の場合は就労制限がないので、職業の選択は自由です。就労制限がないため、日本での経済活動もしやすくなります。

社会的信用度が高くなる

外国人の場合は、住宅や自動車のローンが組みにくいケースもありますが、永住者になると信用度も高くなるので、ローンも組みやすくなります。また、金融機関からの融資を受ける際に審査が通りやすくなります。

配偶者の就労制限がなくなる

永住者の配偶者は、在留資格「永住者の配偶者等」を取得できます。この在留資格は、永住者と同じように、日本での活動に制限がないため、自由に働いたり生活したりすることができます。外国人夫婦のどちらかが永住者の場合、配偶者にもメリットがあります。

離婚してもそのまま在留できる

永住者の場合、日本人の配偶者と離婚や死別で関係がなくなっても、そのまま永住者として日本に在留することができます。例えば、在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者と離婚・死別した場合、他の在留資格への変更または帰国する必要があります。

在留特別許可を受けやすい

在留特別許可は、強制退去の対象となる外国人が法務大臣の特別許可で日本に在留が認められる制度です。永住者の場合は、他の在留資格よりも厳しい条件をクリアして滞在できている外国人であるため、退去強制のリスクが低くなり在留特別許可を受けやすい傾向です。

4.永住許可の要件

在留資格「永住者」を取得するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

1.素行善良である
2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

1.素行善良である

法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。


「永住許可に関するガイドライン:出入国在留管理庁」

入管法違反、交通法違反などの法令違反がなく、日本の法律を守って生活できることが必要です。刑法にかかわる事件以外にも、スピード違反や駐車違反など繰り返し法令違反を犯している場合は、不許可の可能性が高くなります。

2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。


「永住許可に関するガイドライン:出入国在留管理庁」

【独立の生計を営むに足りる〜】とは、永住申請をする本人の収入のほかに、配偶者や家族など、世帯全体での収入または所有資産によって経済活動ができているかどうかという基準になります。ただし、申請者が就労ビザの場合は、申請者本人の収入のみで審査されます。

【技能を有すること】とは、日本で生活するために一定のスキルを生かして働くことができているかどうかという基準になります。

永住許可申請の必要書類には、預金残高証明書、在職証明書、課税証明書(所得証明書)など、申請者本人の収入を証明できることが求められます。

3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

※ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けている者の場合には、(2)に適合することを要しない。


「永住許可に関するガイドライン:出入国在留管理庁」

ア:原則、引き続き10 年以上日本に在留していること。この10年間のうち、就労資格または居住資格によって引き続き5年以上の在留期間が必要です。

ただし、この5年間には、在留資格「留学」「技能実習」「特定技能1号」は除外されます。

イ:公的義務や在留資格の更新など、法令に従って対応できていることが必要です。

税金の滞納や在留資格の期限切れなどに要注意です。

ウ:在留資格の最長の在留期間については、2017年7月「新しい在留管理制度」により最長3年であったのが、最長5年に改定されています。

エ:感染症予防を行い、不衛生な生活などで地域住民や職場などで迷惑になっていないことが基準です。周りに有害となる行為をせずに適切な対応ができることが必要です。

なお、永住要件の10 年以上日本に在留していることについては、特例として10年以上在留していなくても緩和されるケースがあります。

5.永住許可が緩和されるケース

「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること」この要件が緩和されるケースは、以下の対象者が該当します。

・日本人、永住者、特別永住者の配偶者:実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。その実子等の場合は1年以上日本に継続して在留していること ・定住者:5年以上継続して日本に在留していること
・難民:難民認定後、5年以上継続して日本に在留していること
・高度専門の外国人:外交、社会、経済、文化等の分野で我が国への貢献があると認められる者で、5年以上日本に在留していること

6.永住許可申請の流れ

在留資格「永住者」を取得する場合は、出入国在留管理庁へ永住許可申請を行います。

永住許可の申請書を作成して必要書類を添付して申請手続きをします。

審査期間について、出入国在留管理庁のホームページでは、審査の標準処理期間4カ月となっています。実際にかかる期間は、入管の申請者数や混み具合、書類不備などによって6カ月以上かかる人もいます。審査結果については、入管よりメールまたはハガキで通知が届きます。永住許可となった場合は、新しい「永住者」の在留カードの発行手続きを行い、不許可の場合は簡易書留で通知が届きます。

永住許可申請の必要書類

永住許可申請に必要な書類は以下の通りです。

・永住許可申請書 1通
・写真(縦4cm×横3cm)1枚
・身分関係を証明する次のいずれかの資料

(1)申請人の方が日本人の配偶者である場合

配偶者の方の戸籍謄本(全部事項証明書)1通

(2)申請人の方が日本人の子である場合

日本人親の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通

(3)申請人の方が永住者の配偶者である場合

次のいずれかで、婚姻関係を証明するもの

a.配偶者との婚姻証明書 1通
b.上記aに準ずる文書(申請人と配偶者の方との身分関係を証するもの) 適宜

(4)申請人の方が永住者又は特別永住者の子である場合

次のいずれかで、親子関係を証明するもの

a.出生証明書 1通 b.上記aに準ずる文書(申請人と永住者又は特別永住者との身分関係を証するもの) 適宜

・申請人を含む家族全員(世帯)の住民票 1通
・申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料

(1)会社等に勤務している場合

在職証明書 1通

(2)自営業等である場合

確定申告書控えの写し 1通
営業許可書の写し(ある場合)1通

(3)その他の場合

職業に係る説明書(書式自由)及びその立証資料 適宜
・直近(過去3年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料

7.永住者を雇用する際の注意点

永住者は、就労制限はありませんが、会社で雇用する際は、他の在留資格の外国人と同様に「外国人雇用状況の届出」が必要になります。

また、永住者であっても法令違反に該当する場合は、在留資格の取り消しの対象となります。従って、永住者だから100%安心ということはないため、外国人の行動については管理が必要になります。

なお、外国人社員が海外出張や転勤などで出国する場合は、いったん在留資格を返納する手続きが必要になります。この場合、在留期間がリセットされるため、永住許可の要件となる10年以上の在留にカウントされなくなります。

そのため、永住許可を希望している外国人社員が海外出張などで出国する際は、在留期間について事前に話し合うようにしましょう。

8.まとめ

永住者の外国人は、就労制限や在留期間の制限が無くなるため、日本で働いて生活しやすくなるメリットがあります。永住許可の要件には、日本の在留期間や素行、経済状況など、厳しく審査されます。そのため、外国人の雇用を検討中の企業においては、社会的信用度が高く、一定のスキルのある外国人を採用することが可能です。

現在、人手不足の日本には、さまざまな在留資格の外国人が来日しています。将来的にも安定している貴重な戦力として、永住者について概要を押さえておくことをおすすめします。

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