海外人材Times

外国人労働者の雇用・採用WEBメディア

検索
海外人材Times

外国人インターンシップを採用する際のメリットと注意点

外国人雇用においてインターンシップ制度を利用した企業が増加しています。外国人インターン生として受け入れた場合、どんなメリットがあるのでしょうか。また、どんなことに注意したらいいのでしょうか。

本記事では、外国人インターンシップについて解説していきます。

CONTENTS

  1. 1.外国人インターンシップとは
  2. 2.インターンシップのメリット
  3. 3.インターンシップで気をつけるポイント
  4. 4.インターンシップで受け入れ可能な在留資格
  5. 5.インターンから正社員登用するには?
  6. 6.まとめ

1.外国人インターンシップとは

外国人インターンシップは、外国人学生が日本の企業で一定期間の就業体験をする制度のことです。海外の大学などから学生を呼び寄せる場合と、日本に来ている留学生を受け入れる場合の2つのパターンが存在します。

学生は企業で実際に就業しますが、あくまで大学や短大における教育課程の一部として実施されます。そのため報酬は有償でも無償でも問題なく、金額についても規定はありません。

以下に具体的な受け入れ方法を解説します。

海外の大学から受け入れる場合

海外の大学と日本の企業で契約を結び、授業の一環として学生を日本に呼び寄せます。卒業後、学位(学士または短期大学士以上)が授与される教育課程にある学生のみが対象です。

さらに、報酬を支払う場合は学生に「特定活動」の在留資格を取得してもらう必要があります。また「包括的な資格外活動許可(1週につき28時間以内の場合)」や「1週につき28時間を超える資格外活動許可」を得る必要もあります。

海外の大学と日本企業との協定が必須であり、ややハードルの高い方法と言えるかもしれません。一流大学を卒業する予定の「高度人材」と言われる学生が対象となることが多く、プログラマーやエンジニアなどの技術職が多く見られます。

日本の大学から受け入れる場合

日本に来ている外国人留学生をインターンシップとして受け入れる方法です。学生が「留学」の在留資格を有していることが条件。日本語がある程度でき、社会常識なども理解しているため、外国人雇用が初めての企業でもスムーズに受け入れることが可能です。

外国人労働者を採用する予定のある企業が、社内の受け入れ体制を醸成する目的でインターンシップを活用する例も見られます。

2.インターンシップのメリット

外国人インターンシップを受け入れることは、学生だけでなく企業側にも大きなメリットが期待できます。以下がその代表的なメリットです。

学生の日本語能力が高い

日本でのインターンシップを希望する外国人大学生は、少なからず日本語を学んでいる人がほとんどです。留学生を対象とする場合はもちろん、海外の大学から呼び寄せるケースでも「日本語や日本文化に興味を持っているから、日本でのインターンシップを希望する」学生が多いのです。また、日本語学科専攻の学生に、日本でのインターンシップを推奨している学校もあります。

日本に興味があり、日本語が理解できる学生ならコミュニケーションが取りやすいのは当然。企業側は安心してインターンを受け入れられます。

やる気のある学生が見つかる

仕事に対して意欲的に取り組む学生が多いことも、インターンシップを受け入れるメリットの一つです。学生にとって、インターンシップは教育課程の一環。就業時の評価は企業から大学側へ報告され、大学の単位に影響します。また海外の大学ではインターンシップが卒業単位になることも少なくありません。

そうした背景から、学生はインターンシップに対して真面目に取り組む必要があります。契約期間の途中で辞めてしまう心配も少ないでしょう。

採用ミスマッチを防止できる

外国人学生、特に海外の大学から呼び寄せた学生にとってインターンシップは必ずしも就職活動と連続するものではないかもしれませんが、良い人材と出会えた場合は企業にとってチャンスです。

インターンシップ中に「ぜひ自社で働いてもらいたい」という学生に出会い、さらに学生本人も日本の企業で働くことを希望している場合は、正社員として迎え入れる機会が生まれます。

インターンシップを通して学生は企業の労働環境や雰囲気を理解でき、企業側も学生の能力や適性が分かるため、採用後のミスマッチを防ぐことができます。

社内活性化につながる

日本とは異なる文化や慣習の中で育ってきた外国人は、当然ながら日本人とは異なる価値観を持っています。そのような外国人大学生のインターンとともに働くことで、日本人社員が刺激を受ける効果が期待できるでしょう。

新しい角度から物事を見られるようになり、「彼らに負けないよう頑張ろう」と社内の雰囲気が活性化するかもしれません。

3.インターンシップで気をつけるポイント

インターンシップを受け入れる際に、気を付けたいポイントは何でしょうか?
外国人労働者を迎える際と共通する部分もあります。

単純作業ばかりは不適切

インターンシップはあくまで学業の一環なので、学生の専攻内容と就業内容には関連性が求められます。労働力の確保を目的にしてはいけません。

例えば日本語を専攻している学生に、日本語を使用する必要がない単純作業などをひたすらさせてはいけません。インターン生が日本語を使用できる業務を担当させるようにしましょう。

契約は最長1年

インターンシップで学生が日本に滞在できるのは最長1年と定められています。ただし、「通算して大学の修業年限の2分の1を超えない期間内」で更新することは可能です。例えば四年制大学の学生であれば、1年滞在した後に一度帰国し、再度来日することで最大で合計2年滞在することができます。

習慣・文化の違いがある

迎え入れるのは日本とは異なる環境で育ってきた外国人、ましてインターンシップ生はまだ社会で働いたことのない学生です。習慣や文化の違いから、日本の常識で考えると不適当だと思う行動をしてしまうことがあるかもしれません。

異なる文化や慣習を知ることは彼らにとって大きな学びとなります。日本人の価値観を相手に押し付けすぎず、丁寧なコミュニケーションを図っていきましょう。

在留資格をチェックする

外国人大学生がインターンシップのために日本へ滞在する際、報酬の有無や日本での滞在期間によって学生が取得する在留資格は変わります(詳細は下記をご参照ください)。

参考:出入国在留管理庁「インターンシップに関する在留資格等」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001401822.pdf

在留資格の申請や更新、管理は企業側の責任です。期間や就業時間が規定を超えないよう、正しく管理しましょう。

社会保険加入の義務について

インターンシップでもアルバイトやパートタイマーと同様に、「1週の所定労働時間」および「1カ月の所定労働日数」が正社員の4分の3以上ある場合には社会保険加入の対象となります。公的な保険が適用されない場合でも、就業内容によっては民間の保険を活用してリスクをカバーすることが必要になるでしょう。

4.インターンシップで受け入れ可能な在留資格

外国人インターンシップで受け入れることが可能な在留資格を説明します。下表のとおり、現在の状況や報酬の有無、従事する時間や期間によって必要な在留資格や許可が異なるため、受け入れ予定の学生に合わせて要件を確認してください。


特定活動9号

特定活動は、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行う場合に許可される在留資格です。在留期間は、5年、3年、1年、6月、3月のほか、5年を超えない範囲で法務大臣が個々に指定する期間になります。

インターンシップは特定活動の告示9号に該当し、海外の大学に在籍中の学生が報酬を得てインターンシップに参加する制度です。通称「インターンシップビザ」と呼ばれているのがこの特定活動9号に当たります。

インターンシップ期間が1年を超えない、かつ、通算して大学の修業年限の2分の1を超えない期間であることが必要です。また、当該インターンシップが大学の単位の認定対象になることも要件の一つになっています。

特定活動12号(サマージョブ)

サマージョブとは特定活動12号に該当し、海外の大学に在籍中の学生が夏季休暇などを利用して日本企業で働いて報酬を得る制度です。「サマージョブ」という名称ではあるものの、夏季休暇に限定はされておらず、長期の休暇であれば利用可能となっています。

特定活動9号のインターンシップとの違いはインターンシップ期間で、期間が3カ月を超えない場合はサマージョブになります。また、特定活動9号と違って大学の単位取得も要件ではありません。

文化活動(90日以上)

文化活動で許可されている活動内容は、収入を伴わない以下の活動です。

  • 日本特有の文化・芸妓の研究
  • 専門家の指導を通じた修得
  • 学術上の活動、芸術上の活動

例えば、日本文化の研究者などが該当します。在留期間は3年、1年、6月または3月です。

海外の大学に在籍中の学生が報酬を得ずにインターンシップに参加する場合で、インターンシップ期間が90日を超えるときは、在留資格「文化活動」の取得が必要です。

ただし、中長期のインターンシップが無償で行われることはほとんどないため、実務上はインターンシップで文化活動許可は下りないと考えておいたほうがいいでしょう。

短期滞在(90日以内)

在留資格「短期滞在」は、名称のとおり日本に短期間滞在して観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習または会合への参加、業務連絡、その他これらに類似する活動を行う場合に認められます。在留期間は90日、30日または15日以内です。

海外の大学に在籍中の学生が報酬を得ずにインターンシップに参加する場合で、インターンシップの期間が90日以下の場合は、この短期滞在を取得します。
なお、短期滞在の在留資格は、出入国在留管理局への申請ではなく、母国の日本大使館に査証申請を行います。他の在留資格の申請方法とは異なるので注意してください。

留学

留学によってすでに日本にいる学生がインターンシップに参加する場合、インターンシップに従事する時間が週に28時間を超えるかどうかで許可の種類が変わります。

在留資格「留学」は大学などの教育機関で教育を受けることが本来の活動目的であるため、インターンシップという資格外活動の許可を受けるには、本来の活動目的を阻害しない範囲の時間でインターンシップに従事しないといけません。そのため、インターンシップの期間や時間によって、審査の内容を変えています。

●インターンシップに従事する時間が週に28時間以内(大学の長期休暇中は1日8時間以内)

資格外活動の包括許可を受けることでインターンシップに従事できます。なお、アルバイトなどですでに資格外活動の包括許可を得ている留学生は、インターンシップに際して改めて当該許可を受ける必要はありません。

●インターンシップに従事する時間が週に28時間超(大学の長期休暇中を除く)

資格外活動の個別許可が必要です。個別許可は、インターンシップ先企業との契約内容や研修内容・時間などから総合的に判断されて可否が決まります。すでに包括許可を得ていたとしても、従事する時間が週に28時間を超える場合には、別途個別に許可を得なければなりません。

個別許可の申請となる留学生の要件は以下のとおりです。

  • 大学(短期大学を除く)に在籍し、インターンシップを行う年度末で修業年度が終わること、かつ、卒業に必要な単位をほぼ取得していること
  • 大学院に在籍し、インターンシップを行う年度末で修業年度が終わること

ただし、上記要件に該当しなくても、単位を取得するために必要な実習など、専攻科目と密接な関係がある場合には個別許可を受けることができます。個別許可の前提は、就職活動の一環としてインターンシップを行うことにあるため、大学で習得した専門知識・専攻科目とインターンシップの活動内容に関連性がないと認められません。

なお、特定活動の「継続就職活動」や「就職内定者」の在留資格を持っている人がインターンシップを行う場合も、資格外活動の個別許可が必要になります。

5.インターンから正社員登用するには?

インターンシップを通して魅力的な学生と出会ったら、正社員として自社に迎え入れたいと考えるのが当然でしょう。正社員登用する際の注意点を解説します。

自社業務と整合性のある就労ビザを取得する

インターンシップで採用した外国人大学生を社員として採用する場合、新たに就労可能な在留資格を取得してもらう必要があります。雇用先での仕事の内容によって申請すべき在留資格は異なります。また学生が大学や短大、大学院を卒業してからでないと取得できない在留資格もあるので、卒業時期をよく確認した上で適切な在留資格を申請しましょう。

インターンシップ=就職とは限らない

日本ではインターンシップを就職活動の一環と考える傾向にありますが、海外では必ずしもそうとは限りません。特に海外の大学生にとって「インターンシップ=授業の一環」という意識が強く、インターンシップ先の企業に就職する例はむしろ少数派です。 学生本人と話し合い、日本に留まる意思があるか自社に就職する意思があるか、よく確認することが大切になります。

6.まとめ

外国人学生のインターンシップ受け入れは、企業にとっても、学生にとっても大きなメリットがあります。インターンシップを通して若くて優秀な人材を確保できる可能性はもちろんありますが、それだけを目的とせず、互いの学びを得る機会と考える姿勢も大切です。

ぜひ本記事で紹介した内容を参考にしながら、外国人学生のインターンシップ受け入れを検討されてみてはいかがでしょうか。

外国人採用に関するオンライン無料相談やってます!

  • 雇用が初めてなのですが、私たちの業務で採用ができますか?
  • 外国人雇用の際に通訳を用意する必要はありますか?
  • 採用する際に私たちの業務だとどのビザになりますか?
  • 外国人の採用で期待できる効果はなんですか?

上記に当てはまる企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

× 教えてタイムスくんバナー画像