技術・人文知識 ・国際業務で就ける業務は?取得要件・申請方法を解説
2024.01.15
技術・人文知識・国際業務は、日本で働くことができる就労ビザのひとつです。自然科学・人文科学・外国文化の各分野の専門知識を持つ外国人を雇用することができます。
ホテルのフロント業務や事務職、エンジニア等の職種で雇用できる在留資格です。
本記事では、技術・人文知識・国際業務で従事できる仕事、取得要件や申請方法などを解説します。
CONTENTS
- 技術・人文知識 ・国際業務とは
- 技術・人文知識 ・国際業務の要件
- 技術・人文知識 ・国際業務で従事できる業務
- 留学生から技術・人文知識 ・国際業務へ変更できる
- 技術・人文知識 ・国際業務の申請方法
- 技術・人文知識 ・国際業務の必要書類
- 技術・人文知識 ・国際業務を取得する際の注意点
- 技術・人文知識 ・国際業務を許可・不許可事例
- 【不許可事例】日本の大学を卒業した留学生の場合
- まとめ
技術・人文知識 ・国際業務とは
自然科学や人文科学分野の専門技術、外国の文化等が必要な業務に従事できる在留資格です。それぞれの分野で高度な知識やスキルを必要とするため、大卒程度の学歴が必要です。通称「技人国ビザ」と言われています。在留期間は、5年、3年、1年3カ月です。
技術・人文知識 ・国際業務の要件
技術・人文知識・国際業務の取得要件について解説します。外国人本人と企業側について分けて確認していきましょう。
外国人本人の要件
外国人の学歴については、日本の大学卒に相当することを証明する必要があります。
日本国内・海外の大学、または短期大学の卒業、もしくは日本国内の専門学校卒業以上の学歴 が必要です。
ただし、「国際業務」に関わる業務で実務経験が3年以上ある場合、または「技術」「人文知識」に関わる実務経験が10年以上の場合は、学歴は問われません。
企業の要件
技術・人文知識・国際業務の在留資格の外国人を受け入れる企業は、会社の経営状況について審査されます。審査の方法については、提出書類で判定されます。
また、雇用する外国人に対して、日本人と同等の給与を払うことも必要です。外国人も同一労働同一賃金が適用されますので注意してください。
技術・人文知識 ・国際業務で従事できる業務
では、技術・人文知識・国際業務の在留資格で外国人が従事できる業務内容について解説します。各分野で従事できる業務は以下の通りです。
注意点は、専門知識や実務経験があることが必須です。単純労働を主とした業務に従事することはできません。
● 技術分野:機械工学の技術者、システムエンジニア、プログラマー、情報セキュリティー技術者など
● 人文知識分野:企画、営業、経理、人事、法務、総務、コンサルティング、広報、マーケティング、商品開発など
● 国際業務分野:通訳、翻訳、デザイナー、貿易、語学講師、通訳が主業務のホテル業務など
技術・人文知識・国際業務のホテル宿泊業での業務内容
人手不足の問題は、業界を問わず深刻な状況ですが、特に人材確保に奮闘しているホテル・宿泊業界では、外国人スタッフの採用を積極的に進めています。
ホテル・宿泊業では、技術・人文知識・国際業務で外国人を雇用することが可能です。
業務内容については、主にフロント業務、事務・営業職が該当します。
具体的な業務範囲は以下を参考にしてください
フロント業務
・外国語を用いたフロント業務
・外国人観光客担当のホテル内の施設案内
・外国人観光客からの要望に対応
事務や営業職
・集客拡大のための本国旅行会社との交渉での通訳・翻訳
・従業員に対する外国語指導
・外国人観光客向けの宣伝媒体作成
・集客拡大のためのマーケティングリサーチ
・宿泊プランの企画立案
・外国語版ホームペ-ジの作成
・館内案内の多言語表示への対応のための翻訳など
・レストランのコンセプトデザイン
・宣伝・広報に係る業務
注意点として、ホテル・宿泊業で、技術・人文知識・国際業務の外国人を雇用する場合は、単純労働での採用はできません。単純労働で人材を確保したい場合は、在留資格「特定技能」が該当します。特定技能外国人の場合は、ベッドメイキング、清掃、レストランサービス業務(配膳・片付け)など、業務範囲が異なります。
留学生から技術・人文知識 ・国際業務へ変更できる
日本に留学している学生が卒業後に技術・人文知識 ・国際業務へ在留資格の変更を行うケースもあります。留学生を新卒で採用する場合、高い日本語レベルが期待できるため、人材の争奪が激しくなる傾向です。
留学生から技術・人文知識 ・国際業務へ変更する要件については、まず自社業務との整合性と学歴を確認しましょう。
学歴については「外国で短大や大学等日本の学士相当の学位を取得している」または「日本の専門学校や短大、大学等を卒業している」ことをチェックしてください。
また、在留資格変更の時期については、4月入社であれば、前年の12月から在留資格変更の申請ができます。9月入社の場合は、5月から在留資格変更の申請ができます。
技術・人文知識 ・国際業務の申請方法
技術・人文知識・国際業務の在留資格を申請する方法を解説します。
外国人が海外在住者または日本在留者によって申請方法が異なります。それぞれ分けて確認しましょう。
海外から採用する場合
企業が外国人と雇用契約を締結して、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
交付された「在留資格認定証明書」を海外にいる外国人本人に送付します。
外国人本人は、海外にある日本大使館で査証(ビザ)を受給し、日本入国で就労開始となります。
在留外国人から採用する場合
企業が外国人と雇用契約を締結して、「在留資格変更許可申請」を行います。
外国人が現在取得している在留資格から変更手続きが完了したら就労開始となります。
技術・人文知識 ・国際業務の必要書類
技術・人文知識・国際業務の在留資格を申請する際は、必要書類を準備しましょう。
必要書類は、企業のカテゴリーによって異なります。
企業カテゴリーとは、簡単に言うと企業の規模等を示すものです。カテゴリー1〜4までに分類されて該当する書類を準備するようになります。
全カテゴリーに共通する書類は以下の通りです。● 在留資格認定証明書交付申請書
● 申請人の写真
● 専門士または高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書
● 労働条件通知書/雇用契約書
上記以外に「カテゴリー1」「カテゴリー2」「カテゴリー3」「カテゴリー4」それぞれの書類については、以下の通りです。
● 専門士または高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書
● 労働条件通知書/雇用契約書
技術・人文知識 ・国際業務を取得する際の注意点
技術・人文知識 ・国際業務を取得する際は、以下のポイントに注意しましょう。
学歴・職務経験と業務内容の関連性
提出書類は、外国人の学歴・職歴とこれから従事する業務内容との関連性を判断するために必要です。関連性が認められない場合は不許可になる可能性は高くなります。書類については「成績証明書」「在職証明書」など、カテゴリーごとに提出が必要になります。
外国人の素行
技術・人文知識 ・国際業務の審査では、外国人の素行が善良であることが求められます。日本国内での犯罪歴や、不法就労の前科など、また本国での犯罪歴も厳しく審査されます。
雇用理由を明確にする
技術・人文知識・国際業務を申請する場合、提出書類として雇用理由書が必要になります。
書式は自由ですが、審査官が納得いくような説明がわかりやすく書かれていることが重要です。
技術・人文知識 ・国際業務を許可・不許可事例
出入国在留管理庁の公表している技術・人文知識 ・国際業務の審査における許可・不許可事例について紹介します。
【許可事例】日本の大学を卒業した留学生の場合
・工学部を卒業した者が、電機製品の製造を業務内容とする企業との契約に基づき、技術開発業務に従事するもの。
・経営学部を卒業した者が、コンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき、翻訳・通訳に関する業務に従事するもの。
・教育学部を卒業した者が、語学指導を業務内容とする企業との契約に基づき、英会話講師業務に従事するもの。
・経済学部を卒業した者が、ソフトフェア開発会社との契約に基づき、システムエンジニアとして稼働するもの。
【不許可事例】日本の大学を卒業した留学生の場合
・経済学部を卒業した者から、会計事務所との契約に基づき、会計事務に従事するとして申請があったが、当該事務所の所在地には会計事務所ではなく料理店があったことから,そのことについて説明を求めたものの、明確な説明がなされなかったため、当該事務所が実態のあるものとは認められず、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動を行うものとは認められないことから不許可となったもの。
・教育学部を卒業した者から,弁当の製造・販売業務を行っている企業との契約に基づき現場作業員として採用され、弁当加工工場において弁当の箱詰め作業に従事するとして申請があったが、当該業務は人文科学の分野に属する知識を必要とするものとは認められず、「技術・人文知識・国際業務」の該当性が認められないため不許可となったもの。
・工学部を卒業した者から、コンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,月額13万5千円の報酬を受けて、エンジニア業務に従事するとして申請があったが、申請人と同時に採用され、同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額18万円であることが判明したことから、報酬について日本人と同等額以上であると認められず不許可となったもの。
・商学部を卒業した者から、貿易業務・海外業務を行っている企業との契約に基づき、海外取引業務に従事するとして申請があったが、申請人は「留学」の在留資格で在留中、1年以上継続して月200時間以上アルバイトとして稼働していたことが今次申請において明らかとなり、資格外活動許可の範囲を大きく超えて稼働していたことから、その在留状況が良好であるとは認められず、不許可となったもの。
まとめ
外国人を雇用する際に、高度な専門知識や経験のある外国人を雇用する際は、技術・人文知識 ・国際業務の在留資格を活用できます。
技術・人文知識 ・国際業務を申請する際は、企業ごとにカテゴリーが異なり、必要書類も異なりますので、手続きを行う際は専門のプロに相談しながら進めていくと良いでしょう。
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