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企業内転勤とは?取得要件と仕事内容を解説

外国の事業所より日本の関連事業所に転勤する外国人は、在留資格「企業内転勤」を利用して異動することが可能です。「企業内転勤ビザ」で従事する仕事は「技術・人文知識・国際業務ビザ」と同じであるため、どちらの就労ビザを選択したらよいか疑問もあるかと思います。

本記事では、「企業内転勤ビザ」の取得要件、業務内容、転勤できる会社の範囲、「技術・人文知識・国際業務ビザ」との違いについて解説します。

CONTENTS

  1. 企業内転勤とは
  2. 企業内転勤ビザの取得要件
  3. 企業内転勤で従事できる業務内容
  4. 技術・人文知識・国際業務との違い
  5. 企業内転勤する会社の関連性の範囲
  6. 企業内転勤の申請方法
  7. 企業内転勤の必要書類
  8. 企業内転勤の在留期間は延長できる?
  9. まとめ

企業内転勤とは

日本に本店、支店、事業所のある会社で海外事業所の職員が日本の事業所に期間限定で転勤する場合に認められる就労ビザです。簡単にいうと、外国の事業所からの転勤者が該当します。自然科学・人文科学・国際業務に関わる仕事に就くことが可能です。

在留期間は、5年、3年、1年、3カ月です。

企業内転勤ビザの取得要件

企業内転勤ビザを取得する際は、以下の要件があげられます。

・海外の会社、関連会社などで1年以上勤務していること
・「技術・人文知識・国際業務ビザ」に該当する業務であること
・日本での雇用先で安定性や継続性が確保できること
・日本人社員と同等以上の給料を支払うこと
・過去に不法滞在など違法行為がないこと

海外の会社、関連会社などで1年以上勤務していること

「企業内転勤ビザ」を申請する直前までに海外の本店、支店、事業所などで継続して1年以上勤務していることが必要です。例えば、過去に1年勤務していたという場合は、1年以上勤務していることには該当しません。

「技術・人文知識・国際業務ビザ」に該当する業務であること

「企業内転勤ビザ」で従事する仕事内容は、「技術・人文知識・国際業務ビザ」に該当する業務であることが必要です。例えば、仕事内容が単純作業や現場仕事の場合は、取得要件を満たさないため許可されません。

日本での雇用先で安定性や継続性が確保できること

「企業内転勤ビザ」で外国人を雇用する企業が、安定性や継続性が証明できる事業計画書を提出できることが必要です。特にスタートしたばかりのベンチャー企業や、事業規模の小さい会社は、事業計画の詳細を説明できることが求められます。

日本人社員と同等以上の給料を支払うこと

外国人の報酬は、日本人社員と同等またはそれ以上であることが要件となります。

外国人社員を低賃金で雇用した場合は法令違反となります。外国人の賃金については、労働基準法に基づき、給与額は最低賃金に基づき設定する必要があります。もし、ルール違反を犯した場合は、罰則の対象となります。最低賃金法は、外国人にも適用されますので、注意しましょう。

過去に不法滞在など違法行為がないこと

過去に不法滞在や日本の法令に違反する行為をしていた外国人は、企業内転勤ビザの対象となりませんので注意が必要です。過去にオーバーステイが原因で日本から出国した外国人は、入国拒否のペナルティが科せられます。上陸拒否の期間は、違反行為の内容によって1年、5年、10年、無期限に分けられます。

企業内転勤で従事できる業務内容

「企業内転勤ビザ」で従事できる業務内容は、「技術・人文知識・国際業務ビザ」と同じ業務内容になります。では、認められている活動と具体的に従事できる職種について解説します。

企業内転勤の活動について

「企業内転勤ビザ」は、法律上「自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務」又は「外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務」に従事する活動であること」と定められています。

自然科学の分野:理学、工学のほか、農学、医学、歯学及び薬学等が 含まれます。
人文科学の分野:法律学、経済学、社会学のほか、 文学、哲学、教育学、心理学、史学、政治学、商学、経営学等が含まれます。
外国の文化を基盤とする業務:日本国内の文化の中では育てられないような思考や感受性に基づく業務が該当します。

上記、3通りの技術や知識についての内容は、いずれも一定水準以上の専門的能力を必要とする活動であることが前提になります。つまり、大学等を卒業した学歴や国際業務に関わる実務経験が必要になるということになります。

企業内転勤で働ける職種

では、具体的に「企業内転勤ビザ」で働くことができる職種について確認しましょう。

以下の職業が該当します。

技術分野:機械工学の技術者、システムエンジニア、プログラマー、情報セキュリティー技術者など
人文知識分野:企画、営業、経理、人事、法務、総務、コンサルティング、広報、マーケティング、商品開発など
国際業務分野:通訳、翻訳、デザイナー、貿易、語学講師、通訳が主業務のホテル業務など

技術・人文知識・国際業務との違い


「企業内転勤ビザ」と「技術・人文知識・国際業務ビザ」との違いは、学歴要件や実務景観、転職の可否などがあげられます。
「技術・人文知識・国際業務ビザ」の場合は、大卒以上の学歴または10年以上の実務経験が条件です。転職も可能です。

一方、「企業内転勤ビザ」の場合は、学歴を問わず優秀な人材を海外から日本へ招聘することが可能です。ただし、転勤の自由はありません。もし転職する場合は、在留資格の変更手続きが必要になります。

また、雇用期間については、「技術・人文知識・国際業務ビザ」の場合は、在留期限の更新を行えば制限なく働くことができます。「企業内転勤ビザ」は、海外と日本との事務所間の契約に基づいて一定期間の雇用となります。

したがって、同じ企業内の異動であっても、1年以下の勤務期間の外国人を日本に招聘したい場合は、「技術・人文知識・国際業務ビザ」が該当し、1年以上の勤務期間がある外国人の場合は、「企業内転勤ビザ」で検討すると良いでしょう。

企業内転勤する会社の関連性の範囲

企業内転勤で異動できる会社については、以下の通りです。

1. 親会社・子会社間の異動
2. 本店・支店・営業所間の異動
3. 親会社・孫会社間の異動、及び子会社・孫会社間の異動
4. 子会社間の異動
5. 孫会社間の異動
6. 関連会社への異動

なお、海外の派遣元企業から、日本国内の同一企業内の別事業所へ異動することは可能です。例えば、異動先が東京の事業所から大阪の事業所に変わることができるということです。

1. 親会社・子会社間の異動

親会社と子会社の異動は「企業内転勤ビザ」の対象となります。
親会社の定義は、他の会社の議決権の過半数50%以上を有している会社であることです。

例えば、40%以上の議決権を有している場合は、他の条件を加味して親会社として許可されるケースもあります。

2. 本店・支店・営業所間の異動

本店または本社から支店または支社、営業所への異動、もしくは、支店から本店への異動は、「企業内転勤ビザ」の対象となります。

3.親会社と孫会社間の異動、及び子会社・孫会社からの異動

親会社と孫会社間の異動、もしくは子会社・孫会社から親会社への異動は、「企業内転勤ビザ」の対象となります。

4. 子会社間の異動

子会社間や孫会社間の異動も「企業内転勤ビザ」に該当します。なお、孫会社までは対象となりますが、ひ孫会社間の異動は、認められていません。

ただし、特例として、親会社がひ孫会社に100パーセント出資している場合は、子会社間と同様に「企業内転勤ビザ」の対象として認められます。

5. 孫会社間の異動

孫会社間の異動も「企業内転勤ビザ」に該当します。

6. 関連会社への異動

関連会社間の異動も「企業内転勤ビザ」に該当します。
「関連会社」の定義は、他の会社の議決権の20%以上を有している会社のことです。

例えば、15%以上の議決権を有している場合は、他の条件を加味して、親会社として許可されるケースもあります。

企業内転勤の申請方法

「企業内転勤ビザ」の申請方法や必要書類について確認しましょう。
申請の手続きの流れは、おおよそ以下の通りです。

・在留資格認定証明書交付申請書と添付書類を準備する
・申請書に署名して他添付書類と一緒に出入国在留管理庁へ提出する
・審査期間におよそ2週間~1カ月程度かかる
・在留資格認定証明書が交付されたら海外に送る
・海外の大使館でビザ(査証)を発給してもらう
・入国し在留カードを受け取る

企業内転勤の必要書類

「企業内転勤ビザ」の申請に必要な書類は、1~4のカテゴリーごとに準備する内容が異なります。企業カテゴリーとは、企業規模によって決められています。

企業カテゴリーの分類は以下の通りです。

カテゴリ-1

・日本の証券取引所に上場している企業
・保険業を営む相互会社
・日本又は外国の国・地方公共団体
・独立行政法人
・特殊法人・認可法人
・日本の国・地方公共団体認可の公益法人
・法人税法別表第1に掲げる公共法人
・イノベーション創出企業
・一定の条件を満たす企業等

カテゴリー2

・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
・在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関(カテゴリー1と4の機関を除く)

カテゴリー3

・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)

カテゴリー4

・カテゴリー1~3に該当しない団体または個人

では、カテゴリー1〜4に共通する書類を確認しましょう。

共通する書類

・在留資格認定証明書交付申請書1通
・写真1枚(縦4㎝×横3㎝)
・返信用封筒1通(簡易書留用)
・専門士または高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書
・労働条件通知書/雇用契約書

なお、在留期間更新許可申請の場合は、パスポートおよび在留カードの提示が必要です。

カテゴリー1

・四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
・高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書
・上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(例えば、認定証等の写しなど)

カテゴリー2

・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
・在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを、証明する文書

カテゴリー3

・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
・申請人の活動の内容等を明らかにする資料
・申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
・事業内容を明らかにする資料
・直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通

カテゴリー4

・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料

(1)源泉徴収の免除を受ける機関の場合は、外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料
(2)上記(1)を除く機関の場合は、給与支払事務所等の開設届出書の写しと次のいずれかの資料

・直近3カ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
・納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料

企業内転勤の在留期間は延長できる?

「企業内転勤ビザ」で在留している外国人が、異動先の会社で雇用契約を継続する際に、在留期間が切れてしまう場合があります。この場合は、在留資格の期間を延長するために「在留資格更新申請」を行う必要があります。

必要書類として、在留期間更新許可申請書、写真、パスポート及び在留カード(提示)、カテゴリーに応じた資料を準備して提出することになります。

まとめ

「企業内転勤ビザ」は、業務内容が「技術・人文知識・国際業務ビザ」と同じであるため、どちらの在留資格が良いのか迷う企業担当者の方もいらっしゃるでしょう。

企業内転勤ビザの場合は、「技術・人文知識・国際業務ビザ」とは違って、学歴要件がなく1年以上の勤務期間を条件に日本へ招聘することが可能です。

外国人の在籍状況や実務経験を考慮して在留資格の選択をし、手続きを進めて行くと良いでしょう。

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