個人事業主が就労ビザの外国人を雇用するには?手続きの流れや注意点を解説
2025.08.19
事業拡大のため外国人を採用したいけれど、手続きが複雑そうで不安を感じている個人事業主の方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、個人事業主でも外国人雇用は可能です。
しかし、法人に比べて事業の安定性や継続性を証明するのが難しく、就労ビザの審査が厳しくなる傾向にあります。本記事では、審査のポイントから具体的な手続き、必要書類までを分かりやすく解説しました。本記事を読むことで不安を解消し、スムーズな雇用を実現するための一歩を後押しします。
CONTENTS
- 1.個人事業主でも外国人雇用は可能!ただし法人より審査は厳格
- 1.2 なぜ審査が厳しい?事業の「安定性・継続性」の証明が最大の壁
- 1.3 出入国在留管理庁のカテゴリー分け:個人事業主は原則「カテゴリー4」
- 2.【4つのパターン別】外国人雇用の手続きと流れを徹底解説
- 2.1 ケース1:就労制限のない在留資格を持つ外国人を雇用する場合
- 2.2 ケース2:国内の留学生や他の就労ビザを持つ外国人を雇用する場合
- 2.3 ケース3:海外在住の外国人を日本に呼び寄せる場合
- 2.4 ケース4:留学生をアルバイトとして雇用する場合(週28時間以内)
- 3.就労ビザ申請の必要書類チェックリスト
- 3.1 【全ケース共通】事業主側で準備する基本書類
- 3.2 【開業1年未満の場合】追加で必要となる書類
- 3.3 【外国人側】で準備が必要な書類
- 4.審査通過の確率を上げる5つの戦略的ポイント
- 4.1 ポイント1:事業計画書で「安定性」と「継続性」を具体的に示す
- 4.2 ポイント2:「なぜその外国人が必要なのか」雇用理由を明確化する
- 4.3 ポイント3:十分な「業務量」があることを証明する
- 4.4 ポイント4:物理的な「事業所(オフィス)」を確保する
- 4.5 ポイント5:社会保険・労働保険への加入を検討する
- 5.個人事業主の外国人雇用に関するよくある質問(FAQ)
- 5.1 Q1. 就労ビザの審査にはどのくらいの期間がかかりますか?
- 5.2 Q2. 外国人に支払う給与額に決まりはありますか?
- 5.3 Q3. 雇用保険や社会保険の加入は必須ですか?
- 5.4 Q4. 無事に雇用できた後、何か手続きは必要ですか?
- 5.5 Q5. もし不許可になった場合、再申請は可能ですか?
- 6.手続きの不安は無料相談で解決!スムーズな雇用を実現しましょう
- 6.1 専門家に依頼する3つのメリット
- 6.2 「海外人材タイムス」の無料相談でできること
1. 個人事業主でも外国人雇用は可能!ただし法人より審査は厳格
コンビニや飲食店などで外国人スタッフが働いている光景を頻繁に見かけるようになった昨今、個人事業主でも外国人を雇用できるか疑問を抱く方も少なくないでしょう。
結論から言うと、個人事業主も外国人を雇用できます。ただし、法人と比較して就労ビザの審査が厳しくなる傾向にあるため、要件の確認や手続きについて注意が必要です。
1.2 なぜ審査が厳しい?事業の「安定性・継続性」の証明が最大の壁
審査が厳しくなる理由は、事業の「安定性」と「継続性」を客観的な書類で証明することが法人よりも難しい点にあります。法人は法務局が発行する登記簿謄本で事業実体を証明できますが、個人事業主は開業届のみで事業を開始できるため、事業の実態をより慎重に審査される背景があるのです。
1.3 出入国在留管理庁のカテゴリー分け:個人事業主は原則「カテゴリー4」
出入国在留管理庁は、外国人の在留資格審査をスムーズに行うため、申請元の事業規模や信頼性に応じてカテゴリー分けを行っています。
参考)在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁
分類は「カテゴリー1」から「カテゴリー4」まであり、数字が大きくなるほど、提出を求められる書類が増え、審査が慎重になる仕組みです。カテゴリー1には上場企業などが分類され、個人事業主は原則として提出書類が1番多い「カテゴリー4」に分類されます。(従業員を雇用している場合は「カテゴリー3」に該当するケースもあります)
※詳細は、まずは4つの企業分類を知ろう!「技人国ビザ」申請に必要な書類をチェック – 海外人材タイムスをご覧ください。
2. 【4つのケース別】外国人雇用の手続きと流れを徹底解説
雇用したい外国人がどのような状況にいるかによって、必要な手続きは異なります。
ここからは具体的な4つのケースに分けて手続きの流れを解説します。自身の状況に照らして参考にしてみてください。
2.1 ケース1:就労制限のない在留資格を持つ外国人を雇用する場合
「永住者」「日本人の配偶者など」「永住者の配偶者など」「定住者」といった在留資格は、日本における就労活動に制限がありません。これらの資格を持つ外国人を雇用する場合は、日本人を雇用する際と同様に入管での就労ビザに関する特別な手続きは不要です。
※詳細は「定住者」とは? 永住者との違い、就労制限・取得要件を解説および【就労制限なし】永住者とは? 特別永住者や帰化との違いを解説をご覧ください。
2.2 ケース2:国内の留学生や他の就労ビザを持つ外国人を雇用する場合
大学などを卒業する留学生を正社員として雇用するには、現在の「留学」ビザから「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザへ切り替える「在留資格変更許可申請」が必要です。
また、すでに他の企業で就労ビザを持ち働いている外国人を雇用する場合(転職)、従事する業務内容が現在のビザの範囲内であれば、比較的スムーズに手続きが進みます。
※詳細は就労ビザとは?種類・期間・申請方法をわかりやすく解説をご覧ください。
2.3 ケース3:海外在住の外国人を日本に呼び寄せる場合
海外に住む外国人を雇用する場合は、まず日本の個人事業主が代理で入国管理局に「在留資格認定証明書(COE)」の交付を申請します。
証明書が交付されたら、次にその証明書を海外にいる本人へ送り、本人が現地の日本大使館(領事館)でビザ(査証)の発給を受けて来日するという流れです。
2.4 ケース4:留学生をアルバイトとして雇用する場合
在留資格「留学」のままで就労はできません。留学生をアルバイトとして雇用するには、本人が「資格外活動許可」を得ていることが絶対条件になります。許可の有無は、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」で確認可能です。
資格外活動許可の労働時間には「原則週28時間以内」(学校の長期休業期間中は週40時間以内)の上限があります。複数のアルバイトをかけ持ちしている場合はその合計時間で計算される点に注意してください。
※詳細は外国人をアルバイトに採用したい!必要な手続き、注意したい点は?をご覧ください。

3. 就労ビザ申請の必要書類チェックリスト
就労ビザ申請に必要な書類を、事業主側と外国人本人側、さらに事業主の状況別に分けて紹介します。自身の状況に応じて必要な書類を抜け漏れなく確認できるようリスト形式にまとめました。申請時のチェックに役立ててください。
3.1 【全ケース共通】事業主側で準備する基本書類
【事業の実在を証明する書類】
- ● 開業届の写し:税務署の受付印があるもの
- ● 確定申告書の控え:直近年度のもの
【事業内容を説明する資料】
- ● 事業内容が記載されたWebサイトの写し
- ● パンフレット
- ● 取引先との契約書など
3.2 【開業1年未満の場合】追加で必要となる書類
【事業の安定性・継続性を証明する資料】
- ● 事業計画書
- ● 給与支払事務所等の開設届出書の写し:従業員への給与支払い能力を示すもの
- ● 「発注書」や「請求書」:実際の事業活動を証明するもの
開業から日が浅く確定申告書を提出できない場合は、上記のような追加書類が必要です。
3.3 【外国人側】で準備が必要な書類
- ● 履歴書
- ● 最終学歴の卒業証明書
- ● (職歴がある場合)在職証明書など
本人の学歴や職歴が、これから従事してもらう専門的な業務内容と関連していることを証明するために必要となる書類です。
4. 審査通過の確率を上げる5つの戦略的ポイント
審査通過の確率を上げるには、必要書類を形式的に揃えるだけでなく、審査官を納得させられる内容に仕上げる必要があります。
個人事業主が特に注意すべき点を中心に、申請の説得力を高めるポイントを5つ解説します。
4.1 ポイント1:事業計画書で「安定性」と「継続性」を具体的に示す
事業計画書には、抽象的な目標ではなく、具体的な数値を用いた収支計画(売上、経費、利益の見込み)を少なくとも1年分は記載する必要があります。「どのように顧客を獲得し、売上を上げるのか」という事業の具体的な運営方法を記述し、計画に実現可能性があることを示しましょう。
4.2 ポイント2:「なぜその外国人が必要なのか」雇用理由を明確化する
申請理由書などで、その外国人が持つ専門性(語学力、特定の技術、母国とのつながりなど)が、自社の事業にどのように貢献するのかを具体的に説明します。「日本人では代替が難しく、この外国人を採用することが事業の成長に不可欠である」という論理的な説明にするのがポイントです。
4.3 ポイント3:十分な「業務量」があることを証明する
フルタイムで外国人を一人雇用するに足るだけの仕事が、安定的・継続的に存在することを客観的に示します。雇用後に担当する具体的な業務内容をリストアップし、恒常的に業務が発生することをアピールすることが重要です。
4.4 ポイント4:物理的な「事業所(オフィス)」を確保する
事業の実態を示す証拠として、事業を行うための専用スペースが確保されていることの証明が求められます。これには、事務所の賃貸借契約書の写しや、執務机やパソコンなどが設置された事業所の内外の写真を提出することが有効です。自宅兼事務所の場合は、生活空間と執務空間が明確に分離されていることを写真などで示します。
4.5 ポイント5:社会保険・労働保険への加入を検討する
労働時間などの法定要件を満たす場合、事業主には国籍を問わず従業員を社会保険(健康保険・厚生年金)や労働保険(雇用保険・労災保険)に加入させる義務があります。これらの法令を遵守していることは、健全な事業運営を行っていることの証明となり、審査において肯定的な要素として判断されます。

5. 個人事業主の外国人雇用に関するよくある質問(FAQ)
最後に、個人事業主の外国人雇用に関してよくある質問の中から、これまでの解説でカバーしきれなかった部分について、Q&A形式で回答します。
5.1 Q1. 就労ビザの審査にはどのくらいの期間がかかりますか?
申請の種類や時期によりますが、目安として1〜3カ月程度かかるのが一般的です。事業計画に支障が出ないよう、余裕を持ったスケジュールで申請準備を進めましょう。
5.2 Q2. 外国人に支払う給与額に決まりはありますか?
「同じ業務に従事する日本人が受け取る報酬と同等額以上」であることが審査の基準です。地域の最低賃金を遵守することは当然として、職務内容に見合わない低い給与設定は不許可の理由になり得ますので注意してください。
※詳細は外国人労働者の平均賃金はいくら?厚生労働省の統計から実態を調査をご覧ください。
5.3 Q3. 雇用保険や社会保険の加入は必須ですか?
国籍に関わらず、労働時間などの法定要件を満たす従業員を雇用する場合、社会保険・労働保険への加入は法律上の義務です。
※詳細は加入しないと罰則も! 技能実習生の社会保険制度を解説をご覧ください。
5.4 Q4. 無事に雇用できた後、何か手続きは必要ですか?
雇用後(採用時)および離職時には、管轄のハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を提出する義務があります。
※詳細は【外国人雇用状況の届出】外国人採用でハローワークへの届出を忘れずにをご覧ください。
5.5 Q5. もし不許可になった場合、再申請は可能ですか?
再申請は可能です。ただし、不許可になった際は、入国管理局でその理由を確認し、指摘された問題点を改善した上で再度申請することが重要です。
6. 手続きの不安は無料相談で解決!スムーズな雇用を実現しましょう
外国人雇用に関する手続きの複雑さや審査の厳しさに不安を感じる方は、専門家への相談という選択肢も有効です。課題解決の最終的な受け皿として、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
6.1 専門家に依頼する3つのメリット
専門家に依頼する3つのメリットを具体的に説明します。
- ● 煩雑な書類作成や申請手続きの手間が省ける。
○ 業務の合間を縫って書類作成や手続きを行う必要がなくなります。
- ● 審査のポイントを押さえた申請が期待できる。
○ 最新の入管法や審査基準に沿った適切な申請が可能です。
- ● 不許可になるかもしれないという不安が軽減される。
○ 書類不備や記載ミスによる不許可リスクを大幅に軽減できます。
6.2 「海外人材タイムス」の無料相談でできること
海外人材タイムスでは、外国人雇用にまつわる諸問題について、専門的な知識を持つ登録支援機関、人材紹介会社、行政書士などが協働した無料相談サービスを実施しています。個別の状況に応じた具体的なアドバイスが受けられるため、今後の手続きの見通しが立てやすく、貴社の負担軽減に大きく役立ちます。
外国人雇用に興味がある個人事業主の方は、ぜひ海外人材タイムスにご相談ください。無料相談は下記予約フォームからいつでも簡単にお申込みが可能です。
→無料相談予約フォーム:https://kjtimes.jp/form/online-consultation/
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