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外国人雇用では就労ビザの確認をしましょう/不法就労について

CONTENTS

  1. 1.はじめに
  2. 2.外国人を雇用できる就労ビザとは
  3. 2-1.在留資格取得の要件
  4. 2-2.在留資格の種類
  5. 2-2-1.就労に制限のない在留資格
  6. 2-2-2.原則として就労できない在留資格
  7. 2-2-3.ケースによって就労可能な在留資格
  8. 2-2-4.就労ビザまとめ
  9. 3.不法就労に注意しましょう
  10. 3-1.不法就労助長罪の3つのパターン
  11. 3-2.不法就労助長罪の罰則と処罰の対象
  12. 3-3.不法就労を起こさないために企業が行うべきこと
  13. 4.まとめ

1.はじめに

外国人をはじめて雇用する場合、どんな準備が必要なのか、疑問も多いでしょう。

外国人社員の雇用では、日本人社員の場合とは異なり、日本で働く2ための入国許可証である「就労ビザ」取得が必要になります。

そこで、本記事では、外国人を雇用する前に知っておきたい「就労ビザ」の基礎知識を解説していきます。

2.外国人を雇用できる就労ビザとは

在留資格とは「日本に合法的に滞在するための資格」のことをいい、一定の身分や地位があるということを認めた「入管法」における法的根拠を持つ資格です。

慣例的に在留資格を「ビザ」と呼ぶことがありますが、本来、ビザと在留資格は別物です。 ビザは上陸審査時に使用するもので、正式には「査証」と呼びます。査証は、海外にいる外国人が日本に入国許可を求めるためのもので、入国審査が済んでしまえば無効となります。対して、在留資格は「日本での在留と一定の活動を認める資格」であり、さまざまな種類があります。このうち就労が可能な在留資格を「就労ビザ」と呼ぶため、外務省発行の「ビザ(査証)」とは別物であることを覚えておきましょう。

在留資格には、就労できない資格、就労可能な資格など合わせて29種類の資格があり、目的に合わせた在留資格を取得することによって、許可された期間まで日本に滞在し、所定の活動が可能となります。

外国人労働者が必要な就労可能な在留資格には、就労に制限のない身分系の資格4種類と、就労内容に制限のある資格19種類があります。身分系の在留資格には、永住者のほか日本人と結婚した場合や、永住者と結婚した場合に取得できる資格などがあります。具体的には次章でご説明します。







【出典】
出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdff

2-1.在留資格取得の要件

外在留資格取得要件は在留資格ごとに異なりますが、基本的に日本国籍を取得していない者は取得対象者となります。ただし、以下に該当する人物は、そもそも入国許可がおりないため、海外現地の外国人材を雇用する際には注意が必要です。


①法令違反で刑に処されたことがある
②犯罪歴などがあり素行が悪い
③過去に強制退去となったことがある
④銃や刀剣などを不法に所持
⑤麻薬などの常用者
⑥出国命令制度を利用して出国

2-2.在留資格の種類

在留資格は大きく分けて、活動内容や在留期間などの制限を受ける在留資格(活動資格)と活動制限の少ない身分または地位に基づく在留資格(居住資格)の2種類があります。就労ビザは前者に含まれますが、活動資格の中には就労が認められていないものもあります。外国人労働者を雇用する際には活動内容にあった在留資格を取得しているかどうかを確認しておきましょう。

2-2-1.就労に制限のない在留資格

地位や身分に基づく在留資格では、就労は制限されていません。 日本人と同様に職業の選択の自由があり、どのような職業に就くことも可能です。

永住者……法務大臣から永住許可を受けた者
定住者……法務大臣が一定の理由を考慮して一定の期間の居住を認めた者
日本人の配偶者等……日本人の配偶者や子・特別養子など
永住者の配偶者等……永住者の配偶者や子など

2-2-2.原則として就労できない在留資格

下記の在留資格は、原則として就労することができません。外国人雇用の際には注意が必要です。

  • 文化活動……収入が発生しない学術・芸術上の活動を行うための在留資格 
    (例)日本文化の研究者など
  • 短期滞在……親族に会う、スポーツや観光などを目的とした90日以内の滞在に
    認められる在留資格
  • 留学……教育機関で教育を受けることを目的とした在留資格
  • 研修……日本の公私の機関に受け入れられ、技能などを習得するための在留資格
  • 家族滞在……「教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、
    医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、
    興行、技能、特定技能2号、文化活動、留学」
    の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者
    又は子のための在留資格

ただし、文化活動・留学・家族滞在の在留資格に限っては、「資格外活動の許可」を受ければ一定の範囲内で就労が可能です。上記資格を持った外国人の応募があった時には、必ず資格外活動の許可を得ているかを確認するようにしてください。

2-2-3.ケースによって就労可能な在留資格

特定活動は、法務大臣が個々の外国人に対して活動を指定して認める在留資格です。ワーキングホリデーや、外交官の家事使用人なども含まれます。活動内容には様々なパターンがあり、一概に就労できる在留資格とはいえません。



外国人を採用する場合は、「その在留資格が就労可能であるか」を念頭に、就労指示書の内容をよく読み「就労できるか・できないか」「どの範囲で就労できるのか」といった点の確認をしましょう。確認の仕方がわからなければ、採用以前に出入国在留管理庁へ問い合わせてください。

2-2-4.就労ビザまとめ

以下に、就労可能な在留資格の中で活動内容に制限がある19種類についてまとめています。 在留できる期間や、認められている活動の範囲など下記を参考にしてください。



【出典】
出入国在留管理庁
https://www.mext.go.jp/content/20210329-mxt_gakushi02-000013769-07.pdf


外国人が日本で就業する場合、活動内容が在留資格の範囲内でなければなりません。また、在留資格で許可されている時間数を超えた労働や、認められていない活動に従事することは不可能です。

例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格では「ホテルで清掃をする」「居酒屋で接客をする」といった単純労働は認められません。このような単純労働に従事させた場合は、資格外活動として不法就労助長罪に問われ、企業も処罰の対象となる可能性があります。

外国人労働者を受け入れる際には、在留資格やその資格で認められている活動範囲に十分に気をつけましょう。

3.不法就労に注意しましょう

不法就労の取り締まりが強化される昨今「不法就労だと知らずに外国人を雇用していた」という事案が増えています。

不法就労とは、本来日本で働く資格を持たない外国人が働くことをいい、資格がない状態で働いていた外国人は解雇と同時に処罰が課せられます。また、資格なく働かせていた事業主は不法就労助長罪に問われます。

外国人雇用に関する知識や経験の乏しい事業主が無資格の外国人を雇用してしまうケースは非常に多いのですが、当局では事業主が不法就労の事実を知っている、知らないに関わらず、違反者に対して厳しく取り締まります。自社の従業員が不法就労をしていることが発覚した際、解雇、出頭の促しが必要となりますので注意しましょう。


**知らなくても罪!不法就労助長罪とは

不法就労助長罪とは、外国人に不法就労をさせた者や不法就労をあっせんした者を処罰するもので、入管法73条の2に規定されています。外国人雇用のルールは、入管法によって厳しく定められていますが、この罰則の重要なポイントは以下の二点です。

  • 意図せずとも確認不足などの過失が企業にあった場合は処罰を免れない
  • 罰則が非常に厳しい

仮に、確認をおろそかにして外国人雇用をした結果、不法就労としてが発覚したとしても罪にあたる可能性も考えられるため、在留資格、就労ビザについては、細かく調べる必要があります。また、この罰則は懲役と罰金の両方が科される可能性もある厳しいものですので、外国人材紹介の専門会社や、外国人の雇用に詳しい行政書士に事前に相談しておくことをおすすめします。

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3-1.不法就労助長罪の3つのパターン

不法就労助長罪の主な例として、以下の3つのパターンがあります。

①不法滞在者・被退去強制者を働かせた場合
②就労が認められていない在留資格の人を働かせた場合
③在留資格で許可された範囲を超えて働かせた場合

①は、密入国者や強制退去がすでに決まっている被退去強制者、在留期限が切れた人など、本来、日本にいてはならない人を働かせたケースです。不法滞在者、被退去強制者の外国人は就労させることができません。これらの外国人を就労させてしまうことは違法です。また、在留資格の有効期限が切れたにもかかわらず更新をしていない人も、不法滞在者に含まれます。

②は、短期滞在・留学・観光目的で入国した人など、本来的に日本で仕事をすることが認められていない在留資格を持つ人を働かせた場合が当てはまります。ただし、留学や家族滞在などの在留資格は、あらかじめ「資格外活動の許可」(入管法19条の2)を得ていれば、定められた範囲内で就労が可能です。

③は、在留資格で定められた範囲を超えた職務についたケースです。在留資格で認められている業種ではない、在留資格で認められている時間数を超えて働く、就労可能な在留資格であっても認められた活動の範囲を超えた就労をしてしまうといった場合で、たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人が、単純労働者として従事することは、在留資格で定められた範囲を超えており、違法となります。業種が限られた「特定技能」の場合や 「留学」ビザで働ける許可があっても週28時間までというような制限がある場合など、認められている活動については確認が必要です。

3-2.不法就労助長罪の罰則と処罰の対象

*罰則

不法就労をおこなった外国人への罰則

*不法入国の罪:3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金
*無許可資格外活動の罪:1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは200万円以下の罰金
また、不法就労により在留資格の取り消しや退去強制処分の措置

上記のような措置を受けてしまうと、今後、外国人労働者本人が日本で働きたいと思ったとしても、在留資格を取得できない場合があります。


受入れなどをおこなった企業への罰則

* 不法就労助長罪:3年以下の懲役 もしくは 300万円以下の罰金、場合によってはその両方が科される
*処罰の対象


不法就労をした本人、働かせた者または職をあっせんした者(企業)も対象

入管法第七十三条の二 第三項では処罰の対象を「業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者」としています。 たとえば、不法就労者のパスポートを預かった者や宿舎を提供した者、ブローカーやあっせん業者など外国人を直接雇用していない者も対象となります。


不法就労であることを知らなかったとしても処罰の対象

受け入れを行った外国人が不法就労であることを知らなかった場合でも、企業側に何らかの過失が認められた場合には、不法就労助長罪が適用されてしまいます。ここでいう過失とは「よくわからなかったが専門家に問い合わせなかった」「在留カードをきちんと確認したつもりだった」など注意不足のものが多いようです。一方で「確認を徹底しても、在留カードの真偽を見抜けなかった」など、可能な限りを尽くしたにも関わらず結果として不法就労になってしまった場合は、過失の有無について多少、認識が変わるかもしれません。

3-3.不法就労を起こさないために企業が行うべきこと

不法就労を未然に防ぐには、外国人を雇い入れるときにきちんと在留カードの確認を行うことが重要です。在留カードには、就労制限の有無や資格外活動の許可を得ているかなど、就労条件に関する情報も記載されていますので、これらを丁寧に確認することで不法就労を防ぐことができます。

以下、具体的に在留カードの確認をするときのポイントについて説明します。

在留カードの表面


https://osaka-immigration.com/wp-content/uploads/2022/01/zairyucard-omote.png


在留カードを確認する際は

  • 在留資格
  • 在留期間
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動欄

を必ず確認するようにしましょう。

上記のうち、資格外活動に関する情報だけはカードの裏面に掲載されており、それ以外の情報はカードの表面に記載されています。在留カードを受け取ったら、在留期限や就労制限などの項目を一つずつチェックしていきます。


在留資格

在留資格のない方にはカードは交付されません。


在留期限

在留期限の満了日が掲載されています。期限が近づいている場合は、早めに更新手続きを行うよう促しましょう。


就労制限の有無

就労制限があるかどうか記載されています。就労不可とある場合は、日本での労働は認められていません。観光目的の人などが用いる在留資格の「短期滞在」や「文化活動」の在留資格などが対象となります。ただし、資格外活動の許可がある場合は、この限りではありません。


資格外活動許可欄

仮に表面に「就労制限有り」の記載があっても、「留学」や「家族滞在」の在留資格を持っている人の場合は、裏面も確認しましょう。「資格外活動許可欄」に資格外活動の許可を受けている旨の記載があれば、記載の範囲内で就労が可能です。

チェックに関しては、出入国在留管理庁が「在留カード等番号失効情報照会」サービスを提供しています。在留カードに記載された番号と在留カード等有効期限を入力すれば、そのカードが失効していないか確認できますので活用してください。ただし、この照会により在留カードの有効性を証明できるわけではありません。中には、実在する在留カードの番号を悪用した偽造カードも存在しますので、照会結果に関わらず偽造変造防止対策を行うようにしてください。

3.まとめ

外国人労働者の受け入れは、人手不足の解消や採用コストの改善などのメリットがある反面、異文化摩擦やそれに伴う現場の負担増、在留資格によって就労できる業務が異なるなど難しい面もあります。また、外国人労働者の就労に関する法律関係の知識について学んでおく必要があります。技能実習法などの外国人労務と密接な関係がある法律は、とても複雑な分野と言われており、精通した専門家や人材紹介会社と連携し対応を進めていくことをおすすめします。

外国人採用についてお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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