検索
海外人材Times

フィリピン人材採用のメリットと手続き|DMW・MWO申請の流れ

高い英語力とホスピタリティ精神を持つフィリピン人材は、日本企業の労働力不足を補ううえで頼もしい戦力となります。しかし、フィリピン人採用にはDMW(旧POEA)・MWO(旧POLO)への申請が必要で、他国籍にはない独自のルールが適用されます。このルールを理解せずに採用を進めると、雇用契約が無効になるなど重大なトラブルにつながりかねません。

本記事では、フィリピン人材採用に関わるルールの仕組みから、採用パターン別(現地・日本在住者)の申請手続き、さらに採用で注意すべき価値観の違いや労務管理のポイントまで、分かりやすく解説します。

CONTENTS

1. データで見るフィリピン人の雇用状況

厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)によると、日本で就労するフィリピン人労働者数は245,565人に達しており、国籍別ではベトナム、中国に次いで第3位となっています。直近3年の増減比は28.5%と高く、フィリピン人労働者が着実に増加していることが分かります。

在留資格別に見ると、「永住者」や「日本人の配偶者等」といった「身分に基づく在留資格」が全体の62.8%を占めており、多国籍と比較しても、生活基盤を日本に置く人材が多い点が特徴です。

また、「技術・人文知識・国際業務」などに代表される「専門的・技術的分野の在留資格」については、が直近3年間で171%増と大幅な伸びを示しており、介護、IT、通訳・翻訳などの分野を中心に、高度人材としての活躍も拡大しています。

▶フィリピン人について詳しく知りたい方は、フィリピン実習生受け入れで知っておきたい性格や特徴を解説をご覧ください。

参考資料:

2. なぜフィリピン人材採用が注目されるのか?採用のメリット

フィリピン人材が持つ独自のスキルセットや文化的背景は、多くの日本企業にとって貴重な戦力となり得る要素です。とりわけ、日本国内の労働力だけでは補完が難しいグローバル対応力や、対人サービス業における高い適性が注目されています。これらの強みは、フィリピンの公用語や国民性に由来するもので、採用活動における大きな魅力となっています。

2.1. 高い英語力

フィリピンでは英語が公用語の一つであり、多くの人材が高い英語力を有しています。インバウンド需要の拡大に伴う外国人顧客への対応はもちろん、社内における日本人社員への英語コミュニケーション支援や指導役としての活躍も期待できます。

2.2. ホスピタリティ精神

フィリピン人はホスピタリティ意識が高く、誰に対しても明るく丁寧に接する国民性が特徴です。他者への寛容さや思いやりを持つ人が多く、接客業や介護分野など、円滑なコミュニケーションが求められる職種に高い適正を示します。

2.3. 親日的な国民性と家族を重んじる勤勉さ

フィリピン人は家族を非常に大切にする国民性があり、家族のために海外で働き、仕送りを行う人も多く見られます。また、日本と同様に年長者への敬意を重んじる文化が根付いているため、職場でも上司や同僚と良好な関係を築きやすい傾向があります。さらに、フィリピンはアジア有数の親日国であり、日本に対して友好的な印象を持つ人が多いため、日本人社員とも円滑にコミュニケーションを取れる点も特徴です。

3. フィリピン人材採用の原則|直接雇用が禁止される仕組みと必要な手続き

フィリピン人採用には、他国籍人材とは異なる特有のルールがあります。フィリピン政府の政策により、日本企業がフィリピン人を直接雇用することは原則として認められていません。この制度は、海外で働く自国民を不当な労働条件や搾取から守ることを目的として設けられており、違反した場合には厳しいペナルティが科されます。そのため、フィリピン人の採用は、必ずフィリピン政府が認定した現地の「送り出し機関」を通じて行う必要があります。

3.1. 採用手続きを管理するフィリピン政府機関とは

フィリピン人採用の手続きは、フィリピン政府の複数の専門機関によって厳格に管理されています。なお、2022年の組織再編により、各機関の名称が変更されています。

3.1.1. DMW(旧POEA):移住労働者省

DMW(Department of Migrant Workers/移住労働者省)は、2022年に新設された省で、これまでのPOEA(フィリピン海外雇用庁)や関連省庁の機能が統合・再編されました。フィリピンの送り出し政策の中核機関として、海外で働くフィリピン人の権利保護を目的としています。海外への人材紹介業務は、DMWが認定した正規の送り出し機関のみが行うことができます。

3.1.2. MWO(旧POLO):移住労働者事務所

MWO(Migrant Workers Office)は、各国にあるDMWの出先機関で、旧名称はPOLOです。日本では東京のフィリピン大使館と、大阪のフィリピン総領事館内に設置されています。日本企業は、雇用契約書など必要書類をMWOに提出し、審査と面接を経て雇用主としての承認を受ける必要があります。

3.2. 採用ルールに違反した場合のリスク

MWO/DMWの正規の手続きを経ずにフィリピン人を雇用した場合、その雇用契約はフィリピンの法律上、無効と見なされるリスクがあります。特に重大なのが、労働者本人が「海外就労許可証(OEC:Overseas Employment Certificate)」を取得できなくなる点です。OECがない場合、フィリピンからの出国時や一時帰国後の再入国時に空港で出国を拒否され、日本で就労できなくなる可能性があります。さらに企業側も、将来的にフィリピンからの人材採用が一切できなくなるなど、重大なペナルティを科されるおそれがあります。

4. 採用パターン別|DMW・MWOの申請手続きと要点

フィリピン人材の採用では「フィリピン現地から新規に採用する」場合と「すでに日本国内に在住しているフィリピン人を採用する(転職)」場合の2パターンがあります。なお、日本在住者を採用する場合であっても、一部の例外を除き、原則としてMWOへの申請手続きが必要となるため注意が必要です。

4.1. フィリピン現地から採用する場合

フィリピン本国にいる人材を、新規に日本へ呼び寄せて雇用する場合の基本的な手続きの流れです。原則として、日本側で行う「在留資格認定証明書(COE:Certificate of Eligibility)」の交付申請の前に、フィリピン側(MWO)の手続きを完了させる必要があります。

4.1.1. DMW認定の送り出し機関(PRA)との契約

日本企業は、まずDMWが認定したフィリピン現地の送り出し機関(PRA:Philippine Recruitment Agency)を選定し、人材募集に関する契約を締結します。この契約書(募集取決め)は、日本の公証役場において公証を受けることが必須となっています。

4.1.2. MWOへの必要書類提出と審査

送り出し機関を通じて、MWOの審査に必要な書類一式(「4.1.1. DMW認定の送り出し機関(PRA)との契約」で作成した募集取決め、労働条件などを記載した雇用契約書のひな形、求人・求職票など)を準備します。これらの書類を管轄のMWO(東京または大阪)に提出し、書類審査を受けます。審査にかかる期間は、おおむね15営業日程度です。

4.1.3. MWOとの面接

書類審査を通過すると、MWOの担当官と日本企業の代表者(または委任された従業員)による面接が行われます。面接は英語で実施されますが、通訳者の同席も可能です。面接で特に問題がなければ、雇用主として承認され、認証印が押された書類が返却されます。

4.1.4. DMWへの登録と現地での出国前手続き

MWOの承認書類を送り出し機関経由でDMW本庁へ提出し、企業情報と求人情報をDMWの公式管理システム(データベース)に登録します。DMWの登録が完了したら、日本側で出入国在留管理庁に対し、「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請を行います。COE交付後は、現地で労働者が査証(ビザ)を取得し、DMWから「海外就労許可証(OEC)」が発行される流れです。出国前オリエンテーション(PDOS:Pre-Departure Orientation Seminar)を受講することで、日本への入国が可能となります。

4.2. 日本在住のフィリピン人材を採用(転職)する場合

すでに「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで、他の企業で働いているフィリピン人を、自社で中途採用(転職)する場合の手続きです。

4.2.1. 日本在住者でもMWO申請は「原則必要」

日本国内での転職で在留資格の変更が不要な場合でも、雇用主が変わるため、原則としてMWOへの申請手続きが必要です。新しい雇用主は、MWOの審査・面接を受け、雇用主としての承認を得る必要があります。

4.2.2. 日本在住者(転職者)のMWO申請手続きの流れ

基本的な流れは、現地から採用する場合と同様に、MWOへの書類提出と審査・面接です。ただし、提出書類として、そのフィリピン人の在留カードのコピーや、現在の雇用主との雇用関係を証明する書類(雇用証明書など)が追加で必要になります。転職で職種が変わり、在留資格の区分(例:特定技能から技人国へ)が変更になる場合は、MWOの手続きとは別に、日本の出入国在留管理庁への「在留資格変更許可申請」も必要です。

4.2.3. MWO申請が「不要」となる例外ケース(永住者・定住者など)

MWOへの申請手続きが唯一「不要」となるのは、採用するフィリピン人が「身分に基づく在留資格」を保有している場合のみです。具体的には、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つの在留資格が該当します。これらの在留資格は就労活動に制限がなく、フィリピン政府の管理対象外とみなされるため、日本人と同様に雇用契約のみで採用が可能です。

▶永住者についての詳細は、【就労制限なし】永住者とは? 特別永住者や帰化との違いを解説をご覧ください。
▶定住者についての詳細は、「定住者」とは? 永住者との違い、就労制限・取得要件を解説をご覧ください。

5. フィリピン人材の採用で注意すべき価値観と労務管理のポイント

日本に対して良いイメージを持つフィリピン人は多い一方で、実際に雇用すると、文化や習慣の違いからトラブルが生じるケースもあります。ここでは、フィリピン人労働者を雇用する際に押さえておきたい注意点について解説します。

5.1. 時間感覚の違い(「フィリピンタイム」への対策)

陽気でホスピタリティの高いフィリピン人ですが、その楽観的な性格から、計画的に行動することが苦手な人も一部に見られます。「フィリピンタイム」という言葉があるように、時間に対する感覚が日本とは異なり、現地では約束の時間に1時間以上遅れることも珍しくありません。そのため、雇用にあたっては、仕事において時間を守ることの重要性を丁寧に伝える必要があります。

労務管理のポイント

始業時間や休憩時間のルールを明確にし、遅刻や早退が発生した場合の対応方法をあらかじめ定めておくことが重要です。

5.2. プライドの尊重(人前での叱責はNG)

上記のような傾向はあるものの、フィリピン人の多くは基本的に仕事に誇りを持ち、努力を惜しまないと言われています。その一方で、プライドが高い傾向もあるため、業務上のミスがあった場合に人前で厳しく注意や指摘をすることは避けるべきでしょう。フィリピン人はプライドが傷つくことを極端に嫌うため、ミスやトラブルが起きた際も、叱責ではなく、理由や改善点を丁寧に説明する姿勢が大切です。

労務管理のポイント

評価制度やフィードバック方法をあらかじめ整備し、人前で叱らず、個別に指導する運用を設けることが望ましいと言えます。

5.3. 金銭感覚の違いと家族への送金文化

フィリピン人は、いわゆる「宵越しの金は持たない」タイプが多く、給料を早い段階で使い切ってしまう人も少なくありません。そのため、フィリピン現地では、給料を月2回に分けて支給し、使い過ぎを防ぐ工夫をしている企業も多く見られます。
日本でフィリピン人労働者を雇用する際も、金銭面で困らないよう、生活全般について相談に乗れるコミュニケーション体制を整えることが大切です。

労務管理のポイント

給料の支給日や支払い回数を工夫することや、生活面の相談窓口を設けることが、安定した就労につながります。

▶具体的な給与設定の目安や平均月収については、外国人労働者の平均賃金はいくら?厚生労働省の統計から実態を調査で詳しく解説しています。

6. まとめ|複雑なDMW・MWOの手続きを押さえてフィリピン人材を迎え入れよう

フィリピン人材は、高い英語力とホスピタリティ精神を兼ね備えており、日本企業の労働力不足を補う存在として大きな可能性を持っています。一方で、採用にはDMW(旧POEA)やMWO(旧POLO)が関与する「直接雇用の原則禁止」という、他国にはない独自かつ厳格なルールが存在します。

手続きを正しく踏まない場合、労働者が日本で就労できなくなるリスクや、企業側が将来的にフィリピン人を採用できなくなるなど、重大なペナルティを受ける可能性があります。フィリピン人採用においては、制度や手続きについての正確な理解が不可欠です。

手続き自体は複雑ですが、国の管理が徹底している分、違法なブローカーが介在しにくく、適正に進めれば雇用後のトラブルが発生しにくいというメリットもあります。ただし、POEAからDMWへの組織再編に見られるように制度は随時更新されており、最新情報を踏まえて申請を進めるには、専門的な知識と実務経験が欠かせません。

海外人材タイムスでは、フィリピン人材をはじめとする外国人採用について、制度理解から具体的な手続きの進め方、採用後の実務対応までを一環してサポートしています。「制度が複雑で不安」「自社に合った採用方法を知りたい」といったお悩みに対し、実務に即した具体的なアドバイスをご提供します。

ぜひお気軽にご相談ください。
▶ 海外人材タイムスに無料相談する


\海外人材タイムスへの無料相談で解決できること/
    • ● 貴社の状況に合わせた最適な採用プランの提案
    • ● 複雑な申請書類作成のサポート・代行
    • ● 最新の法改正や運用状況に関する情報提供
  • ● 採用後の支援体制に関するアドバイス
  • ● 費用に関する具体的なシミュレーション

外国人雇用にまつわる諸問題の解決には、専門家のサポートをおすすめします!
海外人材タイムスでは、専門的な知識を持つ登録支援機関、人材紹介会社、行政書士などが協働し、貴社の状況に合わせた具体的なアドバイスやサポートを提供いたします。相談費は無料です。私たちは貴社のニーズに合う最適なサポートにより手続きの負担を軽減し、外国人労働者受け入れの準備をお手伝いしています。
ぜひ、円滑な外国人材の受け入れを実現しましょう!

外国人採用に関するオンライン無料相談やってます!

  • 雇用が初めてなのですが、私たちの業務で採用ができますか?
  • 外国人雇用の際に通訳を用意する必要はありますか?
  • 採用する際に私たちの業務だとどのビザになりますか?
  • 外国人の採用で期待できる効果はなんですか?

上記に当てはまる企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

× 教えてタイムスくんバナー画像