【比較】外国人雇用で知りたい「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」
2023.12.12
はじめに
「特定技能」での外国人雇用を検討されている場合、比較対象として「技術・人文知識・国際業務(技人国)」との違いについて確認しておくと良いでしょう。 本記事では、「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務(技人国)」との違いや、その他の就労可能な在留資格などについて解説していきます。
CONTENTS
- 1.在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」とは?
- 2.在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」の違い
- 3.外国人を雇用できるその他の在留資格
- 4.「特定技能」から「技術・人文知識・国際業務(技人国)」へ切り替えできる?
- 5.まとめ
1.「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」とは?
現在、外国人が日本に滞在できる在留資格は全部で29種類ありますが、その全てで就労が認められるわけではありません。日本で就労を希望する外国人は、就労が認められる19種類の在留資格の中のどれかを取得している必要があります。「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」はいずれも就労が認められる在留資格です。
1-1.「技術・人文知識・国際業務(技人国)」とは
主に日本の大学や専門学校、もしくは日本の大学と同等と認められた海外の大学を卒業した外国人か、10年以上の実務経験(「国際分野」は3年以上)を積んだ外国人が、日本の会社に就職する際に取得できます。ただし、上記に該当すれば取得できる在留資格ではなく、学んできた専門分野と就労する職務内容が密接に関係していることが取得の条件です。また、いわゆるホワイトカラーに従事する場合に取得でき、代表的な職業としては公務員やプログラマー、税理士、弁護士などが該当します。
1-2.「特定技能」とは
人材不足が深刻な特定分野への就労者が取得できる在留資格で、2019年4月に創設された比較的新しい在留資格です。当初は特定14分野が対象とされましたが、2022年に製造業の3分野が統合されたことで特定12分野へと再編されました。対象となる分野は、「介護」「ビルクリーニング」「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」「建設」「造船・舶用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」となります。同じ「特定技能」であってもたとえば「自動車整備」で在留資格を取得していた場合、「航空」や「造船・舶用工業」など他分野の業務を行うことは認められていません。
2.在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」の違い
就労が認められる在留資格であっても、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」には在留期間や従事できる業務内容などに違いが存在します。
2-1.在留期間
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留期間は5年、3年、1年、3カ月ごとの更新で、更新回数の上限はありません。「特定技能」の場合は1号と2号で異なり、1号の場合は、1年、6カ月、4カ月ごとの更新で、更新回数の上限は5年。2号の場合は、3年、1年、6カ月ごとの更新で、更新回数の上限がありません。
2-2.従事できる業務内容
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」は、専門知識を必要とする業務に従事するための在留資格です。そのため、原則として工場でのライン作業やホテルのベッドメイキングといった単純労働は認められません。 一方、「特定技能」は特定12分野に限っての取得という制限はありますが、単純労働を含む幅広い業務を行うことができます。
2-3.取得条件の試験
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」では学歴やこれまでに培ってきた業務経験が求められるため、取得にあたって試験を受ける必要はありません。
「特定技能」は、日本語試験に加えて各分野で定められる技能試験の合格が必要です。日本語試験は日常使われる基本的な日本語の理解(日本語能力試験N4レベル以上)が合格ラインとされますが、介護分野については介護日本語評価試験のクリアが求められるため難易度が高いと言えます。
2-4.家族帯同
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」は家族の帯同が認められるため、配偶者や子供を日本に呼び寄せることができます。
「特定技能」の場合、1号では家族の帯同が認められませんが、2号の場合は家族の帯同が認められます。
2-5.「永住」申請できる条件
在留資格「永住」の取得要件のひとつに「原則として10年以上日本に在留していること」があります。ただし、「技能実習」と「特定技能」は「永住」の対象外の在留資格と規定されています。
そのため、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」は10年以上日本に在留していれば「永住」申請ができますが、「特定技能」は「技能実習」と合わせて10年日本に在留していたとしても「永住」申請はできません。
3.外国人を雇用できるその他の在留資格
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」の他に、就労が認められる在留資格は17種類あります。在留資格は目的によってそれぞれ分類され、在留期間も異なるので、外国人雇用の際は自社業務に適応した在留資格を有しているかは必ず確認しましょう。
4.「特定技能」から「技術・人文知識・国際業務(技人国)」へ切り替えできる?
「特定技能」で在留している外国人が働きながら日本の大学を卒業するなど「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の要件を満たした場合は、就労資格の変更が認められます。
より専門性の高い業務に就けることから外国人労働者のキャリアアップにつながると考えられるほか、「永住」の取得要件にカウントされる在留資格を得るとともに長期間就労にも期待できるなど、外国人労働者と雇用側の双方が享受するメリットは大きいと言えます。
5.まとめ
今回は「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」についてそれぞれのメリット・デメリットや違いなどについて解説しました。
このふたつの在留資格ですが、どちらが優れているというものではありません。実際に外国人採用をする際は単純労働の有無など自社業務を把握し、従事に必要となる在留資格で検討することをおすすめします。
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