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【専門家コラム】シリーズ②悪徳監理団体に騙されないで!その2「技能実習生の受入れを成功させるには」

「監理費の安さを売りにする」 団体は注意?

監理費は、安い方がいいですよね。でも、監理団体が法令に則り、キチンと仕事をすれば、そんなに安くはできません。安すぎたり、何か変?な監理費には、危険も伴います。今回は、以下の2点の事例をとりあげて解説したいと思います。

1.技能実習計画の認定申請

実習生を受入れるには、まず、外国人技能実習機構に「技能実習計画」の認定申請をして、認定を受けなければなりません。技能実習生は、産業留学生のような立場です。学ぶべき「技術」があって、それをOJTで学ばせるだけの「設備と技術とノウハウのある事業場」と技術指導する「指導員」が必要です。また、技能実習1号と2号を合わせた3年間で学ぶべき「技術=受入れ職種」は、決められていて、それに該当しなければ、3年間の実習生受入れはできません。
受入れ希望企業が、計画の認定を受けるためには、以上の事項を含め、技能実習法に定められた要件に適合する必要があります。

適正な監理団体の場合

まずは、受入れ希望の企業を訪問して、その企業が行っている仕事や製品、作業工程が「受入れ職種に合致」しているか、その仕事を行うために必要な「設備・機械・材料等」があるか、技術指導する「指導体制」があるか等を確認します。つまり、第一に、技能実習生を受入れることができるか否かを確認するのです。これには、非常に専門的な知識が必要になりますし、それこそ申請するまでには、いくつもの段階を経て、企業を指導しながら、その企業独自の適正な計画を緻密に正確に積み上げていきます。

不適正な監理団体の場合

例えば、監理費の安い団体は、そもそも経費をかけないので、人材の確保はもちろん、その育成にも費用をかけません。やるべき仕事も端折ります。企業に確認することもなく、国が提示する「ひな形(モデル例)」をそのまま引用します。これなら、簡単です。本来、やらなくてはいけない企業への実地調査もしないので、時間も手間も極端に減りますし、知識もノウハウも不要です。

でも、こんなやり方では、存在しない設備・機械、製品や、その企業ではやらない作業(関連業務や周辺業務は、やる・やらないの選択権がある)まで、ひな形どおりというわけです。
ある水産加工会社さんは、「いわし」を材料のメインとした加工食品を製造していました。
ところが、仕入れたこともない材料や作ったこともない製品が、山ほど記載されていたのに、それこそ大事な「いわし」が記載されていない・・・・・ひな形はあくまでも例なのに、そのまま使用したので、ありえない計画になってしまったのです。
また、受入れる会社が違えば、同じ受入れ職種であっても、実習時間数や雇用条件やさまざまな書類が、それぞれ違うはずなのに、同じ書類を使いまわして手間を省くこともあります。

一番問題なのは、このような監理団体は「そもそも技術がわからない」ことも多いので、本来は、受け入れることができない企業に対して、実習生を受入れさせてしまったり、適正職種の受入れが可能であるにも関わらず、誤った職種で受け入れさせてしまったりするのです。 これらは、行政処分の対象(最悪の場合、企業名・代表者名を公表され、最低でも5年間の受入れ停止)になりますから、非常に危険なのです。

2.送出し機関との協定

送出し機関とは

実習生の母国で、実習生を海外に派遣する機関(ライセンスを所持)です。そもそも送出し機関は、海外に労働者を派遣して労働者から手数料を得るビジネスを行っています。
監理団体は送出し機関と協定し、その協定のもと、送出し機関は実習生を派遣し、監理団体傘下の会員企業である受入れ企業は、監理団体の監理・指導を受け、実習生を受入れることになります。
日本(政府)の場合は、技能実習生に必要以上に多額の派遣手数料を負担させないため、送出し機関に対して、受入れ企業から徴収する「送り出し管理費」というルールを認めています。

適正な送出し機関の場合

適正な送り出し管理費を主張します。送出し機関にとっては「継続的な収入」を見込めると同時に、実習生の日本在留中における継続的な責任も生じることになります。当然、トラブルの少ない適正な技能実習生を選抜しようとしますし、教育にも注力します。日本在留中の実習生への後方支援も怠りません。実習生を募集する力も必要ですから、派遣した実習生から次の候補者の紹介を得られるように、実習生に対しても、評判の良い適正運営を行おうとします。適正な監理団体は、適正な送出し機関と協定し、なれ合いやもたれ合いをせず、一定の距離と良い緊張関係を保ちます。

「送出し管理費0円」の怖さ

「送り出して終わり」を意味します。どんなに問題がある実習生であろうとも誰彼構わず、とにかく派遣して、実習生からは、とれるだけの多額の手数料をとって「後は知らない」ということがあります。

監理団体の監理費は安いのに、送出し管理費が高い!も注意

  • ・監理団体は、見た目の監理費の安さを売りにするため、送出し管理費から還流させていることがあります。派遣手数料を得るだけの「送って終わり」のビジネスをする送出し機関にとっては、監理団体に取引してもらうことが重要ですから、送出し管理費を放棄するのです。
  • ・ブローカーが暗躍していることがあります。送出し管理費が、母国の送出し機関には支払われず、日本にいるブローカーの収入になるのです。送出し機関は、名義を貸すことで派遣手数料を得ます。ブローカーは、お金が目当てなので、勝手に受入れ企業を開拓して監理団体に紐付け、例えば受入れ職種に合致していないとしても気にしません。
  • ・本来やるべき監理団体の仕事をブローカーにやらせていることがあります。ブローカーは、何か問題があれば、逃げ出します。ところが、監理団体は仕事をしていないし、母国の送出し機関は、名義を貸しているだけなので、何の対応もできません。当のブローカーは、また、違う送出し機関の名義を借り、不正行為を繰り返します。

いずれのケースも、監理団体と送出し機関が、それぞれが担うべき役割と責任を果たさず、不適正な関係にあります。被害を被るのは「企業」です。本来ならば、目的意識があり実習生としての資質に優れた「良い実習生」を選抜し受入れることが重要なのですが、監理団体も送出し機関も不適正であると、結果、行政処分の対象になってしまったり、失踪実習生を多発させることになったり、不良実習生を受入れたがために、実習どころではなく、常にトラブル対応に追われることになったりします。

野口かおる

技能実習生受入れコンサルタント
株式会社Kensyu.Net 代表取締役

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