【専門家コラム】シリーズ①悪徳監理団体に騙されないで!その1「技能実習生の受入れを成功させるには」
2021.03.29
シリーズ① 「技能実習生の受入れを成功させるには」
技能実習生を受け入れるということ
技能実習生を受入れるということは、制度(法令)に適合する企業が、制度(法令)に適合する外国人を、制度(法令)に則った職業訓練計画の遂行のもと、「直接雇用する」ということです。 企業にも技能実習生にもメリットがあるものの、企業にとっては大きなリスクを負う危険もあります。
監理団体って何?
企業と実習生は、直接雇用関係にありますが、「企業」が技能実習生を受入れるには、制度上、「監理団体」の存在が必要です。(海外現地法人のある企業等、特別な場合は除きます。) 監理団体と海外の送出し機関(実習生の派遣機関)との協定のもと、企業は、実習生の受入れ期間中ずっと、監理団体の監理・指導を受けなければ、実習生を受入れることはできません。
実は、とっても大変な監理団体の仕事
実習生を受入れている企業から見ると、監理団体は、定期的に会社に来るものの、いつも何をしているのだろう!よくわからない。という方が多いかもしれません。
実は、監理団体は、企業の皆さんの目には見えないところで、大変に手間がかかる、かつ、とても専門的な仕事を行っています。
例えば、海外から実習生を受け入れるためや日本に在留を続けるための各種申請や報告・届出への対応はもちろん、関係行政機関への対応や連絡調整、各実習生の受験の準備や支援、在留期限管理を含む各関係スケジュールの管理、実習生送出し機関との連絡調整や協議、面接手配、実習生の入出国手配や対応、実習生に対する相談対応や各種手続きへの同行を含めた支援も行います。定期訪問(監査や巡回指導)では、単に企業を訪問しているだけではありません。例えば、事前に賃金台帳やタイムカードを取り寄せて、賃金が適正に支払われているのかを確認したり、多くの事務作業を行っています。
各書類は専門的で煩雑なうえに膨大。その保存管理も重要です。受入れる企業や実習生が増えれば、当然に人員も増やさなければならず、きめ細やかな助言や指導を行うためには、技能実習法はもとより入管法、労働関係法等、様々な法令について、常に勉強し知識の更新を図っていかなければなりません。法令に則って適正にやろうと思えば、とにかく忙しくて大変な作業ばかり。実習生の入国・帰国時の送迎やトラブル対応等があれば、それこそ早朝から深夜まで働かなければならない時もあります。
悪徳監理団体にだまされないで!
適正にやろうと思うと大変な監理団体の仕事ですが、中には、安易に始める人もいますし、安易な仕事をしている団体があるのも事実です。(安易に始めようと思っても、始めることすらできない人もたくさんいます。)安易に始められて迷惑を被るのは、受け入れている企業であり、実習生です。
技能実習法施行後、まだ3年あまりですが、すでに17の団体が許可の取消し処分を受け、受入れ企業では100社以上(1300件以上)が技能実習計画の認定の取り消し処分を受けています。(令和3年2月末現在) 企業が認定の取り消し処分を受けると、企業名・代表者名を世間に公表されるだけでなく、最低でも5年間は受入れができません。
技能実習生受入れを成功させるための3つのポイント
まず、第一は、適正な監理団体を選ぶこと。そして、監理団体が提携している送り出し機関が適正であること。さらに、自社が技能実習生から選ばれる企業になること。です。
この3つのポイントは、実は、適正な監理団体を選ぶことで、大半は解決できるものなのです。
それほどに監理団体は、重要であって、なくてはならない存在なのです。
現在、監理団体は、全国に約3000ほどあります。その中からベストの1つを選択するのは容易なことではありませんが、良くなさそうな団体は、何としてでも排除しておかないと、自社の損害は計り知れません・・・
そこで、注意が必要な団体は・・・・
- 監理費の安さを売りにする団体
- 立派なパンフレットを作成している団体
- 何でも「大丈夫ですよ」という団体(企業へのサービスをはき違えている団体)
- リスクを言わない、企業に約束事(厳しいこと)を言わない団体
- いわゆる地位のある人物を役員等に据え、それを売りにしている団体
*地位のある人が役員である団体が不適正とは限りませんが、「それのみを売り」にしている団体は注意した方がよいと思います。
次回から、注意が必要な団体の5つのポイントについて、事例を交え、具体的に解説したいと思います。
野口かおる
技能実習生受入れコンサルタント
株式会社Kensyu.Net 代表取締役
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