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【外国人雇用】建設業界の人手不足の原因と解消策

建設業界では人手不足が深刻化しています。少子高齢化による労働人口の減少や、建設現場で働くイメージの悪さ、給与水準の低さなどが、建設業界で働く人材が集まらない原因となっています。

本記事では、建設業界の現状、人手不足の原因と解消策、労働規制、外国人雇用に必要な在留資格について解説します。

CONTENTS

  1. 1.建設業界の人手不足の現状
  2. 2.建設業界の労働規制
  3. 3.建設業界の人手不足の解消策
  4. 4.建設業界で外国人を雇用するメリット
  5. 5.建設業界で外国人を雇用できる在留資格
  6. 6.まとめ

建設業界の人手不足の現状

国土交通省の「最近の建設業を巡る状況について」によりますと、建設業での課題について以下の内容があげられています。

・建設業の働き方改革の促進:長時間労働が常態化し、改善が急務
・建設現場の生産性向上:建設現場の高齢化と若者離れが深刻化して将来の担い手が不足
・持続可能な事業環境の確保:地方部の事業者減少と後継者不足に対して環境整備が急務

少子高齢化による影響

少子高齢化に伴い、労働人口の減少が著しく、建設業界では特に人材不足が深刻な状況となっています。

建設業就業者は、55歳以上が35.5%、29歳以下が12.0%と高齢化が進行し、次世代への技術承継が大きな課題となっています。さらに、60歳以上の技能者は全体の25.7%を占めており、10年後にはその大半が引退することが見込まれているため、人材不足は益々深刻化しています。したがって、若年入職者の確保と育成が急務となり、海外からの若年層の採用を行うなど、新たな採用方法を導入している会社も増えています。


建設業界の若者離れの理由として、長時間労働による課題があります。

建設業界の年間の総実労働時間は、全産業と比べて340時間以上(約2割)長くなっています。また、20年程前と比べて、全産業では約255時間減少していますが、建設業に限っては、約50時間減少と減少幅が小さくなっています。

建設業界では、2024年問題に向けて労働環境の整備と見直しが急務となっており、長時間労働が常態化していることが大きな課題となっています。

建設業の需要拡大

建設業界の人手不足に関わる労働環境の見直しが重要となっている一方、建設業の需要は拡大の方向へ進んでいます。

建設業の需要が高まっている理由は、建物のメンテナンスや再建、災害対策の必要性、大規模な建設プロジェクトの計画などがあり、将来的に建設業の需要が伸びていく傾向にあります。

建設業界が抱える人手不足と長時間労働などの課題に対して、2024年4月より、労働基準法の改正が適用されます。建設業における時間外労働の上限規制が変更され、建設業の働き方が変わるタイミングとなっています。

建設業界の労働規制

では、建設業界の労働規制に関わる主な内容を解説します。

●労働基準法の改正
●36協定の上限規制
●建設キャリアアップシステム
●インボイス制度

労働基準法の改正

2019年4月の労働基準法の改正により、建設業界で働く労働時間が改正されています。以下の内容が労働基準法改正の概要です。

●時間外労働の上限規制:労働基準法制定後初めて、罰則付きの労働時間規制が導入されています。
●年次有給休暇の確実な取得:年10日以上年次有給休暇を付与する労働者に対して、年5日については使用者が時季を指定して取得させる必要があります。


また、2023年4月より以下の内容が改正されています。

●月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引上げ:中小企業の割増賃金率を引き上げ、大企業・中小企業ともに50%の引き上げとなります。


さらに、2024年4月より、労働基準法改正による建設業の残業上限規制も変更されます。

今までは、建設業に限っては、事情があれば時間外労働が認められていました。しかし、労働基準法改正後は他の業界と同様に、労働時間は原則1日8時間、週40時間までで、休日は少なくとも週1回以上という規制が適用されます。もし、時間外労働の上限を超える場合は、36協定にそって労働基準監督署へ届け出る必要があります。

36協定の上限規制

36協定は、法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせる場合に適用されるルールです。建設業で労働者に残業をさせる場合は、36協定の上限規制(原則月45時間、年360時間)にしたがって働くことができます。

もし、36協定に違反した場合は、罰則として6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。

ただし、建設業の場合、災害対策に関わる業務に従事する際は、36協定の上限規制の適用外となります。

建設キャリアアップシステム

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、建設業で働く労働者が、技能・経験に応じて適切に処遇されることを目的とした、資格や現場での就業履歴などを登録・蓄積し、能力評価ができるようになる仕組みです。

建設業の若者離れを払拭するために、IDが付与されたCCUSカードを交付してキャリアパスの見える化を行います。

なお、外国人雇用においては、在留資格「特定技能」「技能実習」の取得者は、建設キャリアアップシステムへの登録が義務付けられています。

インボイス制度

今まで免税事業者だった一人親方や個人事業主などは、インボイス制度の導入によって、手続きが必要になります。仕入税額控除を受けるためには、適格請求書の交付を受けなければなりません。管轄の税務署に、適格請求書発行事業者の登録申請を行うことが必要です。

建設業界の人手不足の解消策

では、建設業界の現状や労働規制の内容を踏まえて、深刻な人手不足を解消するためにできることを確認しましょう。

●労働条件の見直し
●業界のイメージチェンジ
●AIの導入
●外国人人材雇用

労働条件の見直し

2024年4月からの時間外労働の上限規制により、建設事業者は、労働者の雇用管理の見直しや、働き方について検討し直さなければならなくなりました。

国土交通省の「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」では、労働基準法改正までに、受注者と発注者が、役割分担を明確にして施工上のリスクが伴わないように情報共有と意思疎通を図ることが推奨されています。また、適正な工期設定・施工時期などの平準化も必要とされています。

一方、労働者に対しては、36協定にそった残業、始業・終業時刻の管理が必要となります。

労働者の勤怠管理においては、管理ツールや勤怠管理システムの導入などを検討することができます。

業界のイメージチェンジ

建設業界のマイナスイメージは、若い労働力を確保するためにも、新しいイメージに変える必要があります。働き方改革や労働環境の見直しなど、職場改善をしている企業のほうが、求人に対する応募者数も多くなる傾向にあります。

悪いイメージを払拭するには、現状を変えていくことが先決です。建設業界の中には、まだ昭和気質の古いやり方で仕事をしている会社もあります。残業が当たり前で、評価されにくく、仕事は見て覚えるなどの風習です。そういった風習をいったん見直して、若者が吸収しやすいような職場環境に変えることが必要です。

国土交通省は、建設業のイメージチェンジを図る取り組みとして「建設業イメージアップ戦略実践プロジェクトチーム(CIU)」をスタートしました。現在、積極的な建設業界のイメージチェンジの取り組みが行われています。

デジタル化の導入

建設業の人手不足、働き方改革、生産性の向上に対して、AIを導入したデジタル化が進んでいます。建設業のデジタル化については、ICT、AI、クラウド、ドローンなどの活用が推奨されています。

パソコンやタブレット、スマホによる情報通信技術を活用することで、オンラインで素早く便利に作業を共有することができます。また、AIを導入することで、建設現場の進捗状況や事故防止に役立てられます。さらには、クラウドサービスを活用して諸業務の効率化を図ったり、ドローンによる映像技術を使って、測量や危険地域の点検や調査、施工管理などに活用したりすることができます。

外国人人材雇用

建設業界の人手不足には、海外からの外国人労働者の雇用が、積極的に進められています。

建設業界の労働環境の改善やデジタル化、イメージチェンジの取り組みなどに加えて、若い労働力が確保できるように、国は外国人雇用に役立つ政策や情報を公開しています。

建設業の需要は、今後も増えていくことが見込まれています。そのため、外国人労働者の受け入れが人手不足解消策として進んでいます。

建設業界で外国人を雇用するメリット

では、建設業界で外国人を雇用した場合、どんなメリットがあるのでしょうか。以下のポイントを確認しましょう。

●若い労働職が確保できる
●職場の活性化につながる
●特定技能で長期雇用ができる
●海外進出へのルートにつながる

若い労働職が確保できる

特にアジア圏では、海外出稼ぎ労働者の送り出しを政府機関が支援している国もあります。

そういった海外から若い労働力を確保できれば、建設業界の人手不足解消策につながるメリットがあります。

厚生労働省の外国人雇用状況届出のデータでは、外国人労働者数を年齢別にみると、いずれの年も「20〜29歳」が最も多いという結果が出ています。

在留資格別にみると「専門的・技術的分野の在留資格」は「30~39歳」、「身分に基づく在留資格」は「40~49歳」、「技能実習」「特定活動」「資格外活動」は「20~29歳」が多い傾向となっています。

職場の活性化につながる

外国人と一緒に働くことで、違った価値観を共有できるため、職場の活性化にもつながります。新しい考え方や違った視点を持った外国人と現場作業を行うことで、新しいアイデアや働き方を変えるヒントが生まれます。

特定技能で長期雇用ができる

在留資格「特定技能」で外国人を雇用した場合、特定技能1号で5年間、続いて特定技能2号に移行した場合、更新するのみで制限なく在留することができます。

したがって、特定技能・建設分野で外国人を雇用できれば、長期雇用も期待できます。

海外進出へのルートにつながる

外国人を雇用した場合、海外との連携ができるきっかけや、雇用した外国人の人脈から、海外とのつながりができるケースもあります。日本国内だけでなく、海外進出のルートができれば、今後のビジネス展開にも大きく役立ちます。

建設業界で外国人を雇用できる在留資格

続いて、建設業界で外国人を雇用できる在留資格について、解説します。

●技術・人文知識・国際業務
●特定技能
●技能実習

技術・人文知識・国際業務

「技術・人文知識・国際業務」は、高度な専門的知識やスキルを生かして働くことができる在留資格です。

取得要件については、従事する業務に関連する大学や大学院を卒業・修了すること、または、日本の専修学校の専門課程を修了し「専門士」または「高度専門士」を取得すること、10年以上の実務経験があることなどがあります。

「技術・人文知識・国際業務」を用いて働く建設業の職種としては、建築士や設計職、法人営業、経理職、現場監督などが該当します。とびや大工など、建設現場作業には該当しません。

特定技能

「特定技能」は、人手不足の産業12分野を対象に、各分野で求められる相当程度の専門分野の知識や経験がある外国人に付与される在留資格です。

取得要件については、日本語能力N4以上と、建設分野の場合は特定技能評価試験に合格することが必要です。特定技能1号で5年間、2号に移行した場合、在留期間の制限なしで滞在することができます。

「特定技能」建設分野では、土木、建築、ライフライン・設備の業務区分で働くことができます。

技能実習

「技能実習」は、外国人が日本の技術や知識を修得して、本国の発展に貢献するための在留資格です。学歴要件は特になく、日本の受け入れ企業で実習をしながら経験を積むことになります。外国人技能実習生の管理やサポートは、日本の監理団体が行い、最大5年間の在留が認められています。(技能実習1号は1年間、2号は追加で2年間、3号は追加で2年間)

「技能実習」建設分野の対象職種と作業は、22職種・33作業あります。

まとめ

建設業界は、今後もさらに需要が高まっていくと見込まれているため、人手不足の問題は深刻となっています。また、建設業の働き方改革や、労働基準法の改正など、国が取り組む改革に合わせて、建設業関係各社は、労働者の雇用管理、働き方の見直しが急務となっています。

人手不足の解消策としては、外国人雇用の動きも活発となっており、海外から若い労働力を確保できることが期待されています。

外国人を雇用する際は、従事する業務に合わせて在留資格の種類を確認し、入管法のルールにそって採用活動を進めていきましょう。

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