【特定技能】漁業・養殖業分野|制度の要件や費用、手続きを解説
2025.10.30
特定技能「漁業」分野での外国人材雇用を検討中の漁業事業者向けに、制度の概要、受け入れ要件、具体的な費用、雇用するまでの手続きの流れを解説します。外国人材の受け入れを検討している、漁業・養殖業分野の事業者は必見です。
人手不足が深刻化する漁業分野において、特定技能制度は外国人材を確保する上で有効な手段です。しかし、制度が複雑で「何から手をつければいいか分からない」と悩む漁業事業者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、特定技能「漁業」の制度概要から、外国人材を受け入れるための要件、費用、雇用するまでの手続きの流れまで網羅的に解説します。
CONTENTS
- 1. 深刻な人手不足を解決する「特定技能 漁業」
- 2. 特定技能「漁業」とは
- 3. 特定技能「漁業」の取得ルート
- 4. 特定技能「漁業」で外国人を雇い入れる要件
- 5. 特定技能「漁業」人材の雇用にかかる費用内訳と相場
- 6. 特定技能「漁業」人材を雇用するまでの7ステップ
- 7. 特定技能「漁業」に関するQ&A
- 8. 特定技能「漁業」を利用して人手不足を解消しよう
1. 深刻な人手不足を解決する「特定技能 漁業」
特定技能「漁業」が誕生した背景には、日本の深刻な漁師不足の現状があります。 全産業の有効求人倍率が1.5倍であるのに対し、漁業は漁船員が3.5倍、水産養殖作業員が2.5倍を超えます。なぜこんなにも人手が足りていないのでしょうか。
一つ目の要因は、漁師の高齢化です。地方の漁村では50代が若手とされており、2018年時点で65歳以上の漁業従事者が38%を占めます。彼らは順次引退していくため、次世代の担い手が出てこない限り、将来的に廃業になる可能性が高いでしょう。二つ目は、若者の漁師離れです。「きつい・汚い・危険」という3Kのイメージに加え、漁船のメンテナンス、漁具の消耗、漁獲量の不安定さなど構造的な問題から、十分な収入を得にくい実態があります。漁業経営調査報告によると、2021年時点の漁労所得は約227万円となっており、一般サラリーマンの収入の半分程度しかありませんでした。安全で安定した仕事を求める若者にはマッチしにくい職業であることがうかがえます。

2. 特定技能「漁業」とは
特定技能とは、労働人口の減少が加速する産業分野において、人手不足解消のため、一定の専門性・技能を持つ外国人を労働者として受け入れる制度です。特定技能「漁業」を使えば、外国人が日本の「漁業」に従事できるようになります。
2-1. 特定技能1号と特定技能2号の違い
1号は「特定技能2号」への移行を前提とした5年間の期間限定ビザであり、家族帯同は認められていません。一方、2号は「熟練した技能」を有することが要件となり、在留期間に上限がなく、家族帯同も可能です。漁業分野における2号は、2023年6月に閣議決定後、順次試験が実施されています。しかし、一定の実務経験などの要件が求められることから、現在も1号での受け入れが主流となっています。
※詳細は在留資格「特定技能」とは? 技能実習との違いや採用ポイントを解説、【完全ガイド】特定技能1号とは?2号との違い・取得要件を解説をご覧ください。
2-2. 対象業務
漁業法にもとづく2つの業務区分「漁業」(漁船漁業など)と「養殖業」(養殖場の管理など)があります。また、「漁獲物の選別・仕分け」や「漁船の清掃」など、メイン業務と関連性のある付随業務であれば最大50%の範囲で従事させることが可能です。
2-2-1. 業務区分①:漁業
「漁業」の具体的な作業内容は、漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁獲物の処理・保蔵など、漁船における作業などです。ただし、船長や漁労長など、指揮監督権限をともなう業務に特定技能外国人を従事させることはできません。
2-2-2. 業務区分②:養殖業
「養殖業」では、養殖資材の製作・補修、養殖水産動植物の育成管理、収穫・処理など、養殖場における作業などに従事します。メイン業務である養殖作業以外の、販売や接客などの業務を主体とすることはできません。
2-3. 雇用形態
直接雇用と派遣雇用があります。特定技能では原則として派遣雇用は認められていませんが、漁業分野については季節的な要因などで業務量にばらつきがあるため、例外的に許可されています。
2-4. 給与水準
日本人と同等以上の給与水準が求められます。最低賃金や勤務時間外の労働に対しての扱いも日本人と同等でなければなりません。外国人であっても日本の労働基準法が適用されますので注意してください。
2-5. 受け入れ可能な期間
特定技能1号の受け入れ期間は通算5年ですが、閑散期に一時帰国することも認められているため、繁忙期だけ日本で働くことも可能です。この「通算5年」は日本での就労期間のみをカウントするため、例えば毎年1~6月の間だけ来日する場合は、帰国期間を含めると実質的に10年間の雇用が可能となります。
さらに、令和5年6月の特定技能2号対象分野拡大に伴い、漁業分野でも在留期間に制限のない2号への移行が可能になりました。2年以上の実務経験が必要になるなど一定の条件はありますが、長期的な就労が可能になったことは、業界にとっての大きな希望と言えるでしょう。
2-6. 転職
特定技能は転職が可能です。ただし、転職先は同一の業務区分内もしくは技能水準の共通性が確認できる業務区分でないといけません。漁業分野から農業分野など、他の業種への転職は不可です。

3. 特定技能「漁業」の取得ルート
3-1. 漁業技能測定試験と日本語試験に合格するルート
特定技能「漁業」の取得にあたっては、漁業技能測定試験と日本語試験に合格するルートが基本です。
漁業技能測定試験は、業務区分「漁業」と「養殖業」で試験が分かれ、漁業に関する知識が問われます。いずれも学科と実技があり、両方の合格が必要です。
日本語試験は、日本語能力試験JLPTのN4以上、もしくは国際交流基金日本語基礎テストの合格が求められます。なお、N4レベルとは、日常生活においてゆっくりであれば会話が理解できる程度の日本語力です。
※詳細は【日本語検定の解説】外国人採用に活かせるスキルは?、日本語能力試験(JLPT)N1・N2とは?レベル別の難易度を解説をご覧ください。
3-2. 技能実習2号から特定技能1号へ移行するルート
技能実習2号の漁業分野を良好に修了することで、特定技能「漁業」へ移行が可能です。技能実習2号から移行の場合は、必要な技能および日本語水準は満たしているものと考えられるため、技能試験と日本語試験は免除されます。
特定技能「漁業」に移行可能な業務は、以下の通りです。
- ● 漁業(8作業)・・カツオ一本釣り漁業、延縄漁業、いか釣り漁業、まき網漁業、ひき網漁業、刺し網漁業、定置網漁業、カニ・エビ・かご漁業
- ● 養殖業(1作業)・・ホタテ貝、マガキ養殖
4. 特定技能「漁業」で外国人を雇い入れる要件
特定技能「漁業」で外国人を雇い入れるための要件は、以下の3つです。
- ● 漁業特定技能協議会に加入する
- ● 同協議会に必要な協力を行う
- ● 支援体制を構築する
4-1. 漁業特定技能協議会への加入
外国人を受け入れる企業は、受け入れ日から4カ月以内に、水産庁が設置した漁業特定技能協議会へ加入する義務があります。
4-2. 協議会に必要な協力を行う
協議会加入後は、現況調査などの活動への協力が必須です。要請を受けた際は、求められた内容に応じ適切に対応することが求められます。
4-3. 外国人材への支援体制
受け入れ企業は、外国人が日本で安定かつ安心して働けるよう、法律で定められた10の支援項目を実施することが義務付けられています。事前ガイダンスや生活オリエンテーション、住居の確保や定期的な面談などの支援項目の実施をまとめた計画を作成し、自社内での支援体制を構築します。自社で支援が難しい場合は、登録支援機関へ委託することも可能です。

5. 特定技能「漁業」人材の雇用にかかる費用内訳と相場
特定技能外国人の受け入れ費用には、人材紹介料、在留資格申請費用、支援費用などがあります。
5-1. 人材紹介料:人材会社に支払う費用
受け入れ企業が直接募集をかけることもできますが、採用工程に外国語を使用する必要があるため、一般的には人材紹介会社を利用します。
人材紹介料:約30万円
5-2. 在留資格申請費用:行政書士への依頼費用
技能実習から特定技能への変更の場合も、新規で特定技能の在留資格を申請する場合も、出入国管理庁への届出が必要です。必要書類の作成や手続きには専門知識を要するため、専門家などに外部委託するのが一般的です。
在留資格申請費用:約10万円
5-3. 登録支援機関への支援委託費用
支援計画の実施を登録支援機関へ委託する場合は、委託料がかかります。
登録支援機関への委託料:約2~3万円(月額)

6. 特定技能「漁業」人材を雇用するまでの7ステップ
採用から就業開始までの大まかな流れを7つのステップに分けて解説します。各ステップの所要期間は全体で4カ月〜6カ月かかるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが肝要です。
6-1. Step1:求人活動・人材選定
日本国内に在留する元技能実習生や留学生、または海外在住の候補者を対象に、求人活動を行います。業務内容や職場環境、報酬などの条件を明確に提示し、ミスマッチを防ぎます。
6-2. Step2:雇用条件の提示・採用内定
日本人労働者と同等以上の待遇で、雇用契約書を締結します。雇用契約締結後は、就業開始までの間に、労働条件や報酬、支援内容などを説明する事前ガイダンスを実施します。
6-3. Step3:在留資格認定証明書交付申請
雇用契約書、支援計画書など、必要な書類を準備し、地方出入国在留管理局に申請を行います。なお、審査には1カ月〜3カ月ほどかかります。
※詳細は在留資格認定証明書とは? 外国人雇用で知っておきたいポイントを解説をご覧ください。
6-4. Step4:ビザ申請
海外から来日する場合は、在留資格認定証明書が交付された後、本人が在日公館でビザ(査証)を申請します。
※詳細は外国人雇用では就労ビザの確認をしましょう/就労ビザの申請方法と取得の流れをご覧ください。
6-5. Step5:入国・就業開始
ビザが発給され次第、入国し就業を開始します。
6-6. Step6:登録支援機関による支援の実施
登録支援機関は、外国人と3カ月に1回以上の定期的な面談を実施し、生活や業務上の困りごとがないかを確認します。
※詳細は特定技能制度における登録支援機関とは?支援内容・選び方を解説、外国人をサポートしてくれる、登録支援機関とはどういう機関?をご覧ください。
6-7. Step7:漁業特定技能協議会への定期的報告
協議会から要請された場合は、外国人材の雇用状況や支援状況について報告する義務があります。

7. 特定技能「漁業」に関するQ&A
特定技能「漁業」に関して多く寄せられる質問をQ&A形式にまとめました。読者の皆さまが抱きやすい疑問に簡潔かつ明確にお答えします。不安の解消にぜひお役立てください。
7-1 Q1.日本人労働者と同等以上の報酬とは?
日本人正規雇用者、または同等のスキルを持つ日本人アルバイト・パートと比較して、基本給、手当、賞与などを含む総支給額が同等以上であることが求められます。また、その根拠は、給与規定や賃金台帳などで客観的に証明できるものでなければなりません。
7-2 Q2.派遣での受け入れは可能ですか?
漁業分野は特定技能制度において、唯一派遣での受け入れが認められています。ただし、派遣元の事業者(派遣会社)は、地方公共団体や漁業協同組合などが関与する事業者であることが条件です。
※詳細は特定技能外国人は派遣で雇用できる?できない?をご覧ください。
7-3 Q3.転職はできますか?
特定技能外国人は、同一の業務区分内(例:漁業から漁業へ)であれば転職が可能です。なお、転職時には以前の雇用機関から発行してもらう実務経験証明書が必要になります。
8. 特定技能「漁業」を利用して人手不足を解消しよう
「特定技能 漁業」は、日本の漁業・養殖業が抱える深刻な人手不足を解決するための有効な手段です。しかし、複雑な在留申請手続きや各種費用、協議会への加入・協力要件など多岐にわたる準備が必要であり、自社だけで進めるのは非常に困難と言えます。
そこでおすすめしたいのが、「海外人材タイムス」が提供する無料相談です。海外人材タイムスでは、登録支援機関や人材紹介会社、行政書士など各分野の専門家が連携し、特定技能「漁業」に関するあらゆる課題をワンストップで解決します。
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