飲食業で外国人従業員を採用するメリットと注意点
2023.09.26
人手不足が深刻化している飲食業界では、他の産業と同様に外国人従業員の受け入れが拡大しています。 本記事では、飲食業で外国人従業員を採用するメリットや注意点などを解説していきます。
CONTENTS
- 1.飲食業の外国人採用の動向
- 2.飲食業で外国人従業員を採用するメリット
- 3.飲食業で外国人従業員が従事できる仕事と在留資格
- 4.飲食業での外国人従業員採用の注意点
- 5.外国人採用とシニア層やIT導入も検討する
- 6.まとめ
1.飲食業の外国人採用の動向
飲食業界はコロナ禍から回復し、売上が伸びてきています。一方で新たな問題となっているのが人材不足です。コロナ禍での営業規制や休業により、解雇したアルバイト・パートタイマーが募集を再開しても戻ってこないのが現状です。
もともと飲食業界は従業員の定着率が悪いと言われており、その理由は立ち仕事での長時間労働やアルバイトでも店長や社員と同じような業務量、責任が伴うことに起因しています。そのため、飲食業界に人が集まりにくいのですが、逆にいえば日本人の代わりに外国人が就労するチャンスとも言えます。
2.飲食業で外国人従業員を採用するメリット
飲食業界で外国人を雇用するメリットは、人材不足を補うだけではありません。コロナの収束とともに増える外国人旅行客に対応できるなど、インバウンド需要を取りこぼさないためにも積極的に外国人の採用を検討すべきと言えます。
2-1.外国人客に対応できる
SNSなどの影響により、現在、訪日外国人は居酒屋やラーメン店など、あらゆる飲食店で食事を楽しんでいます。英語や中国語などの言葉で対応できるスタッフがいれば、サービスに支障が出ることも少なく、また、不要なトラブルを未然に防ぐことができます。
2-2.日本人スタッフの向上心に繋がる
訪日外国人に対して、たどたどしい外国語でしかサービスを提供できなかった日本人からすれば、外国人従業員は、外国語を教えてくれる存在でもあります。また、日頃から外国人従業員とともに働くことで「外国人慣れ」し、コミュニケーションも自然に取れるようになるといったメリットがあります。
2-3.若い労働力を確保できる
日本で働く外国人は、20代〜30代の比較的若い年齢層が多いという特徴があります。また、日本語能力や日本語を学ぶ意欲が高い人材が多いので、外国人従業員を採用することは、若く優秀な人材を確保することにつながります。
3.飲食業で外国人従業員が従事できる仕事と在留資格
飲食業で外国人を採用するメリットについて説明しましたが、実際に採用するためには外国人それぞれが取得している在留資格を確認しなければなりません。在留資格により、従事できる業務範囲が異なるので注意が必要です。
3-1.技術・人文知識・国際業務
大学などで学んだ知識や業務経験を生かすことで就労できる在留資格が「技術・人文知識・国際業務」です。学歴・職歴が問われる上、単純労働では雇用できません。つまり、調理やホール、清掃などの業務に就くことはできませんが、マネージャーなどの管理職や本社スタッフなどで雇用することは可能です。
3-2.技能
単純労働以外の熟練した技術を生かすことで就労できる在留資格が「技能」です。「産業上の特殊な分野」の知識と実務経験のある外国人が対象で、飲食業界では「調理師」にあたります。「技能」を取得した、本国で調理の実務経験が10年以上ある外国人であれば、調理師としての雇用が可能です。なお、調理補助、掃除などの業務に就かせることはできません。
3-3.特定技能
人手不足の特定産業12分野で就労できる在留資格が「特定技能」です。単純労働や幅広い業務で雇用でき、飲食業の場合、調理や接客はもちろんのこと、店舗管理や原材料の仕入れ、配達などの仕事全般が対象となります。ただし「特定技能」の取得には、日本語能力試験と技能試験に合格することが求められます。
4.飲食業での外国人従業員採用の注意点
外国人従業員を雇用する場合は、労働条件を日本人と同様にした上で、いかにコミュニケーションを取りながら日本での仕事、職場になじんでもらえるかが大切です。ここでは、実際に外国人従業員を雇用する場合をイメージしながら、その注意点について解説します。
4-1.適切な勤務条件
外国人従業員にも日本人と同様の労働関係法令が適用されます。正社員であれば健康保険、厚生年金保険、雇用保険の被保険者となりますので適切に申請しましょう。アルバイト・パートタイマーも日本人と同様で、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上の場合、健康保険と厚生年金保険に加入する必要があります。
4-2.在留資格の確認
日本で外国人が働くための在留資格について、すでに「技能」や「特定技能」などについて触れましたが、他にも「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格を取得している外国人であれば、日本人と同様にどのような雇用形態・職種でも就労できます。逆に就労できない在留資格は「文化活動」「短期滞在」「研修」「家族滞在」「留学」ですが、「留学」に限っては「資格外活動の許可」を受けていれば一定の条件(週の労働時間の制限)で雇用できます。
また、外国人の雇用は日本人の雇用手続きと異なり、在留資格の種類によって手続き書類も煩雑なので注意しましょう。
4-3.異文化への理解
日本語能力が高い外国人従業員だとしても、日本の文化や習慣に精通しているとは限りません。日本についての理解を深めてもらうと同時に、雇用者や日本人従業員も外国人従業員の母国の文化への理解が必要です。宗教上の決まりごとやゴミを分別するルールがないなど、その国ごとに特徴があります。それぞれの国の文化や風習への理解を深めれば、離職やトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
4-4.接客マナーの教育
日本には日本語をもとにした接客マナーがあります。例えばお客様には「様」をつけて呼ぶのが当たり前であり、他にも接客ならではの敬語表現があります。日本人従業員でも間違った使い方をしてしまう場合があるので、母国語でのマニュアルを用意するなど、しっかりとマナーを学んでもらうことが大切です。5.外国人採用とシニア層やIT導入も検討する
飲食業界の人材不足への対応策の一つが積極的な外国人採用です。しかし、それでも人材が足りない、集まらないという場合はシニア層の雇用も検討しましょう。近年ではシニア専用の求人サイトもあり、60代以上の人材を社会で活用する機運が高まっています。長時間労働には不向きかもしれませんが、仕込みや清掃といった業務内容や時間で区切ることでシニア層に活躍してもらうことも可能です。
また、ITの導入も人材不足対策に欠かせません。コロナ禍以降、非接触のタブレット注文やネット予約が当たり前になったことから、配膳ロボットなどもさらに普及していくことが予想されます。積極的にシステムやIT機器を導入することが従業員の負担を軽減し、離職率低減にもつながります。
6.まとめ
飲食業界の人材不足は深刻な問題となっています。その一方で、コロナ禍以降に復活したインバウンド需要はますます大きくなるでしょう。飲食業界での外国人雇用は、人材の補充だけでなく、訪日外国人に対応できる即戦力としても期待できます。外国人の雇用手続きや入管法についての知識を深め、外国人従業員の採用を考えていきましょう。
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