「日本企業が外国人材に「選ばれる力」を持つために」
2024.03.21
日本を人材不足から救う一手、外国人材の活用について、人材業界の課題に向き合い続ける(株)キャムコム 代表取締役 宮林が語ります。
短期集中連載「日本企業が外国人材に「選ばれる力」を持つために」
第二回 現地ルポ 優秀な外国人人材の新たな宝庫・インドネシアの「今」
優秀な人材の宝庫!
熱視線を浴びる“インドネシア”の現在地
日本人の労働人口は減りゆく中、外国人材が活躍する未来で日本の企業に求められるのは“選ばれる力”であると考えています。いまや企業は労働者を“選ぶ側”ではなく、労働者に“選ばれる側”になりました。それは外国人材労働者も同様です。ではどうやって選ばれる企業になっていくのか?この連載が解決策を検討する材料になることを期待しています。
第二回は、日本国内で働く人が急増している“インドネシア”。その現状をご紹介します。
「日本で働く外国人材」の国籍として想起する国。中国、フィリピン、ブラジルなどを挙げる方が多いのではないでしょうか。
実は厚生労働省が発表した「外国人労働者の状況」(令和4年10月末現在)によると、就労している外国人のうち、もっとも多いのはベトナム国籍の人々です。その数は46万2384人にのぼり、我々にとって欠かせない人材になっていますが、近年、減少傾向にあります。
その理由として、日本以外の国での就労を選んでおり、特に優秀な人材は日本よりも給与が高い韓国やオーストラリアでの就労を希望するケースが増えているとのことなのです。
また、ベトナム人材の多くは日本に来るために多額の借金を背負っているケースが多く、人道的な観点で受け入れを問題視する声も挙がっています。こうした実情も相まって、コロナ禍前まで毎年30%前後を維持していたベトナム人材の増加率が、2022年には2%にまで落ち込んでしまいました。
次いで多いのは中国人材ですが、中国の経済成長や高齢化により、国内での人手不足が懸念されており、海外での就労を希望する人が少なくなっています。
一方で、日本の製造業を支えてきた日系ブラジル人材は、日本における日系4世の受け入れ制度の要件が厳しくなり、受け入れそのものが難しくなってしまいました。
このように、理由や背景は国ごとに異なりますが、日本の賃金の安さや待遇の悪さが日本離れを招いているという共通点もあります。とくに近年では円安などの影響もあり、これまで外国人材を送り出してくれた新興国の賃金と日本企業が外国人材に支払う賃金の“差”が小さくなっているのです。
自国で働くのとそれほど賃金が変わらないならば、わざわざ日本に行く必要性を感じなくなるのも納得がいきます。
注目される新たな外国人材“インドネシア”
そんななか、人手不足の日本を救う新たな外国人材として注目されているのが、インドネシアの人々です。インドネシアの人口は日本の約2倍にあたる2.7億人となりますが、今、日本で働くインドネシア人材は約7万7000人なので割合としてはそれほど高くありません。しかし2021年からの1年間で47.5%の増加率を記録しており、今後はさらに増えていくと予想されています。
インドネシア労働省職業訓練局の元総局長、BUDI HARTWAN氏(以下、ブディ氏)は「日本への就労を希望するインドネシア人は、これからも増えていくはず」と話します。
「総人口の約50%を占める30歳未満の若年層の失業率の高さは、政府にとり大きな課題であり、反対に、日本では多くの企業が若い働き手を求めていると聞きます。日本とインドネシアは、双方のニーズが合致しているのです」
ブディ氏が言うように、多くの日本企業が外国人材の力を求めておりますが、近年は日本以外にも、韓国やオーストラリア、ドイツなど人口減に悩む国々が外国人材の登用に力を入れている状況です。
しかし、こうした世界情勢のなかでも「日本で働きたい」と考えるインドネシアの若者は多い、とブディ氏。
「日本での就労を希望する理由のひとつが、給与面にあり、インドネシアの通貨、ルピアは円よりも貨幣価値が低いので、日本で働くことは収入増につながります。何より、日本での就労経験は現地で日系企業への就職に役立ったり、帰国後に起業する際の武器になったりもするのです」
日本の企業で技術や工期、予算を守る“日本式”の仕事術を身に着けると、起業したときに日本企業と仕事がしやすいという利点もあるそうです。また、世界的に見て“もっとも難しい言語のひとつ”といわれている日本語を習得した人材は、故郷でも重宝されるとのこと。インドネシアの若者たちは“ジャパニーズ・ドリーム”を掴むために、日本にやってきているのです。
第二回は、インドネシアの現状をご紹介しました。新たに若く優秀な人材の宝庫として期待されるインドネシアにおいても、人口減に悩む諸国からの引き合いが多く、選ばれる日本としての受け入れ準備が必要でしょう。
次回は、日本で取り組まれている選ばれる方法の一部をご紹介します。
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