日本と海外のマナーは何が違う? 外国人材が驚くポイント6選
2025.10.28
外国人材との交流が増える中「良かれと思った行動が相手を不快にさせてしまった」「言葉の壁はないのに、どこかぎこちない」と感じることはないでしょうか。その原因は、文化や習慣の違いから生まれる「マナー」のズレかもしれません。
本記事では、日本と外国の具体的なマナーの違いを食事、コミュニケーション、文化、労働観、医療、災害の6つのポイントに分けて徹底解説します。
CONTENTS
- 1. 外国人材が直面する生活におけるトラブル
- 2. 食事の違い
- 3. コミュニケーションの違い
- 4. 文化の違い
- 5. 労働観の違い
- 6. 医療の違い
- 7. 災害の違い
- 8. 【国別比較】特に知っておきたいアジアと欧米のマナー
- 9. マナーの違いで生じる問題を乗り越えるためには
- 10. マナーの違いを理解し、外国人材とより良い関係を築く
1. 外国人材が直面する生活におけるトラブル
外国人材が日本で生活・就労する中でよく起こるトラブルには、言語の壁や文化の違いによる誤解、生活習慣の違いによる摩擦があります。
引用:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/surveyofForeigners_3.pdf
また、株式会社パーソル総合研究所が実施した意識調査によると、外国人が生活を送る上で感じるトラブルにはさまざまなものがあることが明らかになりました。
たとえば、「社会保障制度や年金制度のわかりにくさ」「地域社会との関わりがもてないこと」「老後の生活の不安」などのトラブルが上位に入っています。他にも、外国人が相談できる窓口の少なさや、差別・偏見、日本特有のマナーなど、あらゆる場面で生活のしづらさを感じているようです。
詳細は以下の記事をご確認ください。
外国人雇用でよくあるトラブル6つを解説
これは燃えるゴミ? 日本人との共同生活で守るべきマナー
多様性は現代ビジネスのキーワードの1つですが、国や社会が異なることから不安や戸惑いは生じます。外国人が働く職場では、そこに気をつけることが大切ですが、どのような問題が考えられるでしょうか?
次章では、コミュニケーション、文化、労働観、医療、災害に分けて見てみます。
2. 食事の違い
食事の場でのNG行動
ビジネスの接待や社内の食事会では、日本特有の食事マナーが存在します。海外では一般的でも、日本ではマナー違反となる行動に注意が必要です。
- ● 器を持たないこと
日本では、ご飯茶碗や汁椀は手で持って食べるのが礼儀です。テーブルに置いたまま食べるのはマナー違反。 - ● 食べ残し
食事を残すことは「満足していない」「失礼」と捉えられる場合があります。全て食べきる努力を示すことが望まれます。 - ● 音を立てて食べる行為の違い
日本ではそばをすするのはOKだが、他の国では不快に思うことも。逆に、日本では大声で話しながら食べることは避けるべきです。 - ● 飲み会文化におけるマナー
- ○ 乾杯は全員がグラスを持って一斉に行い、目を合わせてから飲む。
- ○ お酌は上司や目上の人が行い、注がれた人は「ありがとう」と感謝を示す。
- ○ 強制的に飲ませることはマナー違反。相手の意思を尊重する。
- ○ 乾杯は全員がグラスを持って一斉に行い、目を合わせてから飲む。
宗教・食生活への配慮
宗教的な理由や健康志向から、ハラール(イスラム教)、コーシャ(ユダヤ教)、ベジタリアン、ヴィーガンといった食の制限を持つ外国人が増えています。
- ● 店選びのポイント
- ○ ハラール対応やベジタリアンメニューのある店を選ぶ。
- ○ アレルギー情報を事前に確認し、食材に注意。
- ○ 食事会の招待時に食の好みや制限をヒアリングし、配慮する。
- ○ ハラール対応やベジタリアンメニューのある店を選ぶ。
「食べる」以外の文化
食事中の会話のテーマや上司と部下の関係性も文化により異なります。
- ● 日本では、食事中にプライベートな話題や軽い雑談をしながら和やかな雰囲気を作ることが好まれます。
- ● 上司と部下は敬語を使いながらもリラックスしたコミュニケーションが期待されます。
- ● 一方、あまりにも業務の話や批判的な話題を出すことは避けられる傾向があります。
詳細は以下の記事をご確認ください。
技能実習生の食事事情ってどんな感じ?Case18 生活的にあり得ない
これってマナー違反?ベトナム人VS日本人【食事編】キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case5

3. コミュニケーションの違い
仕事はもちろん、日常生活を送る上で、コミュニケーションは欠かせません。母国語でない言語でやり取りをしている外国人は、コミュニケーションをとる際に困惑することがよくあります。よく外国人が戸惑うことの1つに、日本語の「すみません」があります。これは感謝または謝罪のどちらを意味する言葉なのでしょうか? 日本人は日常のさまざまな場面で「すみません」を使います。その意味は背景に応じて変わりますが、それに対して欧米人は「謝罪」を「自分の非を認める、弱みを見せる」と認識しているので、本当に必要な場面でしか謝る必要はないと考えています。
また、日本は高コンテクスト文化で、「空気を読む」民族ですが、欧米は低コンテクスト文化で、言語による情報伝達を重視します。このようなコミュニケーションスタイルの違いは、ときに伝達ミスや誤解を招きます。
日本語でのやり取りに慣れている場合は、何かを依頼した際に「それは難しいです。」と回答があれば相手の「NO」という意思を汲み取れますが、そうでない場合ははっきりと「私にはできません。」と言わないと意図が伝わりません。
ほのめかす行為は日本特有の文化であることを理解し、お互いに歩み寄る姿勢が重要です。
詳細は以下の記事をご確認ください。
外国人とのコミュニケーションのコツ|職場の生産性を上げる方法
【外国人材のサポートの極意】コミュニケーションと生活編
4. 文化の違い
日本と外国人では価値観が異なります。たとえば以下のような例が挙げられます。
「お客様は神様」
外国人が日本の接客業について驚くのは、「お客様は神様」という考え方です。これは日本のおもてなし文化の根底にありますが、海外ではそうではありません。
お客様に愛想よく応じたり、待たせないようにしたりする行為は、海外では当たり前ではないのです。外国人を接客業などで採用する場合は、ここの部分に対する認識を共有する必要があります。
仕事とプライベートの混同
昨今では減っているものの、日本の職場はまだ社員や従業員が同じ釜の飯を食うことを大切にしています。仕事が終わった後も同僚と飲みに行ったり、食事をしたりすることで、お互いの理解を深め、一体感を持つ。しかし、これは外国人から見ると仕事とプライベートを混同しています。海外では仕事とプライベートと切り分ける考え方が強いため、飲み会などに誘う際は本人の意思を尊重することが大切です。
印鑑文化
日本では会社の書類に印鑑(はんこ)を使うことが一般的です。韓国や台湾などでも、日本のような印鑑文化はありますが、対照的に欧米はサイン文化。近年では、紙の削減や在宅勤務の普及とともに、日本人の印鑑に対する見方も変わりつつあります。
日本特有の「暗黙の了解」
ほかにも、日本企業には明文化されていないルールや慣習が多く存在します。たとえば
- ● 終業後の飲み会
参加が半ば暗黙の義務とされることがあるが、外国人は仕事時間外はプライベートと考える文化が多くストレスとなる。 - ● 会社のイベント参加
年次総会や運動会、ボランティア活動への参加要請も理解されにくい。 - ● 部署間の連携方法
電話や直接訪問での報告・相談、あいづちを重視するコミュニケーションは、メール文化の外国人にはわかりづらい。 - ● お辞儀やあいづち
礼儀としてのお辞儀の角度やタイミング、相槌の打ち方は文化的意味合いが強い。
こうした暗黙のルールは外国人にとって難しい習慣のひとつです。
個人の成果とチームの調和
また、海外では個人の成果や評価が強調されがちですが、日本では集団の調和や協調性を重視します。たとえば評価制度やキャリアパスにおいては「協調性」「勤勉さ」「礼儀正しさ」などの要素が重要視される傾向があります。企業は外国人従業員に対し、評価基準の文化的背景を説明し、理解を促すことが望まれます。
5. 労働観の違い
一般的に欧米の企業はジョブ型雇用(特定の仕事に対する遂行能力を持つ人材を雇う)で成果主義を採用しているのに対し、日本人はメンバーシップ型雇用(総合的な技術を持つ人材を雇う)で、目標に到達するまでのプロセスに重きを置き、年齢や協調性、会社への貢献度を評価します。このように労働観が異なるため、外国人と仕事をする場合は、仕事の進め方や役割についてよく話し合い、認識を合わせておくことが重要です。

引用:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/surveyofForeigners_3.pdf
外国人の職場に対する不満として「給料が上がらない」「昇進・昇格が遅い」「給料が安い」などが上位に挙げられます。
ジョブ型雇用であれば給料や昇進・昇格は実力に基づいて評価されますが、日本企業の多くはメンバーシップ型雇用であるため、外国人がこのような不安を感じやすいのです。
このように労働観が異なるため、外国人と仕事をする場合は、仕事の進め方や役割についてよく話し合い、認識を合わせておくことが重要です。
ただ、近年はジョブ型雇用を導入する企業も見受けられるようになり、日本企業の形態も変容しつつあります。
詳細は以下のをご確認ください。
海外の仕事の考え方と日本人との違いは?
6. 医療の違い
日本の医療機関を利用することに不安を感じている外国人も少なくありません。受付や医師に自分の症状をうまく伝えられないというコミュニケーションの問題が一因とされています。 また、日本の医療機関の利用方法や支払いの仕組みがわかりづらいという指摘もあります。実際に、先ほど紹介した生活におけるトラブルの調査においても、「病気やケガをしたときの対応」で困ったことがある外国人が18.6%存在することがわかりました。
外国人を雇用する企業は、いざという時のためにも研修などで対応方法などを共有するとよいでしょう。
7. 災害の違い
日本では、よく地震が発生します。地震がない国から来た人にとっては地震そのものが恐怖であることに加え、災害情報や防災標識の中には多言語対応していないものもあるため、災害時にどのような行動を取り、どこに避難するべきかがわからないという外国人もいます。

引用:https://www.soumu.go.jp/main_content/000798092.pdf
一般財団法人ダイバーシティ研究所の資料によると、外国人への災害対応では「ストック情報(災害に対する前提知識)」と「フロー情報(災害時の情報)」が重要になるとされています。
このストック情報が不足していたり、フロー情報が日本語のみで発信されていたりなど、外国人が災害時にトラブルに見舞われるケースも少なくありません。
外国人を雇用する企業は、災害時に備えてストック情報を共有し、どうすればフロー情報を効率的に収集できるかまで、しっかりと指導しておくことが重要です。
詳細は以下の記事をご確認ください。
関東大震災【その時、地震未経験の外国人の反応とは?】Case4-1 経験的にあり得ない
8. 【国別比較】特に知っておきたいアジアと欧米のマナー
アジア(中国・ベトナムなど)
- ● 目上の人への敬意を重んじ、上下関係を大切にする。
- ● 集団主義が強く、人間関係や調和を重視。
- ● 食事や贈答、挨拶の仕方に独特のマナーがある。
- ● ただし、日本とは細かい部分で異なる文化があり、例えば、会話のオープンさや敬語の使い方に差異がある。
欧米(アメリカ・イギリスなど)
- ● 個人主義と成果主義を重視し、直接的なコミュニケーションが好まれる。
- ● 上司や同僚に対してもフレンドリーでカジュアルな関係を築くことが多い。
- ● 食事の場でも形式的な挨拶より、フリートークが重視されることが多い。
- ● 時間厳守や自己主張が明確であることが期待される。
これらの違いを理解することで、アジア圏と欧米圏の外国人材に対し適切な対応が可能になります。

9. マナーの違いで生じる問題を乗り越えるためには
マナーや文化の違いによる問題は、外国人材の定着率や職場の人間関係、さらには企業の生産性にも大きな影響を及ぼします。こうした問題を未然に防ぎ、また発生した際に適切に対処するためには、企業としての継続的な教育・支援体制の構築が不可欠です。
以下では、具体的な3つの取り組みを詳しく解説します。
① 外国人従業員への研修
入社時の異文化理解研修
外国人材が日本で働き始める際に最も戸惑うのが、日本独特のマナーや職場文化です。入社直後の段階で、それらを分かりやすく説明する異文化理解研修を実施することで、早期の離職やトラブルを未然に防ぐことができます。
- ● 例:時間厳守の重要性、報連相(報告・連絡・相談)の習慣、上下関係や敬語の使い方
- ● 動画や事例を交えて視覚的に学べる教材を使うと効果的
- ● 日常生活マナー(ゴミ出し、食事マナー、あいさつなど)もあわせて説明する
多言語対応のマニュアル整備
研修だけではすべてを記憶するのは難しいため、日本語だけでなく母国語対応のマニュアルを用意しておくことが重要です。
- ● 母国語(ベトナム語・中国語・英語など)で記載された「職場ルール集」や「生活マナー集」を配布
- ● 図解・イラスト付きで視覚的にわかりやすくする工夫が必要
- ● 定期的にアップデートする体制も整えておくとよい
メンター制度の導入
異文化に不安を抱える外国人従業員にとって、相談できる相手の存在は心理的な支えになります。日本人社員をメンターとして任命し、日常的にフォローを行う体制を構築しましょう。
- ● 業務だけでなく、生活面でも相談できる環境を整備
- ● メンターには異文化対応の研修を事前に実施
- ● 週1回の定期面談など、フォローアップの頻度も明確に
② 日本人従業員への教育
異文化理解ワークショップの開催
外国人材を受け入れる側の日本人社員にも、異文化への理解と寛容な姿勢が求められます。ワークショップ形式の研修では、実際の事例を交えながら「どう接すれば良好な関係を築けるか」を学ぶことができます。
- ● ロールプレイやディスカッション形式で行うと効果的
- ● 「文化の違い=間違いではない」という視点を持たせる
- ● 例:「会議中に意見を言わない=やる気がない」ではない
交流機会の創出
単なる業務上のやりとりだけでなく、プライベートも含めた交流機会を設けることで、お互いの理解が深まりやすくなります。
- ● 社内イベント(歓迎会、誕生日会)などの開催
- ● 食文化や母国紹介などの「文化交流デー」の実施
- ● 語学教室や日本語クラブの運営も効果的
無意識のバイアス(アンコンシャス・バイアス)研修
「外国人だから〇〇だろう」「日本に来たなら日本のやり方に合わせるべき」といった偏見や先入観は、職場内の溝を深める原因となります。
- ● 研修では、バイアスとは何か、なぜ問題なのかを解説
- ● 無意識にとっている言動や態度を振り返る機会を提供
- ● 多様性を受け入れる組織文化づくりの第一歩となる
③ 第三者機関の活用
企業の規模やリソースによっては、これらの取り組みを自社内だけで完結するのが難しい場合もあります。その際には、専門機関や外部サービスを活用することで、質の高いサポートが可能になります。
外国人雇用に関する専門コンサルタントの活用
- ● 就労環境や生活支援、教育制度の整備についてアドバイスを受ける
- ● 外国人労働者本人との面談代行や通訳サービスを依頼できるケースも
- ● 法律改正や制度変更にも迅速に対応してくれる
外国人向け研修プログラムの外注
- ● 文化・マナー研修、日本語教育、生活指導などを外部に委託
- ● 専門家が制作した教材(eラーニング、動画など)を活用可能
- ● コストはかかるが、離職率の低下や職場の安定化という観点で費用対効果が高い
地方自治体・公的機関との連携
- ● 地域によっては外国人支援センターや多文化共生センターが設置されている
- ● 各種支援制度や多言語窓口の利用を促進
10. マナーの違いを理解し、外国人材とより良い関係を築く
外国人材とのトラブルの多くはマナーの違いから起こります。そのため、文化や習慣の違いを正しく理解し、双方が歩み寄る努力が重要です。企業としては、外国人従業員が働きやすい環境づくりを進めるとともに、日本人従業員にも異文化理解の意識を根付かせることが求められます。
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