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技能実習生は結婚して身分に基づく在留資格が取れるのか?

日本に在留する技能実習生の増加に伴い、日本人と結婚するケースも増えています。技能実習生をサポートする監理団体の方々は、技能実習生と国際結婚についてあらかじめ知っておくと良いでしょう。 本記事では、技能実習生が日本人と結婚する場合について解説していきます。

CONTENTS

  1. 1.技能実習制度とは
  2. 2.技能実習生が結婚して配偶者ビザを取得するハードル
  3. 3.技能実習生が結婚して配偶者ビザを取得する2つのルート
  4. 4.技能実習から配偶者ビザの申請方法の流れ
  5. 5.技能実習生の結婚で監理団体の対応について
  6. 6.まとめ

1.技能実習制度とは

開発途上国の経済発展を担う人材育成、および彼らを通じて日本の技能や技術を開発途上国へ移転することを目的とした国際貢献色の強い制度です。技能実習制度を利用し、技能実習生として来日する外国人には在留資格「技能実習」が与えられます。「技能実習」は87職種159作業(2022年4月25日時点)と幅広いジャンル職種が対象となりますが、企業側の受け入れ可能人数は一般企業で9人、優良企業で24人(継続的な受け入れで最大36人)までに制限されます。

技能実習生は3年ないし5年間の技能実習期間は就業できますが、人材育成や技術移転を目的とする制度の趣旨から転職は基本的に認められていません。雇い入れた会社都合による他企業への転籍、もしくは技能実習2号から3号への切り替え時に限り転職できます。

また、在留資格の変更は原則行えませんが「技能実習2号または3号を良好に修了していること」「技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められること」の2つの条件を満たしている場合は「特定技能1号」に移行することが認められます。

2.技能実習生が結婚して配偶者ビザを取得するハードル

「技能実習」で来日する外国人は制度が発足して以降増加し、厚生労働省の発表によれば2022年10月末には34万3254人が技能実習生として滞在しています。これだけ多くの方が一定の期間日本に滞在することで、日本人と結婚するというケースも増えています。 外国人が日本人と結婚した場合、身分に基づく在留資格「日本人の配偶者等」の取得要件を満たすことになりますが、在留資格を変更するにはいくつかのハードルが存在します。

2-1.技能実習制度の趣旨にそぐわない

技能実習制度の目的は先述の通り、日本での実習を通じて技術や知識などを学び、その後は出身国で活躍してもらうことです。つまり、そもそも技術や知識を身につけた後は帰国するというのが前提の制度となります。そのため、在留資格「技能実習」を「日本人の配偶者等」に変更して日本に滞在するというのは制度の目的と一致しておらず、認められていないのです。

2-2.申請時の審査が厳しくなる

技能実習中の在留資格変更、もしくは技能実習後に在留資格を変更して日本に残るというのは出入国在留管理庁が滞在を許可した当初の目的と異なるため、変更申請時の審査はより厳しくなり、難しいとされます。また、昨今は過酷な労働環境下にある技能実習生の逃亡が問題になっていますが、現在の労働環境から逃げたいがための偽装が疑われる可能性もありますので、慎重に行うほうが良いでしょう。

2-3.監理団体からの婚姻許可書が必要になる

技能実習生は監理団体を経由して在留資格を取得し、実習を目的に来日していることから、在留資格を変更する場合には監理団体の同意書の提出が必要です。しかし、監理団体のなかには技術移転という本来の目的達成が難しくなってしまうことを防ぐために、技能実習生の婚姻を禁止しているところもあります。この場合ですが、出入国在留管理庁の審査では技能実習計画が頓挫してしまった理由も重視される項目となりますので、同意書を得られない場合、在留資格変更は困難と言わざるを得ません。

3.技能実習生が結婚して配偶者ビザを取得する2つのルート

では、技能実習生は国際結婚をしても在留資格を変更することができないのかといえば、決してそういうわけではありません。きちんと正規の手続きを踏めば、「技能実習」から「日本人の配偶者等」へと在留資格を変更することができます。ここでは技能実習生が在留資格を変更する方法と注意点を解説します。

3-1.いったん帰国して在留資格認定証明書交付申請をする

一つは、技能実習生が一度帰国し、在留資格認定証明書交付申請を行う方法です。この場合は、国際婚姻の手続き完了後に在留資格認定証明書交付申請します。申請後、出入国在留管理庁による1カ月〜2カ月程度の審査期間を経て在留資格の変更が認められれば、在留資格が「技能実習」から「日本人の配偶者等」に変更され、身分に基づく在留資格で来日することができます。

3-2.そのまま在留しながら在留資格変更申請をする

もう一つは、日本に滞在したまま、在留資格変更許可申請を行う方法です。ただし、在留資格変更許可申請は日本の婚姻手続きが完了しないと提出することができませんので、技能実習生の出身国に婚姻届の提出書類を発行してもらう必要があります。親族が代わって手続きを行い郵送してもらえれば良いですが、国によっては本人が直接手続きをしないと発行されないケースもあり、結局は帰国しなければいけない可能性があります。

4.技能実習から配偶者ビザの申請方法の流れ

それでは実際に在留資格を変更するためには、どのようなステップが必要になるのでしょうか。技能実習生が帰国する場合(在留資格認定証明書交付申請)と帰国しない場合(在留資格変更許可申請)、それぞれのケースにおける一般的な流れを解説します。

4-1.帰国する場合の申請フロー

ステップ1:必要書類の準備

日本人が相手国で婚姻手続きを行って婚姻証明書を発行してもらうか、結婚相手から婚姻届に必要な書類を郵送してもらいます。

ステップ2:婚姻届の提出

日本人が日本で婚姻届を提出します。この時、婚姻届に必要な書類を郵送してもらっていた場合は、結婚相手に婚姻届受理証明書を発送して相手国で結婚報告の手続きをしてもらう必要があります。

ステップ3:在留資格認定証明書の交付申請

居住予定地・受入機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署に在留資格認定証明書交付申請を行います。

ステップ4:在留資格の取得

交付された在留資格認定証明書を結婚相手に送り、在留資格を取得します。

ステップ5:来日

結婚相手が日本に入国し、住民登録を行います。

4-2.帰国しない場合の申請フロー

ステップ1:必要書類の準備

相手国から婚姻届に必要な証明書類を取り寄せます。

ステップ2:婚姻届の提出

日本で婚姻届を提出します。

ステップ3:婚姻届受理証明書の発送

相手国に婚姻届受理証明書を発送し、代理人(親族など)に結婚報告の手続きをしてもらいます。

ステップ4:在留資格変更の許可申請

住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に、在留資格変更許可申請を行います。

ステップ5:在留カードの発行

在留資格の変更が認められれば、新しい在留カードが発行されます。

5.技能実習生の結婚で監理団体の対応について

技能実習生の結婚にあたっては、同意書の発行など監理団体にも対応が求められます。結婚すること自体は技能実習生であっても当然に有している権利ですが、本来の技能実習制度の趣旨から外れていることに加えて、技能実習生の運用に支障が出る恐れがあります。そのため、監理団体にはそれらを踏まえた上で慎重な対応が求められるのです。

6.まとめ

技能実習生が結婚によって在留資格を変更することはハードルが高いとはいえ、不可能ではありません。また、彼らをサポートする監理団体においても対応が求められることから、決して他人事では済まされない問題です。技能実習生から結婚の相談があった際に適切な対応ができるよう、今から知識を備えておくようにしましょう。

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