外国人をサポートしてくれる、登録支援機関とはどういう機関?
2022.06.01
日本の企業に採用された外国人は、日本での生活に慣れるのが大変そうですね
特定技能1号の外国人が日本での生活に慣れるようにするための支援は、登録支援機関が行っています。
労働者として特定技能1号の外国人を受け入れる場合、外国人が日本での生活に慣れるためにさまざまな支援を行う必要があります。
しかし、特定技能外国人を受け入れる企業としては、本業が忙しいために、支援にまで手が回らないのが現状ではないでしょうか。
特定技能外国人に対する支援は「登録支援機関」が行っており、支援の業務は登録支援機関に委託できます。登録支援機関とはどのような機関で、どのような支援を行うか、という点を中心に説明します。
CONTENTS
- 1. 登録支援機関とは?
- 2. 登録支援機関の支援や計画
- 2-1. 事前ガイダンス
- 2-2. 出入国する際の送迎
- 2-3. 住居確保・生活に必要な契約支援
- 2-4. 生活オリエンテーション
- 2-5. 公共手続き等への同行
- 2-6. 日本語学習の機会の提供
- 2-7. 相談・苦情への対応
- 2-8. 日本人との交流促進
- 2-9. 転職支援(人員整理等の場合)
- 2-10. 定期的な面談・行政機関への通報
- 3.登録支援機関になるには
- 4. まとめ
登録支援機関とはどんな機関なのですか?
日本国内で活動する特定技能1号の外国人に対して支援する機関です。くわしい内容について説明しますね。
1. 登録支援機関とは?
登録支援機関について説明すると、日本国内で活動する特定技能1号の外国人に対して支援を行う機関のことです。特定技能とは在留資格の一種であり、日本国内において労働力不足が問題となっている業界に限り、特定技能の外国人労働者を受け入れることができます。
特定技能には1号と2号があり、2号は1号と比べると専門性が求められます。特定技能1号は建設業や宿泊業、農業など14の業種が対象であるのに対し、特定技能2号は建設業と造船・舶用工業の2種類のみとなっています。
特定技能1号の外国人に対しては、支援すべき内容が多くあります。しかも、受け入れ企業としては本業に時間を割かなければならないため、外国人の支援にまでなかなか手が回らないのが現状です。
なお、特定技能1号の外国人を受け入れる企業は「特定技能所属機関」と呼ばれます。
そのような問題を解決するため、特定技能1号の外国人に対する支援は、特定技能所属機関から委託を受ける形で登録支援機関が行っています。
これにより、特定技能外国人は日本での滞在中に十分な支援を受けられるほか、受け入れ企業側としても本業に専念できるため、登録支援機関に支援を委託することは、特定技能外国人と企業の双方にとってメリットといえます。
登録支援機関はどんな支援を行っているのですか?
特定技能外国人に対する事前ガイダンスや出入国する際の送迎など、さまざまな支援を行っています。
2. 登録支援機関の支援や計画
特定技能1号の外国人に対し、登録支援機関が行う支援の内容は下記の通りです。- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
上記に示した支援の内容は、それぞれ「義務的支援」と「任意的支援」の2種類が含まれます。なお、支援の種類によっては義務的支援のみのものもあります。
義務的支援とは、特定技能1号の外国人に対して必ず行う支援のことです。任意的支援とは、必ずしも支援を行わなくても良い内容ではありますが、特定技能外国人が働きやすい環境をつくるために、支援の実施が推奨されています。
2-1. 事前ガイダンス
登録支援機関は特定技能外国人が日本に入国する前に事前ガイダンスを行います。事前ガイダンスは対面もしくはオンラインツールで行います。義務的支援:業務内容や労働条件、日本での活動内容、入国手続きに関すること、保証金の支払いは行わないことなどを伝えます。
任意的支援:来日する際に持っていた方が良い物、持ち込んではいけない物、来日する際の所持金の目安など、日本で生活する際に知っておきたいことを伝えておきます。
2-2. 出入国する際の送迎
特定技能外国人が出入国する際は送迎を行います。義務的支援:入国する場合は、空港または港まで迎えに行き、受け入れ企業の事業所または特定技能外国人の住居まで送ります。
出国する場合は、空港または港まで送ります。ただし、空港または港に着いたら保安検査場まで同行し、保安検査場を通ったことを確認します。
任意的支援:在留資格の届出を技能実習2号などから特定技能1号に変更した場合は、出入国の送迎は必要ありません。
なお、このように在留資格を変更した場合、送迎が必要と判断した場合は、任意的支援として送迎を行うことが可能です。
2-3. 住居確保・生活に必要な契約支援
特定技能外国人の住居確保を確保するために行う支援です。義務的支援:受け入れ企業は社宅の提供または賃貸住宅の契約を行い、特定技能外国人が住居に住めるようにします。
なお、特定技能外国人本人が賃貸住宅の賃貸人となる場合は、賃貸物件の情報を提供するなどして、住宅を探す補助を行います。
生活に必要な契約支援としては、銀行口座の開設手続き、携帯電話の契約手続き、電気・ガス・水道などの手続きがあげられます。
任意的支援:特定技能外国人の雇用契約が終了した後も、次の住居が見つかるまでは、これまでに住んでいた住宅に引き続き居住できるようにします。
また、生活に必要な各種契約をスムーズに行うために、任意的支援として契約の手続きに同行できます。
2-4. 生活オリエンテーション
生活オリエンテーションでは、特定技能外国人が日本で生活するにあたって知っておきたい基本的な内容を説明します。義務的支援:説明する内容は、日本での生活におけるルールやマナー、交通機関・金融機関・医療機関などの利用方法、日用品・食料品などの買い物の方法、災害が発生した場合の対応方法などがあります。
任意的支援:義務的支援で説明する内容に加え、必要に応じて日本での生活で知っておきたい内容を説明します。
2-5. 公共手続き等への同行
特定技能外国人が一人で公的手続きを行えない場合は、必要に応じて公的手続きに同行し、書類作成のフォローを行います。なお、この項目は義務的支援のみとなります。
2-6. 日本語学習の機会の提供
特定技能外国人が日本での生活に困ることのないように、日本語を学習する機会を提供します。義務的支援:日本語教室などの入学案内、日本語学習の教材、オンラインでの日本語講座を紹介します。
任意的支援:支援責任者または支援担当者が日本語の講習を計画し、運営して、特定技能外国人が日本語を学ぶ機会を設けます。また、日本語能力検定の受検の支援も行います。
2-7. 相談・苦情への対応
特定技能外国人から相談や苦情を受けた場合は、それらの対応が必要となります。義務的支援:登録支援機関で対応できる場合は適切な対応を行い、登録支援機関で対応できない場合は適切な機関を紹介し、必要に応じて同行します。
任意的支援:相談や苦情を受け付ける窓口の設置、専用の電話番号やメールアドレスを設けます。
2-8. 日本人との交流促進
特定技能外国人が日本での生活を充実させるために、日本人との交流を促進する機会を設けます。義務的支援:特定技能外国人に地域行事への参加をうながします。必要に応じて、行事への参加方法や注意点を説明するなど、サポートをします。
任意的支援:特定技能外国人が地域行事に参加しやすいよう、有給休暇の取得や勤務時間の変更などの対応を行います。
また、特定技能所属機関が率先して日本人と特定技能外国人が交流できる行事の企画や運営をします。
2-9. 転職支援(人員整理等の場合)
受け入れ企業の都合によって特定技能外国人の雇用を解除する場合は、転職支援を行います。具体的には、転職先を探す補助をしたり、求職活動のために有給休暇を付与したりすることなどです。
なお、この項目は義務的支援のみとなります。
2-10. 定期的な面談・行政機関への通報
特定技能登録機関、または登録支援機関は、特定技能外国人の上司、または雇用先の代表者などと定期的に面談を実施します。義務的支援:面談は3か月に1回以上として、定期的に行います。もし、特定技能外国人が勤務する企業が労働基準法に違反するなど、何らかの違反行為があるとみなされた場合は、行政機関に通報します。
任意的支援:企業側が何らかの違法行為をしている場合、特定技能外国人自身が直接通報できるように、関係機関の連絡先を一覧にしてまとめておきます。
登録機関になるためにはどんな要件を満たす必要があるのですか?
簡単にまとめると、法律を守って企業活動を行っていること、外国人を支援した経験があることです。具体的な内容について説明します。
3.登録支援機関になるには
登録支援機関になるためには、下記の要件を満たしている必要があります。- 支援責任者または1名以上の支援担当者がいる
- 下記の経験、または実績がある
(1)個人または団体が、2年以内に就労資格を持った中長期在留者の受け入れ実績がある
(2)個人または団体が、2年以内に外国人に関する相談業務に従事した経験がある
(3)支援責任者、および支援担当者が過去5年以内に、2年以上中長期在留者の相談業務に携わったことがある
(4)上記3種類の経験・実績と同程度の支援業務を適正に実施できるとみなされている - 1年以内に、機関側の過失により特定技能外国人、技能実習生の行方不明者を発生させていない
- 支援の費用を直接的、間接的にかかわらず外国人本人に負担させていない
- 5年以内に出入国、または労働法に関する罰則を受けていない
- 5年以内に出入国、または労働法に関する著しい不正、不当行為をしていない
登録機関になるための申請に必要な書類、審査基準、手数料、書類の提出先、審査結果の通知方法については、出入国在留管理庁のサイト内「登録支援機関の登録申請」のページを参照してください。
https://www.moj.go.jp/
4. まとめ
貴重な働き手として特定技能外国人を受け入れる場合、外国人が日本での生活に慣れるための支援は「登録支援機関」が行います。これにより、受け入れ企業は自社で特定技能外国人に対する支援を行う必要がないため、本業に専念できます。登録支援機関が行う支援としては、事前ガイダンスや出入国時の送迎、住居の確保などに必要な契約の支援などがあり、特定技能外国人はこれらの支援を受けることで、日本での生活をスムーズに始められます。
日本人の労働力の確保が難しい中、外国人労働者の採用に注目が集まっています。特定技能外国人を雇用する場合は、外国人の生活をサポートする登録支援機関を活用して、企業の売上向上を目指しましょう。
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