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外国人雇用管理主任者とは?取得メリットと試験概要を解説

外国人雇用の必要性が高まる中、労働環境の整備や入管への手続きなどでお悩みの担当者も多いのではないでしょうか。そこで、外国人雇用に関するトータル的なサポートができる「外国人雇用管理主任者」の資格が有用でしょう。

本記事では、外国人雇用で役立つ資格「外国人雇用管理主任者」について、取得するメリット、試験の概要について解説します。

CONTENTS

  1. 外国人雇用管理主任者とは
  2. 外国人雇用管理主任者のメリット
  3. 外国人雇用管理主任者の導入で解決できること
  4. 外国人雇用管理主任者の資格試験
  5. 外国人雇用管理主任者の試験の流れ
  6. 外国人雇用管理主任者の登録
  7. まとめ

外国人雇用管理主任者とは

外国人雇用管理主任者とは、外国人を雇用する際に必要な専門知識を修得し、外国人の人材を育成できるようにサポートすることを目的とした資格です。

近年、外国人の採用活動が活発化してきていますので、企業の採用担当者や、士業関係のお仕事をしている方に役立つ資格です。

また、名前が同じようで間違えやすい「外国人雇用管理士」との違いについても確認しておきましょう。「外国人雇用管理主任者」と「外国人雇用管理士」の主な違いは、実施団体と試験方式です。



外国人雇用管理士主任者の必要性

外国人雇用においては、職場環境の整備と外国人社員とのコミュニケーションを円滑に行うために、外国人雇用に関わる仕事で:@@必要性が高まってきています。

2019年4月に創設された在留資格「特定技能」によって、2024年3月までの5年間で約34万5千人を上限に外国人の受け入れが見込まれています。深刻な人手不足の状況下で、特定技能外国人の活躍が期待されています。

将来的には、10人に1人が外国人の時代が来ると言われており、外国人社員が在籍して一緒に働く状況が普通になってくることが想定されています。

そこで、外国人社員の採用担当者に必要な資格として「外国人雇用管理主任者」や外国人雇用にかかわるスキルが必要となっています。

資格があることによって、在留資格の手続きや日常生活のサポート、職場でのコミュニケーション、労働環境の整備など、さまざまな課題に柔軟に対応することができるようになります。

外国人雇用管理主任者のメリット

「外国人雇用管理主任者」を取得するメリットを2つ確認しましょう。
・外国人雇用が円滑にできる
・外国人雇用トラブル回避策になる

外国人雇用が円滑にできる

外国人を雇用する際は、企業は外国人ならではの雇用管理が必要になります。「外国人雇用管理主任者」の学習では、入国管理法の知識や在留資格について等、外国人雇用に役立つ内容が身に付きます。企業内に「外国人雇用管理主任者」がいることで難しい手続きもスムーズに進めることができるメリットがあります。

外国人雇用トラブル回避策になる

外国人を雇用する際の注意点として、在留期間切れや不法就労などの入管法の違反、不適切な労働条件の問題、異文化トラブルなど、さまざまな問題についてリスク回避策を考えておく必要があります。

そこで、企業内に「外国人雇用管理主任者」がいることで、専門的な立場から適切な対応が早急にできます。トラブルが拡大する前に問題解決に繋げることができるようになり、雇用管理が円滑になります。

外国人雇用管理主任者の導入で解決できること

外国人雇用管理主任者のメリットを活かすために、事前に知っておきたい外国人雇用問題について確認し、外国人を雇用する際に必要なポイントを抑えておきましょう。

外国人雇用の問題点

低賃金、劣悪な労働環境、異文化コミュニケーション、入管法に関わる問題点を確認しておきましょう。


低賃金

外国人社員が安価な労働力として搾取されている問題があります。現在、制度の見直しが進んでいる技能実習制度では、実習生の失踪問題が発生しています。

失踪の原因には、最低賃金法違反、契約時と異なる賃金、賃金の違法な控除、割増賃金不払いなど、違法な給与設定があげられています。

違法な賃金で外国人を雇用した場合、早期離職にも繋がりやすく企業側にも外国人本人にもメリットのない結果となってしまいます。

外国人の賃金設定については、労働基準法に基づき、給与額は最低賃金を満たさなければならないと定めており、ルール違反を犯した場合は、罰則の対象となります。

最低賃金法は、外国人にも適用され、外国人社員を雇用管理する際は十分注意が必要です。

・最低賃金法の違反の罰則:地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合、罰則として50万円以下の罰金。特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合は、罰則30万円以下の罰金が科せられます。
・厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」による在留資格別の外国人の一般労働者賃金については、外国人労働者の賃金248.4 千円、在留資格別にみると、専門的・技術的分野(特定技能を除く)299.6 千円。特定技能 205.7 千円。身分に基づくもの 280.7 千円。技能実習 177.8千円。その他(特定活動及び留学以外の資格外活動)220.9 千円となっています。

劣悪な労働環境

長時間労働や重労働などを負わせて過酷な労働環境で外国人を働かせている会社が問題となっています。外国人労働者の労災による死傷者数は増加傾向にあり、安全管理の重要性が問われています。

技能実習生の現場トラブルには、建設業で落下物によるケガや食品製造工場での手元の損傷などの労災が起きています。

・労災保険は、国籍を問わず、日本で労働者として働く外国人にも適用されます。就労することができる在留資格を持っている方はもちろん、留学中にアルバイトをしていて事故にあった場合なども対象となります。(日本で働く外国人向け労災保険請求のためのガイドブックより引用)

外国人を雇用管理する前に、労務管理のルール(労働基準法・労働保険・社会保険)などの知識を得て、外国人が安全に働ける職場環境を整備することが必要となります。


異文化コミュニケーション

外国人社員とのコミュニケーション不足によって早期離職や失踪、業務の効率化の低下などさまざまな問題が起きています。

日本社会では当たり前のルールや習慣は、国籍が異なる外国人には違和感もあります。今まで育ってきた背景や価値観が違うのでズレが生じるのは仕方ありません。

厚生労働省は、外国人従業員とのコミュニケーションのコツについて、話し方、聞き方の工夫や、外国人ができることの目安とできないことの目安に分けて対応するように推奨しています。外国人と日本人が価値観の違いを理解して、コミュニケーションを円滑に進めることが外国人雇用において重要となっています。


入管法

外国人が日本で就労するには、就労できる在留資格が必要です。外国人の入国数が増加する一方、不法滞在や不法就労の問題も増えています。

不法滞在は、在留期限を越えて日本に留まっていたり、在留資格がないのに日本へ入国したりすることです。不法就労は、就労する在留資格を持たずに日本で働くことです。いずれも入管法違反に該当します。

不法就労者で摘発された外国人は、不法就労助長罪で罰則の対象となり、外国人本人だけでなく、雇用した企業側も同様に処罰されます。

不法就労の罪に対しては、不法入国の罰則で3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金。無許可資格外活動の罰則で、1年以下の懲役もしくは禁錮または200万円以下の罰金が科せられます。



法律を知らずにうっかりしていたという理由は認められないため、入管法について専門的な知識を得る必要があります。

また、不法就労させない対策として、採用面接時に外国人の所持している在留カードを確認してください。在留カードに記載されている【就労の可否】【在留期限】についてしっかりチェックしましょう。

外国人雇用管理に必要なポイント

外国人雇用においては、企業はリスク回避策を事前に整備しておく必要があります。

厚生労働省による「外国人労働者をめぐる現状と課題」では、外国人雇用管理の改善のために努めるべき事項について以下の内容を示しています。

これらの内容にしたがって雇用管理するためには、「外国人雇用管理主任者」の存在が重要となってきます。

・賃金、労働時間等主要な労働条件等について、母国語等、外国人が理解できる方法で明示・説明するよう努める。
・労働災害防止に関する標識、掲示等について、図解等の方法を用いる等、外国人が理解できる方法で行うよう努める。
・労働・社会保険に係る法令の内容及び保険給付に係る請求手続等について、外国人が理解できる用法により周知に努める。
・社内規程等の多言語化など、職場における円滑なコミュニケーションのための環境整備に努める。
・外国人労働者の苦情や相談を受け付ける窓口の設置など、生活上又は職業上の苦情・相談等に対応するよう努める。
・外国人労働者が一時帰国を希望する場合には、休暇の取得への配慮その他必要な援助を行うよう努める。

外国人雇用管理主任者の資格試験

では、具体的に「外国人雇用管理主任者」の受験内容について確認しましょう。

試験概要

株式会社東京リーガルマインド「外国人雇用支援センター」が運営する「CBTソリューション」のホームページより申し込みができます。

受験資格は、特になく誰でも受験できます。全国260か所(北海道から九州・沖縄まで)のテストセンターが試験会場になっています。受験料8,500円。試験方法は、パソコンのCBT方式による50問60分の四肢択一テストです。

試験内容

「外国人雇用管理主任者」の試験の範囲は、以下の通りです。

① 外国人雇用の基礎知識(外国人労働者とは・社会的背景)
② 在留資格の基礎知識
③ 平成31年入国管理法大改正
④ 特定技能ビザ 特定技能外国人
⑤ 受け入れ企業・登録支援機関の役割
⑥ 外国人労働者の採用計画(費用・研修・社内理解)
⑦ 外国人労働者に教えるビジネス日本語・ビジネスマナー
⑧ 労務管理のルール(労働基準法・労働保険・社会保険)
⑨ 雇用契約書・就業規則の作り方
⑩ 外国人雇用に対する助成金活用

合否判定については、70%以上の正解で合格となります。合否発表については、試験終了後、合格者あてに試験実施日の翌月末以降、合否通知が発送されます。

学習方法

学習方法については、外国人雇用支援センターが提供している指定参考図書・教材などがあり、無料動画も配信されています。独学での学習で難しい方は、有料の講座などを利用するのがおすすめです。

外国人雇用支援センターによる無料動画「WEBセミナー動画」では、外国人雇用に役立つ以下の学習内容が配信されています。

・外国人雇用の基礎知識
・外国人労働者の労務管理
・在留資格の基礎知識
・外国人雇用に関わる助成金
・改正入国管理法
・事例紹介
・就労ビザ申請の基礎知識
・外国人の基礎知識
・外国人雇用に関わる支援機関
・外国人労働者の採用計画

外国人雇用管理主任者の試験の流れ

「外国人雇用管理主任者」を受験する場合の流れは以下の通りです。

1.「CBTソリューションズ」のホームページより申し込みをする
2. 試験対策講座、参考図書、WEBセミナー動画等を活用して学習する
3. 試験会場で受験する
4. 合格者に合格者通知が届く
5.「外国人雇用管理主任者」の登録をする
6.「外国人雇用管理主任者」の認定証を発行される
7.「外国人雇用管理主任者」として仕事ができる

外国人雇用管理主任者の登録

「外国人雇用管理主任者」の合格者は、試験合格の後、登録が必要になりますので忘れないようにしましょう。登録については、外国人雇用支援センターあてに登録料10,000円を支払って認定証の発行をしてもらいます。申請は、ホームページの所定のフォームより手続きができます。手元に届いた認定証に記載されている内容については、「登録番号、氏名、登録日、有効期限」を確認しましょう。

なお、認定証の有効期限は3年間で、3年ごとに更新が必要となり、更新期限の満了の45日前ごろに「更新のご案内資料一式」が郵送されます。

まとめ

「外国人雇用管理主任者」は、外国人をサポートするための資格として有用です。外国人の雇用管理や育成に役立ち、万が一のトラブル対処法になります。企業の外国人採用担当の方は検討してみてはいかがでしょうか。

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