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外国人の退職手続き 日本人との違い・注意点を解説

外国人が退職する際は、日本人と同じ手続きと外国人特有の手続きがあります。必要な各種の手続きは、届け出るタイミングや在留期限に合わせて手続きを進めるようにしましょう。

本記事では、外国人の退職手続きについて、日本人との違いや注意点などを解説します。

CONTENTS

  1. 1.外国人の退職手続き【日本人と同じ点】
  2. 2.外国人の退職手続き【日本人と異なる点】
  3. 3.外国人が退職してから帰国する場合の手続き
  4. 4.外国人の退職手続きの注意点
  5. 5.外国人の退職後のアルバイトについて
  6. 6.外国人が退職後、無職期間に気を付ける
  7. 7.まとめ

1.外国人の退職手続き【日本人と同じ点】

外国人が退職する場合、原則として日本人と同様の手続きを行います。しかし、外国人だからこそ必要な手続きもあります。まずは日本人と同じ退職手続きから確認します。

源泉徴収票の交付

日本人であれ外国人であれ、退職者の最後の給与額を算出したら、源泉徴収税額が確定します。企業の多くは、退職者の最後の給与の支給日前後に源泉徴収票を交付しています。源泉徴収票は所得税法により事業主に交付が義務付けられており、確定申告や転職先での年末調整に必要なため退職後1カ月以内に交付しなければなりません。

健康保険の被保険者証の回収

退職者の健康保険の被保険者証を退職日当日までに回収し、健康保険の手続きをします。被保険者証とは健康保険証のことを指し、退職後に既存の健康保険を利用してしまうのを防ぐために回収します。つまり退職者は、退職日の翌日から健康保険が利用できなくなります。

健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届の提出

退職後、5日以内に健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届を、事業所を管轄している年金事務所か健康保険組合まで提出する必要があります。

雇用保険の資格喪失手続き、離職票の交付

雇用保険の資格喪失手続きとして「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」‍を退職後10日以内にハローワークに提出します。提出後、ハローワークから送付される離職票は退職者に交付します。離職票は退職者が失業給付金(失業手当)を受けるために必要となります。
退職者が離職票を必要としない場合は離職証明書の提出は不要ですが、退職者によっては手続き完了後に離職票が必要になるケースもあるので、どちらも提出しておいた方が安心です。

手続きの際に必要となる書類は以下となります。
‍・雇用保険被保険者資格喪失届
・出勤簿またはタイムカード
・退職辞令発令書類
・労働者名簿
・賃金台帳
・離職理由が確認できる書類(退職届など)
・離職証明書(離職票が必要な場合)

なお、外国人退職者の場合、雇用保険被保険者資格喪失届は在留カード番号記載様式での提出が必須となります。記載事項は「事業所番号」「事業所名」「在留カード番号記載欄(個人別票の枝番号、被保険者番号、氏名、在留カード番号記載欄)」です。

住民税の手続き

住民税は、雇用する企業が給与から天引きして市区町村に納付する特別徴収が原則です。しかし、退職すると特別徴収ができなくなるため、市区町村に届け出る必要があります。届け出た後、市区町村から退職者に住民税の通知が郵送され、退職者が自分で住民税を納入します。

届け出る際に必要な提出書類は「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」で、提出先の市区町村は退職時の居住地となります。

2.外国人の退職手続き【日本人と異なる点】

外国人退職者に特有の手続きには、雇用していた会社が行うものと、外国人本人が行うものがあります。どちらも手続きに期限が設けられている場合がありますので注意しましょう。

会社が行う手続き

外国人退職者に特有の手続きには「外国人雇用状況の届出」と「退職証明書の交付」があります。

「外国人雇用状況の届出」は外国人退職者が「雇用保険の被保険者」の場合、1-4で解説した雇用保険被保険者資格喪失届で兼ねることができます(退職後10日以内に提出)。つまり外国人雇用状況を届け出る必要はありません。ただし、1-4で前述したように外国人労働者在留カード番号記載様式での提出は必要です。

外国人退職者が「雇用保険の被保険者とならない」場合に、「外国人雇用状況の届出」が必要になります。届出様式はハローワークの窓口で入手する以外に、厚生労働省のホームページからもダウンロードできます。

届出書に記載する内容は以下となります。
・氏名
・在留資格
・在留期間
・生年月日
・性別
・国籍、地域
・離職年月日
・離職に係る事業所の名称、所在地

提出は、勤務する事業所を管轄するハローワークへ退職月の翌月末日までに行います。

「退職証明書の交付」をするのは、外国人が転職する場合に必要となるからです。外国人が転職するとき、出入国在留管理庁に「在留資格変更許可申請」「在留期間更新許可申請」「就労資格証明書交付申請」といった在留資格の手続きを行います。これらの手続きの必要書類となるのが退職証明書です。

退職証明書に決まった様式はありませんが、一般的には以下の事項を記載します。
・退職年月日
・使用期間
・業務の種類
・事業における地位
・離職以前の賃金
・退職理由

これらのうち、退職者が記載を求めない事項については記載しません。また、退職証明書は「退職から◯日以内に交付しなければならない」といった規定はありませんが、労働基準法上「遅滞なく」交付しなければならないと定められています。

外国人本人が行う手続き

外国人本人が退職時に行う必要のある手続きは「所属機関に関する届出」「在留資格の更新・変更」「失業給付金(失業手当)の申請」があります。

「所属機関に関する届出」は、退職後14日以内に管轄の地方出入国在留管理官署に提出しなければなりません。

所属機関とは勤めていた会社を指し、届出事項は「活動機関から退職した年月」「退職した活動機関の名称及び所在地」です。退職する外国人がこの手続きを認識しておらず届け出なかった場合は、在留資格更新に支障が出ることもあるので、企業側がしっかり説明しておきましょう。

「在留資格の更新・変更」の「更新」とは在留期間更新許可申請で、転職予定なのに残りの在留期間が短くなっている場合に必要となります。「変更」は、転職後の職種が在留資格で許可されていない場合に行う在留資格変更許可申請です。なお、特定技能や特定活動46号など、職種の有無に関わらず、転職時に必ず在留資格変更許可申請をしなければならない在留資格もあります。

「失業給付金(失業手当)の申請」は、雇用保険の加入期間が12カ月以上である場合にハローワークで行います。つまり加入期間が12カ月に満たない場合は失業給付金の申請はできません。

なお、これらの手続きは、基本的には外国人本人が申請するものですが、雇用する企業が代理人として申請することも可能です。

3.外国人が退職してから帰国する場合の手続き

退職する外国人が母国に帰国する場合は、さまざまな手続きが必要です。日本人が退職する場合にはない、外国人特有の手続きになるので注意しましょう。

脱退一時金の手続き

国民年金および厚生年金は脱退一時金を請求できます。脱退一時金とは日本国籍を持っていない外国人が、老齢年金の受給資格10年を満たさずに帰国する場合に、納めた年金保険料の一部が返金支給される制度です。 なお、再来日して働く予定であれば、日本の年金受給資格を満たせる場合があるため脱退一時金を請求する必要はありません。

銀行口座の解約

銀行口座は帰国までに必ず解約しましょう。解約せずに10年以上(ゆうちょ銀行は5年以上)放置すると、預金は休眠預金となり利用できなくなる可能性があります。

ただし、携帯電話や公共料金、クレジットカードの利用料金がある場合は、引き落とし前に解約すると未払いになるので注意が必要です。

転出届の手続き

再び日本で暮らす予定がない場合は、居住する市区町村の役所に住民票の転出届の手続きをします。手続きには航空券など帰国日を証明する書類、在留カード、パスポートなどの身分証明書が必要です。

転出届を出さずに帰国すると、帰国後も住民税や年金、国民健康保険料などを請求されかねません。また、転出届の手続きと同時にマイナンバーカードの返却も行いましょう。

なお、住民票の転出届は、帰国する日の約2週間前から提出できます。

住民税の支払い

外国人が年度の途中で帰国しても1月1日時点での住民登録があれば、前年の所得に対して課税された住民税を納める義務があります。外国人が退職して帰国する場合は、残りの住民税を一括して給与や退職金から徴収できます。 なお、退職が1〜5月の場合は、希望の有無に関係なく一括徴収されます。 また、もしも帰国までに住民税を納めることが不可能な場合は、納税管理人(日本に居住する方)を選任し、残りの住民税を支払う必要があります。

生活全般に関する契約の解約

帰国する際は、住居や電気・水道などの生活全般に関する契約を解約する必要があります。

賃貸契約(住居)を解約する際は、退去日の1〜2カ月前に退去告知をするのが一般的なので、帰国の予定が立ち次第、直ちに管理会社に連絡しましょう。連絡が遅れると、住んでいなくても家賃を請求される場合があります。

また、電気・ガス・水道・携帯電話・インターネットなどを解約する場合は、それぞれのホームページや電話で手続きが可能です。

4.外国人の退職手続きの注意点

ここまで、外国人が退職する場合に必要な手続きなどについて解説してきましたが、あらためて外国人の退職手続きにおける注意点を確認します。

届出の期限を確認する

外国人が退職する際、雇用していた企業は、ハローワークへの「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出期限を守らなければなりません。提出期限は退職後10日以内となります。

また、外国人本人が行う「所属機関に関する届出」は、退職後14日以内に地方出入国在留管理官署へ提出しなければなりません。

外国人の退職後を確認する

なぜ外国人の退職後を確認するのかというと、外国人が新しい仕事に就いて在留資格に関する問題が起きた場合、以前の雇用主に対して入国管理局から問い合わせがある可能性が考えられるからです。外国人が転職したり、転職により職種が変わったりする場合は在留資格の変更手続きが必要ですが、在留資格の更新や変更の手続きを怠ることもありえます。そのようなトラブルがないよう、退職後の状況を確認することが大切です。

在留期限を確認する

日本で働くためには在留資格が必要です。逆にいえば、働いていなければ在留資格が取り消しとなります。自己都合での退職後は3カ月以上無職になると在留資格が無効になるので、その前に次の仕事に就くよう、アドバイスするといいでしょう。

5.外国人の退職後のアルバイトについて

退職後、外国人が保有する在留資格の活動範囲内であれば、アルバイトをすることは可能です。つまり、「技術・人文知識・国際業務」など専門性の高い業種での在留資格を持つ外国人が、コンビニの接客などのアルバイトをすることは活動範囲外となるため認められません。

ただし、会社都合での解雇などが理由の場合は資格外活動が認められる事例もあります。また、転職活動をする場合は在留資格「特定活動」に変更することで在留が認められる事例もあります。

6.外国人が退職後、無職期間に気を付ける

退職した外国人で、次の仕事が決まっているのであれば問題はありませんが、退職後に転職活動をする場合は、仕事を探す期間に注意が必要です。いつまでも転職活動しながら日本に在留することはできません。

退職後に無職期間が長い

外国人が退職したあと、在留資格の活動範囲内であればアルバイトをすることも可能ですが、フルタイムの仕事をしないままで日本に在留し続けることはできません。次の仕事に就かない限り、在留資格取り消しの対象となってしまいますので注意が必要です。

在留資格が取り消しになる

入国管理法では、継続して3カ月以上就労していない外国人に対して「在留資格取消制度」が定められています。もちろん、無職期間が3カ月以上経った場合に必ず在留資格が取り消されるわけではありませんが、無職期間が長くなればなるほど、次回の在留資格更新がスムーズに許可されない可能性があります。

7.まとめ

外国人が退職するときは、日本人と同様に手続きを進めます。しかし、雇用保険被保険者資格喪失届に在留資格や在留カード番号を記入するなど、外国人だからこそ必要な手続きもあります。日本人と外国人の退職手続きの違いを確認せず、届出に不備があると罰則などの対象になりかねませんので注意してください。

また、退職時に外国人自らが行う手続きもあります。外国人にとっては制度や手続き方法を理解することが難しい場合もあるので、そういった場合は企業側が手続きや退職後のことについてアドバイスし、不安なく次のステップに進めるようサポートしましょう。

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