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「定住者」とは? 永住者との違い、就労制限・取得要件を解説

「定住者」は身分系の在留資格で、就労制限がなく専門知識などが問われないため、外国人を雇用する際に優位な在留資格です。「永住者」と名称が似ていますが、許可要件が異なるので、事前に確認しておきましょう。

本記事では、定住者について永住者との違いや、就労制限、在留資格の申請方法や許可されるポイントについて解説します。

CONTENTS

  1. 1.定住者とは
  2. 2.定住者と永住者の違い
  3. 3.定住者の在留資格更新の確認ポイント
  4. 4.定住者の就労制限は?
  5. 5.定住者の申請方法と流れ
  6. 6.定住者が許可されるポイント
  7. 7.まとめ

1.定住者とは

定住者とは、日本に定住している外国人という意味を持つ身分系の在留資格です。定住者になるための条件は、政策的理由から人権・人道的理由まで多岐にわたります。

ただし雇用を検討する企業としては、職業制限がなく学歴や専門知識などの有無も問われない、いわば日本人と同等の扱いで雇用できる在留資格として覚えておくといいでしょう。

在留期間

定住者の在留期間は、6カ月、1年、3年、5年のいずれかです。在留期間が来る前に更新が必要になるので注意してください。

また、1年以上の在留期間を持っていた場合は、その配偶者も「定住者」の在留資格を与えられます。

告示定住者・告示外定住者

定住者の身分には、大きく分けて「告示定住者」と「告示外定住者」があります。

「告示定住者」は、いわゆる日系人など国があらかじめ告示している正式な身分です。一方、「告示外定住者」は、告示はしていないけれども特別な事情により例外的に定住が認められている身分になります。なお、「告示外定住者」は原則すでに日本にいる外国人にしか認められません。

告示定住者の具体例

「日系人」のほか、「第三国定住難民(定住者告示1号)」「日本人・永住者・定住者の6歳未満の養子(定住者告示7号)」「中国残留邦人とその家族(定住者告示8号)」があります。

このうち「日系人」は、それぞれ身分に応じて以下の類型に細かく分かれています。

⚫︎日本人の実孫である日系3世と国籍離脱した元日本人の実子である日系2世……定住者告示3号
⚫︎国籍離脱した元日本人の実子の実子である日系3世……定住者告示4号
⚫︎国籍離脱した元日本人の実子の実子である日系3世の配偶者……定住者告示5号
⚫︎国籍離脱した元日本人の実子の実子である日系3世の未成年で未婚の実子……定住者告示6号

※定住者告示2号は削除されています。

告示外定住者の具体例

「難民」「離婚・死別定住、日本人実子の扶養定住、事実上の婚姻破綻定住」「義務教育から高校卒業した家族定住者」などがあります。

要件

告示外定住者は実務上、以下のような代表的な類型があり、それぞれに許可要件が定められています。

難民

難民認定申請が許可されることが要件です。ただし、難民に対する日本の入管は非常に厳しく、よほど難民性が明白でなければ許可が下りないのが現状です。「難民」を自称する外国人の多くが、正式には「難民申請手続中」であり、人道的配慮から特定活動の在留特別許可が与えられているという状況にあります。つまり、難民申請手続中の外国人は、やがて難民申請が不許可となった際には日本を出国しなければならない未来が待っています。

雇用を検討する企業は、難民申請手続中の外国人には安定した雇用ができないことを覚えておきましょう。

離婚・死別定住、日本人実子扶養定住、事実上の婚姻破綻定住

「離婚・死別定住」とは、かつて日本人もしくは永住者と結婚していた外国人が、離婚や死別などで独身になり、配偶者の身分に基づく在留資格を失うケースです。この場合、日本でおおむね3年以上夫婦生活を営んでいたこと、生活できるだけの収入や財産があること、一定の日本語能力があること、納税などの義務を怠っていないことなどの要件を満たせば、定住者の許可が下りる可能性があります。

他にも、日本人との間に生まれた子を親権者として長期間養育していることが要件の「日本人実子扶養定住」や、事実上婚姻関係が破綻していてDV被害を受けていることなどが要件になる「婚姻関係破綻定住」があります。

義務教育から高校卒業した家族定住者

日本で働く外国人の家族として「家族滞在」する子弟が、義務教育から高校卒業までのうち10年以上日本で教育を受けた場合には、「定住者」への在留資格変更が認められます。

家族滞在ビザは、親の扶養から外れると要件を満たさなくなるため、高校卒業と同時に別の在留資格を新たに取得しない限り、日本にいることはできません。しかし、日本で高校卒業までしておけば、その後も日本に「定住者」として滞在することが可能になります。

2.定住者と永住者の違い

定住者と永住者、名称は似ていますが許可要件が異なります。

在留期限の違い

永住者は在留期限もなく、たとえ将来的に身分や収入など状況が変わったとしても、日本に滞在し続けられる特別な身分系在留資格です。

一方、定住者には6カ月、1年、3年、5年の在留期限があり、期限までに更新が必要です。また、身分や収入などの状況に変更があった場合には更新ができなくなる可能性もあり、永住者のような安定した在留資格ではありません。

定住者から永住者になれる

定住者から永住者になるための要件を3つ説明します。

素行が善良であること

日本の法律に従って善良に生活していることが必要です。具体的には、犯罪や重大な交通違反、税金の滞納や遅れ、社会保険の未加入、各種公的義務の不履行など日本国民としてアウトな行為があると永住者にはなれないということです。

独立生計が立てられること

年収300万円以上が直近5年間継続していること(扶養家族は1人につき70万円追加)、会社経営や自営業の場合は、事業の経営状況に赤字や債務超過がないことが要件になります。

年収300万円は過去5年の平均ではないので、一度でも下回る年があった場合はまたそこから5年間の実績が必要です。永住者要件において最もクリアするのが厳しい要件といわれています。

日本の国益に適合すること

そのままの意味は「当該外国人の永住が日本の利益になること」ですが、実務上本要件は「長期にわたり日本に居住している」という居住期間要件のことを指しています。

永住が認められるのは、原則継続して10年以上日本に住んでいる場合です。ただし特例により、「定住者」は継続して5年以上の在留で良いとされています。さらに「日本人の配偶者等」で在留していた外国人が、離婚や死別により「定住者」に変更した場合は、「日本人の配偶者等」で在留していた期間と合わせて5年以上あれば条件が満たせることになります。

3.定住者の在留資格更新の確認ポイント

定住者の更新で気を付けたい確認ポイントを説明します。

身分の変更事項

結婚や離婚、死別、養子縁組、離縁などによって、定住者の更新ができないケースもあります。

定住者は身分系の在留資格のため、身分に変更があった場合は別の在留資格に変更するか、日本を出国しなくてはなりません。プライベートな領域のため、雇用する企業もなかなか管理しづらい面もあります。しかし、もし定住者の資格がなくなった場合は雇用を続けることができないため、やはり企業側で管理する体制を作っておくことが大切でしょう。

収入や財産の状況

生計を維持できるだけの収入や財産があるか状況を確認されます。公共の負担となっていないことが条件になりますが、仮に公共の負担になっていたからといって、ただちに更新ができなくなるわけではありません。人道上の理由も十分に勘案した上で判断されるとこになります。

犯罪や違法行為の有無

素行が善良であることが前提となるため、犯罪や違法行為を行っていた場合、更新は難しくなります。犯罪歴は日本国内のほか母国にも照会がかけられます。

また、例えば罰金刑であれば執行から5年経過で素行善良要件を満たすことになりますが、確実に更新したい場合には追加で反省文を提出するなど十分に反省していることをアピールしておくべきでしょう。

身元保証書の準備

定住者の取得手続きには当該外国人の身元保証書が必要になります。この場合の身元保証書にはいわゆる借金の保証人のような意味合いはありません。純粋に外国人の人間性に問題がない、善良な人間であることを証明するだけの書類になりますので、もし雇用外国人から身元保証書の記入を求められた場合には安心して記入してください。

4.定住者の就労制限は?

外国人を雇用する際に就労制限の有無は必ず確認しますが、定住者に就労制限はあるのでしょうか。

就労制限なし

定住者は身分に基づく在留資格のため、就労に制限はありません。正社員、派遣社員、アルバイトなど、いずれの雇用形態でも働くことができます。また外国人労働者では在留資格を取ることが難しい単純労働への従事も可能です。日本人同様に雇用することができるので、就労については特に注意を必要とする事項はありません。

状況に変更があった場合

身分や収入などの状況が変わった場合は、「定住者」の取得が難しくなる場合があります。こういった部分は身分系在留資格特有の厄介な一面です。告示定住者は身分がその通り告示されていますし、告示外定住者には許可される要件がそれぞれ定められています。例えば、難民を除く告示外定住者には「生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」という収入要件がありますが、収入がなくなれば定住者の更新はできません。

5.定住者の申請方法と流れ

海外または日本国内での二通りの申請方法と流れについて説明します。

海外にいる外国人が申請する場合

海外にいる外国人は、在留資格認定証明書の交付を受けて日本へ入国することになります。

申請手順は以下の通りです。

① 在留資格認定証明書交付申請書を作成します。あわせて定住者の対象であることを証明する書類、身元保証書、質問書、写真を添付し、返信用封筒も用意します。

② 居住予定地または受け入れ機関の所在地を管轄する入管窓口に申請書類を提出し、在留資格認定証明書交付申請を行います。

③ 提出された書類をもとに審査が行われます。
審査期間は1〜3カ月です。

④ 申請時に提出した返信用封筒で審査結果が通知されて終了です。

日本にいる外国人が申請する場合

すでに日本にいる外国人は在留資格変更許可を受けます。

申請手順は以下の通りです。

① 在留資格変更許可申請書を作成します。
あわせて定住者の対象であることを証明する書類、身元保証書、質問書、写真を添付し、結果通知用のハガキも用意します。

② 住居地を管轄する入管窓口に申請書類を提出し、在留資格変更許可申請を行います。

③ 提出された書類をもとに審査が行われます。
審査期間は2週間〜1カ月です。

④ 申請時に提出したハガキで審査結果が通知されます。

⑤ 申請が許可されたら、入管窓口で手数料4,000円を支払い終了です。

6.定住者が許可されるポイント

審査は提出された書類をもとに総合的に判断されます。その際に定住者取得のポイントとなる要件を説明します。

なお、一度不許可になった後の再申請は非常に厳しいため、慎重に申請を行うようにしてください。

記載内容に誤りがないこと

提出書類の記載内容に誤りがあると許可されません。質問書にも「事実に反する記入をしたことが判明した場合には申請人に係る審査上不利益な扱いを受ける場合や罪に問われる場合があります」と記載されています。

引用:法務省 質問書(認定・変更用)

他にも提出書類に不備や不足がある場合も不許可になります。

添付書類が正規のものであること

添付書類が偽造や変造されたものであった場合は当然ながら許可されません。

素行が善良であること

犯罪や法律違反によって処罰されていないことが求められます。社会保険料や税金の滞納があってもいけません。

また、処罰まではいかなくても、例えば警察に補導されたことがあるなど社会生活において問題のある行為をしていた場合は不許可になります。

生計を維持できること

生計を維持できるだけの収入があることが要件です。具体的には、生活保護を受けていないこと、年収が300万円程度あることが基準とされています。生活保護に関しては、本人のみならず親族の誰かが生活保護を受けているだけでも審査に悪影響を及ぼす可能性があります。親族の扶養義務を果たしていないとみなされないように注意してください。

婚姻の実態があること

配偶者の身分から定住者を取得する場合は、婚姻の実態が3年以上あることが目安になります。この3年という期間は戸籍上ではなく実態で判断しますので、例えば戸籍上は婚姻期間が3年あるけれども実態はほとんど別居というようなケースでは認められないでしょう。

ただし、婚姻の実態が3年未満であっても配偶者のDVや不倫などの事情があった場合には許可される場合があります。

日本語能力があること

告示外定住者の場合は日本語能力があることが求められます。ただし、「日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものではない」ことを満たしていればいいので、特定の日本語能力試験の合格までは問われません。

監護・養育の事実があること

日本人の実子を監護・養育していることを理由に定住者を取得する場合は、相当期間にわたる監護・養育の事実が必要です。

この定住者ビザは不正な在留を誘発する可能性があり、ブローカーなどの介在がないかなど非常に厳密に審査されます。

なお、親権がない場合には許可されない可能性が高い一方で、たとえ親権があったとしても実際に監護・養育していない場合には許可を得るのは難しいです。日本人実子の年齢が18歳を超えている場合についても、真に監護・養育の必要があるのか慎重に判断されます。

7.まとめ

定住者は永住者ほど安定した在留資格ではないものの、雇用する企業にとっては就労制限もなく雇いやすいといえます。また、定住者として10年経過すれば永住者への道も開けるため、長期的な計画で雇い入れを検討してみるのもいいでしょう。

ただし、知らないうちに身分の変更がないように、企業側がしっかり注意しておくことが重要なポイントになります。

本記事を参考にして、定住者の雇用を前向きにご検討なさってみてはいかがでしょうか。

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