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外国人労働者の平均賃金はいくら?厚生労働省の統計から実態を調査

外国人労働者の平均賃金はいくら?厚生労働省の統計から実態を調査

外国人労働者を初めて雇用する場合、賃金の相場がわかりにくいため、賃金をいくら支払えばいいのか悩んでしまうことはないでしょうか。

この記事では、外国人労働者に支払う賃金の決め方について説明します。

また、厚生労働省は外国人労働者の平均賃金に関するデータを公表しています。平均賃金の実態を調べた上で賃金の額を決めてみましょう。

CONTENTS

  1. 1. 外国人労働者の平均賃金はいくら?
  2. 2. 外国人労働者の賃金が安いと言われる理由
  3. 3. 外国人労働者の賃金はどうやって決める?
  4. 4. 外国人労働者の給与設定する際の注意点
  5. 5. まとめ

1. 外国人労働者の平均賃金はいくら?

外国人労働者の平均賃金については、厚生労働省が公表している「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」を参照します。

1-1. 外国人労働者全体の平均賃金

2023年の外国人労働者全体の平均賃金は、同調査によると232,600円となりました。

なお、2023年の日本人全体の平均賃金は下記の通りです。

  • 男女計:318,300円
  • 男性:350,900円
  • 女性:262,600円

上記の結果より、日本人(男女計)の平均賃金と外国人労働者の平均賃金を比べると85,700円の差があり、外国人労働者の賃金が低いことがわかります。

出典:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html/

1-2. 在留資格区分別の平均賃金

在留資格区分別の平均賃金は下記のとおりとなります。

専門的・技術的分野(特定技能を除く):296,700円
特定技能:198,000円
身分に基づくもの:264,800円
技能実習:181,700円
その他(特定活動及び留学以外の資格外活動):231,300円

出典:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査の概況

専門的・技術的分野は賃金が月額で約30万円あるのに対し、特定技能と技能実習の賃金は月額で20万円以下にとどまっています。

2. 外国人労働者の賃金が安いと言われる理由

先述したとおり、外国人労働者の賃金は日本人労働者と比べると安くなっています。

外国人労働者の賃金が安い理由は、日本人にとっては安く感じられる賃金であっても、外国人労働者としては自国で働くよりも多くを稼げる賃金水準であるためです。

日本と諸外国の平均賃金の違いについて調べるため、2023年時点において、国籍別で見た場合に外国人労働者数が多い上位3カ国であるベトナム、中国、フィリピンの平均年収を参考にします。

2-1. ベトナムの平均賃金

ベトナムの平均賃金については、日本貿易振興機構(JETRO)のサイトを参考にします。

ベトナム統計総局は5月4日、2022年版家計生活水準調査報告書を発表した。

(中略)

同報告書によると、上記項目のうち、2022年の1人当たりの月間平均所得については、2020年比で425万ドン(約2万4,225円、1ドン=約0.0057円)から467万ドンになり、2年間で約1割に当たる42万ドン増加した(添付資料表1参照)。

(引用:日本貿易振興機構(JETRO))

上記によると、2022年のベトナムの月間平均所得は467万ドンとなります。

1ドン=0.005円で計算すると、467万ドンは23,350円です。

日本でもらえる月額賃金が20万円以下であったとしても、ベトナムで働くよりも多くの賃金を得られることがわかります。

2-2. 中国の平均賃金

中国の平均月収については、AFPBBニュースの記事を参考にします。

2022年、中国都市部の非民間事業所就業者の平均年収は11万4029元(約222万6000円)で、価格変動の要素を差し引いた実質で4.6%増となりました。一方、都市部の民間事業所就業者の平均年収は6万5237元(約127万3500円)で、価格変動の要素を差し引いた実質で1.7%増にとどまりました。

(引用:AFPBBニュース 2023年5月10日付)

2022年時点における中国の平均年収は、公営企業が114,029元、民間企業が65,237元となります。

月額の賃金を計算するために、上記の年収額を12カ月で割ると下記のように計算できます。なお、1元=20円で計算します。

公営企業:平均月収 約9500元 日本円で19万円
民間企業:平均月収 約5440元 日本円で108,800円

中国の平均賃金は、他のアジアの国と比べると高くなっていますが、日本と比べると低い状況となっています。

2-3. フィリピンの平均世帯年収

フィリピン統計局が公表している2023年の家計調査には、平均世帯年収のデータが掲載されています。

それによると、2023年のフィリピンの平均世帯年収は353,230フィリピンペソでした。

世帯あたりの平均月収を計算するために、上記の額を12カ月で割ると約29,440フィリピンペソとなります。

1フィリピンペソ=2.5円で計算すると、29,440フィリピンペソは73,600円です。

上記の数値は世帯あたりの月収であるため、労働者1人あたりの月収はさらに少ないものと考えられます。

フィリピンの世帯あたりの月収と日本の賃金を比べると、日本の賃金の方が高くなっています。日本では安いと言われる給料であっても、フィリピンでは十分に高い賃金と言えるでしょう。

出典:フィリピン統計局 2023年家計調査
https://psa.gov.ph/

3.外国人労働者の賃金はどうやって決める?

外国人労働者の賃金を決めるにあたっては、出入国在留管理庁のサイトにある「在留資格『特定技能』に関する参考様式(新様式)」の「特定技能外国人の報酬に関する説明書」が参考になります。

この説明書には、下記のように記載されています。

申請人に対する報酬については、以下のとおり、「日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること」を担保しています。
(引用:特定技能外国人の報酬に関する説明書)

上記の申請人とは、特定技能の在留資格を有する外国人労働者を指します。つまり、一定の技術を有する外国人労働者の賃金は、日本人の報酬と同等以上としなければなりません。

報酬額を設定する一例としては、日本人の高卒者の報酬と同等程度、もしくは同等以上が目安となります。

また、技能実習生のように労働者として一定の技術を有していない場合は、最低賃金以上の報酬を支払う必要があります。

外国人労働者に賃金を支払う場合は、日本の法律に基づいて適正な額としましょう。

4. 外国人労働者の給与設定する際の注意点

外国人労働者の給与を設定する際には、差別的な扱いや、企業側の都合での一方的な金額の決定などはしてはいけません。

4-1. 最低賃金法が適用される

厚生労働省のホームページに最低賃金について以下の記載があります。

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。

(引用:最低賃金とは?|厚生労働省)

最低賃金法に国籍の指定はありません。つまり、外国人であっても日本で雇用される限り、日本の法律である最低賃金法が適用されるということです。

なお、最低賃金法は技能実習生のように実習目的で来日している外国人にも例外なく適用されます。技能実習の目的は、「企業等と雇用関係を結び働く中で、技能実習生の出身国において修得が困難な、各種技能等を習得して上達させること」であり、企業との雇用関係が存在しています。雇用関係を結ぶ以上、企業は労働力の対価を支払わなくてはなりません。技能実習生だからといって、最低賃金を下回るような給与設定は違法です。万が一、最低賃金より低い給与を支払っていたことが発覚した場合には、入管法に基づく不正行為の対象となって処罰されます。処罰されると、技能実習生の受け入れが一時停止されますので注意してください。

4-2. 同一労働同一賃金が適用される

同一労働同一賃金は、もともと正規・非正規雇用間での賃金格差を解消するために設けられた制度ですが、最低賃金と同じく国籍に関係なく適用されます。

ただし「同一労働」でない場合は、賃金に差があっても問題ありません。

厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」には以下のように記載されています。

基本給が、労働者の能力又は経験に応じて支払うもの、業績又は成果に応じて支払うもの、勤続年数に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。

(引用:厚生労働省|「同一労働同一賃金ガイドライン」)

つまり、日本語が話せるAさんと日本語が話せないBさんが別の仕事を行う場合には、賃金格差があっても問題はありません。しかし、AさんとBさんが同じ仕事をするのであれば賃金に差を設けてはならないということです。

4-3. 所得税の課税

外国人労働者は、「居住者」か「非居住者」かによって課税所得が変わります。 「居住者」とは日本で住所を所有している、もしくは、1年以上居所がある外国人です。「非居住者」は居住者以外の外国人となり、ワーキングホリデーやインターンシップなどで短期滞在している外国人が該当します。

さらに「居住者」は、「永住者」と「非永住者」に分けて課税されます。 まとめると下表のとおりです。

なお、非居住者において「租税条約」がある場合は、免税もしくは減税となる可能性があります。

4-4. 福利厚生を充実させる

外国人労働者を雇用する場合は、賃金だけでなく、福利厚生についても日本人と同等以上を付与しなければなりません。研修制度の利用やレジャーなどの特典も、もれなく提供しましょう。

また健康保険や厚生年金、労災などの社会保険にも加入させる必要がありますが、これらは給与から天引きになります。可処分所得が減ることは、事前にしっかり説明して了承を得てください。

5. まとめ

外国人労働者の平均賃金は、2023年の時点で232,600円であり、日本人の平均賃金である318,300円と比べると85,700円の差があります。

外国人の自国の賃金と比べると日本の賃金は高いため、日本人にとって安いと感じる賃金であっても、外国人にとっては十分な額と感じるかもしれません。

しかし、一定の技術を有する外国人労働者に対しては日本人と同等以上の賃金を支払うことが原則です。

また、一定の技術を有していない外国人労働者であっても、日本の法律に基づいて、最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。

労働への対価として賃金を確実に支払い、外国人労働者のモチベーションアップにつなげましょう。

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