外国人採用企業が増加中|雇用数が多いのは東京
2023.09.14
新しい在留資格の創設や留学生の受け入れなど、日本政府が推進する取り組みに伴い、外国人を採用しやすい環境が構築されてきています。
本記事では、外国人採用状況や外国人が東京で働くメリット、外国人が増加している理由などを解説していきます。
CONTENTS
1.外国人の採用状況は東京が多い
厚生労働省の『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』によると、都道府県別の外国人を雇用する事業所数は、東京が25.5%、愛知が8.0%、大阪が7.8%となっています。また、対前年増加率をみると、長崎が12.2%、高知が11.4%、大分が10.5%など増えている地方都市がある一方、鳥取では-3.8%、香川では-2.7%と減少しています。
東京都は、そもそも人口が多いことに加え、大学や専門学校などの教育機関や企業が多いことから外国人が集まりやすい傾向にあります。愛知県は自動車製造をはじめ、さまざまな産業が盛んなことから、工場労働に従事する外国人労働者や技能実習生が多いのが特徴です。
2.外国人が東京で働くメリット
多くの外国人労働者が東京での就職を希望する理由を、求人数・給与面・求人情報の側面から考えていきます。東京は日本国内の経済・ビジネス・テクノロジーの中心地であるからこそ、専門的なスキルや知識を生かせる機会が豊富です。そのため労働環境や労働条件も他県と比較して有利といった利点があります。
2-1.求人数が多い
内閣府の2020年度時点での統計によると、東京都の求人数は14万件を超えており、他の県と比較して圧倒的に多いと言えます。そのため、外国人が仕事を探す場合も東京の方が有利です。また、仕事の数だけでなく、職種もさまざまな分野から選ぶことができるので、就職の機会や選択肢を広げやすいともいえます。
2-2.給与が高い
東京の賃金は他県よりも水準が高いことも、外国人が東京での就職を希望する理由の一つです。厚生労働省の調査によると、2019年の日本全体の平均賃金は30万7700円である一方、東京は37万9000円で、全国一の水準です。もちろん働く企業や職種によって賃金は異なりますが、同業種で比較したとしても、地方より東京で働いた方が高収入を見込めます。
2-3.外国人が求人を見つけやすい
東京の求人数が多いということは、常に人材不足であることを意味しています。そのため、未経験でも採用する企業が多く存在します。また国際都市であることから、翻訳や通訳、国際的なコミュニケーション関連の仕事が多い側面もあり、インバウンド需要に対応した求人など、外国人労働者を必要とする仕事は今後も多くなると予想されます。
3.外国人の採用が増加している理由
日本は少子高齢化による国内の人材不足を解消するために、外国人労働者を受け入れるための制度を創設してきました。この新制度により、企業の外国人雇用が促進されています。ここでは、創設された制度と、もう一つの採用増加理由である留学生の受け入れ態勢について解説します。
3-1.在留資格の創設
日本の技術や知識を母国の発展に生かしてもらうために1993年に創設されたのが技能実習制度です。在留資格「技能実習」は最大5年間、技能実習を目的に働くことが可能です。もともと人材確保のための制度ではありませんが、重要な労働力として製造現場などで活躍しています。
2019年にスタートした特定技能制度は、国内での人材確保が困難と判断された介護や建設などの特定産業分野で、外国人労働者の受け入れを許可する制度です。なお、在留資格「特定技能」は、他の在留資格では許可されていない単純労働に従事することも可能です。
高い能力や知識を有し、日本社会に貢献してくれる外国人(高度外国人材)を日本に招くための制度が高度人材ポイント制度です。在留資格「高度専門職」が付与され、永住許可の緩和や配偶者の就労許可など、さまざまな優遇措置があります。なお、在留資格「高度専門職」は、高度人材ポイント計算表で各項目のポイント合計が70点以上の外国人が取得できます。
3-2.留学生の受け入れ計画
グローバル化を促進するため、外国人留学生を積極的に受け入れていることも、外国人雇用が増えている理由の一つです。留学生受け入れ促進のため、2020年までに30万人の外国人留学生を受け入れる「留学生30万人計画」を進め、2019年には目標の30万人を突破しました。なお、この計画を達成するため、教育機関の環境整備や卒業後の進路の開拓など、留学生が卒業後に日本で働きやすい環境づくりを進めました。
留学生の受け入れ計画は、さらに2033年までに40万人を目指すという政府の目標が示されています。また、同時に日本人留学生を50万人送り出すことも掲げ、日本のグローバル人材育成を後押ししています。
4.外国人が日本を選ぶ理由
ここまで日本が外国人労働者を受け入れる体制を整えてきたことを解説してきましたが、実際に日本で働くことを選択するのは、当事者である外国人自身です。外国人が他の国ではなく、日本での就労を希望する理由について考えます。
4-1.本国よりも高い給与を得たいから
一つ目の日本を選ぶ理由として、母国よりも高い収入が挙げられます。経済が不安定な国や就職が困難な国の出身者は、日本のほうが仕事を見つけやすく、より高い収入を得られます。外貨獲得のために政府主導で海外就労を推進する国もあります。
4-2.日本は治安が良いから
日本の治安の良さは世界的にも有名です。銃刀法により、銃や刃物の所持が禁止されているため、海外諸国と比べて日常生活で危険な目に遭うことが少ないと言えます。また政治情勢も安定していて、テロなどが起こる可能性も低い傾向にあります。安全に暮らしたいという希望が、日本での就労を促す理由の一つとなっています。
4-3.福利厚生が充実しているから
日本のように社会保険制度が整っていない国の出身者からすれば、給与以外の経済的補助を受けられる福利厚生は外国人労働者にとって大きなメリットとなります。企業によっては社会保険以外に食事や住居費の補助などもあり、日本で働く意欲を高めるきっかけとなっています。
5.まとめ
賃金の高さや治安の良さ、そして日本の少子高齢化といった理由から、日本で働く外国人労働者は増えています。
日本としても外国人雇用を積極的に促し、外国人が日本で働く制度や留学生が国内で就職するための支援も行っています。グローバル化が進む現在、外国人労働者の雇用はますます一般化していくでしょう。外国人労働者が今後も増加していくことを見極め、外国人雇用の可能性を検討し、実践することが、事業の拡大や自社の発展に寄与します。
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