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技能実習制度の実習実施者とは? 役割を解説

技能実習生として働くには、外国人の受け入れを行う実習実施者が必要です。では、実習実施者とは誰で、どんなことをする必要があるのでしょうか。

本記事では、技能実習制度における実習実施者について役割を解説します。

CONTENTS

 

 

1.実習実施者とは?

技能実習制度における実習実施者ですが、これは外国人を受け入れて技能実習を行う法人あるいは個人を指します。基本的には法人が実習実施者となることがほとんどだと考えられますので、「実習実施者=受け入れ法人」という認識で問題ありません。

2.実習実施者の役割は?

「技能実習法第5条」では、実習実施者の責務が次のように規定されています。

実習実施者は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護について技能実習を行わせる者としての責任を自覚し、第三条の基本理念にのっとり、技能実習を行わせる環境の整備に努めるとともに、国及び地方公共団体が講ずる施策に協力しなければならない。

つまり、実習実施者には技能実習の適正な実施と技能実習生の保護が求められているわけですが、実際にはどのようなことを行うのでしょうか。項目ごとに解説します。

2-1.技能実習計画の申請手続き

技能実習生を受け入れるためには、技能実習が適切であることを外国人技能実習機構から認定されなければいけません。そのために作成・提出するのが、技能実習生がどのように実習を進め、どんな技能や知識の習得を目指すのかを記した「技能実習計画書」です。

現在の技能実習制度では、技能実習計画書の作成は実習実施者の義務となっており、また受け入れようとする実習生ごとに作成する必要があります。

2-2.実習実施者の届出

技能実習計画に認定を受けた実習実施者は、外国人技能実習機構の地方事務所・支所の認定課に実習実施者の届出を提出します。この届出は、技能実習の開始後、遅滞なく行うことが求められます。

2-3.帳簿書類の作成と保管

実習実施者には、「技能実習法第20条」が定める以下の帳簿書類の作成が義務付けられています。

①技能実習生の管理簿(氏名・国籍・在留資格・在留期間など技能実習生の名簿、技能実習生の履歴書、雇用契約書及び雇用条件書、技能実習生の待遇に係る記載がされた書類など)
②認定計画の履行状況に係る管理簿
③技能実習生に従事させた業務及び技能実習生に対する指導の内容を記録した日誌
④企業単独型実習実施者は、入国前講習及び入国後講習の実施状況を記録した書類
⑤前各号に掲げるもののほか、法務大臣及び厚生労働大臣が告示で定める特定の職種及び作業に係るものにあっては、当該特定の職種及び作業に係る事業所管大臣が、法務大臣及び厚生労働大臣と協議の上、当該職種及び作業に特有の事情に鑑みて告示で定める書類

帳簿書類は技能実習を実施する事業所に備えていなければならず、保管期限は技能実習が終了した日から1年間となっています。

2-4.実習の状況報告

実習実施者は、直近の技能実習事業 年度(4月1日~翌年3月31日に終わる技能実習に関する事業年度)に対する実施状況報告書を毎年1回作成し、翌年度4月1日~5月31日までに、管轄する外国人技能実習機構の地方事務所・支所の認定課に提出しなければいけません。

しかし、技能実習は年度をまたいで実施されるケースもありますが、その場合でも報告をまとめることは認めていません。 例えば、技能実習期間が7月1日~翌年6月30日までの場合、開始年度の実施状況(7月1日~翌年3月31日まで)については翌年度、翌年度の実施状況(翌年4月1日~6月30日まで)については翌々年度の提出期間内に、それぞれの実施状況報告書を提出することになっています。

2-5.技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員の選任

技能実習の実施にあたって実習実施者は、「技能実習責任者」「技能実習指導員」「生活指導員」を選任しなければいけません。なお、いずれも技能実習を実施する事業所ごとに選任する必要はありますが、実習実施者が兼務することも認められています。

技能実習責任者は、技能実習指導員や生活指導員を監督する立場であることから、業務経験の少ない新人職員などを選任することはできません。加えて、過去3年以内に「技能実習責任者に対する講習」を修了している必要があります。

技能実習指導員は技能実習生に対して直接指導を行うため、修得を目指す技能について5年以上の経験を有する常勤人材を選任しなければいけません。

生活指導員は技能実習生の日本における生活の指導や管理、トラブルの事前防止などが役割となります。勤続年数や役職などの制約はなく、常勤人材であれば選任することができます。

2-6.技能実習生の待遇の確保

技能実習生を理由に、同等程度の技能を有する日本人労働者と比べて、賃金や労働時間などで不利な条件で就労させることは認められていません。技能実習生が安心して技術や知識を修得できる待遇を整えるのも、実習実施者の役割です。

3.実習実施者になるための方法は?手続きを解説

実習実施者になるにはどのような方法を取ればよいのでしょうか。具体的な手続きについて解説します。

3-1.多くの書類を準備する必要がある

実習実施者になるには、技能実習計画認定申請書、技能実習計画、入国後講習実施予定表や実習実施予定など、非常に多くの書類を用意する必要があります。必要書類は受け入れ方式や特定事由に該当するかなどによっても異なるため、詳細は外国人技能実習機構のサイトで確認してください。また、申請書以外にも登記簿謄本や決算書、役員の住民票や技能実習指導担当者の履歴書、健康保険の被保険者証などが必要になります。

参考)技能実習計画認定申請に係る提出書類一覧・確認表(団体監理型)

3-2.申請先である外国人技能実習機構とは?

外国人技能実習機構は技能実習に関わる各種申請や書類の届け出先となる機関です。かつては地域の出入国在留管理局が担っていましたが、2017年に施行された技能実習法により、技能実習に関わる業務はすべて外国人技能実習機構に移管されました。
外国人技能実習機構には窓口業務以外にも、実習実施者の監督・指導という重要な役割も担っています。実地検査などを行い、技能実習が適正に行われているかをチェックする機関でもあります。

4.実習実施者を指導する監理団体

実施する技能実習が団体監理型の場合、実習実施者は認可を受けた非営利の監理団体から技能実習生の募集や各種手続きなど、技能実習生の受け入れに関する様々なサポートを得ることができます。また、受け入れ後も実習実施者に対する監査・指導や技能実習生の支援などを通じて、監理団体は技能実習の実施に深く関わっていきます。

4-1.監理団体は実習実施者を監査・指導する

先述した通り、実習実施者を監督する立場にあるのが監理団体です。監査の結果、違反行為が確認された場合は、外国人技能実習機構や労働基準監督署に通報する義務を有しています。監理団体の監査方法には、3カ月に1回以上の頻度で行われる定期監査、法令違反などが疑われる場合に行う臨時監査があります。

また技能実習が第1号技能実習の場合は、監査とは別に月に1回以上の頻度で実施事業所を訪問し、技能実習の実地確認や実習実施者に対して必要な指導を行う「訪問指導」を行うことが規定されています。

4-2.実習計画に関しての説明や指導も行う

監理団体は実習実施者が作成する実習計画について意見を述べ、説明を行ったり、指導を行ったりします。

4-3.入国後講習

技能習得1年目の外国人に対しては、入国後、実習開始前に言語や日本での生活などに関する講習を行うことが義務付けられています。

4-4.母国語での窓口としての役割

監理団体には母国語での相談窓口としての体制も整備されている必要があります。実習実施者から人権侵害を受けているなどの理由から、指導員や役職員に相談できないようなケースでもサポートできるようにするためです。

5.「優良な実習実施者」認定の要件やメリットは?

実習実施者はいくつかの要件をクリアすると、「優良な実習実施者」の認定が受けられるようになります。認定要件やそのメリットについて詳しく見ていきましょう。

5-1.「優良な実習実施者」とは?

「優良な実習実施者」とは、技能実習法第9条第10号において、以下のように定められています。

❝実習実施者について、技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していること❞ 

引用)法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」p13

「優良な実習実施者」に認定されると、技能実習4~5年目に該当する技能実習3号の受け入れが可能になるなどのメリットがあります。

5-2.どのように認定されるのか

「優良な実習実施者」の認定要件は以下のとおりです。それぞれの項目に点数が振られており、合計で150点満点中6割にあたる90点以上を取得すれば認定されます。

①技能等の修得等に係る実績(技能検定等の合格率等)・・・70点
②技能実習を行わせる体制(指導員の講習受講歴)・・・10点
③技能実習生の待遇・・・(賃金や住環境)10点
④法令違反・問題の発生状況・・・5点(違反等あれば大幅減点)
⑤相談・支援体制・・・45点
⑥地域社会との共生・・・10点

参考)法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」p13

これらの要件は、技能実習生が着実に技能を習得できるよう厳格な基準をもとに作成されています。

5-3.どのようなメリットがあるのか

「優良な実習実施者」になると、技能実習4~5年目にあたる技能実習3号の受け入れが可能になります。1号が1年目、2号が2~3年目ですから、3号の技能実習生はもっとも熟達したスキルを持つ人材といえるでしょう。通常の企業は3年間しか受け入れられないため、2年間の延長ができるのは「優良な実習実施者」になる大きなメリットです。また、技能実習生の受け入れ人数枠も拡大され、基本人数の2倍まで受け入れられるようになります。

6.まとめ

いかがだったでしょうか。ここまでに解説してきたように、実習実施者は「技能実習の適正な実施」と「技能実習生の保護」を実現するために重大な責務を背負っています。今後、技能実習生の受け入れを検討している企業においては今一度役割を見直し、その適切な技能実習が実施できるように心掛けましょう。

追加参考
厚生労働省 技能実習制度 運用要領
https://www.mhlw.go.jp/content/001100146.pdf

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