合理的にあり得ない
～キャリアアドバイザー青山智香の解明～

ワタシ、青山智香は外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決・サポートする業務に携わっている、いわゆるキャリアアドバイザー。
実はこれまでも珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている（過去の事件はこちらからどうぞ）。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら、私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

私たち、ワークライフバランスなんて考えてません！

技能実習生や特定技能外国人の皆さんは、得てして日本へ“稼ぎ”に来ている。もちろん、休日に観光したり友人と遊んだりもするが、彼らの金銭事情や労働に対する感覚は想像以上にストイックだ。



彼らが仕事を選ぶ基準は、ズバリお金！残業が多ければ、それだけ収入も増え、母国の家族への送金額や生活費、娯楽費も増える。ワークライフバランスなどは考えておらず、もちろん労働環境や人間関係の良し悪しも後回し。むしろ、残業はありがたいものとして積極的に手を挙げ、働けるだけ働く（稼げるだけ稼ぐ）をモットーとしている。

実際に、月に5万円ほどの送金が相場で、日本円の5万円は、例えばインドネシア国内のレートで換算すると一般的大人1人の月給＋αぐらいにはなるらしい。昨今の日本人の感覚では、なかなか考えられない勤勉さの裏には、こうした金銭的事情があるようだ。



以下に、具体的エピソードをご紹介してみたい。

働きたい！残業したい！皆さん

インドネシア人男性アンドリューさんの勤める鋳造工場が、ある時、半導体不足に伴い大幅な減産に見舞われてしまった。企業担当者から「仕事がほとんどなく、会社としても任意出社という措置をとらざるを得ない」と聞いていた折、たまたまこちらの会社の前を通ると、見慣れた顔がせっせと会社の外回りを掃除しているではないか…！私たちがサポートする特定技能外国人の皆であった。後に、アンドリューさんにこの時の話しをしたところ「ずっとではないが、機械が停止ししている時、一時的に掃除をさせてもらっていた」そうで、出社の有無を問われた際には、皆、真っ先に手を挙げ仕事をしていたということだった。

また、月～金曜日が出勤日で、希望する者のみ土曜日にも出社を認める就業体制をとっていた食品工場で、特定技能外国人の皆さんが積極的に土曜日に出社したがり、彼らの就労時間が残業時間の規定を越えないよう、企業の担当者と私たちで適宜指導していたことがあった。



他にも、外国人の皆さんは時折、住民票の異動やマイナンバー手続きなど役所関係の手続きが発生する。すぐに対応しなければならないものがある中、仕事を休めば給料が減るため「平日に役所に行きたくない！休日に手続きできないか？」と、ひと悶着する…という珍事も起きがちだ。こうしたトラブルこそ私たちの出番で、上手に諭して手続きを済ませる必要がある。

日々きちんと節約し、家族への仕送りを第一に考えて生活している彼らを思えば、少しでも働きたい気持ちは痛いほどわかる。だが、郷に入っては郷に従え。国の法律、精度、企業のルールに則った生活をしてもらわねばならない。



こうしている時も、全国各地で働く技能実習生、特定技能外国人の皆さんが何かのトラブルに巻き込まれたり、逆にトラブルを発生させたりしている。
さて、次の珍事はいつ、何処だろうか？

終